みんかぶ不動産

海外不動産投資の失敗、原因は? フィリピン・アメリカでの実話に学ぶ

筆者: 株式会社グローバル住販(THEグローバル社グループ)コラム
2019/06/27

不動産投資が一般化してきて、投資する不動産の形態も多様になってきた。中でもここ数年で増えているのが、海外不動産投資ではないだろうか。経済成長が著しいアジアや価格が上昇しているアメリカなどの不動産を購入する人が増えているようだ。

海外不動産に詳しいコンサルタントによると、日本の不動産投資に比べて、売却時の大幅な値上がりが期待できたり、家賃の上昇や為替差益も狙えたりするなど、メリットが多いという。一方で、日本では考えられないようなトラブルもある。


海外不動産は高利回り

海外不動産投資の魅力としてあげられるのが、高い利回りだ。不動産投資の利益は主に2種類がある。家賃収入で得られる利益(インカムゲイン)と、所有する不動産の価値が上がって得られる利益(キャピタルゲイン)だ。

人口増加と経済成長が続くアジアの新興国であれば毎年2~3%くらい不動産価格が上昇している。家賃相場も同じように上昇しているため、高利回りが期待できるという。


一等地コンドミニアムが手頃な価格で高利回りのマニラ

コンサルタントによるとアジアの中でも最近、人気なのがフィリピンのマニラだ。マニラの一等地に建つコンドミニアム(高級マンション)ならば、1000万円台から購入が可能で、年間7%前後の利回りが期待できるという。


「マニラというと貧富の差が激しくて、治安が悪いというイメージが強い。しかし、現地の中心部は高層ビルが建ち並ぶ大都会です。海外資本の企業が進出しているので、外国人や富裕層なども多くて、歩いてみるとだいぶイメージが違うと思います。何より、他のアジアの都市に比べて、英語が通じることが多いというメリットがあります。日本からの投資が増えているのには、そういった背景があるようです」


完成後に問題が発覚し…

しかし、海外不動産投資ならではのリスクもある。ある投資家Aはフィリピン・マニラの不動産投資で、ひどい目にあったという。きっかけは東京で行われていた海外不動産投資のセミナーに参加したことだ。


「日本でも不動産投資をやっていたのですが、ここ数年で不動産価格が高くなって、なかなか買える物件がなかったので、海外に目を向けました。なかでもマニラは経済成長、人口増加があって、高利回りに惹かれて購入しました」(投資家A)


購入したのは完成前のコンドミニアムだ。しかし、完成後に部屋を訪れてみるとある問題が発覚した。完成したばかりだというのに、壁紙には点々と黒いシミが見えたのだ。カビだった。どうやら換気工事に問題があり、室内には湿気が溜まっていたようだ。これは、換気扇の追加が必要なレベルの不備に思えた。

投資家Aは「重大な瑕疵」として、販売会社に問い合わせたが、「工事に問題はない」の一点張りでらちがあかない。カビだらけの部屋では入居者も付かないため、手をこまねいてばかりもいられない。


トラブル発生! 通用しない日本の常識

そこで、知り合いの弁護士に相談したのだが、「契約書にはトラブルが起きた時は現地法で解決するとある。裁判をしようにも現地になる」という。

そうこうするうちに販売会社とは連絡が取れなくなってしまった。どうやら現地の事務所を閉鎖して、どこかに行方をくらましたようだ。

「詐欺事件」として現地の警察に相談しようにも、日本人同士のトラブルをマニラの警察が真剣に捜査してくれるとは思えない。八方ふさがりの状態だ。販売会社の代表の名前をネットで調べてみると、ブログなどで同様の被害を訴えている人もいた。どうやら、アジア各国の大都市で似たようなことを繰り返しているようだ。


「この販売会社の進める物件の全てに問題があるわけではないようです。ただ、一定数のトラブルが出てくると、責任を持たずに消えてしまうというパターンを繰り返しているようです。日本に事務所を置かずに、海外の現地だけで仕事をして、集客はセミナーというやり方で足がつかないようにしている。契約書の文言も巧妙に全て『逃げ』が打ってあるんです」


結局、投資家Aは別の現地不動産会社を通じて、購入価格より安い金額でコンドミニアムを売却したという。

トラブル発生時には、「日本の常識は通用しない」と教訓を得たという。


かぼちゃの馬車はアメリカでも

アメリカ不動産投資で起きた別のトラブルも紹介しよう。

ある経営者が節税対策と投資目的で、人口増加が続くアメリカのある都市で不動産を購入した。


「日本人の業者が企画から販売、管理まで全て引き受けてくれる。さらにサブリースで月々の家賃まで保証してくれる契約だったので、完全に安心していた。現地は非常に好景気だと聞いていたし、数年したら売却しようと考えていたんです」(経営者)


しかし、購入から1年ほどした時、旅行もかねて現地を訪ねてみて驚いた。自身が購入した物件はおろか、業者が建てた物件のほとんどで入居者がいなかったのだ。


「サブリースで家賃が入ってきたから、完全に安心していましたが、空室を埋められないのにどんどん新築を建ててサブリース家賃を捻出しているのは明らかです」


販売業者に聞いても、今後の経済成長など甘い見通しで要領を得ない回答ばかり。経営者は「第2のかぼちゃの馬車になるかもしれない」と、裁判も念頭に置いて対策を講じているという。ちなみにこちらの販売会社は日本の法人だ。


日本では得られないようなメリットがある海外不動産投資にも、リスクはあることを忘れてはならない。

株式会社グローバル住販(THEグローバル社グループ)

株式会社THEグローバル社(東証1部上場)を中心とした企業グループで不動産開発~販売~管理を一貫して行う。従来からの実需用住宅に加え、近年はホテル運営や投資物件開発・販売等へと事業領域を拡大している。