融資・ローン

フルローンとは?不動産投資でフルローンを利用する時に知っておきたい5つのこと

2020/01/20
フルローンとは?不動産投資でフルローンを利用する時に知っておきたい5つのこと

不動産投資は、融資を活用して少ない自己資金で始められることが最も大きなメリットと言えるでしょう。

数年前の不動産投資ローンは金利が高く、審査基準も厳しかったのですが、マイナス金利実施によりサラリーマンの方でも受けられるようになりました。

また、資産価値が高い物件はなんと上限までフルローン融資を受けることができるようになりました。

しかし、昨年の金融機関の不祥事を受け、融資がどんどん厳しくなってきました。こちらの記事では、フルローンの定義から始め、最近の融資の動きまでまとめました。これから融資を利用したいと考えている方は、参考にしていただけますと幸いです。

フルローンの定義とは?不動産を購入する時にかかる諸経費は?

まず最初にフルローンの定義を知っておきましょう。

そもそもフルローンとは?

フルローンとは、物件の販売価格を全額にて融資受けられることを言います。

例えば物件価格2,500万円の場合、2,500万円の融資額がおりることがフルローンです。

不動産を購入する時にかかる諸経費は?

不動産を購入する時に、

  • 不動産売買契約書に添付する印紙
  • 固定資産税の清算金
  • 管理費・修繕積立金の清算金
  • (仲介不動産会社から購入する場合)仲介手数料
  • 不動産所得税

など、物件本体価格の8%前後の諸経費と呼ばれている費用を現金にて支払う必要があります。

例えば物件価格2,500万円のマンションを購入する場合、本体価格の2,500万円の他に、2,500万円☓8%=200万円の諸経費を支払う必要があります。

しかし、フルローンはあくまでも物件本体の金額で、この諸経費はフルローンに含まれていないこと認識しておきましょう。

フルローンのメリットとデメリット

では、フルローンを利用することによって、どのようなメリットとデメリットがあるのかも知っておきましょう。

フルローンのメリット

フルローンのメリットはなんと言っても少ない自己資金で、数千万円もする不動産を所有することができることです。

また、株やFXなどの金融商品とは異なり、スタートできる自己資金がないと始められない投資です。不動産投資はフルローンを利用することによって、物件金額の自己資金を貯めることなく始めることができるので、時間を有効利用することができると言えるでしょう。

フルローンのデメリット

フルローンのデメリットは、やはり返済額が大きくなることです。一般的には融資への返済は毎月の家賃収入から当てられることが多いので、返済額が多ければ利回りが下がってしまいます。

また、空室期間が出ると、ポケットマネーから返済に当てる必要がありますので、このような場合に備えて、ある程度の自己資金を持つ必要があります。

オーバーローンとは?フルローンとの違い

オーバーローンという言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。フルローンとの違いをみてみましょう。

オーバーローンは言葉通りに本来の金額をオーバーして貸すローンのことを言います。

上記にて2,500万円の物件を購入するときに、物件価格の2,500万円の他に200万円の諸経費がかかるという例を挙げましたが、物件価格2,500万円の融資を受けるのはフルローンで、200万円の諸経費も含めて、合計2,700万円すべて融資を受けるのがオーバーローンです。

オーバーローンの審査は非常に厳しくなっていて、初心者の方はなかなか難しいと言えるでしょう。

フルローンとオーバーローン

フルローンを受けるには?金融機関の審査基準とは?

では、金融機関は何を基準に融資審査をしているのでしょうか。以下にてその審査基準について書いていきます。

実はわかりやすく言えば、大きく2つです。

投資物件の資産価値

金融機関は貸したお金は絶対にかえしてもらうというスタンスで融資をしています。つまり万が一、名義人が返済できなくなった時に備えて、貸したお金をちゃんと回収できる物件なのかどうかを審査しています。

つまり、フルローンとして審査がおりる物件は、やはりその資産価値があるという判断になります。

中には、販売価格より低い評価が出る物件もあります。

その物件に対して、金融機関からすれば販売価格ほどの資産価値がないという判断になるのです。その場合、金融機関が出た融資額まで価格交渉をするか、そもそも購入することを辞めるかです。

金融機関の評価価格をぜひ一つの参考値にしてみてください。

名義人の属性

もう一つは名義人の属性です。この人は融資額をきちんと返済できるのかどうかを審査します。その時に有利になってくるのは

  • 会社の信用力
  • 勤続年数
  • 年収
  • 金融資産
  • 既婚
  • 親族の金融資産
  • などが条件になります。

なお、ここで注意していただきたいのは、フルローンの審査基準がおりたとしてもそのまま融資を受けるのではなく、その前にご自身の返済能力を知ることです。

金融機関から返済能力を高く評価してもらえるのは嬉しいことですが、この先のライフプランを知っているのは自分です。

  • 子どもがもうすぐ産まれるから今以上に出費が増える
  • 転職を考えているから今の年収より下がるかもしれない
  • 配偶者は仕事をやめる予定だから収入が減ってしまう

など、今できる返済額でも、支出が増えたときは返済が厳しくなるかもしれません。きちんと先のライフスタイル変更に合わせた返済シミュレーションを立てることが重要です。

「融資を受ける流れ」については別ページでも解説しています。そちらも参照してみてください。

関連記事:→銀行とのやり取りなど不動産投資の融資を受けるまでの流れ

不動産投資ローンが厳しくなった?融資の最新の動きは?

昨年の金融機関の不祥事をご存知な方も多いでしょう。正直その影響を受け、融資が厳しくなりました。

一棟投資物件の融資

一棟投資物件の融資はかなり厳しくなり、融資が出るのは積算評価が出る物件に限定しています。また、物件価格の3割前後の頭金も必須条件になっている金融機関がほとんどなので、購入できる方は自己資金があって、属性が高い方と一握りになりました。

そもそも、一棟投資物件の融資を扱う金融機関自体もかなり減ったと言えます。

区分マンション投資の融資

今年の前半までは区分マンション投資の融資はほとんど影響がなかったのですが、最近は、年収400万円だと融資がおりなくなり、年収が500万円以上ない人には厳しくなりつつであります。

とは言え、都内など立地がいいエリア、資産価値が高い物件であれば、フルローンがおりていますので、そのような物件を選ぶようにしましょう。

まとめ

今回は不動産投資のフルローンについて知っておきたい知識について書きましたが、参考になりましたでしょうか。

フルローンを利用することはメリットがあれば、デメリットもあります。ご自身の返済能力を知った上で、融資の判断するようにしましょう。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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