物件の購入方法

不動産の現地調査での物件現場チェックポイントは?

不動産の現地調査での物件現場チェックポイントは?

現地調査を必ず行う

現地調査を行う目的は大きく二つあります。ひとつは実際に自分の目で物件やその周辺環境などを確認すること、そしてもうひとつが事前に入手した情報(物件概要書等)の内容に、間違いや虚偽記載がないか確認することです。

物件の地図上の立地や敷地面積、間取りなどの情報は現地に赴かなくても容易に入手することができます。しかし、それだけでは物件に投資するべきかを判断することはできません。実際の物件や周辺施設、周辺地域の状況、物件に関して事前に提供されている情報との整合性を自分の目で確認するようにしましょう。

第一印象や清潔感は大切

これから物件に入居しようという人にとって、物件の第一印象や清潔感が非常に重要であることは言うまでもありません。一目見てわかるような汚損、破損、劣化があちこちに見られたり、周囲の雑草が伸び放題であったり、悪臭がする建物に入居したいと思う人は稀でしょう。また、購入後に大きな損傷部分があることが発覚した場合、補修のために多額の費用が発生してしまうこともありえます。

現地調査では、まず建物や設備の外観をよく確認し、外壁や廊下、通路、階段、サッシ、手すりなどの汚れや劣化の状況、クラック(ヒビ割れ)など破損の有無、ある場合はその補修状況を細かくチェックするようにしましょう。屋上がある物件は、屋上防水の補修・張替などがきちんと行われているかも確認しておくと安心です。事前に物件の汚損・破損や補修状況についての情報を入手しておくと、それに沿ってチェックすればよいので確認作業がスムーズになります。

管理の状態をチェック

建物自体の状況を確認したら、次は管理状況を確認します。主にチェックするポイントはゴミ捨て場、駐輪場、駐車場などの共用部分です。こうした共用部分の状況を確認することで、管理会社の管理が行き届いているかや、不良入居者の有無を確認することができます。たとえば駐輪許可がない持ち主不明の自転車が堂々と大量に停められている、あるいは放置されているというような状況は、管理会社の管理が行き届いていない証拠です。ゴミ捨て場に曜日や分別の決まりが守られていないゴミがあれば、モラルの低い住人がいる可能性があります。入居希望者は自身の居室だけでなく、こうした共用部の状態もかなり重視するため、丁寧に見ておいて損はありません。

また、空室の内覧もしておきたいところです。事前に不動産業者にその旨を伝えておけば、担当者に同行してもらって部屋の中を見ることが可能です。各住戸のリフォーム状況や設備等の状態についても、入居希望者の立場に立って細かくチェックしましょう。

周辺環境も確認する

管理状況まで含めて物件の状態を一通り確認したら、以下のポイントに注目して物件の周辺環境も確認しておきましょう。

周辺地域の現在と将来の動向

たとえば、近隣に大型ショッピングモールの開業予定や鉄道の駅の新設や路線の延伸・相互乗り入れの開始予定など、大規模な再開発計画があれば、将来的に賃貸需要が強くなり、物件の価値が上がる可能性が高くなります。逆に商業施設の撤退や駅・路線の廃業、また後ほど説明する「嫌悪施設」が近隣に新設される計画などは賃貸需要にとって大きなマイナス材料になります。

こうした情報はその地域の不動産業者が把握している場合が多いので、物件に関する情報をリサーチする際は、不動産業者にも周辺地域の動向について確認しておくとよいでしょう。

生活の利便性

最寄駅やバス停までの距離は、物件の価値に関わるわかりやすい指標のひとつです。実際に自分の足で距離感を確認しておきましょう。たとえば最寄駅からの直線距離が近くても、実際には大きく迂回する必要がある、経路上に待ち時間の長い踏切があるといったケースでは体感距離は長くなります。

また、実際に歩いてみることで周辺の様子も確認できます。スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの店舗、病院や公共施設の有無も生活の利便性に大きく関わるポイントですので、よく確認しておきましょう。

嫌悪施設の有無

嫌悪施設とは、その特徴により住宅地としての価値や品格を下げてしまう施設のことです。品格を下げる、治安を悪化させる施設の代表的なものは、ギャンブル店、ラブホテル、風俗店、暴力団の事務所などです。他にも悪臭や騒音などの公害を発生させる工場や高速道路、鉄道の高架なども嫌悪施設に該当します。その他、不快感、嫌悪感を覚える人の多い施設として原子力関連施設や廃棄物処理場、下水処理場、火葬場、刑務所などが挙げられます。

あらかじめ、地図などで物件の近隣に上記のような施設がないか調べておき、現地調査の際に嫌悪施設との距離や公害の影響度などを確認するようにしましょう。

まとめ

現地調査を疎かにしてしまうと、正しく物件の価値を把握できないばかりか、契約後に思わぬトラブルを抱えてしまったり、物件の価値が大きく下がるのを予見できないまま契約してしまったりと、様々な不利益を被る可能性があります。こうしたリスクを軽減するためにも、しっかりと現地調査を行うようにしましょう。

高野 友樹(たかの ゆうき)

不動産コンサルティング事務所 Resorz Consulting 代表
(公認 不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士)
不動産会社にて仲介、収益物件管理を経験した後、国内不動産ファンドでAM事業部のマネージャーとして従事。
社団法人GINAとして海外事業にも参画。

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