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不動産投資を行う際に連帯保証人は必要?保証会社に依頼することはできる?

筆者: 八木 チエ融資・ローン
2019/11/012019/11/05

連帯保証人という言葉は皆さんご存知のことと思いますが、具体的にはどのような存在であるかを正しく認識されていない方も少なくないでしょう。不動産投資を行う際には、連帯保証人を立てる必要が出てくるケースもあります。

ここではそもそも連帯保証人にはどのような保証をするのか、連帯保証人が必要なケース、などについて詳しく解説していきます。

1.連帯保証人とは

不動産投資を行う場合に限らず、銀行などの金融機関からお金を借りる場合に連帯保証人を立てることを条件にされるケースがあります。

このような場合の連帯保証人とは、金融機関からお金を借りている人が返済を行えなくなった場合に代わりにローンなどの返済を行う義務を負う人のことをいいます。

しかし、似たような立場に「保証人」というものがあります。この保証人と連帯保証人には、どのような違いがあるのでしょうか。

保証人には3つの権利があり、それを行使することで債務の支払いを免れたり、減額することができたりしますが、連帯保証人は債務者と同じ責任を負うため、これらの権利はありません。

この保証人と連帯保証人の違いについて、次の章で詳しく解説していきます。

2.保証人と連帯保証人の違い

ここでは、保証人と連帯保証人の違いについて解説していきます。


(1)保証人とは

保証人は、不動産投資用ローンなどを借りている債務者が、その返済ができなくなった時に代わりに返済する義務を負う人のことをいいます

したがって、債務者が不動産投資用ローンの返済を行うことができなくなった場合には、債務者に代わってローンの支払いをすることになります。しかし、保証人には以下3つの権利が認められています


①催告の抗弁権

銀行などの金融機関が不動産投資用ローンの返済を保証人に求めてきた場合、保証人には「まず、不動産投資用ローンを借りている人(債務者)に返済を要求してください」と主張する権利があります。これを催告の抗弁権といいます


②検索の抗弁権

不動産投資用ローンを組んだ本人が、返済能力(資力)があるにもかかわらずローン返済を拒否した場合に、保証人が代わって金融機関からローンの返済を求められても保証人は代わって返済を行う必要はありません

このような場合には、ローンの契約者に返済能力(資力)があることを理由として、金融機関にローン契約者の財産に対して強制執行を行うよう主張することが可能です。これを検索の抗弁権といいます。


③補充性

不動産投資用ローンの契約者に返済能力がなく、保証人が代わって返済をしなければならなくなった場合、もし複数の保証人がいればローンの残債を保証人の頭数で割った金額を返済することになります。これを補充性といいます。


(2)連帯保証人とは

連帯保証人は、不動産投資用ローンの契約者(債務者)が、ローン返済ができなくなった場合に、代わってローン返済を行わなければならないという点においては、保証人と同じです。

しかし、大きく異なる点は保証人が持つ3つの権利を連帯保証人は持っていないという点です。

つまり、金融機関等がいきなり連帯保証人に対してローン返済を請求してきた場合や、ローンの契約者に返済能力があるにも関わらず返済を拒否している場合、どちらの状況においても連帯保証人はローン契約者に代わってローンの残債を支払う責任と義務があります。

また、何人連帯保証人がいてもローンの残債を頭数で割らずに、一部の人または一人が全額支払うことになる可能性もあります。

このように「連帯」という言葉が頭に付くだけで、その責任と義務は大きく異なってきます。不動産投資用ローンを組む際に保証人又は連帯保証人を立てる場合には、この二つの違いをしっかりと理解しておきましょう。


3.連帯保証人になりえる人の条件とは

不動産投資用ローンを組む上で、連帯保証人に求められる条件とは、借入対象不動産の共有者や法定相続人であることです。一般的には、配偶者が連帯保証人になることがほとんどです。

借入対象不動産の法定相続人は、ローンが残った状態で不動産投資用ローンの契約者に万が一の事態が起こった場合に、ローンが残った状態の借入対象不動産の相続放棄を行うことができます。

相続放棄をされてしまうと融資を行った金融機関は貸付金を回収することができなくなります。

しかし、法定相続人が連帯保証人になっていれば、ローンの契約を行った人が生きているときに結んだ契約はその死後も有効であるため、たとえ相続放棄をしてもローンの返済義務は変わらず連帯保証人が負うことになり、貸し倒れを防ぐことが可能です。

ですので、配偶者などの不動産経営事業を継承する見込みがある法定相続人を連帯保証人に立てるよう求められることが多くなります。また、借入対象物件の共有者は、ローン契約者の死後もその物件の所有権が無くなることはありません。

不動産投資事業を引き継いでローンの支払いを続けていくことができると考えられるため、連帯保証人になることが求められるのです。


4.どのような場合に連帯保証人が必要となるのか

では、どのような場合に連帯保証人を立てることを求められるのでしょうか。ここでは、連帯保証人を立てることを求められることが考えられる条件について解説していきます。


(1)勤務先の会社が小規模である

不動産投資用ローンの契約者が勤務する会社の規模が小さい場合に、連帯保証人を立てることを求められることがあります。その理由は、勤務先の規模が小規模であると、倒産のリスクが高まるためです。

不動産投資用ローンの審査内容には、ローン契約者本人の年収に関する項目があることがほとんどですが、その年収が安定的に続く可能性が低いものであれば、金融機関側のリスクも高まります。

そのため、勤務先が小規模である場合には、金融機関側から連帯保証人を立てることを求められるケースがあります。


(2)勤続年数が短い

勤務先の規模が小さい場合と同様に、大きな会社に勤務している場合でも勤続年数が短いと、連帯保証人を立てるように求められることがあります。

これもローン契約者の年収がその後安定的に維持・または上昇していくかどうかが分からないため、金融機関側の貸し倒れのリスクが高まるためです

このような場合にも、金融機関側から連帯保証人を立てることを求められることがあります。


(3)返済比率に達していない

返済比率とは、家賃収入に対して金融機関への不動産投資用ローンの返済額が占める割合のことをいいます。不動産投資では、この返済比率が50%までの場合に安全な返済比率であると考えられています。

この返済比率が50%を超える場合は、金融機関側からリスクが高い不動産投資であるとみなされるため、連帯保証人を立てることを求められることがあります。


(4)物件自体の価値や収益性が低い

借入対象不動産自体の価値や収益性が低い場合には、金融機関側からリスクが高い不動産投資であるとみなされるケースがあります。

物件自体の価値が低いと金融機関側がその物件を担保にしていた場合、ローン契約者が不動産投資に失敗しローン返済ができなくなったときに、金融機関側が物件を売却して貸出金額と相殺しようとしても、マイナスになる可能性が出てきます

また、収益性が低い物件である場合にも、ローン契約者の手元に残る現金が少なくなり、不動産経営が破綻する可能性も高くなります。

このような理由から、物件の価値や利益率が低い場合には、金融機関側から連帯保証人を立てることを求められる可能性があります。


5.連帯保証人を立てるメリットとデメリット

不動産投資用ローンを組む際に連帯保証人を立てた場合、メリットとデメリットがあります。ここでは、そのメリットとデメリットについて解説していきます。


(1)メリット

不動産投資用ローンを組む際に、連帯保証人を立てることで得られるメリットは以下の通りです。


①低い金利でローンを組むことができる

不動産投資用ローンを組む際に、連帯保証人を立てることで金利を下げることができる場合があります。

これは、連帯保証人の属性によるもので、配偶者又は子供であり、事業継承見込みがあり、かつ連帯保証人の勤務先や年収、勤続年数などの属性が高い場合に金利が安くなる可能性があります。


②収入がある配偶者を連帯保証人にした場合収入が合算されるため融資の審査に通りやすい

収入がある配偶者を連帯保証人に立てた場合、夫婦の収入の合計額で銀行の融資の審査が行われます。そのため一人の収入では不動産投資用ローンの審査に通りにくい場合でも、夫婦の合計収入で不動産投資用ローンの審査が行われるため、審査に通りやすくなります。


(2)デメリット

不動産投資用ローンを組む際に、連帯保証人を立てることで得られるデメリットは以下の通りです。


①連帯保証人になってくれる人を見つけることが困難な場合がある

連帯保証人という言葉自体に抵抗感を持つ人が多い点が一般的なので、連帯保証人になってもらうことができる人を見つけることが困難な場合があります。それがたとえ配偶者や子どもであっても、難しいことも考えられます。


②連帯保証人のリスクを下げるために十分な自己資金を用意しておく必要がある

連帯保証人になるということは、ローン契約者と同じ責任と義務を負うことなので、大きなリスクが伴います。そのような連帯保証人のリスクを軽減するためにも、なるべく多額の自己資金を準備しておく必要があります。

不動産投資を行う際に多額の自己資金があれば、ローンの借入額を低く抑えたり、空室などにより家賃収入が低い時期がある程度続いても自己資金から補填したりすることができるため、ローン契約者本人と連帯保証人のリスクを低く抑えることができるからです


6.連帯保証人を立てる代わりに団体信用生命保険を利用できる

不動産投資用ローンを組む人の年齢などの条件によっては、団体信用生命保険に加入することで連帯保証人を立てる必要がなくなるケースがあります。

団体信用生命保険とは、ローン契約者に万が一の事態が起きた場合に、ローンの残債をローン契約者に代わって全額支払ってくれるというものです。

連帯保証人になってくれる人が見つからない場合には、団体信用生命保険への加入を検討してみることをお勧めします。


7.団体信用生命保険を利用する場合のメリットとデメリット

団体信用生命保険に加入する場合には、メリットとデメリットがあります。ここではそのメリットとデメリットについて解説していきます。


(1)メリット

団体信用生命保険に加入するメリットは、以下の3点です。


①連帯保証人を立てる必要がない

連帯保証人になってくれる人を探すのは、非常に困難です。また、連帯保証人になりえる人は金融機関によっては配偶者や子供などに指定されていることもあります。

そのような人たちに連帯保証人になってもらうことが困難な場合でも、団体信用生命保険に加入することで、連帯保証人なして不動産投資用ローンの借り入れを行うことができます。


②自分に万が一のことがあっても相続人にローンなしの物件を残すことができる

団体信用生命保険に加入していれば、不動産投資用ローン契約者が死亡した場合にローンの残債をすべて保険会社が支払ってくれます。そのため、相続人にローンのない投資用物件を残すことができます。


③自分が重度障害を負った場合にはローンの残債が無くなり、家賃収入を生活の糧にできる

団体信用生命保険は、不動産投資用ローンの契約者が死亡した場合以外に、重度の障害を負った場合でも保険会社がローンの残債を支払ってくれます。

そのため、重度障害で就労が困難になった場合でも、家賃収入を生活の糧とすることができます。


(2)デメリット

団体信用生命保険に加入するデメリットは以下の2点です。


①自分が死亡した場合に不動産投資用ローンの残債がゼロになるため相続税対策の効果が低くなる

団体信用生命保険に加入している場合に不動産投資用ローンの契約者が死亡すると、保険会社がローンの残債を支払ってくれます。

しかし、無残債の不動産を相続することによって、その残債を相続全財産から負債として差し引くことができないため、相続税が増える場合があります。

とは言え、現金などの金融商品で相続するより、不動産で相続した方が税金を低く抑えることができますので、トータルで計算してみることが重要です。


②不動産投資用ローンの金利が高くなる

団体信用生命保険の保険料は、月々支払うのではなく、金利に上乗せされます。なので、団体信用生命保険に加入すると金利が高額になる点がデメリットであるといえます。


まとめ

ここまで、不動産投資を行う際の連帯保証人の役割や、連帯保証人になってもらうことができる人の条件、連帯保証人を立てる場合のメリットとデメリットなどについて解説してきました。不動産投資を行う際の連帯保証人の役割についてお分かりいただけたと思います。

また、連帯保証人を立てることが難しい場合には、団体信用生命保険を利用することで連帯保証人なしで不動産投資用ローンの借り入れを行うことも可能です。

連帯保証人を立てる場合には、その役割について相手にきちんと理解してもらったうえで連帯保証人になってもらうようにしましょう。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ不動産プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。