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不動産投資における駐車場経営は儲かる?メリット・デメリットを含め徹底解説

2022/03/29
不動産投資における駐車場経営は儲かる?メリット・デメリットを含め徹底解説

不動産投資の方法の一つに、駐車場経営というものがあります。一口に駐車場といっても、更地にロープを使って区画を区切った簡易な整備で行うことができる駐車場から、ビルタイプのコインパーキング又は月極駐車場まで、その種類はさまざまです。

ここでは、不動産投資を行うための駐車場の種類や方法、その利回りやそれぞれのメリット、デメリットについて詳しく解説していきます。

不動産投資における駐車場経営とは

不動産投資における駐車場経営には、主に所有している土地を有効活用するものと、駐車場経営を行うために土地を購入して行うものの二つがあります。

利益率が高いのは、圧倒的に土地の取得資金が必要ない、所有している土地を活用する方法です。駐車場経営は、不動産投資の中で比較的簡単に始められる種類と言われています。

しかし、特にコインパーキング経営はアパートやマンションを購入して貸しだす方法による不動産投資とは全く異なる性質のものです。その理由は、コインパーキングがある場所の認知度が上がると、売り上げが増えること。認知度が上がっても立地が悪ければ、ほぼ売り上げが望めないことなどがあります。

また、月極駐車場の場合には借地借家法の適用外であるため、居住用不動産投資とは異なり貸主側から一方的に契約を破棄することも可能です。

このように、一般的な不動産投資の方法であるアパートやマンション経営と比べても、適用される法律が異なったり、高い賃料を得るための条件が全く異なったりする点が、不動産投資における駐車場経営の特徴であるといえます。

また、駐車場経営は月極駐車場とコインパーキング、どちらの方法であっても立地が得られる収益を大きく左右する条件となります。もちろん、月極駐車場とコインパーキングでは適している立地は異なります。

そのため、駐車場経営を行おうとしている土地が、どちらの駐車場経営に向いているかをしっかり見極めなければなりません。不動産投資における駐車場経営は、アパートやマンション経営とは全く異なった特徴を持った不動産投資です。

次の章では、この駐車場経営のメリットとデメリットを解説していきます。

駐車場経営のメリットとデメリット

ここでは駐車場経営のメリットとデメリットを解説していきます。

メリット

駐車場経営を行う際のメリットには、以下のようなものがあります。

①初期費用がアパート・マンション経営よりも少額で済む

駐車場経営を始める場合の初期費用には、経営する駐車場のタイプによって大きく初期費用が異なります

最も費用が掛からない平面タイプの月極駐車場の場合、最低限必要になるのは敷地を覆うバラス(砂利)、一台分のスペースを区切る黄色と黒の標識ロープとそれを固定するための杭のみです。

この場合、駐車場の広さにもよりますが数万円から数十万円の初期費用で駐車場経営を始めることが可能です。

なお、この場合は既に土地を所有していて、土地活用のケースを想定しています。

②不動産投資用の物件の建設が困難な狭小地や変形地でも活用することができる

駐車場経営は、不動産投資用の居住用物件の建設が困難な狭小地や変形地でも行うことができます。車を2台から3台止めることができるスペースがあれば、平面タイプの駐車場経営が可能です。

また、広い土地であっても不動産投資を行うための居住用物件を建てづらい、または法的に建築ができない土地を駐車場として活用し、利益を上げることも可能です。

③その土地を別の方法で利用したくなった時に更地に戻しやすい

所有している土地を数年後に駐車場以外の用途で利用したいので、その時までのつなぎとして駐車場経営を行うというケースもあります。このように、駐車場経営は始めやすく、辞めやすいという点もメリットの一つです。

不動産投資を行う場合に居住用の物件を運用した場合、借地借家法の制限を受けるため、入居者に簡単に退去してもらうことはできません。

しかし、月極駐車場の場合は借地借家法の適用外であるため、貸主からの通告で比較的簡単に賃貸契約を打ち切ることができます

コインパーキングの場合には、そもそも長期間にわたる利用者がいないため、極論すれば駐車場経営を辞める決断をした翌日から、経営を辞めることも可能です。

このように、駐車場経営が軌道に乗らなかったり、駐車場として利用している土地を他の用途に利用しようとしたりした場合に、すぐに駐車場経営を辞め、更地に戻すことができるという点が駐車場経営のメリットとなります。

④立地に適した用途を決めることで土地の有効活用が可能

土地の立地により適した駐車場の用途は異なります。現在では一般的な家庭でも、一家で2台以上の車を所有することも珍しくなく、そのため住宅街では月極駐車場のニーズが高くなります。繁華街では専用駐車場を持つお店が少ないため、車で買い物などに訪れる客が駐車するためのコインパーキングのニーズが高まります。

そのため、駐車場経営を行いたいと思っている土地の立地に合わせて、駐車場の種類を決めることで高い利回りが期待できます。

⑤居住用不動産投資に比べて維持・管理が簡単

居住用不動産を経営する場合には、維持・管理に非常に手間と費用が掛かります。管理は管理業者に委託することが多く、その費用が必要になります。また、設備が故障した場合にも修繕費用が必要になるため、自己資金をプールしておくことも必要です。

しかし、駐車場経営の場合は居住用不動産経営に比べて、設備が単純なケースが多いのが特徴です。管理や維持、修繕にかかる費用や手間も、居住用不動産経営に比べて低額かつ簡単である点がメリットです。

そのため、プールしておく自己資金も居住用不動産に比べて低額でも問題ありません。

デメリット

駐車場経営のデメリットには、以下のようなものがあります。

①税制上の優遇措置がない

駐車場経営を行う上で、駐車場は平面タイプであれば、更地と同様の固定資産税や相続税がかかります。節税目的で始めるには向いていない、不動産投資法であるとも考えられます。

また、減価償却費の計上金額が少額であるため、所得税が増える可能性もあります。

②土地を購入して不動産経営を始めた場合実質利益が低い

所有している土地で駐車場経営を行う場合は土地の購入代金がかからない分、利益を上げやすいです。

しかし、土地を購入してから不動産投資を始める場合、金融機関への返済金額が多額になるため高い実質利回りを実現することは困難になります。

駐車場経営の種類

ここでは駐車場経営の種類について解説していきます。

月極駐車場

月極駐車場とは、1か月あたりの1台分の賃料を設定し、1か月単位で貸し出す駐車場のことをいいます。月極駐車場の主な設備の種類と、メリット・デメリットは以下の通りです。

①月極駐車場の種類

月極駐車場には、平面タイプビルタイプがあります。ビルタイプには車が自分でビル内を走行し指定の場所に駐車する自走式と、最低階でゴンドラに乗せてビル内に収納する機械式があります。

月極駐車場はコインパーキングの一部を月極駐車場として貸し出しているケースもあります。平面タイプの月極駐車場は、数台の車しか入らない狭い面積の土地でも始めることが可能です。

②月極駐車場のメリットとデメリット

月極駐車場のメリットは、1か月ごとに賃料が設定されているため、比較的安定した収入を得ることができる点です。また、小規模な平面タイプの月極駐車場であれば、管理を管理会社に任せる必要がなく、自分で管理することも可能なため、管理会社に委託する必要もありません。

デメリットとしては、コインパーキングに比べて利益率が低いケースが多い点が挙げられます。

コインパーキング

コインパーキングは、時間など時間を区切って短時間駐車場を貸し出す経営方法の駐車場です。時間の区切り方は10分単位であったり、1時間単位であったりと駐車場により異なります。

近年では、例えば一時間当たりの料金が300円であっても12時間の駐車まで1,000円などといったように、いわゆる「打ち止め料金」を設定しているコインパーキングも増えてきています。

①コインパーキングの種類

コインパーキングの設備の種類は、月極タイプの駐車場の設備に加えて平面タイプの駐車場には、フラップ版または料金支払いゲートが設置されているものがあります。

また、平面タイプの場合でも舗装が必要になります。平面タイプの場合でもコインパーキングは、月極駐車場より高額な初期費用が必要です。ビルタイプの場合でも料金精算の設備が必要になるため、初期費用は月極駐車場に比べて高額になります。

②コインパーキングのメリットとデメリット

コインパーキングのメリットは、コインパーキングを経営している業者に、土地のみを貸し出して利益を出すことも可能な点です。このような業者に土地を貸しだすことで、毎月安定した収入を得ることができ、設備の設置に必要な初期費用を抑えることが可能です。平面タイプのコインパーキングの場合には土地の用途を変更したいときに更地に戻しやすいというメリットもあります。

自分でコインパーキングを経営する場合には、日によって利用率が異なるため収入が安定しないというデメリットがあります。もちろん立地が良い場所でコインパーキングの経営を行えば、その分高収入を得ることができますが、立地が悪いと低い収入しか期待できません。

また、フラップ版や料金所のポールを意図的に破損して不正利用を行われることによる料金のロスが発生する可能性もあります。

立地に合った用途の駐車場を見極める必要がある

駐車場経営は、立地に適した種類の駐車場を経営することが、駐車場経営を成功させるための大きなウエイトを占めています。そのため、駐車場経営を行おうとしている土地に月極駐車場とコインパーキング、どちらのニーズが高いかをしっかりと見極め、駐車場経営を始めるようにしましょう。

駐車場経営の賃料や利回りはどれぐらい?

駐車場経営を行う場合には、どの程度の利回りが期待できるのでしょうか。ここでは月極駐車場とコインパーキング、それぞれの利回りを解説していきます。

月極駐車場

月極駐車場の一台当たりの賃料は政令指定都市で1万円から3万円、東京都心では5万円程度になります。利回りは平均では4%程度ですが、土地が自分のものであれば管理費用や固定資産税などの維持費を差し引いても50%以上の利回りを得ることも可能です。

コインパーキング

コインパーキングの平均的な稼働率は50%程度ですが、立地が良い好物件の場合は70%程度になることもあります。コインパーキングの場合でも、平均的な実質利回りは4%程度ですが、設備や立地、料金設定の工夫により20%の実質利回りを実現することも可能です。

少額の資金を駐車場投資として運用することも可能

コインパーキングを利用した、小口の不動産投資の方法もあります。それはコインパーキングの土地と建物を小口の出資者で共同所有し、リース会社に一括借り上げしてもらうことで、賃料を出資した割合に応じて受け取るというものです。

この方法で駐車場投資を行うことの一番のメリットは、駐車場投資を少額で始めることができ、金融機関からの借り入れの必要がないという点にあります。

また、この投資を始めるためには通常の駐車場経営を始める場合よりもさらに低額の資金で始めるため、大きな利益を期待することはできませんが、損失が出ても少額で済みます

このような少額の不動産投資には、ロボアドバイザーというサービスもあります。このサービスを利用するとプロに資金を運用してもらうことが可能なため、初心者にも始めやすい駐車場投資の方法であるといえます。

まとめ

ここまで、不動産投資における駐車場経営とはどのようなものなのかということ、駐車場経営には月極駐車場とコインパーキングの2種類の方法があること、それぞれの駐車場経営のメリットとデメリットについて解説していきました。

ここまでご覧いただき、不動産投資の方法の一つである駐車場経営についてお分かりいただけたと思います。駐車場経営を行う場合に一番注意すべき点は、その土地の立地と、立地に応じた駐車場経営の方法を選ぶことです。

なお、駐車場経営を行う土地を購入して駐車場経営を始めた場合には利回りが低いため、所有している土地の有効な活用法としての駐車場経営にメリットが多いということも頭に入れておきましょう。

また、駐車場経営初心者には、小額の資金から始められる駐車場投資もあるため、駐車場経営に自信がない人や、投資初心者にはそのような方法で駐車場経営を行うことも可能であることを知っておくようにしましょう。

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八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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