不動産投資の最も大きなリスクは「空室リスク」です。
このリスクを軽減させるためには、物件を「購入する前」が重要であり、リスクヘッジの方法を知っているかどうかで投資の成功は左右されます。
この記事では、そんな空室リスクを回避する4つのポイントを解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
まずは、空室対策4つのポイントである以下を簡単に解説していきます。
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
まず、1つ目のポイントは「エリア選定を慎重に行うこと」です。というのも、エリアによって人口推移が異なり、人口推移はそのまま賃貸需要に比例するからです。
そのため、物件を購入するエリアのニーズをきちんと見極める必要があります。そのチェックポイントは下記3つが挙げられます。
まず、そのエリアの人口推移を以下のような資料でチェックしましょう。
不動産投資は安定した賃料収入が重要であり、賃借人の候補である「人口」が重要になります。そのため、上述した資料を確認し、そのエリアの人口推移からエリアの賃貸需要を予測しましょう。
たとえば、人口推移を見てここ数年で明らかに減少傾向にあれば、そのエリアの人口は今後も減少し、賃貸需要も下がる可能性があります。
つづいて、治安や事故件数も確認しましょう。というのも、現地確認をしただけでは分からないことも多いからです。
たとえば、普通の交差点なのに周辺と比べて事故件数が極端に多ければ、交通量が多かったり、信号機が変わるのが早かったりという、現地確認で気づけないことが分かります。
また、普通の住宅街でも実は空き巣などの犯罪が多いかもしれません。そのようなことは目視だけでは分かりませんが、そのエリアに住もうとしている人は調べる可能性があります。
そのため、オーナーの立場でも物件購入前にきちんと調べ、感覚ではなく数値として確認しておく必要があるのです。
また、以下のようにエリアの災害リスクもチェックする必要があります。
たとえば、最近話題になった話で、東京都江戸川区のハザードマップがあります。
江戸川区のハザードマップでは、洪水になったときのリスクが高いエリアを、行政が「ここにいてはダメ」と表記しています。
もちろん、これは災害時の話ではありますが、仮にそのエリアに賃貸を検討している人が見たら検討度合いは下がるでしょう。そのため、エリアの災害リスクはデータで確認する必要があるのです。
不動産投資で収益を上げられるかどうかは、家賃と物件の資産価値が重要です。そのため、エリアの相場をきちんと確認して、家賃や資産価値の推移を予測しましょう。
不動産投資において、賃料収入や保有物件の資産価値の変動は重要です。もちろん、今後の家賃と資産価値の変動を正確に読むことはできませんが、以下のようなツールを使うことである程度予測することは可能です。
周辺エリアの賃料を調べるなどの情報収集を行った上で、上記のようなツールを駆使して少しでも精度の高いシミュレーションを行いましょう。
また、検討している物件は稼働中なのか空室なのかも必ずチェックしましょう。というのも、その物件の利回りは稼働中か空室かで、実績をベースに計算しているのか、予測をベースに計算しているのかが異なるからです。
稼働中ということは、現在賃借人がいるということなので、「実績」ベースの確からしい賃料からの利回りといえるでしょう。
一方、空室の場合はあくまで予想賃料なので、本当にその賃料で貸し出せるかは、前項のツールなどを利用して、より詳細に確認する必要があります。
また、AIツール以外に家賃が適正かどうかを測る方法として以下が挙げられます。
最も簡単な方法は、ポータルサイトで周辺の近しい条件の物件家賃を調べることです。ポータルサイトによって掲載物件は異なるので、複数のポータルサイトで確認することをおすすめします。
次に、ピックアップした物件をさらに最寄り駅や築年数などの条件で絞り、より自分の物件と近しい物件をラインナップしましょう。
そして、さいごに必ず平米単価を算出して、そのエリアの周辺相場をチェックします。物件は徒歩が1分違うだけで…方角が違うだけで…階数が違うだけで賃料は変わります。
しかし、同じエリアの物件であれば多少条件が違っても「参考家賃」にはなるので、エクセルなどに落としてデータ化しておきましょう。
その上で、特に空室の物件の利回りに利用している「予想家賃」が、自分が調べた家賃とかけ離れていないかをチェックします。
さらに、調べた物件の築年数がバラバラであれば、築年数順に物件を並べてみましょう。
前項と同様、条件が少し違うだけで賃料は異なるものの、「築年数による下落率」の参考値にはなります。この参考値を基に、将来的なキャッシュフローを計算することが可能です。
また、エリアの賃貸ニーズを調べて、自分が検討している物件はそのニーズに合致しているかを調べることも重要です。仮に、そのニーズとズレていた場合は、他物件と比べて魅力が劣る可能性があり、それは空室リスクにつながります。
まず、周辺物件と比較して仕様や設備のグレードをチェックしましょう。たとえば、セキュリティがハイグレードな物件が多い中、セキュリティレベルが低い物件であれば、それらの物件と競合したときに不利になります。
これは、「ネット無料」「エアコン付き」「床暖房付き」なども同じなので、周辺物件の仕様・設備は確認しておく必要があるのです。
次に、エリアに住まれている客層を調べましょう。調べ方は、たとえば賃貸物件をチェックして、どの広さの物件が多いか?を調べたり、行政のホームページを調べたりして、ひとり暮らしが人気なエリアなのか?あるいはファミリーに人気なエリアなのか?を調べましょう。
行政によって公表しているデータは異なりますが、たとえば東京都練馬区では行政のホームページから、町別に住んでいる人の数と年齢、そして性別が分かります。
賃貸借契約の1つにサブリース契約があります。サブリース契約は基本的に空室保証なので、オーナーにとっては魅力的に映るものです。
しかし、サブリース契約にはデメリットや注意点もあるので、その点をしっかり理解しておく必要があります。
サブリース契約とは、一般個人ではなくサブリース会社(不動産会社)と賃貸借契約を結び、そのサブリース会社は一般個人に又貸しするという仕組みです。
このように、一般的なサブリース契約はサブリース会社と賃貸借契約を結んでいるので、そこに入居者がいるかどうかは関係ありません。つまり、オーナーからすると「空室保証」されているというわけです。
そんなサブリース契約のメリットは以下の点です。
最も大きなメリットは、空室時も賃料を得られる点です。また、入居者が家賃を滞納してもオーナーはサブリース会社から賃料をもらうので、家賃滞納リスクも回避できます。
仮に、入居者がトラブルを起こしても、入居者と賃貸借契約を結んでいるのはあくまでサブリース会社です。そのため、オーナーはそのトラブルには巻き込まれません。
仮に、全12戸の一棟マンションを建築して、まるまる一棟をサブリースするとします。
サブリース契約していない場合には、12戸それぞれ別の人と契約する必要があるので手間がかかってしまうのです。
一方、サブリース契約していれば、賃貸人は一社なので契約時の手間も省けます。
一方、サブリース契約には以下のデメリットと注意点もあります。
サブリース契約は相場家賃の8割ほどまで賃料が下がります。というのも、サブリース会社が満額の賃料で借りてしまうと、サブリース会社に利益が出ないからです。
つまり、サブリース契約は空室保証があるものの、収益自体は小さくなるというわけです。
また、サブリース契約の家賃は見直しがあるので、その点は認識しておきましょう。一般的には2年の周期で家賃は見直しますが、サブリース契約を締結するときに、この「家賃下落」についてオーナーへ伝わっておらず、過去にトラブルが多発しました。
そのため、国土交通省が注意喚起をして、「将来的に家賃の見直しがあることをきちんと説明する」という旨の書面を出したほどです。
サブリース契約にも色々種類があります。たとえば、入居者募集の広告費はオーナーが負担したり、退去時の原状回復費用はオーナーが負担したり…という内容の違いがあります。つまり、契約内容によって支出額が異なるので、契約時は詳細を確認する必要があるということです。
また、サブリース契約を解除するときは、半年前に申し出るケースが多く、規定に違反すると違約金を発生する場合があります。そのため、前項の「支出面」に加えて、違約金と解約時の通知期間は必ず確認しておきましょう。
このように、不動産投資の空室対策は「エリア選定」「相場確認」「エリアの賃貸ニーズ」「サブリース契約に注意」という4点を理解しておきましょう。
これらの内容を踏まえて物件選びを行うことで、空室リスクの小さい物件を取得できるはずです。