ご自身で株式会社を設立して1期目が終了した、あるいはそれ以降も、定時株主総会を開く必要があること、みなさんご存知でしょうか?
有名企業の定時株主総会が、ホテルなどで開催されたなどのニュースを、耳にしたことはあるものの、具体的にどのような内容になっていて、何をしなければいけないのかについて分からない方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、株式会社を持っている場合、必ず開催をしなければいけない定時株主総会についてまとめました。これから初めて会社の2期目を迎える代表の方は、ぜひ参考にしてみてください。
定時株主総会は、決算期ごとに一定の時期に開催しなければならないと定められています。 つまり、どの株式会社も、必ず年に1度は株主総会を開催する必要があります。 定款に、定時株主総会の開催時期に関する定めがあれば、その時期に開催する必要がありますので、ご自身の会社の定款をチェックしてみてください。
なお、定款では、いつの時点の株主が定時株主総会に出席することができる(決議することができるという意味です)かについて、基準日を定めていることが多いです。
定時株主総会を開催する日を決めて、株主に通知します。これを株主総会招集手続きと言います。 取締役会がない会社の場合、原則開催日の1週間前まで、又は定款で定められた日までに、株主を招集します。呼ぶべき株主は、定款で確かめた基準日の株主、又は現在の株主が該当します。
招集手続きの具体的な方法ですが、取締役会がない会社の場合、原則適宜の方法で招集して頂いて問題ありません。適宜の方法とは、招集通知を郵送する方法でなくても、口頭、電話、FAX、メールで構わないという意味です。
では、定時株主総会では、どのような項目について行うのでしょうか? 大きく以下3つの決議事項があります。
取締役は、終了した年度内の会社の状況についての重要な事柄を株主に報告します。 そして、終了した年度についての貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表などいわゆる決算書の承認を求めます。
投資をされている方は、株の配当金という言葉をご存知である方も多いでしょう。 株主に対して、決算期の期末配当が出せる場合には、
を決議します。
役員の任期は、選任後何年以内に終了、その事業年度のうちの最終のものに関する定時株主総会の終わりの時間で任期満了となります。役員の任期については、定款に定められていますので、ご自身の会社の定款をチェックしてみてください。2年か10年と定めている場合が多いです。 なお、今回がその任期満了の年度に該当する場合には、その役員の改選を行ないます。
を決める必要があります。 任期満了役員がいる場合は、2週間以内に登記変更する必要がありますので、登記変更手続きも忘れずに行ってください。毎年1回は、年度決算の報告・決議をするのが定時株主総会と理解して頂ければと思います。
株主総会は、書面又は電磁的記録で議事録を作成しなければならないと義務づけられているので、必ず作成しましょう。 記事録の項目としては、以下のとおりです。自分の会社の実情に合わせて作成してみてください。
詳しくは、法務省の定時株主総会議事録のテンプレをご活用ください。 「定時株主総会議事録のテンプレ」の無料ダウンロードはこちら
まずは、遅れずに開催するようにしてください。 なお、万が一遅れてしまっている場合でも、決算の税務申告が遅れずにできており、一人会社の場合であれば、大問題となることはないので、開催し、次の年度末からは忘れずに開催しましょう。 しかし、任期満了役員がいる場合は、ただちに開催してください。なぜなら、選任懈怠・登記懈怠ということで代表取締役に過料の制裁の可能性があるからです。
定時株主総会を開催しなければならないということは分かったけれど、 「株主は自分一人で、取締役も自分一人なので、株主総会を開催すると言っても実際どうすればいいのか分からない。」 というご相談を頂くことも多くあります。
そこで、一人会社の場合に適用される「株主総会の決議の省略」という手続きをご紹介します。 まずは、株主として、「3、定時株主総会の決議事項は?大きくは3つ!」で紹介した、定時株主総会の目的事項について、同意するという書類を作ります。この同意書には、個人の認印で押印することで構いません。
次に、代表取締役としては、株主全員の書面による同意があったので株主総会の決議があったものとみなされたとする、定時株主総会議事録を作ります。この株主総会議事録には会社の印鑑を捺印します。作成したふたつの書類は、10年間、会社で保管して下さい。
定時株主総会という言葉は、聞いたことはあるものの、あまり馴染みがないことで、何をすればいいのかが分からない方も少なくないでしょう。 特に、1人株主の会社は、開催はせずに済む会社も多いでしょう。 定時株主総会は、義務付けされていることから、年に1度会社の経営を見直す機会ということで、必ず行なうようにしてください。 なにか疑問がありましたら、お近くの司法書士にお気軽にご相談しましょう。
記事提供元:EstateLuv