不動産売却

不動産売却の流れと売り主が売却までに用意する必要書類

不動産売却の流れと売り主が売却までに用意する必要書類

物件の売却活動時に必要な書類

不動産の売却を決め、ある程度の売却価格の目安を立てたら、不動産会社に仲介の依頼をするのが一般的です。では不動産会社に依頼をする際に、必要な書類を見ていきましょう。

 書類は自宅で保管してあるもの、役場・法務局、場合により司法書士などから取り寄せるものとさまざまです。即日入手できるものから時間を要するものまであるので、余裕を持った準備が必要です。

なお売却する予定の不動産種類(マンション、一戸建て、土地)や依頼する不動産会社によって、必要書類は異なります。ここでは優先度が高く、一般的に必要とされている書類を紹介します。ご自身が売却する際は、不動産会社が指定する書類をしっかりと確認してください。

登記簿謄本、もしくは、登記事項証明書

登記簿謄本は登記簿の写しのことで、不動産の登記事項が詳細に記載されています。

不動産の権利内容を確認するために必要です。登記簿謄本は、法務局で取得します。所有している不動産を管轄している法務局を訪問するか、管轄の法務局が遠方の場合は最寄りの法務局に取り寄せも可能です。

もしくは「申請書」「登記印紙」「返信用の切手」を管轄の法務局に送付し、郵送で受け取ることもできます。いずれも600円の手数料が必要です。 申請してから1週間前後で取得できることが多いですが、時期によってはこれ以上かかる可能性もあります。

管轄の法務局の窓口、またはホームページで完了予定日を確認しましょう。

売買契約書

売却予定の不動産を、購入したときに締結した契約書です。不動産を購入したときに渡されているはずですが、紛失してしまっている場合は、購入した不動産会社に連絡すれば再度取得できるので、時間はそれほどかかりません。

重要事項説明書

売却予定の不動産を購入したときに受け取った、不動産の重要事項が記された書類です。こちらも紛失している場合は、購入した不動産会社に連絡して取得しましょう。

土地測量図・境界確認書

一戸建てや土地を売却する際に必要な書類で、土地の面積や境界線が記されています。登記時点で必要な書類なので所持していると思いますが、紛失してしまった場合は法務局に保管されているので問い合わせましょう。

建物図面

マンションや一戸建てを売却する際に必要な書類で、間取りや設備の仕様が記されています。物件購入時に配布されたものですが、紛失した場合はマンションであれば管理会社、一戸建てであれば不動産会社に問い合わせて再度取得しましょう。

固定資産税納税通知書、固定資産税評価証明書

固定資産税の納税額を知るための書類です。最新の納税通知書を保管していればそれを、なければ市町村役場で再発行してもらうことができます。



売買契約のときに必要な書類

買い主が見つかり、売買契約を結ぶときに必要な書類をご紹介します。

本人確認書類

売り主本人であることを証明する、確認書類です。運転免許証やパスポート、保険証などが有効です。売却予定の不動産の所有者が複数いる場合は、全員分を揃える必要があります。

実印・印鑑証明書

市町村役場で印鑑登録をした印鑑とそれを証明する書類です。印鑑証明書は、発行して3カ月以内のものしか認められません。市町村役場に、印鑑登録時に配布された「印鑑登録カード」もしくは「印鑑登録証」を持参することで、発行してもらえます。

住民票

登記した住所と現住所が異なる場合に必要です。こちらも発行から3カ月以内のものしか認められません。市町村役場で発行できます。

登記済権利書、登記識別情報

不動産の所有者を証明する書類です。不動産を購入したときに、法務局から発行されています。

紛失してしまった場合は、司法書士の方にお願いして不動産の所有者であることを証明してもらいます。発行までの時間はかかりませんが、費用がかかります。不動産の価値にもよりますが、その場合5万円~10万円ほどです。

ローン残高証明書

住宅ローンの残債がある場合、それを知らせるために必要です。通常、金融機関では10月頃に発行されます。残高証明書がない場合は、返済予定表でも問題ありません。ローンを借り入れている金融機関に連絡することで、再発行が可能です。

建築確認済証、検査済証

一戸建てを売却するときに必要な書類で、その物件が建築基準法で定められた基準をクリアしているか、また検査に適合しているかどうかを証明する書類です。 建物の完成当初に施工者、または設計者のいずれから渡されているものなので確認しましょう。

銀行口座の通帳

代金を振り込んでもらうために必要です。通帳がない場合は、振込先の口座が分かるもの(キャッシュカード)でも可能です。



決済・引き渡しのときに必要な書類

契約が結ばれ決済が行われたら、いよいよ不動産の引き渡しです。

境界確認書や設備表どおりの内容で引き渡しができるかを確認します。このあと不動産の所有権が買い主になるため、所有権の転移に関わる、抵当権抹消登記などを行います。これらの手続きは、一般的に司法書士に依頼することが多いようです。では、不動産の引き渡し時にあるとよい書類を見ていきましょう



物件の管理規約

マンションの場合、管理規約があることが多いです。管理会社に連絡して、入手しておきましょう。

設備に関する説明書

キッチンやトイレ、浴室などの説明書です。紛失した場合はメーカーのホームページに掲載されていないか確認し、ない場合はカスタマーサポートに連絡しましょう。

物件のパンフレット

物件購入時のパンフレットがあれば、買い主にとってありがたい資料です。持っていれば渡してあげましょう。

まとめ

この記事では不動産を売却する際に必要な書類を、不動産売却の流れに合わせてご紹介しました。

ご覧頂いたとおり、かなりの分量なうえ取得場所もかかる時間もそれぞれ異なります。不動産売却を思い立ったときは、まず始めに必要書類を所持しているかどうか確認し、不備がある場合は再発行の手続きをすることをおすすめします。

高野 友樹(たかの ゆうき)

不動産コンサルティング事務所 Resorz Consulting 代表
(公認 不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士)
不動産会社にて仲介、収益物件管理を経験した後、国内不動産ファンドでAM事業部のマネージャーとして従事。
社団法人GINAとして海外事業にも参画。

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