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アパート経営とは?アパート経営のメリットやリスク、必要な資金を解説

筆者: 八木 チエ不動産投資物件選び
2019/11/08

アパート経営を始めたいものの、何からすべきか分からなかったり、失敗したりするリスクが怖いことを理由に一歩を踏み出せない方は多いのではないでしょうか?

アパート経営を成功させるには、必要な資金やリスク、生じる税金などについて幅広くの知識を知っておく必要があります。

この記事では、アパート経営を成功させる上で知っておくべき7つのポイントをわかりやすく解説します。

1.アパート経営とは?アパート経営ではどんなメリットを得られるの?

アパート経営とは、一体どのようなものなのでしょうか?この章では、アパート経営の概要とメリットをお伝えします。


1)アパート経営の概要

アパート経営とは、購入・建設したアパートを第三者に賃貸することで収入を得るビジネスモデルです。

実際に経営するにあたっては、管理業者に委託するか、自身で賃貸経営を行うか、自身の状況に合わせて選びます。

なお、アパート経営は入居者募集、建物管理、定期点検、建物修繕、入居者トラブル対応など多岐に渡るため、専業大家以外の場合、管理会社に管理を依頼するケースがほとんどです。


2)アパート経営を行うメリット

アパート経営を行う最大のメリットは、自身が働く代わりにアパートを賃貸に出すことによって安定した収入を毎月得られる点です。

たとえ疾病や事故で働けなくなっても、入居者がいる限り収入を得つづけることができます。また、家賃収入を得ることでキャッシュフローが良くなる点もメリットの一つです。

区分マンションと比較して、アパート経営の場合は複数の部屋がありますので、例えば1部屋8万円で6部屋があれば、月間48万円の家賃収入を得ることができます。

また、区分マンションの土地は持ち分による所有の仕方ですが、アパートは土地も含めすべて自分所有になります。

一般的にはアパートは木造の場合が多く、木造物件は大体20年前後で建物自体の評価がされなくなります。しかし、たとえそうなったとしても、土地の評価が残りますので、資産価値がゼロになることがないことも、アパート経営のメリットと言えるでしょう。

そして、アパート経営は一人のオーナーが所有するため、オーナーの意向でリフォームなどができる点もアパート経営の魅力と言えます。

物件の老朽化などに合わせて、必要なリフォームを行うことによって、利益率の改善が期待できます。


2.アパート経営に潜むリスクとは?

成功談ばかりが取り上げられるアパート経営ですが、さまざまなリスクが潜んでいます。

アパート経営には多くのリスクを伴うので、やみくもに行うと取り返しのつかない失敗に陥る可能性もあるので注意しましょう。


1)初期費用が大きい

アパート経営における最大のリスクは、初期投資の金額が大きい点です。

1,000万円前後から始められる区分マンション投資とは違い、アパート経営では土地の購入や建物の購入(建設)などで億単位にかかる物件もあります。たとえ物件価格はすべてローンを利用することができたとしても、

  • ≫ 登記費用
  • ≫ 融資に関する手数料
  • ≫ 仲介手数料
  • ≫ 固定資産税などの税金精算
  • ≫ 不動産所得税

など、おおよそ物件価格の8%前後の初期費用がかかります。1億円の物件の場合、800万円の初期費用がかかるという目安です。

初期投資が非常に大きいからこそ、建物選びやターゲット顧客の選定などを入念に行うことで、失敗するリスクを1%でも減らすことが不可欠です。


2)部屋が埋まらない

アパート経営は、入居者からの家賃があるからこそ安定的に続けられるビジネスモデルです。

つまり部屋が埋まらないと、その分収益を得られないわけです。たとえ部屋が埋まらなくても、建物の維持や借入金の返済などで毎月費用がかかります。つまり、部屋が埋まらずに十分な収益を得られないと、赤字によって自身の生活が苦しくなる可能性があります。

空室を避けるためには、まず賃貸ニーズがあるエリアにある物件で相場の家賃設定をすることが重要です。それから競合物件と差別化するには、1か月のフリーレントをつけることや、必要に応じてリフォームなどを行うことも重要と言えるでしょう。


3)入居者が家賃を払ってくれない

たとえ空室がなくても、入居者が家賃を払ってくれなければ資金繰りは悪化します。

空室がある場合とは違い、家賃の滞納はある日突然始まる可能性があるので注意しなくてはいけません。予期せぬ家賃の未払いによって、資金繰りが狂ってしまうリスクは少なからず存在します。

アパート経営の続行が困難となるリスクを抑えるためにも、本人の審査基準を厳しくする、連帯保証人は必ずつける、保証会社を利用するなどにより家賃の滞納リスクに備えましょう。


4)突発的な自然災害が生じる

突発的に生じることといえば、火事や地震といった自然災害もアパート経営にとって大きなリスクです。

自然災害のリスクはどうあがいてもゼロにはできないため、発生した際の損失を軽減する施策が求められます。

具体的には、火災保険や地震保険に加入して損失の一部を補填することが有効な施策です。また、少しでも損失を減少するには、地盤の強いエリアを選ぶなども有効な対策と言えるでしょう。


5)入居者の間でトラブルが発生する

アパート経営に潜む5つ目のリスクは、入居者間のトラブルです。

例えばゴミの問題や騒音問題など、他人同士が同じ建物に住む以上いろいろな問題が起こり得ます。多少文句を言い合うだけなら良いですが、業を煮やして住人が引っ越してしまうと、家賃収入が減ってしまいます。

最悪の場合、傷害事件などが発生すると経営するアパート自体の評判が落ちてしまいます

収入減少などのリスクを減らすには、いち早くトラブルに対処し、火種が大きくならないように善処しなくてはいけません。

また、入居者の審査基準を厳しくすることも重要です。どんな会社に務めているのか、安定した収入があるかどうか、面倒がらずにすべて把握するようにしましょう。


3.アパート経営に必要な資金はどのくらい?

結論から言うと、アパート経営を始めるには「物件や土地の購入資金」と「予備の運転資金」を持っておく必要があります。

物件や土地の購入資金については、場所や建設(購入)する建物の内容次第で、必要な金額が変わります。地方の中古アパートを購入する場合は3,000万円~5,000万円で済む一方で、都心部の土地を購入して新築アパートを建てる場合には1億円以上の資金が必要となるでしょう。

以上のように、アパート経営では多額の資金が必要となるため、融資を利用するケースが多いです。

一棟アパート物件の融資が厳しくなったことで、大体物件価格の3割前後の頭金を出すことを条件づけされる金融機関が増えました。また、物件を購入したあとに、設備の交換、定期点検などの運転資金も必要となりますので、融資をフル活用し、自己資金を全く持たずにアパート経営を始めることはオススメできません。

資金繰りの悪化を防ぐことを踏まえると、物件購入時の頭金の他に最低でも建物・土地の購入価格の20%くらいの自己資金を持っておくと安心でしょう。


4.アパート経営のキャッシュフロー・利回りはどのくらい?

アパート経営を始める際には、キャッシュフローと利回りの違いを知っておく必要があります。


1)キャッシュフローとは

アパート経営におけるキャッシュフローとは、家賃収入から融資の返済や修繕費などの支出をすべて差し引いた金額です。

たとえば家賃収入が50万円で総支出が30万円の場合は、キャッシュフローは20万円です。家賃収入が同じでも、融資の有無や修繕の頻度などによってキャッシュフローの金額は変わってきます

不動産投資におけるキャッシュフローに関してより詳しく知りたい方は以下を参照してください。

 関連記事:→ 「帳簿上と実際のキャッシュフローが違う?不動産投資のキャッシュフローについて知っておきたい知識」


2)利回りとは

一方で利回りといった場合には、満室時の家賃収入をアパートの購入価格で割った割合を意味します。

たとえば家賃収入が400万円、アパートの購入価格が5,000万円の場合の利回りは8%です。ただし利回りは満室時の家賃収入で計算するため、実際の利回りには運営に伴う様々な諸経費を差し引く形になりますので、表面利回りより下がります。

なおアパート経営の利回りの相場は、地域によって異なるものの、地方と比較して東京エリアは土地価格が高いため、利回りが低くなります。相場では地方の利回り約7%~10%で、東京エリアは6~8%が1つの目安と言えるでしょう。 

「アパートローン」に関しては下記でも解説していますので参考にしてみてください。

 関連記事:→ 「アパートローンで不動産投資を成功させるには?仕組みや審査基準


5.アパート経営で生じる税金

アパート経営で収入を得ると、原則税金の支払い義務が生じます。

この章では、アパート経営で生じる税金の種類や算出方法をご説明します。


1)税金は原則「不動産所得」をベースに計算する

アパート経営の税金は、基本的には「不動産所得」をベースに計算します。

不動産所得とは、「更新料や管理費等を含む家賃収入」から「修繕費や借入金利子等の経費」を差し引いた金額です。


2)アパート経営で生じる税金の種類

アパート経営では、主に下記4種類の税金が発生します。


①所得税

所得税を計算する際は、不動産所得と給与所得を合算し、その金額から控除額を引くことで課税所得を算出します。

そして課税所得に税率を掛け合わせることで、所得税の金額を算出できます。所得税の計算では、国税庁が公表している下記の税率表を参考にしてみてください。


課税所得

税率

控除額

195万円以下

5%

0円

195万円超~330万円以下

10%

97,500円

330万円超~695万円以下

20%

427,500円

695万円超~900万円以下

23%

636,000円

900万円超~1,800万円以下

33%

1,536,000円

1,800万円超~4,000万円以下

40%

2,796,000円

4,000万円超

45%

4,796,000円

 参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm


②住民税

一方の住民税については、都道府県税と市町村税に分けて計算します。

いずれについても、課税所得に住民税率を掛け合わせることで、税額を計算します。なお具体的な税率は、自治体によって異なります。


③固定資産税

固定資産税は、不動産であるアパートを持っていることで発生する税金です。

所得税や住民税とは異なり、収入の金額ではなく不動産の評価額に基づいて税額を算出します。具体的には、建物と土地の評価額を合計し、そこに固定資産税率(1.4%)をかけることで算出できます。


④不動産取得税

不動産取得税は、建物や土地を購入する際に発生する税金です。不動産を購入されて大体6か月後に一回だけ徴収される税金です。

税率は一律で4%ですが、2021年3月31日までは、軽減税率が適用されるため3%となります。不動産取得税の金額は、不動産の取得価格に税率を掛け合わせることで算出します。


6.アパート経営で知っておきたい節税の方法

アパート経営でより多くの利益を手元に残すには、節税対策が不可欠です。アパート経営では、主に下記2つの節税対策が役に立つでしょう。


1)経費はもれなく計上する

アパート経営に限らず、ビジネスを営む上で最も効果的な節税方法です。

経費として計上できる費用をもれなく計上することで、課税所得を減らすことができます。ただし経費かそうでないかの判断には、ある程度専門的な知識を要します。

何が経費となるか具体的に知りたい方には、税理士に相談するのをおすすめします。


2)給与所得がある場合は損益通算を忘れずに

アパート経営で得る収入以外に給与所得がある場合は、損益通算を行うことで大きな節税効果を得られます。

損益通算とは、確定申告の際に給与所得と不動産所得を合計できる制度です。

しかし、損益通算で効果があるのは不動産所得がマイナスの場合で、その際に給与所得と合算すれば、トータルの所得がマイナスとなり、納税額を減らせます


7.アパート経営を成功させる戦略

アパート経営は起業する場合と同様に、簡単なビジネスではありません。アパート経営を成功させるには、入念な戦略を練った上でそれを実行する必要があります。

今回は、アパート経営を成功させる上で役に立つ2つの戦略を解説します。


1)アパート経営を始める前に入念な収益・資金計画を立てる

先ほどお伝えしたように、アパート経営では多額の初期費用が発生する上に、部屋が埋まらないなどのリスクもあります。

決して簡単な投資ではないため、あらかじめ入念に収益計画や資金計画を立てましょう

現時点と今後の景気やアパートを建てる場所の人口統計などを基に、確実に儲けられる計画を立てる必要があります。

また、途中で資金繰りが悪化するリスクを回避するために、各時期に必要な資金や、融資を受ける金額やその返済プランなどを入念に立てることも大切です。


2)ターゲットに応じた物件を用意する

他のビジネスと同様に、アパート経営でもターゲット選定とそれに合わせたマーケティングが非常に重要です。

たとえば学生街でアパート経営を行うならば、高級感よりも部屋の安さが重要な要素です。一方でファミリー層がターゲットならば、部屋の広さや立地の良さなどが訴求ポイントです。

アパート経営で十分なキャッシュフローを得るには、多くの人に入居してもらわなければいけません。

そのためには、ターゲットとなる入居層にとって魅力的な物件を用意する必要があるのです。


まとめ

空室や初期投資の大きさなど、アパート経営にはさまざまなリスクがあり、簡単に誰でも収益を得られる訳ではありません。

しかし一方で、上手くいけば安定的にキャッシュフローを得られるビジネスモデルでもあります。

今回お伝えしたポイントを踏まえて、ぜひアパート経営の参考にしていただけますと幸いです。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ不動産プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。