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不動産売買の流れはどのように進む?スムーズに進めるために大事な8つのこと

2020/01/15
不動産売買の流れはどのように進む?スムーズに進めるために大事な8つのこと

不動産売買というのはワクワク感がある一方で、要領よく自分の好ましい状態で話を進めるのが難しいという懸念もあります。このような場合は、手探りで方法を調べる・売買方法を知っている方を探すといった手間隙が生じます。

そして不動産売買は予算の考え方・必要書類などとても複雑です。スムーズに売買するには、事前にご自身で流れを把握しておくことが重要です。これから不動産の売買を検討されている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

そこで今回はこの不動産売買につきまして、収支シミュレーションなどにも触れながら解説します。

不動産売買する大きな流れ

不動産売買するにはどのような流れがあるのでしょうか。

大きく下記のような流れになっています。

  1. 購入目的検討・決定
  2. 購入できる価格帯決定
  3. 物件探し
  4. 物件資料取り寄せ・確認
  5. 不動産会社に詳細確認
  6. 事業計画(収支想定)作成
  7. 現地確認・不動産会社との交渉
  8. 購入申込・売買契約締結
  9. 金融機関との融資契約
  10. 物件引渡し

不動産投資の種類を選定する

不動産投資と言っても、様々な種類があります。

一棟物件投資

一棟物件投資とは、言葉通りに建物一棟に対して投資することです。

金額が大きく購入できる人は限られていますが、キャッシュフローを得られるというメリットがあります。

区分マンション投資

区分マンション投資とは、マンション一部屋を購入して、それを賃貸に出す投資方法です。

一棟物件投資と比較して、物件価格は安くなりますが、キャッシュフローは出しにくいのがデメリットと言えます。

戸建て投資

一般的に言われる「一軒家」を購入して、「貸家」として賃貸に出す方法です。

コインパーキングなどの駐車場

初期投資額が比較的リーズナブルで、運営費用も大きくはかからないため、土地活用を検討されている方にはオススメの運用方法です。

予算を決める

投資タイプが決まりましたら、予算を決めましょう。

自己資金

不動産を購入するには、物件価格の他に諸経費と呼ばれている費用を現金にて支払う必要があります。中古は大体不動産価格の7%~8%で、新築の場合不動産価格の4%~5%が想定されます。

自己資金に関しては、一棟投資物件は融資が厳しくなり、大体物件価格の1~3割が必要と言われており、区分マンション投資の場合、評価が出る物件であればフルローンを利用することによって、自己資金を出す必要はなくなりますが、設備が壊れたなど突発的な事態に備えて、投資物件の価格の20%~30%あるのが望ましいといわれています。

不動産投資初期経費内訳

上記で書いた物件を購入する時に必要とされる初期経費の内訳は下記となっています。

①不動産仲介手数料

不動産会社に対して支払う手数料のことです。売主の場合は、仲介手数料はかからないです。

②売買契約書印紙税

売買契約書に張り付ける印紙代のことです。

売買価格によって金額が異なっていますので、下記一覧表から確認してみてください。

記載された契約金額が
1万円未満非課税
1万円以上10万円以下200円
10万円を超え50万円以下400円
50万円を超え100万円以下1千円
100万円を超え500万円以下2千円
500万円を超え1千万円以下1万円
1千万円を超え5千万円以下2万円
5千万円を超え1億円以下6万円
1億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下20万円
10億円超え50億円以下40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円

③金銭消費賃貸契約書印紙税

金融機関との契約書に張り付ける印紙代のことです。

④司法書士手数料

不動産登記の際、司法書士の方へ支払う謝礼のことです。

⑤登録免許税

不動産を登録するときに、課せられる国税です。

⑥不動産取得税

固定資産税評価額に対して、土地は3%・建物は4%課される税金のことです。

⑦ローン保証料

ローン保証会社へ支払われる保証料のことです。

⑧ローン事務手数料

融資の際、金融機関に対して支払う事務手数料のことです。

各経費計算方法

経費

計算方法

不動産仲介手数料200万円以下: 5%
200万円超400万円以下: 4%+2万円
400万円超: 3%+6万円
売買契約書印紙税1通60万円以下(物件の金額により変化します)
金銭消費賃貸契約書印紙税1通48万円以下(物件の金額により変化します)
司法書士手数料1件数万円から(司法書士の方と協議)
登録免許税固定資産税評価額×2%(土地・建物) 債権額×0.1%(抵当権)
不動産取得税固定資産税評価額×3%×50%(宅地)  固定資産税評価額×3%(家屋)
ローン保証料一括の場合: ローン借入額の2%
金利上乗せの場合: 年0.2~0.2%
ローン事務手数料3~5万円程度が相場(銀行によって変わる)

上記の表を参考に予算を考えることになります。

物件探し・収支シミュレーション・物件決定

予算が決まりましたら、具体的に物件を探していきましょう。

物件探し

どのように物件を探したらいいのかと悩まれている方も多いと思いますが、賃貸物件を探される時に重視するポイントを重点して物件を選ばれるといいでしょう。

なお、100%条件を満たせる物件を見つけるのがなかなか難しいものです。ご自身の中で優先順位を立てておきましょう

  • 立地
  • 築年数
  • 利回り
  • 間取りなど物件の内部の状況

それぞれについて詳しく説明していきます。

①立地

まず最初に挙げられるのは立地です。

最寄り駅からの徒歩時間、コンビニ、スーパーなど近くにあるかの周辺環境、通勤・通学のアクセスは便利かどうかなどをトータル判断します。

不動産の最寄り駅からの徒歩時間は、1分=80mの計算をしています。しかし、女性の方はなかなかそこまで早く歩けない方が多いので、表示された時間からプラス数分とみておくといいでしょう。

周辺環境は、治安・騒音・排ガス・施設の利便性といった事柄です。昨今は閑静な住宅街でまさかの凶悪事件が起きる傾向がありますので、治安は特に要注意です。昼間だけではなく、夜道なども確認するといいでしょう。

②築年数

築年数に関する考慮事項は、セキュリティ面・リフォームの有無・劣化具合です。セキュリティ面は入居者の方が特に重要視する部分の一つですので、注意が必要です。オートロックや二重ロックなどを確認します。

築年数が古くなればそれなりに建物は劣化していきますが、しかし、管理状況のいい物件は仮に築年数が経過しているとしても、手入れ・修繕などがきちんとされていることから、きれいな状況を保つことができます。入居者はできればきれいな物件に住みたいという傾向が高いから、きれいな外観写真をホームページのわかりやすい部分へ掲載すると、閲覧者がクリックしやすいです。

③利回り

利回りには表面利回りと実質利回りがあります。一般的には販売図面に掲載されているのは表面利回りとなります。

表面利回りと実質利回りはそれぞれ次の計算式で算出できます。

  • 表面回り=年間賃料収入÷物件取得費用
  • 実質利回り=(年間賃料収入-年間経費) ÷物件取得価格

実質利回りの方が、現実的な利回りを算出できます。経費内訳としては下記の経費を挙げられます。

  • ローン支払い利息
  • 外観の修繕費用(一棟物の物件を所有するとき)
  • 各々の部屋の修繕費用(入居者が退去するとき)
  • 不動産取得税(初回物件取得時に1回必要)
  • 固定資産税(毎年発生)
  • 保険料(火災保険や地震保険)
  • 管理委託費用(管理を管理会社へ委託した場合)
  • 管理費・修繕積立金(区分物件所有時)

④間取りなど物件の内部の状況

物件内部の確認事項は下記の事項が挙げられます。

  • フローリングに傷がないのか
  • エアコンなどの設備は壊れていないか
  • 壁紙は油などの汚れはないか

収支シミュレーション

収支シミュレーションに必要な情報です。

不動産そのものの価格

物件価格

賃貸条件年間想定収入(家賃)
年間空室率
年間諸経費(維持費)率
資金計画頭金
借入金額
借入期間
金利

上記条件より、下記のシミュレーション例を示します。

不動産そのものの価格物件価格: 2500万円
賃貸条件年間想定収入(家賃): 120万円
年間空室率: 10%
年間諸経費(維持費)率: 24万円
資金計画頭金: 100万円
借入金額: 2,400万円
借入期間: 25年
金利: 2%
  • 表面利回り:120万円÷2,500万円(4.8%)
  • 実質利回り:96万円÷2,500万円(3.84%)
  • 年間収入家賃(120万円)-年間諸経費(24万円)=96万円
  • 96万円÷2,500万円×100=3.84%

シミュレーション

  • 表面利回り:120万円/2,500万円=4.8%
  • 実質利回り:(120万円−120万円☓10%−24万円)/2,500万円=3.4%

※想定空室率10%も入れています。

購入申込・売買契約締結

購入したい物件が決まりましたら、いよいよ物件購入のステップに進みます。

買い付け申込書提出

購入したい物件がありましたら、まずは購入意思があることを表示する買い付け申込書を提出しましょう。とは言え、買い付け申込書は法律の縛りはないので、提出したからと言って絶対に購入しなければいけないというわけではありません。

価格交渉

価格交渉はできなくはないですが、担当者と話して肌感を掴んでください。例えばこの金額にしてくれたら、すぐ購入するなどの条件をつけて交渉してみるといいでしょう。

売渡承諾書

条件合意がなされたら、売り主から売渡承諾書が渡されます。ただ実務上一般的には条件合意後すぐに契約へと話が進むことが多いので、売渡承諾書が省略されることがあります。

重要事項説明・売買契約締結・手付金

不動産会社の宅地建物取引士より買い主へ、重要事項説明となります。この説明は後々のもめごとを防止するために、入念に時間をかけて行われます。大規模な物件になると、説明に数時間~半日程度かかるものまであります。

また契約書に専門用語も多いため、前もってメールや郵送などで重要事項などのデータを送ってもらえば、不明点や質問事項を事前に確認することができます

重要事項説明書の説明のあとに、売買契約書の説明があり、内容について問題がなければ契約書に署名・捺印・収入印紙貼付で売買契約締結となります。そしてこの後売主に対して、手付金の支払いとなります。渡し方としては、現金手渡しが多いですが振り込みもあります。売り主からの領収証発行もこの時点でなされます。

融資を受ける金融機関を決める、手続きを行う

契約を締結されましたら、金融期間への融資手続きを行います。

実際に契約を締結する前に事前審査をしておくといいでしょう。最終審査・融資決定となりしたら、融資手続きを進めます。

なお、仮審査でおりたのに最終審査でNGになる場合もあります。そのリスクに備えて、契約書に「ローン特約」を盛り込むことも覚えておきましょう

決済・引渡し(登記)

決済

金融機関とローン契約後、売り主に対して残代金の支払いとなります。この手続きと同時に、司法書士の方が所有権移転登記の申請を行います。そして抵当付物件の場合、残代金がローン残債にあてられて抵当権抹消登記もなされます。また管理費・修繕積立金・都市計画税・固定資産税などの清算も行われます。

引渡し

物件のカギ・賃貸契約書(入居者がいる場合)の引き渡しとなります。

管理会社選定

不動産投資において、重要だと思われる事柄の一つ管理会社選定です。買ってオーナーになる場合、実質不動産の管理については素人同然の場合特に管理会社選定は重要です。管理会社の管理能力を計る目安として、管理実績とスタッフの人数があります。

売り主の場合、売り主がそのまま管理を行うケースが多いです。

まとめ

以上不動産売買の流れについて述べてきましたが、参考になりましたでしょうか。

特に重要なこととして、次の3つが考えられます。

  • 予算を明確に決める
  • 購入する物件の優先順位を決める
  • 無理のない収支シミュレーションを作る

こちらの記事を参考に、ご満足のできる不動産売買ができると幸いです。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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