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ZEH(ゼッチ)とは?不動産投資と環境問題の関係について解説します

2021/10/12
ZEH(ゼッチ)とは?不動産投資と環境問題の関係について解説します
  • 「ZEH(ゼッチ)って何?」

  • 「ZEHが義務化されることで不動産投資にどういった影響があるの?」

2030年に政府がZEHを義務化すると公表しましたが、ZEHについてあまり知らない方も少なくありません。

では、ZEHとはどういったものなのでしょう?

ZEHとは、太陽発電や蓄積電池を活用して、住宅で消費するエネルギーを限りなくゼロにした住宅のことです。政府が義務化を目指すと公表したことで、不動産投資においても注目を集めています

そこで、この記事ではZEHの基礎知識とZEHの義務化が不動産投資に与える影響について詳しく解説していきます。ぜひ最後まで読んで頂き、ZEH住宅に投資するときの参考にしてください。

ZEH(ゼッチ)とは?政府はZEHの義務化を検討している

政府は2030年にZEHの義務化を検討しており、ZEHの普及を推進しています。では、政府が普及を推進しているZEHとは、どういったものを指すのでしょうか?

ここでは「ZEHとはどういったものなのか」や「政府がZEHを普及させるために行っている取り組み」について解説していきます。

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは

ZEHとは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」を略したもので、太陽光エネルギーや蓄積電力システムなどを活用して、1年間で消費するエネルギ−の量を可能な限りゼロに近づける住宅のことです。

ZEHには、以下の3つの種類があり、種類によってZEHに認定されるための条件が違います。

  • ZEH(省エネ基準などの条件を満たした住宅)

  • Nearly ZEH(日当たりの良くない地域で設けられているZEHの基準)

  • ZEH Oriented(都市部の狭小地などで日当たりが良くない場所のために設けられているZEHの基準)

引用:経済産業省「ZEHの定義(改定版)<戸建住宅>」

このように場所によってZEHに認定される基準が異なります。詳細については経済産業省エネルギー庁のホームページを確認するようにしてください。

参考:経済産業省エネルギー庁

政府は補助金制度を設けて普及を目指している

政府は2030年のZEHの義務化に向けて、補助金制度を設けてZEHの普及を行っています。そのZEHの補助金制度は、新築住宅を開発する企業向けの制度と、新築住宅の購入や建築、既存の住宅を改築する個人に向けた補助金制度に分けられます。

補助金制度の中で個人を対象にした補助金制度は以下の4つです。

  • ZEH支援事業

  • ZEH+実証事業

  • ZEH+R強化事業

  • 先進的再エネ熱等導入支援事業

上記の種類によって交付要件や対象住宅、補助金の金額などが異なります。ちなみに、詳しい内容については一般財団法人環境共創イニシアチブの以下の資料で確認出来るので参考にしてみてください。

参考:一般財団法人環境共創イニシアチブ「2021年経済産業省と環境省のZEH補助金について」

環境問題と不動産分野の関係

政府が新築住宅や既存住宅をZEH住宅にすることを推進するなど、不動産分野でも環境問題は意識されています。

では、不動産分野で環境問題が意識されることでどういった取り組みがされているのでしょうか?ここでは、不動産分野で問題視されている環境問題とその問題に対する取り組み、不動産投資の関係について解説していきます。

不動産分野での二酸化炭素の排出が問題視されている

地球温暖化など環境問題の取り組みを行う中で、持続的な社会の構築が最優先課題になっています。その中でも不動産分野における二酸化炭素の排出量は、日本全体の二酸化炭素の排出量の3分の1を占めている状況です。

そのため、不動産分野の二酸化炭素の排出量が問題視されており、排出量を抑える取り組みとして、持続可能な環境価値の高い不動産を普及させていく取り組み(ZEHの普及など)を行っています。

ただし、上記の取り組みは政府だけでなく、企業と個人の協力があって初めて完成するものであるため、それぞれが環境問題について理解をしておくことが必要です。

不動産分野ではZEH(ゼッチ)が推進されている

不動産分野で環境価値の高い不動産として政府が推進しているのが、前述で紹介したZEH(ゼッチ)です。

太陽光エネルギーなどのクリーンエネルギーを活用してエネルギー消費量を抑えることで、電力消費による二酸化炭素の排出を抑えることが出来ます。そのため、政府も2030年にZEH基準の義務化を検討しています。

不動産投資分野でもESG投資が注目されている

他の投資だけでなく不動産投資においてもESG投資に注目が集まってきている状況です。ここではESG投資とはどういったものなのかについて詳しく解説していきます。

①ESG投資とは?

ESG投資とは、Environment(環境)、Society(社会)、Governance(企業統治)の頭文字を組み合わせたもので、この3つの視点から投資対象を選ぶ投資方法になります。

つまり、企業の業績だけでなく、環境問題への取り組みや人権問題の取り組みなどを行っている企業に対して投資を行うものです。

今後こういった取り組みが社会的にも認知されることで、取り組みを行っている企業と行っていない企業でサービスの人気や商品の販売数が変わってくる可能性があります。そのため、ESG投資という投資方法が注目されているのです。

②不動産投資でESG投資が注目されている理由

不動産投資でESG投資が注目されている理由としては、以下の2つです。

  • 環境負担の軽減(二酸化炭素を抑える設計)

  • コスト削減(エネルギー消費量の削減)

上記のように二酸化炭素の排出を抑えた不動産の経営が求められていく可能性が高いことから、不動産投資分野でもESG投資が注目されています。

③不動産投資のESG投資の例

現在は不動産クラウドファンディングで、ESG投資が出来る投資が増えている状況です。例えば、「信長ファンディング」は国産木材を活用した不動産を商品化しており、地方創生や地域の活性化、環境問題に効果がある不動産投資の案件を提供しています。

このように不動産投資分野でも、今後ESG投資が増えていくことは間違いなさそうです。

ZEHの義務化によって不動産投資が受ける影響

政府がZEHを2030年に義務化することで、不動産投資にはどういった影響を与えるのでしょうか?

予想される影響は以下の3つです。

  • 義務化がされることでZEH住宅が選ばれるようになる

  • ZEHに関する知識が必要になる

  • ZEH住宅でないと税制優遇や助成金などの恩恵が受けられない可能性がある

それぞれについて説明していきます。

義務化がされることでZEH住宅が選ばれるようになる

ZEHが義務化されることで、入居者がZEH住宅を好んで選ぶようになる可能性があります。ZEH住宅が一般化するうえに、環境問題に対する問題意識が高まるためです。そのため、建築基準法の改正によって出来た旧耐震基準と新耐震基準のように、ZEHの不動産であることが入居者を募集するうえで重要な要素になると予測されています。

このように、社会の中に環境に対する問題意識がより根付いていくことで、ZEH住宅が好まれる環境が出来る可能性は高いです。

ZEHに関する知識が必要になる

ZEH住宅が標準になるため通常の不動産とZEH不動産の違いを良く理解しておくことが必要になります。

そのため、不動産投資家はZEHの基準や種類などの知識を勉強しなければなりません。あらかじめZEH住宅についての知識を持って、投資する不動産を選ぶ必要があります。

ZEH住宅でないと税制優遇や助成金などの恩恵が受けられない可能性がある

ZEH住宅でないと税制優遇や助成金などの恩恵が受けられないデメリットがあります。実際に、現状でもZEH住宅が利用出来る補助金や税制優遇制度は設けられていますが、それらもZEH住宅でないと受けることは出来ません。

さらに、今後政府は普及を加速させるために、補助金制度や税制優遇制度を増設していく可能性が高いので、受けられない恩恵は大きくなる一方です。ZEH住宅の普及がより推進されることで、さまざまな措置が作成される可能性があるため、そういった政府の動向には注意するようにしてください。

不動産投資でZEH住宅を検討するのは?

不動産投資を始めるなら、ZEH住宅を一つの選択肢に入れておくといいでしょう。不動産投資は長期的な投資になるためです。長期的な不動産投資をする際にZEH住宅に投資をしておくことで、2030年にZEHが義務化されることによる影響を最小限に抑えることが出来ます。

ただし、短期売買や中古物件投資を目的として不動産投資を行っている人は、今の段階からZEH住宅にこだわる必要はありません。現状では、ZEH住宅だからといって不動産価格が大幅に上昇するわけではないからです。

しかし、ZEHの普及が進むにつれて不動産価格もZEH住宅のほうが上昇しやすい状況になる可能性はあります。そうなったときにすぐに対応出来るようにアンテナをはって情報を集めるようにしてください。

まとめ

ZEH住宅は今後政府によって普及していき、義務化される可能性があります。そのため、不動産投資をする際はZEH住宅を検討することがおすすめです。ただし、現段階では普及は進んでいないため、短期売買を行う場合など投資スタイルによってはZEH住宅に投資する必要はありません。

不動産投資でZEH住宅を検討している方は、ぜひこの記事で紹介したポイントを参考にして頂けると幸いです。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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