みんかぶ不動産

第三回 シェアハウス投資・かぼちゃの馬車事件から学ぶ

筆者: 株式会社グローバル住販(THEグローバル社グループ)
2019/03/19
2019/03/22
コラム

かぼちゃの馬車 金融機関の融資

前回から引き続き、シェアハウス投資・かぼちゃの馬車事件から教訓を探してみたい。


今回は金融機関の融資についてだ。

かぼちゃの馬車問題については前回記事を参考にしてほしい。


今回はかぼちゃの馬車から発展した銀行の乱脈融資問題から、不動産投資と融資について考えてみた。この問題を詳しく取材した記者から、話を聞いた。


本件のメイン銀行は不動産投資用の融資にのめり込み、書類を改ざんするなどして、本来なら融資基準に満たない案件に対しても融資を実行する不正が行われていた。経営陣数名が辞任し、金融庁からは新規の不動産投資向けの融資業務停止が命令されている。 

あるサラリーマン投資家の後悔

このような背景の中で、1億円以上するかぼちゃの馬車を融資を使って2棟も購入した50代の男性は、その他にもワンルームマンションも3戸所有していたらしい。借入総額は3億円を超えており、毎月のローン返済額は100万円近くになっていたそうだ。


東証1部上場の会社勤務だが、年収は700万円台。なぜ3億円もの借り入れをしてしまったのか?


「不動産会社の担当者に『借りられるなら、借りましょう。これはサラリーマンの特権です』と言われて、どんどんと物件の購入を繰り返しました。正直、図に乗ってしまいました」と、かぼちゃの馬車の借り上げ家賃が支払われなくなってから、悔やんだそうだ。


記者によると、この男性は素朴な話しぶりで、見るからに真面目そうな風貌だったそうだ。大胆な投資額とは、釣り合いがとれない。しかし、よく話を聞いてみると、どうやら会社での待遇に不満があったことが、暴走につながってしまったようだ…。


男性は会社では入社以来、総務などバックオフィスの部門で30年近いキャリアをつんでいた。風貌の通り、コツコツ、堅実に仕事をこなすタイプなのかもしれない。しかし、40代後半の時に会社の体制が変わり、上司と周囲と仕事の進め方で衝突することが多くなりストレスが溜まっていたようで、そんな時に友人に勧められて、不動産投資に興味を持ったそうだ。


「話を聞いてみると、上場企業に長く勤めていることで『属性が良い』と言われて、不動産会社の担当者に、とても歓迎されました。そこで、融資が付きやすいので、どんどん借り入れをして、物件を購入してしまいました」と男性は語ったそうだ。


記者は「職場のストレスを不動産購入で晴らしていたのではないでしょうか。言ってみれば、やけ買いですね」と男性の心理を推測した。


3億円のやけ買いとはなんとも桁違いの話だが、頑張って働いてきたことが世の中に評価された、と考えてしまったのかもしれない。

レバレッジの重要さと賃貸経営の現実

不動産投資の現場では、数千万円から1億円の物件を購入するのに、全てを現金で購入する方はほとんどいない。そのため不動産投資をする際は金融機関からの融資が不可欠である。


その時に、公務員や上場企業など安定的な給料収入が見込める人は「属性が良い」と呼ばれて、金融機関から高く評価され、より多くの借り入れができる。


そのため、不動産投資においては間違いなく有利だ。なぜなら、レバレッジを効かせることができるからだ。


例えば1000万円の貯金を原資として、不動産投資を始める。そして1000万円の値段で、1年間で100万円の家賃が見込めるマンションを見つけ、そのまま1000万円の現金を全て使ってマンションを購入すると、見込める収入は1年間で100万円。しかし、1000万円を頭金にして1億円の借り入れを行い、このマンションを10戸購入。すると、毎年の家賃収入は1000万円が見込める。収益は10倍となる。


実際には金融機関への金利返済や税金支払いがあるため、単純に10倍にはならないが、これが単純化したレバレッジの考え方だ。


10戸の部屋を購入できれば、1部屋で設備の故障が発生しても、他の部屋が収益をあげてくれる。選択肢が拡がるのは間違いない。


しかし、これは1部屋、1部屋に入居者が集まり、毎月の家賃収入が入ってくることが前提のこと。この事実を絶対に忘れてはならない。

仲介、管理、保証、保険…入居が決まるまでの道

3月は引っ越しシーズンだが、賃貸仲介店舗には毎日、たくさんのお客様が来店する。しかし、店舗にはそれ以上に多くの空き部屋情報が寄せられている。


多くの選択肢から選ばれるには、魅力ある物件でなければいけない。そして、仲介店舗で働く社員の方が、お客様に部屋まで案内してくれないといけない。その後の契約業務なども仲介会社や管理会社、保証会社、保険会社など、それぞれが必要な役割を担う。


一生懸命に働く人達が何人も介在して、不動産経営は成り立つ。そういった現実を見ないままに「借りられるから、借りる」そして、「借りられるから、買う」は、無計画過ぎるであろう。


これまでのコラムでも触れて来たが、不動産投資は賃貸経営である。他人任せでは上手くいかない。同時に、他人の力を借りなければ上手くいかない。


「属性が良い」とか、「サラリーマンの特権」などに踊らされること無く、現実をしっかり学ぼう。


「かぼちゃの馬車事件」シリーズは今回で終了とし、次回からは別のテーマから不動産投資に切り込んでいきたい。


株式会社グローバル住販(THEグローバル社グループ)

株式会社THEグローバル社(東証1部上場)を中心とした企業グループで不動産開発~販売~管理を一貫して行う。従来からの実需用住宅に加え、近年はホテル運営や投資物件開発・販売等へと事業領域を拡大している。