不動産投資とは

不動産投資でありがちなトラブル事例と対策

2020/01/15
不動産投資でありがちなトラブル事例と対策

手堅く稼げるビジネスとして注目を集めている不動産投資。株やFXほど手間がかからず、忙しいサラリーマンでも始められるのが人気の秘密です。しかし不動産投資でトラブルに巻き込まれて、大損をしたという人も少なくありません。不動産投資は大金が動くので、絶対に失敗はしたくないですよね。

そこで今回は、不動産投資でありがちなトラブル事例や対策について解説をしていきます。不動産投資を検討している、または不動産業者に不信感を覚えているという方は参考にしてみてください。

不動産投資にあった5つの詐欺

まずは不動産投資であった詐欺事例について紹介をします。詐欺の手法を知っておくだけでも、トラブルに巻き込まれにくくなります。

手付金詐欺

手付金詐欺は物件購入の手付金を持ち逃げする悪質な詐欺です。不動産物件の購入までこぎつけ、購入者が手付金を支払うと不動産業者と連絡が取れなくなり姿を消されるのです。

この場合、物件はすでに他の契約者に渡っていることも多く、手付金は戻ってきません。手付金ともなると数百万円の大金を支払っている人もいます。泣き寝入りするしかなく、解決するのも難しい手口です。

対策としては契約前に不動産業者の情報をチェックしておくこと。詐欺会社はすぐ逃げられるように、事務所も構えていなかったり、ホームページの情報が曖昧だったりします。

あらかじめ不動産業者の口コミや評判を検索し、少しでも信頼ができないと感じたら契約してはいけません。

海外不動産詐欺

日本は人口が減少傾向にあり、不動産投資も難しくなってきました。逆に発展途上国の海外不動産にも注目が集まり、日本の投資家も多く参入しています。しかし海外不動産を利用して詐欺を働く業者が後を絶ちません。

①仲介料の上乗せ

海外不動産は現地の不動産業者と取引するケースもあります。日本人向けの物件を紹介している業者もありますが、仲介料を大幅に上乗せして大金を騙し取る詐欺グループもいるのです。

海外不動産投資は、現地の情報も入りづらく言葉も分からないので、紹介料も上乗せされていても気づかないケースが多いです。中には500万円の物件の仲介手数料が400万円になっており、合計900万円支払ったという人もいました。

どんなに優良な物件でも、まずは日本の専門家に鑑定してもらってから判断をした方が良いでしょう。

②建設予定の物件を購入し逃げられる

発展途上国ではマンションや高層ビルの建設ラッシュが続いています。不動産投資をする人にとっては、値上がりする前に購入をしたいですよね。

しかしそれを逆手に取り、建設前のマンションやビルを購入させ、お金を持ち逃げされる詐欺が多発しています。実際にはマンションは建設されず、泣き寝入りする人もいるのです。

また詐欺グループの手口も巧妙化しており、現地ツアーを開催したり、建設予定の構図や現場監督に会わせたりするなど、本気で信じてしまうような手法を使ってきます。,もし海外不動産に投資を考えているなら、信頼できるパートナーを見つけて、相談をしながら購入をしてください。

③購入後のサポートやメンテナンスがない

こちらは詐欺と少し違いますが、日本人がよく勘違いするトラブルです。海外の不動産は購入までのサポートしかない会社も多数あります。

結果、メンテナンスが行き届かず、入居者が減っていき、ローンが払えなくなるトラブルが発生しているのです。

海外不動産を購入する際は、サポートやメンテナンスの有無を確認することが大切です。海外だからこそ、細かい部分まで確認する癖をつけてください。

満室詐欺

満室詐欺とは、空室が多い物件にサクラを入居させ、満室にして売却する詐欺です。営業マンも「満室なのですぐに家賃が入ります」「人気物件でいつも満室です」など甘い誘い文句で物件を購入させます。

そして契約が決まったらサクラはすぐに退去。残るのは空室がある物件のみで、家賃収入も受け取れません。巧妙な詐欺なので見破りにくく、泣き寝入りをする人も多いです。

仮に物件が満室でも、現地へ確認に行くことをおすすめします。夜になっても電気がついてなかったら詐欺の可能性もあります。満室という言葉に惑わされず、自分の目で確認する癖をつけてください。

物件のデメリットを隠して紹介する

不動産だけでなく、モノを売る時にデメリットを話す担当者は多くありません。メリットを並べて契約まで進める不動産業者がほとんどです。営業マンは「今ならお買い得ですよ」「利回りも良いです」など甘い言葉で契約を誘ってきます。

購入する不動産のデメリットを理解せずに、契約するのは非常に危険です。購入してみたら「利回りが悪かった」「修繕箇所が多かった」「事故物件だった」など取り返しのつかないトラブルに巻き込まれてしまいます。

特に不動産投資の知識が乏しい人は注意が必要です。メリットの裏に潜むデメリットに気づかず、そのまま契約を進めてしまいます。まずは不動産投資の勉強をして、様々なリスクに気付けるようにしましょう。

おとり広告で勧誘をされる

おとり広告とは、集客目的で購入できない物件を掲載する詐欺です。中には存在しない物件を広告にしている悪質なものもあります。良い物件だと思って問い合わせをしたら「先ほど契約が決まりまして、しかし同じような条件の物件がありますよ」と誘い出されます。その後は営業マンのセールストークで物件を契約させようという手口です。

おとり広告を見抜く方法は以下の通りです。

  • 明らかに好条件すぎる
  • 広告が出てから1ヶ月以上が経っている
  • 内覧を渋られる

特に内覧を渋って「まずは店舗でお話しましょう」と言ってきたら、おとり広告の可能性が高いです。好条件の物件には裏があることを理解しておいてください。

不動産投資のトラブルに巻き込まれやすい人は?

不動産投資の詐欺は多様化しています。しかしトラブルに巻き込まれる人には特徴があります。

なんでも人任せにしがち

不動産投資はある程度の知識が必要です。しかし仕事が忙しいことを理由に、全て人任せにしてしまう人もいます。人任せにすることは、不動産業者のカモになることと同じ意味です。

営業マンに勧められるがまま契約をしてしまい、契約後に「利回りが悪かった」「修繕費が高かった」「周辺環境が悪く空室が埋まらない」などのトラブルに悩まされます。

大きな投資にも関わらず人任せにしてしまい、後で後悔する羽目になるのです。まずは不動産投資の知識をしっかりと身につけ、自分自身で判断ができるようにしてください。

勢いで購入してしまう

稼ぎたい気持ちが高ぶり、勢いで物件を購入する人もいます。営業マンに「こんないい条件の物件は珍しいですよ」と言われ、細かい情報も見ずに契約してしまうのです。蓋を開けてみたら収益には程遠い物件だったという事例もあります。

勢いで購入してしまう人は、目の前のお金に目が眩んでいます。また知識も乏しく、デメリットにも気付くことができません。良い物件を見つけても、一旦は家に持ち帰り冷静に考える時間を確保してください。

まずは冷静になり、本当に良い物件なのか精査する必要があります。細かく収支シミュレーションを行い、きちんと利益が出るのか確認をしましょう。またどんな良い物件でも、すぐに契約するのではなく、家で冷静に考えてから契約を決めてください。

不動産投資の勉強をしていない

不動産投資の知識が無いと、トラブルに巻き込まれる可能性がグッと上がります。まず知識不足だと、不動産物件の判断ができません。結局、不動産業者に任せりきになり、条件の悪い物件を契約することになるのです。

逆に勉強をしておけば、営業マンの嘘が見抜けたり、メリットの裏にあるデメリットを予測できたりします。勉強をせずに稼いでいる不動産投資家はいません。コツコツと勉強を進めて、不動産投資を有利に進めましょう。

断るのが苦手

物事を断れない性格の人は不動産投資に向いていません。不動産の営業マンはトークが上手く、断りにくい状況を作ってきます。また営業マンに優しくされたり、相談に乗ってもらったりすると、さらに断りにくくなります。

断るのが苦手な人は、断りの言葉を考えておいた方がよいです。「今は買う気がありません」「家に持ち帰ってから考えると決めてます」「家族に相談してからにします」など、その場で契約を結ばないように注意してください。また勧誘は長引けば長引くほど断りにくくなります。なるべく勧誘が始まったらすぐに断るようにしましょう。

不動産投資でトラブルに巻き込まれないコツは?

不動産投資のトラブルは未然に防ぐことができます。そこで不動産投資のトラブルに巻き込まれないコツを紹介していきます。

甘い言葉に惑わされない

不動産の営業マンは甘い言葉を並べてセールストークをしてきます。「特別にご案内しています」「こんな優良な物件なかなかありませんよ」「確実に儲かります」などと勧誘し、物件を購入させるのです。

先ほども紹介しましたが、営業マンはデメリットを隠して物件を紹介してきます。甘い言葉には裏があることを理解し、衝動的な行動をしないようにしてください。

不動産投資の基礎知識を身につけておく

不動産投資で騙される人の大半が知識不足の人です。知識が乏しいとリスクに気付くことができず、損をしてしまいます。

例えば家賃保証があるサブリースの知識が無い人は、お得だと思って契約を結びます。しかし家賃の値下げや手数料のリスクもあり、失敗してしまうケースもあるのです。不動産について勉強をしていないと、どんなリスクが潜んでいるのか分かりません。

不動産の基礎知識は習得をして、潜んでいるリスクを見つけられるようにしましょう。

不動産会社の実績をチェックする

良い物件に出会うには良い不動産会社が必要になります。優良な不動産会社を見分けるコツは、過去の実績をみることです。不動産会社にはホームページがあるので、資本金や事業内容、販売実績などを確認しましょう。

また「会社名 口コミ」などで検索をかけて、実際に利用した人の声も確認しておいてください。

信頼できる担当者を見つける

優良な物件を見つけるためには、信頼のできる担当者が必要不可欠です。頼れる担当者を探すには、複数の不動産会社を回って相談をしていきましょう。

頼れる担当者の共通点は以下の通りです。

  • 顧客目線で物件を紹介してくれる
  • リスクやデメリットも隠さず話してくれる
  • レスが早い
  • 融資を受ける銀行との関係が良好

上記のポイントを意識しながら、担当者選びをしてみてください。根気よく探せば良い担当者に出会えます。

万が一トラブルに巻き込まれたら?

トラブル対策をしていても、詐欺に遭ってしまうこともあります。万が一トラブルに巻き込まれた時の対処法を紹介します。

国民生活センターに相談

国民生活センターは、生活全般のトラブルの相談を受け付ける独立行政法人です。無料なので、トラブルに遭ったら最初に相談をしてください。相談は各市町村に設置された窓口か電話相談も受け付けています。トラブルの内容にもよりますが、解決策を提示してもらえたり、専門家を紹介してもらえたりすることもあります。

無料相談ができるNPOを活用

不動産投資のトラブルに強いNPO法人もあります。有名なのは「特定非営利活動法人よつば」で、不動産トラブル全般の相談に乗ってくれます。トラブルに合わせて弁護士や専門家の紹介制度もあり、カウンセリングも行っています。

弁護士に相談

無料の相談窓口でも解決しない場合は、不動産トラブルに詳しい弁護士に相談してください。知り合いに弁護士がいない場合は、無料の相談窓口でも紹介してもらえます。

弁護士の費用は高額だと思われがちですが、初回の相談費用は安いです。また最近では、弁護士に無料相談できる「法テラス」などのサービスもあります。経済的に余裕のない人向けのサービスですので、詐欺でお金が無くなった人でも安心して相談できます。

まとめ

不動産投資とトラブルは切っても切れない関係です。トラブルに巻き込まれないためにも、不動産に関する知識を身につけ、しっかりと対策をしてください。

本記事のポイントは以下の通りです。

  • うまい話は全て詐欺だと疑う
  • 基礎知識を身につけておく
  • 信頼できる担当者を探す
  • 困ったら弁護士に相談

これらのポイントを踏まえながら、不動産投資の計画を立ててみましょう。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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