融資・ローン

不動産投資に重要な融資の種類とは?ローンの借り方を詳しく解説

2020/01/16
不動産投資に重要な融資の種類とは?ローンの借り方を詳しく解説

「不動産投資を始めるために、銀行からローンを借りる方法を知りたい」

「審査で落ちないために、不動産投資で融資を受けるコツを学びたい」

数千万円以上もする不動産投資は、融資によって資金を調達することが必要です。ほとんどの方は融資を活用するでしょう。

投資家が使えるローンには複数の種類があり、ローンによってメリットやデメリットは異なるもの

どのようにして投資に必要な融資を受けるのか、不動産投資ローンを詳しく解説します。

不動産投資で利用できるローンとは

区分マンションや商業用物件、アパートといった収益物件の購入に役立つのが不動産投資ローンです。銀行などの金融機関から融資を受けることで、不動産投資ローンを活用できます。

不動産投資ローンにはアパートローンプロパーローンの2種類があり、投資する収益物件によって利用できるローンが異なるもの。各ローンの特徴と借りられる金額の目安について説明します。

集合住宅に使えるアパートローン

マンションやアパートなどの賃貸住宅に投資する際に利用できるのがアパートローンです。ローンで購入した収益物件を担保とすることで、長期融資を受けられるのが特徴です。

アパートローンでは賃貸物件による収入で返済することが見込まれています。

そのため金融機関が物件の収益性や価値を重視する傾向があり、区分マンションは年収500万円、一棟投資物件は700万円以上を目安に融資を受けることが可能です

マイナス金利実施により融資を受けやすくなりましたが、実際に受ける金融機関によって金利差が出ていますので、金利差によって100万円以上も返済額が増える場合があるため注意しましょう。

また、金融機関によってアパートローンの利用条件や金利が異なるのも気をつけるべきポイント。融資を受ける際は複数の金融機関と相談して、条件を比較したうえでローンを申し込むことを勧めます。

自由度の高いプロパーローン

金融機関が保証会社を通さずに資金を融資する方法がプロパーローンです。貸し倒れのリスクを金融機関が負うものであり、融資をする機関の基準を満たすことでローンを借りられます。

プロパーローンを提供するのは一部の銀行や信用金庫であり、窓口で相談することによりローンを申し込むことが可能。保証会社の基準を満たさなくても融資を受けられるメリットがあります。

保証料が発生しないのもメリットですが、住宅ローンに比べて金利が比較的高いので注意しましょう。また、プロパーローンを利用するには保証人または連帯保証人が1名以上必要です。

金融機関によっては「法定相続人を連帯保証人とする」などの条件もあり、融資を受けるハードルは高いもの。審査が通りやすいプロパーローンには利用条件や金利といった難点もあります。

サラリーマンが借りられる金額の目安

プロパーローンは事業者向けの融資であり、サラリーマンが不動産投資する場合は一般的にアパートローンを利用します。アパートローンで融資を受ける場合、借りられる金額の目安は年収の7倍から10倍です。

例えば年収500万円のサラリーマンがアパートローンに申し込むと、3,500万円から5,000万円の資金を借りられます。

物件の収益性や信用が高ければ、5,000万円を超える資金の融資も可能です。

ただし、収益物件に投資するには諸費用の支払いが必要であり、自己資金で諸費用を負担しなければなりません。物件価格の8%が諸費用として発生する傾向があり、2,000万円の物件購入では約160万円の諸費用がかかります。

一般的なアパートローンでは諸費用の融資を受けられないため、年収に応じて200万円から300万円の自己資金を用意しておくとスムーズに不動産投資を始められます。

住宅ローンとの違いは?不動産投資ローンの審査基準とは?

「マイホームを購入するのに使う住宅ローンと不動産投資ローンの違いを知りたい」と思う人はいるでしょう。これらのローンでは審査基準が異なり、以下のような特徴があります。

  • 住宅ローンでは返済する人の属性が重視される
  • 不動産投資ローンは物件の収益性と属性を重視

それぞれのローンについて詳しく見ていきましょう。

住宅ローンでは返済する人の属性が重視される

自己用住宅を購入する目的がある住宅ローンでは、融資を受ける人の支払い能力が重視されます。そのため年収や信用、雇用形態といった本人の経済力により審査されるのが特徴です。

不動産投資ローンは物件の収益性と属性を重視

収益物件に投資することを目的とした不動産投資ローンでは、個人の信用力だけでなく物件の収益性も求められます。返済原資が賃貸収入であるため、収益の見込めない物件では融資を受けられません。

また、金融機関は滞納時に担保を差し押さえてローンの返済をさせるので、物件の資産価値も重視されます。個人の経済力だけでは審査を通過できるとは限らないため注意しましょう。

逆に金融機関の融資がでない物件は購入することを見直して方がいいでしょう。

不動産投資で融資を利用する意味とは

「ローンを利用して不動産に投資するのは危険ではないのか」と考える人もいるかもしれません。金融機関から資金を借りて不動産投資することには、メリットもあればデメリットもあります。

実際に融資を受ける前に、不動産投資ローンを利用する利点やリスクを知っておきましょう。

資金が少なくても投資できるのがメリット

不動産投資ローンを借りて物件を購入する場合、少ない自己資金で高額な不動産に投資できます。300万円程度の自己資金があれば、4,000万円レベルの高額な物件も投資することが可能。

投資するための自己資金が少なければ、レバレッジにより高い利回りを期待できます。また、不動産を購入するための資金を貯めずに、不動産に投資できるのは大きなメリットです。

空室が続くと返済が厳しくなるのがデメリット

不動産投資ローンを利用すると毎月返済する必要があり、空室率によっては返済が厳しくなるデメリットもあること。賃貸収入が少なくなると、利回りが悪化して投資による損失が大きくなります。

空室リスクを減らすために、賃貸ニーズが高い物件に投資することが重要です。収益性の悪い物件では不動産投資ローンの返済で苦労するため注意しましょう。

築古物件は融資額が出ないことに注意

投資家には利回りを重視して築年数30年を超えた物件を検討する人もいます。築古物件に投資する場合、物件価格分を全額融資されないリスクがあるものです。

古くなった物件は既に耐用年数を超えているものが多く、担保価値が少なくなります。よほど収益性が高い物件でなければ、融資を受けて投資するのは難しいので気をつけましょう。

不動産投資で融資を受けられる機関とは

今ではさまざまな金融機関が不動産投資ローンを提供していて、銀行によって性質が異なります。どのような銀行であればよい条件で融資を受けられるのか、各銀行の特徴を見ていきましょう。

都市銀行

全国に支店を展開しているメガバンクなどを都市銀行と呼びます。日本にある都市銀行は三井住友銀行や三菱UFJ銀行、みずほ銀行、りそな銀行の4つです。

アパートローンで投資できる物件のエリアが広く、金利が比較的低いのがメリット。ですが金融機関の中では審査が厳しく、ローンを借りるためのハードルが高いデメリットもあります。

地方銀行

特定のエリアや地方で営業している銀行を地方銀行と呼びます。有名な地方銀行には横浜銀行やスルガ銀行があり、都市銀行に比べて不動産投資ローンの審査が通りやすいのが特徴です。

金利もそこまで高くなく、不動産投資ローンを借りる難易度が低いメリットがあります。ですが自宅や投資したい収益物件が地方銀行の近くになければ、融資を申し込むのが難しいデメリットもあること。

もし地方銀行から融資を受けやすいのであれば、ローンの借入を相談しておくことを推奨します。

信用金庫

地方銀行よりも狭いエリアで営業しているのが信用金庫です。店舗が自宅や投資したい物件の近くにあれば、信用金庫から不動産投資ローンを借りることが可能です。

主要銀行とは異なり経済力の低い人にも融資してくれる可能性があります。ローンを借りやすいメリットがある一方で、金利が銀行に比べて高いデメリットもあるため注意しましょう。

日本政策金融公庫

政府が設立した金融機関が日本政策金融公庫であり、事業として賃貸業をする人は融資を受けられます。金利が都市銀行並に低くて、若い人や高齢者なら優遇制度を活用することも可能です。

不動産投資会社の斡旋ローン

ほとんどの不動産投資会社では投資家のローン手続きを代行して、不動産投資会社が提携されている金融機関から融資を受けることができます。同じ金融機関でも不動産投資会社の評価によって金利などの条件が異なりますので、事前に確認するといいでしょう。

不動産投資の融資を受けやすくするには

「融資を受けやすくするためのコツを知りたい」と思う人は多くいるでしょう。不動産投資ローンの審査に通るには、以下の3つのコツがあります。

  • より信用力の高い会社に勤める
  • 自己資金を用意しておく
  • 収益性の高い物件を選ぶ

それぞれのコツについて簡単に見ていきましょう。

より信用力の高い会社に勤める

金融機関には属性のよい人に融資をする傾向があり、信用力の高い会社に勤めることで属性が高まります。

支払い能力があることを証明するために、転職やスキルアップで自身の待遇を改善しましょう。

自己資金を用意しておく

金融機関の審査には申込者の資産も含まれていて、預金の多い人は審査に通りやすくなります。

銀行の貸し倒れリスクを減らすために、自己資金を貯めておくことがオススメです。

収益性の高い物件を選ぶ

賃貸収入により得たお金で返済する不動産投資ローンでは、収益性の悪い物件に対して融資されない場合がよくあります。

自分の資金だけでなく、収益性がある物件を選ぶようにしましょう。

まとめ

不動産投資ローンにはアパートローンとプロパーローンの2種類ありますが、可能な限りアパートローンを利用するようにしましょう。

融資を受けるには自分の経済力だけでなく、物件の収益性や価値が求められます。そのため自己資金や収益性の高い物件を選ぶことが重要と言えるでしょう。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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