不動産投資管理

賃貸でよくあるトラブルや失敗例や保険の活用方法

賃貸でよくあるトラブルや失敗例や保険の活用方法

どうしてもトラブルは発生します

不動産投資で物件を保有している限り、トラブルはどうしても発生してしまいます。

考えられるトラブルは多くありますが、一例を挙げると以下のようなものです。

  • 設備(照明やエレベーター、給湯器など)の故障
  • 入居者による壁や天井の破損
  • 天災(落雷による火災や地震)
  • 入居者のマナー違反行為
  • 入居者が室内で死亡する
  • 家賃を払わない入居者への対処

など

まず電気や水道の設備は経年劣化するため、たとえメンテナンスをしていても100%避けることはなかなか難しいものです。また入居者が起こしてしまう、水道トラブルや壁天井の破損、室内で死亡するといったことは対策が難しく、防止策がとりづらいトラブルとなります。

家賃を払わない入居者への対処は、法的な問題が絡むため場合によっては弁護士などに依頼するケースも考えておかねばなりません。

ではトラブル対応の知識や具体的な対策はどのようにすればよいでしょうか。

トラブルが発生するとどうなるのか

不動産投資では物件の管理は管理会社に委託するケースが多いです。管理会社は物件所有者に代わって、物件の維持管理をします。

トラブルが起きた場合、具体的にはどのような対応がされるのか説明しましょう。

管理会社に委託している場合、基本的には管理会社があらゆる対応を行います。 たとえば、修繕業者の手配、退去時の立ち会いや原状回復の見積もり、家賃の入金管理と回収督促業務、入居者からのクレーム対応……などです。

設備故障が起きた場合、入居者から管理会社に連絡が入ります。そして管理会社は修繕業者を手配してトラブルを解消し、同時に大家である物件所有者にトラブル内容を報告します。 報告は都度行われる場合もあれば、月ごとなどまとめて報告されることもあります。

壁や天井の破損〜修繕は、破損の原因や責任範囲を明確にして修繕と費用の支払いが行われます。費用の支払いは原因や責任範囲によって入居者、あるいは大家が支払うことになります。

地震などの天災は管理会社だけでは対応できないケースもあるため、大家も一緒に対応する必要があるでしょう。また火災も同様です。地震や火災には火災保険や地震保険が適用されるため、保険契約している物件所有者と保険会社の間で話し合いが行われます。管理会社は保険会社と取引があるため、大家の相談に乗ってくれるケースがあります。

入居者が家賃を支払わない場合は、管理会社が督促対応をします。家賃未払いの原因はさまざまですが、最悪の場合は法的手段に出ざるを得ないこともあり、弁護士を頼るケースも少なくありません。

軽微なトラブルは、管理会社が委託されている業務としてすべて対応します。しかしトラブルが甚大で管理会社だけでは対応できない場合、あるいは大家の判断が必要な場合などは委託契約を結んでいるとはいえ、大家の判断を求められることもあります。

管理会社に管理を委託する意図は、ほとんどの場合大家として物件管理の手間をかけたくないためです。しかし管理会社によって督促に強い管理会社、設備管理に強い管理会社など得手不得手があることは珍しくありません。トラブルは起きるという前提で、管理会社を選定しておくことも大切です。

トラブルを未然に防ぐための方法や保険について

トラブル対処について、いちばんよい方法は未然防止策をとることです。また万が一のトラブルが起こっても、被害・損害を最小限に食い止めるための準備、対応策を用意しておくことも大切でしょう。

トラブルが発生しないようにするにはどんな未然防止策が考えられるでしょうか?

たとえば、家賃滞納トラブルを防ぐには、入居審査を慎重に行うことが大切だと考えられます。家賃保証会社などを利用して、家賃が回収できるようにすることもよいでしょう。

この方法は家賃を払う気がそもそも無いような悪質な入居者とのトラブルに特に有効です。 また審査時は優良な入居者でも、病気や事故で家賃がやむなく支払えなくなるケースもあります。

以上を踏まえると、督促や家賃回収に強い管理会社を選ぶことも未然防止策につながります。

設備トラブルはいうまでもなく、定期メンテナンスをしっかり行うことです。もちろん定期メンテナンスをしっかりしていても、不慮の故障が発生することがあります。 突然の設備トラブルにもしっかり対応できる管理会社であれば安心です。管理を委託する前に、トラブル対応がどの程度しっかりしている管理会社なのか確認しておくことも大切です。

火災や災害といった大規模な損害、あるいは入居者が水漏れを起こしてしまい下階の入居者の家財を損傷してしまうといったトラブルも考えられます。このような大きな損害に対しては火災保険や地震保険、損害保険が有効です。ただし建物の劣化により、室内に水が入ってしまったというケースでは保険が支払われないこともあります。そのため、水漏れトラブルは保険だけでなく、物件状態の確認や修繕を行いながら防ぎましょう。

まとめ

不動産投資におけるトラブルには、入居者の家賃滞納といった金銭トラブル、天災や水漏れといった損害事故、設備故障などさまざまなことが考えられます。トラブルには未然防止策と保険がとても有効です。防止策には入居審査を慎重に行う、設備メンテナンスを欠かさないといったことが考えられます。また万が一の大きな損害に備えて、保険も準備しておきましょう。これらは不動産投資を効率良く運用するためにもとても重要です。

高野 友樹(たかの ゆうき)

不動産コンサルティング事務所 Resorz Consulting 代表
(公認 不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士)
不動産会社にて仲介、収益物件管理を経験した後、国内不動産ファンドでAM事業部のマネージャーとして従事。
社団法人GINAとして海外事業にも参画。

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