不動産投資をするときには、当然ながら不動産を購入するところからはじまります。
しかし、不動産は高額なので、取引の流れや注意点を知っておかなければいけません。
そこでこの記事では、不動産取引における一連の流れや、注意点を解説していきます。また、不動産の取引方法は3種類あるので、その点も合わせて解説していきます。
不動産投資の取引方法について知っておくべき1つ目は、不動産取引の流れである以下の点です。
上記の流れを3つのステップで解説していきます。
まずは投資の目的と最終目標を決めます。
たとえば、老後資金の蓄えのために不動産投資をするのか、今持っている資産を大きく増やすために不動産投資をするのかで、予算や取得する物件の種類が異なってきます。
そのため、まずは投資の目的を定め、ざっくりでも良いので月々の目標収益も定めましょう。そうすれば、購入すべき物件の予算が分かってきます。
もちろん、融資で実際におりる金額にもよりますが、大体ご年収の7倍前後と見ておきましょう。
不動産投資の目的と予算を定めたら、次は物件選びです。
まずはネットなどで実際に物件を検索してみて、そのエリアの相場感を養いましょう。その後に、不動産会社が主催するセミナーや相談会に参加するなど、プロである不動産会社から情報を得ます。
そうすることで、ネットでは得られなかったクローズドな情報を得ることができるからです。そして、気になる物件があれば積極的に現地確認をして、物件同士を比較することで、物件の良し悪しが分かってきます。
いくつか物件を見学して購入したい物件があれば買付申込みをします。
そして、その後に金融機関の審査をして、審査に通れば売買契約を結ぶという流れです。
色々なパターンがありますが、仮に買付申込みを複数受けるパターンであれば、買付を先に出した人が購入手続きを進め、ローン審査に承認すればそのまま契約します。
一方、ローン審査が否決になった場合、二番目に買付申込みをした人が購入交渉を進め流れになります。
そして、売買契約から数週間程度経ったら物件の引渡しを受けて、物件の取引完了です。
不動産投資の取引方法について知っておくべき2つ目は、以下の注意点が挙げられます。
(1)手付金の保証について
(2)瑕疵担保責任について
(3)レントロールについて
不動産投資の取引における1つ目の注意点は、手付金の保証に関する以下のことです。
手付金とは、売買契約時に不動産の購入金額の一部を、買主が売主に支払うお金のことです。手付金額の上限は決まっており、売買代金の20%となっています。
ただ、実際に売買代金の20%だと高額になるので、売買代金の数%~10%程度の手付金額に設定するのが一般的です。
たとえば、売買代金3,000万円の物件を購入するとき、売買契約時に買主が売主に300万円(10%)の手付金を支払ったとします。
その300万円はそのまま売買代金に充当されるので、買主は引き渡し時に残代金の2,700万円を支払えば良いということです。
手付金の保証とは、売主が不動産会社で買主が一般個人の場合のみの措置です。
そのため、不動産投資においては新築物件の購入、もしくは中古リノベーション物件の購入時などに適用される措置になります。
上述の通り手付金は契約時に支払うので、契約~引き渡しまでに万が一不動産会社が倒産して物件を引き渡せない状態になれば、売買契約は解除になります。しかし、会社の状況によっては手付金が返還できない可能性もあるので、そのようなときのために金融機関などに手付金を保証してもらうのです。
購入者の立場から気を付けなければいけないのは、以下のように一定金額以上でないと手付金の保証はされないという点です。
工事完了前の物件:売買代金の5%超、もしくは1,000万円超
工事完了後の物件:売買代金の10%超、もしくは1,000万円超
購入者の立場からすると、手持ち金を減らしたくないので手付金は低い方が良いでしょう。しかし、「手付保証されないのは不安」という方もいると思うので、上記の金額は頭に入れておきましょう。
不動産会社は手付保証するメリットがないので、ギリギリ手付保証が発生しない金額に設定することもあります。
そのため、購入者自身が上記の金額を理解し、リスクヘッジしなければいけません。
不動産投資の取引における2つ目の注意点は、瑕疵担保責任に関する以下のことです。
瑕疵担保責任とは、建物に何か瑕疵(≒欠陥)があったときに、買主が売主に補償などの責任を追及することです。
たとえば、引渡し後に雨漏りがしたり、設備不良があったりして、それが売主に責任であれば修理や修繕を売主に追及できるというわけです。
不動産を購入するときに注意しておきたい点は、売主が宅建業者かどうかによって瑕疵担保責任の期間が違うという点です。
売主が宅建業者の場合には、民法上は「買主が瑕疵を発見してから1年間瑕疵担保責任を追求できる」とされています。
また、宅建業法上でも引渡しから2年間は瑕疵担保責任が有効であり、新築物件においては「主要構造部分は引渡しから10年間」は瑕疵担保責任があります。
要は、売主がプロである宅建業者なので、買主保護の観点から瑕疵担保責任の期間は長く設定しているということです。
一方、売主が個人の場合には売主も買主もフェアな立場なので、瑕疵担保責任の期間は話し合って決めます。
実際には仲介会社が主導するケースが多いですが、一般的には「引渡しから半年~2年」と物件によりバラツキが大きいです。買主の立場からすると、瑕疵担保責任の期間は長い方が良いですが、売主は短い方が良いです。
そのため、落としどころが難しいですが、買主の立場からは特に築古物件を購入するときは、検討当初に希望を伝えておくと良いでしょう。たとえば、検討初期から買主に「瑕疵担保責任の期間は2年でお願いします」と言っておくなどです。
要は、はじめから瑕疵担保責任の期間も含めて交渉しておくことで、買主の希望の期間に促すということです。
そもそもレントロールとは賃借条件一覧表のことで、部屋番号や契約している賃料、敷金、契約年月日などの詳細情報が載っています。
そのレントロールは投資物件を見極める上で重要な資料になるので、以下の点を重視してチェックしましょう。
これらのことをチェックすることで、物件の収益性を見極めやすいですが、レントロールは見慣れない資料なのできちんとポイントを理解しておきましょう。
不動産投資の取引方法について知っておくべき3つ目は、不動産の取引方法は以下3種類あるということです。
(1)3種類の取引方法を解説
(2)どの取引方法がベストか?
不動産の取引方法は以下3種類あります。
仲介とは、売主と買主の間に不動産会社(仲介会社)が入る取引であり、不動産取引において最も一般的な取引といえるでしょう。
不動産会社と売主は媒介契約を結ぶことで、不動産会社は広告活動などを行い、物件の売却を進めていきます。
あくまで不動産会社は「仲介」しているに過ぎないので、売買契約自体は売主と買主間で締結して、不動産会社はサポートしているというイメージです。
販売代理とは、物件の所有者が売買契約に関われない場合、もしくは不動産会社や第三者に全権を委ねたい場合に利用する取引方法です。
販売代理を選択すると、物件の所有者と不動産会社、もしくは個人との間で代理契約を結び、その不動産会社や個人が売主代理となります。
そのため、仲介とは違い売買契約も代理人と買主間で結ぶという流れです。
売主売買とは、不動産会社などの業者が売主となって物件を売買することです。
たとえば、不動産会社が建築した新築物件を売ったり、物件を買い取ってリノベーションした中古物件を転売したりしたときに売主売買となります。
売主売買の場合は不動産会社から直接物件を購入するので仲介手数料はかかりません。
不動産取引においてどの取引方法がベストかというと、売主でも、販売代理で個人間の取引にならなければどれでも問題ありません。
販売代理の場合で、かつ一般個人が代理人となっている場合は「直接売買」になるので避けた方が良いです。
というのも、直接売買には以下のようなリスクやデメリットがあるからです。
このようなリスクは、最悪の場合は訴訟にまで発展するほど大きなリスクなので、不動産取引時は必ず不動産会社を間に入れる、もしくは不動産会社から購入するようにしましょう。
「不動産投資会社の選び方」等は下記カテゴリで解説していますので参照してみてください。
このように、不動産投資の取引方法に関しては、まず取引の流れを理解します。次に、手付金や瑕疵担保責任などの注意点を理解した上で取引に臨むことが重要です。
そして、3種類の取引方法を理解し、直接売買以外の「不動産会社を介する取引」を選択し、リスクを最小限におさえた取引を行うようにしましょう。