不動産投資管理

不動産管理会社の選び方とチェックポイント

不動産管理会社の選び方とチェックポイント

管理会社で成否が大きく変わってきます

不動産投資を行う場合、購入した不動産を管理会社に委託する場合が多いのですが、初めて不動産管理会社を利用する場合、どの会社に委託するか迷うのではないでしょうか。 そこでまず、賃貸管理とはどのような業務をするのか見ておきましょう。

賃貸管理には、大きく分けて入居者管理と建物管理の二つの業務があります。入居者管理には以下の業務があります。

● 賃料の集金代行
● 賃料滞納への対応
● 賃料保証(借り主の賃料などを家賃保証会社が債務保証をする場合)
● 苦情対応
● 契約更新など

また、建物管理には清掃やごみ出しなど日常的な業務と、以下の長期的業務があります。

● リフォーム、修理など
● そのほか建物の老朽化対策など

これらの賃貸管理には法規制がなく、免許がなくても営業ができます。

一方、空室が出た場合の入居付けは、宅地建物取引業免許のある仲介業者が行います。したがって、不動産の管理会社に管理と入居付けも委託するか、別の会社に委託するかはオーナーの選択になります。

これらの業務を管理会社に委託する場合を一般管理委託と言いますが、これとは別に管理会社が不動産を借り上げて賃貸管理するサブリースという方式もあります。

このように多くの業務を管理会社に委託するので、しっかりした管理会社でないと借り主と管理会社の間のトラブルやオーナーと管理会社の間のトラブルの元になってしまいます。

過去にあったトラブル例を以下にご紹介します。

● 賃貸アパートの管理会社が、空室に無断で入居させて家賃・敷金・礼金等を着服した
● 賃貸管理会社が破産し、賃貸保証事業の支払いができなかった
● 管理会社の怠慢で漏水の対応をしなかったため、オーナーが損害賠償を求められた
● 家賃滞納を理由に、管理会社から鍵を交換されるなど強引に退去を迫られた借り主が損害賠償を求める訴訟を起こした

管理会社を選ぶときに注目したいポイント

では、管理会社を選ぶ際には、どのような点に注意したらよいでしょうか。

まず、実績が豊富な会社であることが大事です。複数店舗を持って営業展開している会社は実績も多いことになります。県外にも店舗を広げている場合、宅地建物取引業免許は、県知事免許ではなく国土交通大臣の免許になります。免許番号は確認しておきましょう。またこのような会社は、地域や社会の情報をたくさん持っていますので、新しい動きへの対応も早くできます。

次にチェックしたいのは管理体制がしっかりしているかどうかです。具体的なチェックポイントをご紹介しましょう。

● 物件ごとあるいはオーナーごとに担当者を決めている
● 入居者による家賃の入金が遅れた場合催促をしてくれる
● 入居者の突然のトラブルに迅速に対応してくれる など

また、オーナーに定期的に報告や連絡をしてくれることも大事です。

入居付けの実績も重要です。営業力が弱いと、空室が埋まらないことになります。入居率が80%以上であれば募集などの空室対策を行っていると言えるので、管理会社に確認することをおすすめします。入居者募集をどのような方法で行っているかも確認しましょう。SNSを活用しているかどうかも、積極的に入居付けをしているかどうかの判断の基準となります。

また、管理会社の担当者の人柄や応対の好感度もチェックしましょう。コミュニケーションがスムーズでなく不親切だと、入居者にも不満を持たれる可能性があります。電話やメールのやりとりがスムーズにできているかどうかも大事なポイントです。

このほか、管理会社の基本情報ならインターネットで、宅地建物取引業者であれば行政機関で確認しておきましょう。

管理会社との契約で注意しておきたい点

不動産管理の業務は多岐にわたるため、管理会社にどこまで委託するかを契約書に明記することが大切です。

入居者管理では、借り主の債務保証の内容、入居者からの苦情対応への迅速な対応、借り主の退去時への立ち会いなどについても確認しましょう。

また、建物管理の場合、巡回頻度や、設備の故障・不備などの苦情対応について修理業者の整理・確認。そして退去関係についても、クリーニング、リフォーム、修理などの手配をどうするかを明確にしなくてはいけません。借り主の退去時に原状回復や敷金の返還をめぐるトラブルもたくさんあります。原状回復については、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にするとよいでしょう。

長期的には、建物の老朽化対策のための修繕計画や予算計画などの作成の委託も検討しておきましょう。

さらに、管理会社がトラブルを起こしたときの契約解除についても明確にしておくことです。契約の解除には、「契約書の解除条項に基づく解除」あるいは「債務不履行に基づく解除」、どちらかの法的根拠が必要です。契約書に解除できると書かれていて、該当する状況であれば解除できます。債務不履行の場合は、管理会社が適正な管理を行うよう要求してから一定期間経過しても改善されなければ解除できます。

契約書については、国土交通省が推奨する「住宅の標準賃貸借代理及び管理委託契約書」を参考にしてみてください。 契約書はトラブルが起きたときの解決のよりどころとなるものです。業務内容の漏れがないかをしっかり確認しましょう。

まとめ

不動産管理会社にはたくさんの業務を委託することになるので、安心して任せられる会社を選ぶ必要があります。実績が豊富で、借り主の賃料の滞納や苦情トラブル、空室などに迅速に対応できる会社であること、担当者の人柄、コミュニケーションに好感が持てるかなどの点をチェックしましょう。契約書も、トラブルが起きた際の解決のよりどころとなるものなので、不備がないかをしっかりと確認することが大事です。

高野 友樹(たかの ゆうき)

不動産コンサルティング事務所 Resorz Consulting 代表
(公認 不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士)
不動産会社にて仲介、収益物件管理を経験した後、国内不動産ファンドでAM事業部のマネージャーとして従事。
社団法人GINAとして海外事業にも参画。

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