不動産投資の基本は、賃貸不動産を購入して、その物件から家賃収入を得ることです。しかし、賃借人には色々な人がいるので、賃貸物件を運営している期間にトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
そこでこの記事では、不動産投資における賃貸トラブルにはどのようなトラブルがあるのか?そのトラブルへの対策はあるのか?という点を解説していきます。
1つ目のトラブル事例は家賃滞納に関するトラブルです。
まずは、家賃滞納トラブルの内容を解説し、その後に対策について解説していきます。
不動産投資の基本は賃借人からの家賃収入です。その家賃収入がなくなってしまうと物件運営に関するランニングコストを、手持ち資金から捻出する必要があります。
特に、ローン支払いは高額になるケースが多いため、何か月も家賃を滞納されてしまうと、経済的に非常に厳しい状況に追い込まれる可能性もあります。
また、一度賃貸借契約を結んでしまうと、仮に家賃を滞納されても強制的に退去させるのは非常に難しいです。というのも、賃貸借契約の基になっている借地借家法は、賃借人に有利な法律だからです。
そのため、家賃を滞納されると家賃収入がなくなるだけでなく、退去に関して賃借人とトラブルになるリスクもあります。
このトラブルへの1つ目の対策は、家賃保証会社を付けることです。
家賃保証会社とは、賃借人が家賃を滞納したときに賃料を保証してくれる会社のことです。この会社を付けておくことで、家賃滞納時のリスクヘッジになります。
ただし、家賃保証会社を付けるときは以下の点を知っておきましょう。
保証会社を選ぶときには、これらの点に注意して選定することをおすすめします。
このトラブルへの2つ目の対策は、サブリース契約(空室保証)にするという点です。
サブリース契約とは、サブリース会社と賃貸借契約を結び、サブリース会社が第三者へ又貸しします。そのため、仮に入居者がいなくてもサブリース会社から賃料収入を得られるので、入居者が家賃を滞納しても問題ありません。
また、入居者と契約を結ぶのはサブリース会社なので、もしトラブルがあってもサブリース会社が責任をもって処理します。
ただし、サブリース契約には注意点があるため、詳しくは後述する「サブリース会社とのトラブル」で確認ください。
このトラブルへの3つ目の対策は、入居審査を厳しくすることです。
物件への賃付けは管理会社(仲介会社)に任せていることも多く、オーナーは最終的に賃貸借契約を結ぶかどうかの判断を形式上するだけ…というパターンも多いです。
しかし、そうなると実際は管理会社が賃貸借契約を結ぶか判断することになるので、空室率を改善するために審査が甘くなることもあります。
そのため、たとえば年収と賃料から計算する返済比率だったり、収入の安定性だったり、オーナー側から入居条件を厳しくすることも可能です。ただ、入居条件を厳しくするほど空室リスクは高まるので、その辺りのバランスを考えて設定しなければいけません。
2つ目のトラブル事例は、原状回復費用の支払いに関するトラブルです。
まずは、原状回復費用の支払いに関するトラブル内容を解説し、その後に対策について解説していきます。
そもそも原状回復費用とは、賃借人が退去するときの補修費用のことを指します。
一般的には、賃借人が入居するときに敷金を預かっておき、その敷金から「賃借人が負担すべき原状回復費用」を徴収するという仕組みです。
仮に、敷金で賄えないときには、足りない分を賃借人に別途徴収します。
ただし、原状回復費用については賃借人が納得し、書面に署名・捺印しないと徴収することができません。そのため、原状回復費用に賃借人が納得しないで、費用を支払わないのが「原状回復費用の支払いトラブル」になります。
原状回復の支払いトラブルへの対策1つ目は、賃貸借契約を結ぶときに別紙で経年劣化について説明することです。
そもそも、室内が経年劣化した分の原状回復費用はオーナー負担であり、賃借人の故意・過失による原状回復費用は賃借人の負担です。
言い換えると、「どこまでが経年劣化か?」を賃借人へきちんと説明することで、賃借人は自分が原状回復費用を負担するケースが分かるでしょう。自分が負担するケースが分かれば、賃借人が原状回復費用を支払わないというトラブルを防ぐことができます。
対策2つ目は、特約を結び退去時の費用を定額にするということです。
具体的には、「退去時の室内清掃費用として1㎡当たり2,000円を支払う」などの特約を、賃貸借契約と一緒に締結することです。
というのも、上述のように経年劣化部分はオーナー負担であることが、国土交通省の資料により明確に定義されているので、原状回復費用はオーナーが大部分負担するケースが多いです。
そのため、必ず発生する清掃料金だけは、賃借人から徴収することでオーナーの負担を和らげることができます。
対策3つ目は、敷金を必ず預かることです。上述したように、敷金は原状回復費用を補填するための費用でもあります。
ただし、入居時のハードルを下げるために、「敷金ゼロ」にすることもあり、そうなると原状回復費用を徴収するハードルが上がるのです。
そのため、よほど大きな空室リスクを抱えていない限りは、敷金は必ず預かるようにしましょう。
3つ目のトラブル事例は近隣住民とのトラブルです。
まずは、近隣住民とのトラブル内容を解説し、その後に対策について解説していきます。
近隣住民とのトラブル事例とは、具体的に以下のような事例です。
共用部のルールとは、たとえば駐輪場で所定の場所に停めなかったり、禁止されているにも関わらずバルコニーで喫煙したりすることです。
また、公序良俗に反する行為とは、簡単にいうとモラルの低い行為です。たとえば、深夜や明け方などに「音がうるさい」などが典型例といえるでしょう。
これらのトラブルがあると、近隣住民から管理会社や入居者に直接連絡がいき、その後オーナーの耳に入ることもあります。そして、入居者に是正を求める連絡をしたり、最悪の場合には退去命令を出す必要があったりします。
近隣住民とのトラブルへの対策は、賃付け業者をきちんと選定することです。というのも、上述したように基本的には賃付け業者が賃貸借契約を結ぶかの判断をするため、その業者によって入居者の質は変わってきます。
賃付け業者を選定する際のポイントは以下です。
まず、店舗数が多ければ集客力があるので、無理にモラルの低い方と賃貸借契約を結ぶ必要がありません。
ただし、店舗数が多いといっても全く別のエリアに店舗があっても意味はなく、そのエリア周辺に店舗が複数あるのが理想です。そうなると店舗間で顧客を紹介し合えるため、さらに集客力は増しモラルの高い顧客と契約することが可能です。
また、上述した対策と同様、近隣住民とのトラブルにも「入居審査を厳しくする」という対策は効果的です。
ただし、今回は「モラル面」での見極めになるため、年収や勤務先などではなく「人柄」に寄った判断になります。そのため、やはり最も重要なのでは前項の「賃付け業者の選定」といえるでしょう。
4つ目のトラブル事例は、サブリース会社とのトラブルです。
まずは、サブリース会社とのトラブル内容を解説し、その後に対策について解説していきます。サブリースの仕組みは上述している通りなので割愛します。
サブリースは空室時も家賃(保証家賃)をもらえますが、その保証家賃は定期的に減額されます。しかし、サブリースは「30年保証」などと謳っているケースも多く、その文言を見た人が「年間保証家賃は変わらない」と勘違いしているケースが多いです。
ただ、実際には保証家賃は2年ごとに見直しされ、減額していく会社も非常に多く、その点に関するトラブルが多いです。
1つ目の対策は、保証家賃は減額されることを理解しましょう。
保証家賃が減額されることを理解していないオーナーが多く、トラブルが多発しました。その結果、国土交通省が「サブリース契約に関するトラブルにご注意ください!」という資料をリリースして注意喚起したほどです。
このことから、まずは減額される旨を「理解する」ことが対策になります。
次に、保証家賃が減額されることを前提に、収支シミュレーションを策定することです。
保証家賃の減額率は読めませんが、サブリース会社にヒアリングしたり、周辺物件の築年ごとの家賃を調べたりすることで予測はできます。
その減額分も加味した上で、長期的スパンで収支シミュレーションしても黒字になるのであれば、このトラブルに対してはリスクヘッジできています。
「不動産投資におけるトラブル」は下記で解説していますので参照してみてください。
不動産投資をしていると賃貸トラブルに巻き込まれることもあるでしょう。
大事なのは、トラブルに巻き込まれないように、事前にトラブル事例と対策を知っておくことです。それにより、トラブルへのリスクヘッジができます。