融資・ローン

不動産投資をする人が融資(ローン)について知っておくべき4つのこと

2019/12/10
不動産投資をする人が融資(ローン)について知っておくべき4つのこと

不動産投資と融資は切っても切り離せません。 というのも、不動産投資用の物件を購入するときは融資を利用することがほとんどだからです。 そのため、上手に融資を受けられるかという点は、不動産投資が成功するかどうかの鍵を握ります

また、融資を利用することによって、他人資本で投資をはじめられるレバレッジ効果が得られるなどのメリットもあります。 それを知っておくことでさらに投資に成功する確率は上がるので、この記事ではそんな不動産投資における融資について詳しく解説していきます。

不動産投資で融資を利用するメリット

まずは、不動産投資で融資を利用するメリットである以下の点を知っておきましょう。

  • 他人資本よりスタートができる
  • レバレッジ効果
  • 団体信用生命保険に加入することによって生命保険代わりになる
  • 実績をつくれば規模の拡大にも有利

他人資本よりスタートができる

不動産投資で融資を利用する最も大きなメリットは、他人資本よりスタートできるという点です。

他人資本とは、ここでいう「ローン」のことで、ローンを組んで不動産を取得することで少ない自己資本にて投資することができます。

逆に、他人資本を利用できないということは、自己資本を減らして投資するということです。 そのため、たとえば事故や病気をはじめとした、突発的な支出が出たときに対応できなくなります。

その点、他人資本でスタートできる不動産投資ならではのメリットと言えます。

レバレッジ効果

ここでいうレバレッジ効果とは、 「 小さい資金で大きな資産を取得する 」 ということです。 借入者にもよりますが、不動産投資ローンはご年収の10倍程度の資産を取得できる場合もあります。 このレバレッジ効果の高さは、ほかの投資と比べてもトップクラスといえるでしょう。

投資の収益は 「 保有資産額 × 利回り 」 で決まるので、保有資産額が大きいほど収益も大きくなりやすいです。 もちろん、きちんと運営できているという前提ですが、レバレッジ効果が高く高額な資産を取得しやすい不動産投資は、収益を大きくしやすいというメリットがあるのです。

団体信用生命保険に加入することによって生命保険代わりになる

不動産投資ローンを借りる際に、一般的には団体信用生命保険(団信)に加入することが義務化されます。

団信とは、借入者が亡くなったり、高度障害になったりしたときに、残債が補填される生命保険です。

つまり、借入者に万が一のことがあった場合、家族に「借金なしの投資物件」が残るということです。 団信に加入することで別途金利が上がるなどの金融機関もあるので確認は必要ですが、団信に加入することで万が一のことがあったときでも安心できます。

また、最近の団信の保障内容が非常に豊富になりました。死亡保障のほかに

  • がんの保障
  • 生活習慣病の保障
  • けがや病気の保障

なども保障対象となりました。

実績をつくれば規模の拡大にも有利

不動産投資は、少しずつ物件数を増やしていき、買い増しして規模を拡大する持ち方が最もベストと言えます。その際、一度借入している金融機関に2物件目以降も融資を依頼することケースが多いです。

仮に、1物件目でA銀行に借入をして順調に返済しておけば、「実績あり」として次の融資の審査に通りやすくなることがあるのです。

また、審査に通りやすいだけでなく、金利や借入期間の面で優遇される場合もあります。

このように、不動産投資ローンを借りて実績を残し、金融機関との関係性を良くしておけば、規模拡大のときも有利である点は大きなメリットといえるでしょう。

不動産投資でローンを組む注意点

不動産投資をする人が融資について知っておくべき2つ目は、ローンを組むときの注意点である以下です。

  • ご自身で斡旋か提携ローンを利用かの比較が必要
  • ムリした融資額を借りない!返済シミュレーション必ず行う
  • 返済期間中に金利上昇リスクがある

ご自身で斡旋か提携ローンを利用かの比較が必要

注意点の1つ目は、ご自身で金融機関を斡旋するか、業者から提携ローンを紹介してもらうか?という点です。 一般的にご自身で斡旋する人は、金融資産があったり、年収が高かったりなど属性が良い人に限られます。

そのため、一般的なサラリーマンは基本的に不動産投資業社が斡旋してくれる提携ローンを利用すると思っておきましょう。

一般的には金融機関と提携ローンを締結するには、それなりの売上、販売実績があったうえの話になりますが、ただし、同じ提携ローンでも業社の実績によって実は融資条件が異なります。

もちろん物件情報などによっても条件が異なりますが、ご紹介頂いた提携ローンの金利を事前に確認するといいでしょう。

ムリした融資額を借りない!返済シミュレーション必ず行う

注意点の2つ目は、ムリした融資額を借りずに、きちんと返済シミュレーションを行うことです。 返済シミュレーションとは、具体的に以下の要素を加味して将来に渡って収支を計算することです。

  • 家賃収入
  • 物件の空室率
  • 物件の家賃下落率
  • 物件取得にかかる初期費用
  • 物件運営に関するランニングコスト

これらのシミュレーションは業者のアドバイスをもらったり、以下のようにネットなどを利用して自分で調べたりして情報を集めます。

その上で、仮に空室になり家賃収入がゼロになったり、家賃が下落したりしても、きちんとキャッシュフローが回るように運営しなければいけません。

このシミュレーションをきちんとしないと、身の丈に合わない融資額を受けて物件を取得してしまい、結局キャッシュフローが回らなくローンの返済ができないということにもなりかねないので注意しましょう。

返済期間中に金利上昇リスクがある

注意点の3つ目は、返済期間中に金利上昇リスクがある点です。

不動産投資ローンには変動金利と固定金利がありますが、多くは変動金利です。 つまり、返済期間中に金利が上昇することで返済額も上昇するリスクがあるので、その返済額(金利)上昇も考えて融資を受けなければいけません。

特に、現在の日本はマイナス金利政策によって史上最低金利と言われているので、今後金利が上昇するリスクは高いといえます。

そのため、前項の「ムリした融資額を借りない」と合わせて、「金利が上昇しても問題ない融資額にする」と認識しておきましょう。

知っておきたい住宅ローンとの違い

不動産投資をする人が融資について知っておくべき3つ目は、不動産投資ローンと住宅ローンの違いである、金利・審査項目に関することです。

金利の違い

不動産投資ローンと住宅ローンでは金利に差があります。 不動産投資ローンの金利は借入者や金融機関によって大きく異なりますが、低くても1%前後、一般的には2%台~3%前後でしょう。 一方、住宅ローン金利は変動金利なら0.5%を切る金融機関もあります。

不動産投資ローンの返済原資は物件からの収益になりますが、金利による返済額のシミュレーションも欠かせません。 そして、業者ごとに異なる条件になるので、なるべく低金利借りられる金融機関を選択しましょう。

審査項目の違い

不動産投資ローンと住宅ローンで審査項目も異なります。共通する審査項目は以下です。

  • 借入者の年収や自己資金率など
  • 借入者の勤務先や雇用形態など
  • 借入者の信用情報(過去の延滞歴など)
  • 不動産の担保価値

不動産投資ローンの場合には、上記に加えて「物件の収益性」も重要な審査項目になります。そのため、いくら大企業に勤めていて年収が高くても、 「地方で現在空室の築古物件」など積算評価が出ず収益性も低いと判断されやすい物件取得のために融資は、審査が厳しくなります。

つまり、「リノベーション前提で現時点では資産価値が低い物件を購入する」などは、金融機関の審査ハードルは高くなるということです。

融資に有利な物件とは?

不動産投資をする人が融資について知っておくべき4つ目は、融資に有利な物件はどのような物件か?を知ることです。 融資に有利な物件であれば好条件で融資が下りやすいので、ローンを組む前に必ず知っておきましょう。

上述したように、融資を利用することで他人資本により投資をスタートでき、レバレッジ効果を得ることができます。

しかし、それは空室になりにくい、家賃収入が安定して見込める物件、言い換えれば融資に有利な収益性の高い物件であることが前提です。 だからこそ、融資に有利な物件を知っておく必要があります。

安定した家賃収入が見込める

まずは、安定した家賃収入が見込める物件です。 それを判断する指標はは色々ありますが、代表的な指標でいうと「人口動態」でしょう。 つまり、人口的に継続して需要があるエリアが理想であり、たとえば「人口が増える」もしくは「比較的減少しない」エリアの物件は安定した家賃収入が見込めるといえます。

それらは、行政のホームページで人口推移をチェックしたり、鉄道会社のホームページで最寄り駅の乗降客数をチェックしたりすれば、ある程度分かってきます。

好立地の物件(担保価値)

次に、以下のように好立地の物件です。

  • 最寄駅から近い
  • 人気のある街である
  • 直近での取引額が高額

というのも、金融機関はその不動産の土地(≒立地)を評価する際に、 「 相続税評価額 × 土地面積 」 で評価します。 そして、相続税評価額は路線価から計算し、路線価は公示地価を参考に決められており、公示地価は取引事例などを基にして決められます。

つまり、上述したような好立地の物件であれば、路線価が高く評価されやすく、結果的に担保価値も高いと判断されやすいのです。

耐用年数と築年数のバランスが良い

また、金融機関は建物の担保価値を評価するときに、原価法 「 再調達原価 × 建物延べ床面積 × (残存年数÷耐用年数) 」 を利用します。

再調達価格は構造によって決まっており、そこに建物の延べ床面積を掛けて、残存年数と耐用年数を加味した数値を掛けるという計算式です。

たとえば、木造不動産の耐用年数は22年で、金融機関が再調達価格は13万円/㎡と定めているとしましょう。

仮に、建物延べ床面積が200㎡のアパートを購入したとき、建物の担保価値は築年数によって以下のような違いになります。

築10年:13万円×200㎡×(12年÷22年)=1,418万円

築18年:13万円×200㎡×(4年÷22年)=472万円

もちろん、金融機関はこのような機械的な計算だけで担保価値・収益性を判断しませんが、耐用年数と築年数のバランスが担保価値に影響してくる点は認識しておきましょう。

まとめ

投資用不動産と融資について知っておくべきことを解説してきましたが、参考になりましたでしょうか。

融資を組むメリットと注意点を知り、収益性・担保価値の高い不動産選びは有利な条件で融資を受ける上で非常に重要になります。 ぜひこちらの記事を参考に、ご満足のできる融資を受けられたら幸いです。

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八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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