みんかぶ不動産

不動産投資を行う際の効果的な節税方法とは?

筆者: 八木 チエ不動産投資管理
2019/08/232019/09/18

日本では累進課税制度が採用されているため、収入が多くなればなるほど納めるべき所得税の税率が高くなります

それに伴って、納付する税金も多くなっていきます。このように納付すべき税金を節税して、少しでも手元に残しておきたいとお考えの方も多いでしょう。

そのため、節税の方法の一つとして不動産投資を検討されている方も多くいらっしゃいます。


ここでは、不動産投資が節税につながる仕組みと、節税できる税金の種類、不動産投資による節税の方法について詳しく解説していきます。

ぜひ最後までお読みになって、不動産投資による節税を行う際の参考にされてください。


1.不動産投資自体は税金対策となるのか

不動産投資により節税を行う場合、まず一番最初に頭に浮かぶのが「所得税」と「住民税」の節税ではないでしょうか。


不動産投資とは、基本的に投資用物件の貸し出すことにより長期的に家賃収入を得ることで利益を出す投資法です。

しかし、不動産投資用物件の修繕やリフォームによる出費、空室により家賃収入が得られないというような理由で、赤字になってしまうことも考えられます。

金融商品は赤字を出されても税金上のメリットはないですが、不動産投資による不動産所得は給与などの所得と損益通算することができ、不動産所得が赤字になった場合、給与所得と損益通算することによって、所得税、住民税を安くすることができます


例えば本業で年収700万円の収入を得ていても、不動産投資で100万円の赤字を出していれば、その人の総収入は600万円となり、この600万円に対して所得税と住民税が課せられることになります。

また、不動産投資により節税できるのは所得税と住民税だけではありません。相続時に必要な「相続税」と、投資用物件の譲渡の際に必要な「贈与税」の節税も可能です。


このように現在進行形で必要な所得税と住民税以外にも、自分が死亡した場合の相続税や生前物件を贈与する場合に必要な贈与税を節税することができる点が、不動産投資による税制面のメリットであるといえます。


2.不動産投資を行う際に節税できる税金

不動産投資を行う場合に節税できる税金は、所得税、住民税、相続税、贈与税の四つであることは説明してきました。

では、どの程度の節税効果が期待できるのでしょうか。ここでは、それぞれの税金についてその節税効果を詳しく解説していきます。


1)所得税

なお、ここで提示した金額は、必要になった経費や、課税対象額の累進課税率により異なるため、あくまで一例と考えてください。


①経費をもれなく計上して節税を行う

まず、不動産収入として計上しなければならない「収入」について解説していきます。不動産投資を行う際に収入として計上されるのは、以下のものです。


家賃

これは、不動産投資を行う場合に一番最初に頭に浮かぶ収入ではないでしょうか。この家賃収入は、当然収入として計上されます。


名義書き換え料、承諾料、更新料などの名目で入居者から受け取るもの

入居者とさまざまな契約を結んだり、契約の変更に伴い手数料などの名目で受け取ったお金も収入として計上されます。この中には入居時時に受け取る礼金や、契約更新を行う際の更新料なども含まれます。


敷金や保証金のうち、入居者への返還を必要としないもの

敷金や保証金として受け取った金額は、投資用物件の所有者が入居者から「預かったもの」として処理されます。しかし、債務不履行や敷金償却の契約により、この預かったお金を入居者に返還する必要がなくなったことが確定した日にその金額を収入として計上する必要が出てくるので、注意しましょう。


共益費などの名目で受け取る電気代や水道代、投資用物件の管理費など

家賃とは別に、共益費や管理費を入居者から受け取っている場合は、これらも収入として計上します。


この四つが、不動産投資を行うにあたっての収入とみなされるものになります。ここから経費を除いた金額が不動産投資による利益とみなされます。

では、どのようなものが不動産投資の経費として認められるのでしょうか。経費として計上できるものを詳しく解説していきます


旅費、交通費

不動産投資を始めるにあたって、購入を検討している物件を見学に行く際や、実際に物件を購入した後に物件の管理のために所有している不動産物件のある場所に行く場合の公共交通機関の運賃や自家用車のガソリン代、宿泊費などは経費として計上することができます。


当然のことながら、不動産投資に関連した移動や宿泊にかかった費用しか経費として計上することはできません。


不動産投資を行う際に使用する自動車に関連した費用

所有している不動産が多かったり、離れた場所にあったりする場合に専用の自動車を所有することも想定されます。

その自動車の購入やメンテナンスに必要な費用や、自動車税、保険料も経費として計上することが可能です。


不動産投資を行うためだけではなく、その車を自家用車として使用することもある場合には「家事案分」を行い、不動産投資に必要な分だけを計上します。

その車を不動産投資と日常生活で半々に使っている場合には、上記の費用のうち50%を経費として計上することができます。


不動産投資に関する情報収集や勉強のための費用

不動産投資は、常に最新の情報を入手しておく必要があります。そのためにセミナーに参加したり、本や新聞などを購入して勉強することが大切です。


また不動産投資に関してコンサルティングを受けることもあるでしょう。このような情報収集に必要なセミナー参加料、書籍・新聞代、コンサルタント料も経費として計上できます。


通信費

情報収集や、不動産・管理会社との連絡の際に、携帯電話やパソコンを利用する機会も出てくるかもしれません。また、そのためにパソコンやそれにインストールするアプリやソフトウエアを購入する必要があることも考えられます。


このような携帯電話・パソコン・ソフトウエア・アプリの購入代金や携帯電話の使用料、インターネットのプロバイダ料も経費として計上できます。

携帯電話やパソコンを私用でも使っている場合には、自動車と同じように家事案分して不動産投資に利用した割合分のみを経費として計上します。


ローンの金利

投資用物件を金融機関などでローンを組んで購入した場合、返済時の金利は経費として計上できます。


ここで注意が必要なのは、経費として計上できる金利は上物に対して組んだローン部分の金利のみであり、土地に対して組まれたローンにかかる金利は経費として認められない点です。


保険料

投資用物件を購入した場合、ほぼ100%火災保険や地震保険に加入することになります。このような投資用物件に対する保険料も経費として認められます。


管理会社への委託料

投資用物件の管理を管理会社に委託する際に必要な料金も経費として計上することができます。


管理費、修繕費

部屋のクリーニング代やリフォーム費用、設備費用、外観の清掃や修繕費などの不動産を管理維持する費用も経費として認められます。


しかし、大規模なリフォームやリノベーションなど、物件の価値を向上させる目的で使用された費用は経費として認められません。


税金

投資用物件を取得した際の不動産取得税、登録免許税、印紙代などの税金と、毎年必要となる固定資産税、都市計画税は費用して計上することができます。


司法書士や税理士への報酬

登記を行う際に司法書士に依頼したり、確定申告を税理士に依頼した場合に発生する報酬も経費として認められています。


交際費

不動産会社や管理会社の担当者など、不動産投資に関連する人との飲食代は、交際費として経費に計上することができます。また、喫茶店などで打ち合わせを行った際には「会議費」として飲食代を計上することが可能です。


減価償却費

不動産には法定耐用年数が定められています。木造であれば22年、鉄骨造であれば34年、マンションに多いRC造は47年です。この年数を過ぎると、建物の価値はゼロであると法律的にはみなされます。


建物の購入にかかった費用をこの年数で割った金額が減価償却費です。この減価償却費は建物の価値がゼロになるとみなされる年数が経過するまで毎年経費として計上できます。


②確定申告を行う際の注意

確定申告には「白色申告」と「青色申告」の二つの方法があります。不動産投資を行う際には、青色申告を行うことをお勧めします

青色申告を行う場合には、不動産投資を始めて2か月以内に税務署に届けを出す必要があります。また、申告の方法も白色申告に比べると青色申告は複雑なものになっています。


しかし、青色申告を行うことで不動産投資やその他給与所得で得られた収入の合計から10万円~65万円の控除を受けることができるというメリットがあります

それ以外にも「純損失の繰り越し控除」という三年間にわたって赤字を繰越すことができる制度や、「青色専従者控除」という両親や配偶者に給与を支払った形にできる制度があるのです。

給与は経費とみなされ、利益を抑えることができ結果として節税につながります。


③所得税が軽減されるケースのシミュレーション

本業の給与所得が700万円である場合の確定申告の例所得税率は23%、控除額は63万6千円になるので、所得税は7,000,000円×23%-636,000円=974,000円、住民税は7,000,000×10%+4,000=704,000となります。


そこで不動産投資による損失が100万円あった場合には(7,000,000-1,000,000)×20%-427,500=772,500円となります。


所得税は累進課税なので、総所得が600万円の場合には20%の所得税を支払う必要があり、控除額は42万7千5百円となります。

このような税率などから計算した所得税は772,500円です。損益を総合して計算しすると、974,000円ー772,500円=201,500円となり、所得税が201,500円安くなります。


2)住民税

①経費をもれなく計上し青色申告制度を利用して節税を行う

住民税の税率は、収入に関わらず一定です。しかし所得税の場合と同様に経費をもれなく計上し、青色申告制度を利用することで、課税所得対象の金額を低く抑え、節税を行うことが可能です。


②住民税が軽減されるケースのシミュレーション

ここでは、所得税の場合と同様の条件下における住民税の支払額を計算していきます。

住民税は課税所得対象×10%+4,000円なので、青色申告控除の100,000円を加味すると(7,000,000-1,000,000-100,000)×10%+4,000=594,000となり、その差額は

744,000-594,000=150,000となります。

      

所得税と住民税が軽減される金額の合計は351,500円となります。


3)相続税

相続税には基礎控除があり、その金額は以下の計算式で求められます。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×相続人の人数)


つまり、相続人が4人いる場合には相続する財産の総額が5,400万円以下である場合には、投資用物件が含まれていても相続税を支払う必要はありません。

この相続する財産の全ての評価額が基礎控除分を超えた場合に、相続税を納付する義務が生じますが、この相続税の金額は、基礎控除を除いた相続する財産の評価額に応じて税率が変わってくるので、注意が必要です。


不動産の場合には現金とは異なり、実勢価格ではなくさまざまな条件により評価額が低くなるため、相続を行う際に相続税対策として有効であると考えられています。

例えば相続の対象となる遺産が現金で2,500万円であった場合、遺産の評価額は額面そのままの2,500万円となります。

しかし、建物1,750万円、土地750万円、合計2,500万円の実勢価格のワンルームマンションであった場合、不動産の評価額は50%の875万円、土地の評価額は80%の600万円となるのです。

さらに投資用不動産評価額として、建物が70%の610万円、土地が60%の360万円となり、合計課税対象額は970万円まで低く押さえることが可能です。

     

不動産投資が相続税対策になるポイントは、この評価額の軽減にあります。


4)贈与税

不動産投資用物件を贈与する場合、物件の評価額は相続税の場合と同様に評価されます。


一般的な贈与の場合、贈与税の金額は(贈与財産額-110万円(基礎控除))×税率×控除額の式で計算されます。同じ物件でも相続税より税金が高くなる傾向があります。

その場合、相続時精算課税制度というものがあります。相続時精算課税制度とは、60歳以上の祖父母又は父母から20歳以上の子や孫に贈与を行う場合、財産の評価額が2,500万円までの贈与であれば贈与税がかからないという制度のことです。

2,500万円を超える財産の贈与を行っても、2,500万円を超えた財産について一律20%の贈与税を支払うだけで済みます。


しかし、相続時精算課税の名の通り、被相続人が死亡し相続が発生した場合にこの制度を利用して贈与した金額をすべて被相続人の相続財産に加算して相続税を計算するため、その金額によって税金が高くなる場合もあること認識しておきましょう。


贈与税の税率と控除額は、贈与を受ける人の年齢と贈与する物件の価値によって異なるので、注意が必要です。


3.法人の方はもっと節税できる?法人にした方がいいケース

サラリーマンが副業で不動産投資を行い、総所得が800万円程度までの金額であれば、法人化するメリットはあまりありません。

しかし、所得が900万円を超えた場合、個人所有で所得税を支払うより、法人化して法人税を支払うほうが税率が低いため、節税になります

法人化した場合に株を被相続人または贈与を行う人にしておくと、株を相続人が相続したり贈与を受けたりする場合に相続税が発生する可能性があるので、注意が必要です。

極論すれば、収入が多い人ほど法人化した場合のメリットが多いといえます。


まとめ

ここまで、不動産投資の節税方法について解説してきました。節税を行うためには、まずどのような場合にどのような税金が必要になるかを把握しておくことが重要です。

また、経費を正確に計上することで、節税を行うことが可能です。どのようなものが経費として計上できるかをきちんと知っておきましょう。

さらに、不動産投資による所得がある一定の金額を超えた場合には、法人化することで節税を行うこともできます。

不動産投資を行う際には、必要になる税金とその金額などについて十分に勉強し、場合によっては税理士などの専門家に相談してみましょう。


八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ不動産プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。