第一回 シェアハウス投資・かぼちゃの馬車事件から学ぶ

筆者: 株式会社グローバル住販(THEグローバル社グループ)
2019/02/28
2019/03/14
コラム

不動産投資には投資元本を目減りさせたり、回収できなかったりするリスクがある。しかし、株式やFX(外国為替証拠金)取引などの投資に比べて、こうしたリスクが特別に高いわけではない。不動産投資にまつわるリスクとはどのようなものがあり、そのリスクに大きく巻き込まれないための知識や心構えを身につけることが欠かせない。


このコラムでは、不動産業界を深く取材する新聞記者や雑誌編集者が見た事例を中心にして、不動産投資で失敗するケースを軸に、落とし穴にはまらないポイントを紹介していく。初回は昨年、世間を賑わせた「かぼちゃの馬車事件」を題材にする。

引っかかった人に見られた2つのパターン

2018年は不動産投資のトラブルがマスコミを賑わせた年だった。その発端となったのが1月に明るみに出たシェアハウス投資の「かぼちゃの馬車事件」だった。


「かぼちゃの馬車」は、13年夏頃から販売されていた新築シェアハウス投資商品だ。都内の狭小土地に建てられた寄宿舎を女性専用のシェアハウスとして稼働させ、高い利回りが見込めると、サラリーマン投資家を中心に人気になった。販売開始から、わずか4年ほどで800棟、1万室が供給された。


このかぼちゃの馬車は建築・販売元のスマートデイズ(SD・旧スマートライフ)によってサブリース(借り上げ)がされるため、投資家には家賃が毎月支払われるはずだった。しかし、17年の夏頃からSDの経営が行き詰まり、雲行きが怪しくなる。同じ年の10月には投資家に向けて、資金繰りの悪化からサブリース家賃を値下げする旨の要請がされた。


年が明けた18年1月には家賃が全く支払われなくなり、2回に渡って投資家向けの説明会が開かれる事態になった。説明会ではSDの経営陣によって、再建計画などが説明されたが、収支は改善せず18年4月に民事再生を申請することになった。


サブリース会社の破産によって、投資家は銀行への支払いが不能になった。投資家の一部は大規模な投資被害として、主力の融資行だったスルガ銀行との交渉を続けている。


多くの投資家は1億円を超える負債を背負う羽目になり、今も破産の危機に瀕している。これから不動産投資を考えている人がこのような失敗をしないためにも、かぼちゃの馬車を買ってしまった投資家の失敗点を認識してもらいたい。


まずかぼちゃの馬車オーナーは大きく分けて2パターンがある。


 (1)余りにも知識が足りないズブの素人

 (2)図に乗ってしまった経験者


の2つだ。


今回は(1)のパターンの人達がどこで躓いたのかを紹介したい。


(1)の人達は驚くほど似通ったタイプばかりだった。まず50才前後の男性会社員であること。会社は上場企業や上場企業の関連子会社で、転職歴はないこと。会社では経理や総務、人事、システムなどのバックオフィスを担っていたこと。経歴やプロフィールが判で押したように同じで、マジメで温厚な好人物ばかりに思えた。


投資に興味をもった動機まで似通っていた。子どもの教育費の足しや将来の年金代わりといった理由ばかりを述べるのだ。その慎ましさと1億円を超える巨額の負債と落差が悲惨さを際立たせていた。

絶対に他人任せにしてはいけないポイント

さて、この善良な人達がはまってしまった失敗の要因は何だろう。それは、不動産投資をする上で、決して外してはいけない重要なポイントを他人任せにしてしまったことだといえるだろう。


ある投資家は、シェアハウスの建設予定地を自らの目で確かめることなく、かぼちゃの馬車販売会社の資料と営業トークだけで契約書に判を押してしまっていた。物件の立地という重要なポイントを、自ら調べることなく、赤の他人の言うままにしてしまったのだ。


その投資家(仮にA氏とする)は、問題発覚後になってようやく土地を確認することにした。シェアハウス工事の着工前だったため、土地はまだ更地のままだった。破産を避けるために、とにかく現地の状態を確認しようとしたのだ。


地図で示された場所は、最寄りのターミナル駅から徒歩20分近く歩かなければいけない住宅地だった。細い路地の奥に購入した土地はあった。投資家A氏は見るなり、「ここでは借りる人は集まりませんよね…」とつぶやいた。


なぜ、そう思ったのか。


それは、駅から物件までの道すがらで、多くの賃貸マンションを見たからだ。より便利な場所にある物件がたくさんあるなかで、シェアハウスという特殊な条件で入居者の争奪戦に勝たなければいけないのだ。容易なことではないと実感できたのだ。

物件の現地を確かめずに購入


購入前に現地を見る。


A氏の場合は、それだけで「ちょっと待てよ」と思いとどまることができたかもしれない。現地に足を運ぶといろいろなことが分かる。駅からの距離や競合する周辺の賃貸マンションの有無だけではなく、歩く人を見れば地域の入居者層も良く分かる。ゴミ出しや自転車の止め方なども重要な情報だ。生活マナーが悪いと家賃滞納も多くなり、部屋の修繕費もかさむ傾向もあるからだ。


投資判断に直結する重要なポイントを自ら確かめることなく購入して、仮に利益が出たとしたら、それは100%の幸運でしかない。それは投資では無く、ギャンブルである。


絶対に現地を見ないで、購入を決めてはいけない。当たり前だと思うかもしれないが、現実にそれで失敗した人がいる。強調しておきたい。


ではA氏はなぜ、現地確認をしなかったのか。実は、見たいと希望したのだそうだ。しかし、かぼちゃの馬車の販売会社(上記のSDから委託を受けた別の会社)に、「不動産投資初心者は、現地を見たところで何も分からない。プロの言うことを信じた方が良い」と諭されたのだという。


言うまでもないが、こんな販売会社とは付き合ってはいけない。


次回は、ダメな不動産会社の特徴について書きたい。

株式会社グローバル住販(THEグローバル社グループ)

株式会社THEグローバル社(東証1部上場)を中心とした企業グループで不動産開発~販売~管理を一貫して行う。従来からの実需用住宅に加え、近年はホテル運営や投資物件開発・販売等へと事業領域を拡大している。