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不動産投資は資金なくてもできる?資金計画の立て方について

2020/01/15
不動産投資は資金なくてもできる?資金計画の立て方について

数千万円から億単位にもなる不動産投資の資金計画について悩まれている方も多いのではないでしょうか。

マイナス金利実施により、数年前と比較して不動産投資ローンを受けやすくなりましたが、しかし、融資を利用できるスタートラインが下がったとは言え、融資はやはり金融機関からお金を借りることになるわけですから、もちろんのこと返済が必要です。つまり、きちんと収支シミュレーションをして、資金計画を立てることが重要です。

そこで今回は、不動産投資をすることによって資金に対する考え方、資金計画の立て方について書いていきます。これから不動産投資を検討されている方は、ぜひ最後まで読んで頂けますと幸いです。

フルローンでも自己資金がいらないわけではない

「頭金ゼロ円でも不動産投資ができる」という営業トークを聞いたことがある方も多いでしょう。実は、この営業トークは間違ってはいないです。フルローンがおりる物件であれば、確かに頭金ゼロ円でもスタートすることができます。しかし、不動産投資をすることによって、様々な費用がかかるのです。以下にてその様々な費用について説明していきます。

不動産を購入する時にかかる諸経費

不動産を購入する時に、物件本体価格の8%前後の諸経費を現金にて支払う必要があります。

  • 売買契約書に貼る印紙税
  • 売主に支払う固定資産税の清算金
  • 売主に支払う管理費・修繕積立金の清算金
  • (仲介の場合)不動産会社に支払う仲介手数料
  • 金融機関に支払う融資手数料
  • 物件登記するときの登録免許税
  • 司法書士に支払う報酬
  • 地震保険、火災保険などの保険料

など。例えば、2,500万円の物件を購入する場合、「2,500万円☓8%=200万円」の諸経費を現金にて支払います。

なお、物件購入して大体6ヶ月後に「不動産所得税」の納付通知書が届きますので、更に不動産所得税を納める必要もあります。

つまり、物件本体はフルローンがおりたとしても、上記で書いた諸経費は現金にて支払う必要がありますので、これらの自己資金を持ってないと物件購入ができないのです。

不動産運営時にかかる諸経費

続きまして、不動産運営時にかかる諸経費をみてみましょう。

  • 部屋の設備が壊れた時の修理代
  • 賃貸管理会社に支払う賃貸管理費
  • (リフォームをした場合)部屋のリフォーム代
  • 固定資産税
  • (一棟物件の場合)建物全体の修繕費用

など。修理代などは状況によって異なりますが、万が一な時に備えて資金計画しておく必要があります。

不動産を売却する時にかかる諸経費

出口戦略の一つとして不動産の売却も考えられます。売却するときには下記のような諸経費がかかります。

  • 不動産会社に支払う仲介手数料
  • (売買契約書の原本が必要な場合)売買契約書に貼る印紙税
  • (売却益が出た場合)譲渡所得税

つまり、不動産投資は不動産を購入してから最後売却するまで、全てのステップにおいて資金がかかることを理解しておきましょう。

最新の融資状況は?資金に対する考え方

昨年の金融機関の不祥事の影響を受け、今は不動産の融資について厳しくなりつつであります。

一棟投資物件の融資

一棟投資物件の融資に関しては、基本積算評価が出る物件に限定することになりました。また、積算評価が出る物件でも、基本的には3割の頭金が必要になるケースがほとんどで、1億円の物件を購入する場合、3,000万円の頭金と諸経費を資金計画する必要があります。

区分マンション投資の融資

区分マンション投資の融資に関しては、きちんと評価が出る物件であれば融資がおりています。しかし、購入する方の属性に対する審査基準が厳しくなった傾向があります。中古物件の場合、ご年収400万円でもおりていた頃がありましたが、今ではなかなか厳しいだと言われています。

ムリな融資をしない!融資のリスクをきちんと理解する

「今の金利が非常に安いから、今のうちに融資枠をフルフルに活用した方がいいですよ」と営業する営業マンもいますが、自己資金が数千万円を持っている方はいいのですが、自己資金が少ない方はぜひ一度留まっていただきたいです。なぜならば、リスクが非常に高いからです。

以下にてそのリスクについて書いていきますので、きちんと理解しておきましょう。

空室リスク

ほとんどの方は毎月の家賃収入から返済に当てられているでしょう。ずっと入居者がいるのであれば、安定して家賃収入を得られて返済はできますが、やはり空室期間が出てしまうことも考慮しなければなりません。

空室期間中の返済はポケットマネーから出す必要があり、所有している物件が多ければ多いほど、空室リスクが大きくなります。もちろん、賃貸ニーズの高い物件を購入するなど対策を立てることによって、空室リスクを最小限におさえることはできますが、完全に回避することはなかなか難しいので、ご自身の返済能力に合った融資額であることは非常に重要です。

金利上昇リスク

不動産投資ローンの期間は長く、今は史上最低と言われているほど金利が低いので、返済期間中に金利が上昇するリスクは高いと言えます。

金利が上昇することによって、月々の返済額は上昇するのに対して、物件は築年数が古くなるにつれ、家賃は少しずつ減っていきます。つまり、金利上昇により、今まで家賃でまかなえなくなり、手出しが必要になるケースも考えられます。

そうなった場合、所有する物件が多ければ多いほどその手出し金額が多くなり、キャッシュフローがどんどん赤字に転じる可能性が高くなります。上記のような状況もきちんと想定しながら、資金計画を立てなければなりません。

そもそも自己資金がない人は不動産投資すべきではない?

ここまで読んでいただいた方はもう気づいていると思いますが、不動産投資はフルローンにて融資を受けられたとしても、自己資金がない方にはすべき投資商品ではないと言えます。

確かに今の金利は安い、物件本体価格の8%の諸経費を出せば、数千万円もする不動産という大きな資産を持つことができるという大きな魅力はありますが、やはり融資に対して返済する義務がある以上、軽い気持ちで始めるのではなく、自分には本当に返済していく資金能力があるのかどうかを、きちんと判断することが大切です。

不動産投資は長期に渡り資産形成していきますので、物件を買ってからがスタートです。所有している間の突発的な出費などにもきちんと認識しておくことが重要です。実は資金計画をきちんとせずに不動産投資を始めたのはいいものの、融資への返済ができない、修繕費用が出せないなどにより、物件が銀行に差し押さえされて、自己破産して失敗した方も少なくありません。

同じような失敗を繰り返さないよう、資金計画をきちんと立てることが重要です。ご自身資金プランを立てるのも難しいと思いますので、ぜひプロの方に相談するようにしましょう。

まとめ

今回は不動産投資をすることによってかかる資金、資金計画をきちんと立てる重要さについて書きましたが、参考になりましたでしょうか。

不動産投資は融資ができるからと言って安易な気持ちで始める投資商品ではありません。本当に返済能力があるのか、突発的な出費にも対応できるのかなど、リスクを想定しながら資金計画を立てましょう。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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