みんかぶ不動産

不動産投資における出口戦略とはなにか?2つの収益方法を前提にした戦略の立て方

筆者: 八木 チエ不動産売却
2019/08/162019/09/18

不動産投資の出口戦略として売却を考えている方はほとんどではないでしょうか。不動産は株やFXなどの金融商品と比較して、実は流動性が低く、売却するには大体3ヶ月前後かかると言われています。


中には、なかなか買手がつかず、もっとかかっている方もいらっしゃいます。そうならないように、事前に売却時期を明確に決めたり、それに向けてきちんとスケジュールを立てることが重要になります。


つまり、不動産投資の出口戦略は物件を購入する前から始まっているのです。不動産投資の出口戦略を知りたい方は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。

1.不動産投資は購入前から出口戦略を立てるべき

不動産投資には大きく2つの収益方法があります。


一つは毎月安定した家賃収入を得るインカムゲインと言われている収益方法と、売却して売却益を得るキャピタルゲインと言われている収益方法があります。


物件を所有している間は家賃収入という収益を得るのですが、出口戦略としてはキャピタルゲインに該当し、できる限り物件を高く売却して売却益を得ることです。


つまり、売却益を得るにはできる限り早く高く売却できる物件を選ぶことが大切で、物件を購入する前から出口戦略が既に始まっているのです。


2.新築物件の出口戦略は?

物件の築年数により出口戦略が異なります。まず最初に新築物件の出口戦略について書いていきます。新築物件の場合、結論から申し上げますと大体10年前後所有して頂いてもいいでしょう。これには下記の理由が挙げられます。


1)安定した家賃収入が得られる

新築物件は新しいことから家賃が高く取れて、比較的に入居者が決まりやすいです。家賃が下がるリスクはあるものの、安定した家賃収入を得ることができます。


2)賃貸経営の諸経費が安い

新築物件は設備なども新しいことから、設備が壊れたなど突発的な出費も少なく、管理費や修繕積立金の金額も低く設定されていることが多いことから、物件を運営していく上での諸経費を安くおさえることができます。


3)資産価値の下がり幅が少ない

築10年の物件であれば、資産価値の下がり幅が少なく、地価が上昇すれば、新築時の物件価格よりも高くなることもありえます。また、減価償却の残り期間も2/3以上残っていますので、次の買手もつきやすいと言えます。


4)残債より上回る価格で売却できる可能性が高い

10年所有していれば、ある程度返済額も減っています。例えば、新築時3,000万円の物件を金利1.7%(※)35年で融資を受けた場合、年間の返済額は約114万円で、10年間は1,140万円を返済することになります。


今の都内エリアで築年数10年の区分マンションの相場は2,000万円後半になりますので、たとえ2,500万円で売却ができた場合、残債1,900万円に対して600万円の売却益を得ることができます。

※10年固定金利で計算しています。


5)長期譲渡により譲渡所得税の税率が低くなる

不動産の売却で売却益が出た場合、譲渡所得税を納めなければなりません。譲渡所得税は物件の所有期間を5年超えたかどうかで長期所有と短期所有で、税率は下記の表のように倍近く異なります。


区分

所得税

住民税

長期譲渡所得

15%

5%

短期譲渡所得

30%

9%

出典:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_2.htm


せっかく高く売却したのに、その売却益を最大化にして手元に残したいものです。

3.中古物件の出口戦略は?

一方、中古物件の出口戦略はどうでしょうか。結論から申し上げますと、築年数10年前後、築浅と呼ばれている物件を所有している場合、5年を一つの目安にするといいでしょう。これには下記の理由が挙げられます。


1)設備などの修理費用がかかる

設備によってそれぞれの寿命が異なりますが、ガスコンロ、フローリング、浴室乾燥機、換気扇などの設備は15~20年前後が寿命だと言われていますので、物件の所有期間を5年以上になると、これらの設備の修理費用で大きな出費がかさむ可能性があります。


2)大規模修繕により修繕積立金が高くなる

マンションの大規模修繕は大体築20年前後が一つの目安になっています。修繕が近づくことによって、修繕積立金が足りてないなどの理由で修繕積立金の金額が上がったり、中には一時金を徴収する物件もあります。


つまり、大規模修繕の前に売却するタイミングを逃さないことが大切です。

3)賃貸競争が厳しくなる

新築物件は新築ブランドで、家賃が少し高くても入居者は決まりやすいですが、中古物件となれば競争する物件が多くなり、若干築年数が古くても家賃が安ければ入居者が決まります。このように賃貸競争が厳しくなりやすいです。


4)部屋のリフォームが必要になる

築年数が少し古くても、部屋の中がきれいであれば入居者が決まります。つまり、リフォームが必要になるのです。もちろん、どこまでリフォームするレベルにもよりますが、安く見積もっても100万円はかかるでしょう。


4.高く売却するには?知っておきたい5つのポイント

最後に、物件を少しでも高く売却するために知っておくべき5つのポイントをピックアップしました。参考にしてみてください。

1)余裕を持って売却スケジュールを立てる

冒頭にも書きましたが、不動産の売却は大体3ヶ月が一つの目安になります。売主は高く売りたいのと同じように、買主は安く買いたいと思っています。


焦って売却すると、どうしても足元を見られてしまい、大きく値引き交渉が入られる可能性が高く、本来売却できる価格よりも低くなるのは非常にもったいないです。


余裕を持って売却スケジュールを立てることによって、こちらから出した売り価格に対して、買主の反応を見ながら物件価格を調整することが可能です。また、 価格交渉が入ってもすぐ応じるのではなく、少しでも売却希望価格に近づけるよう落ち着いて交渉しましょう。

2)売れる物件を買う

物件を売れるようにするには、売れる物件を買うことが条件になります。

  • ・賃貸ニーズがあるエリアである
  • ・エリアの賃貸ニーズに合った物件タイプである
  • ・資産価値が落ちにくいエリアである
  • ・最寄り駅から徒歩7分圏内にある

などが挙げられます。

3)自分の物件タイプの売却が得意の業社に依頼する

不動産会社でもマンションの売却が得意、戸建て物件の売却が得意など、得意と不得意があります。物件を高く売却するには、自分が所有している物件タイプの売却が得意の業社に依頼することが重要です。

売却依頼をする前に、その業社の得意分野、実際の売却実績などを確認するようにしましょう。

4)資産価値を高めてから売却する(リフォーム)

築年数の古い物件は、そのまま売却するのではなく、リフォームして物件の資産価値を高めてから売却する選択肢もあります。

しかし、リフォームしたからと言って、必ずしもご自身がかかったリフォーム代より高く売却できるという保証があるわけではないので、リフォームをされる前に売却価格の相場を調べたり、業社に相談するようにしましょう。


5)相場が高くても高く売れるというわけではないことを理解する

不動産の価格がまた上昇しました。しかし、実際に物件を売りに出しても、なかなか思う通りに売れず、どんどん価格を下げている方も少なくありません。


なぜならば、不動産市場の価格は、ごく一部エリアの物件価格が上昇し、全体の価格相場を上げているであって、全部の不動産価格が上昇しているわけではないからです。


従って、相場が高いから自分も高く売れるというわけではないことをきちんと認識し、直近のご自身が持っている物件の周辺エリア、似たスペックの成約実績を参考にするといいでしょう。


「REINS Market Information」(http://www.contract.reins.or.jp/search/displayAreaConditionBLogic.do)では成約価格の情報を載っていますので、ぜひ活用してみてください。

まとめ

不動産投資は数千万円以上もする投資商品であるため、物件を購入してから出口戦略を立てるのではなく、スムーズに高く売却するには売れる物件を購入することが大切です。

こちらの記事は出口戦略を立てる時の参考になれば幸いです。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ不動産プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。