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物件の購入方法

不動産投資用物件の購入前に事前調査は必要?チェックすべきポイントとその方法とは

八木 チエ
2019/11/112019/12/11

不動産投資用の物件を購入する際に、書類などで確認する項目もあれば、実際に物件の事前調査を行うことも重要です。

数千万円から億単位までする高額の不動産だからこそ、購入前は慎重になる必要があります。

では、一体どのような項目を投資用物件の購入前に調査すればよいのでしょうか。ここでは、不動産の投資用物件を購入する前に調査しておくべき事柄を解説していきます。

「現地調査」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。

関連記事:→ 不動産投資の現地調査でチェックすべき6つのポイント

不動産投資における事前調査とは

不動産投資用の物件を購入する場合には、まず不動産業者と話をして、希望に沿った物件を紹介してもらうことです。

その時に対象となる物件の価格や表面利回り、外観や室内の写真等を見せてもらうことが多いのですが、この程度の情報だけで投資用物件の購入を決断してしまうのは非常に危険です。

その物件の正確な情報を書面や足を使ってなるべく多く集め、優良物件であることが確認できてから物件の購入を決断すべきです。

そのためには不動産登記事項証明書固定資産税の納税証明書などの書類を確認したり、周囲の環境を自分の目で確認したりすることが非常に重要です。

次の章からは、書類上の事前調査と現地で自分の足を使った事前調査の具体的な方法について解説していきます。

書類上の事前調査

まずここでは、書類上の事前調査について解説していきます。

路線価

路線価は、固定資産税の納税証明書に記載されています。路線価を調べることで、その土地が更地の場合のおおよその実勢価格が分かります。

路線価は実勢価格の約70%なので、路線価を70%(0.7)で割り戻すことによって、その土地の実勢価格が分かるのです。

これに建物の価格を足した金額がその物件の実際の販売価格になるのですが、このような計算方法で土地の実勢価格を計算することにより、不動産業者が提示した土地部分の販売価格が適正なものであるかどうかが分かります。

また固定資産税の納税証明書を見て、一年間に納めるべき固定資産税の金額を知っておくことも大切です。固定資産税は物件の維持費として毎年必ず必要になる費用なので、いくらぐらいかかるのかを把握しておきましょう。これは、その土地に建っている建物に関しても同様のことが言えます。

ちなみに建物の販売価格が適正なものであるかどうかは、近隣の類似した物件と比べることで推測することが可能です。

同じような間取りや設備、築年数や駐車場の有無などの条件が似通った物件の売買価格をその建物の建坪数で割り、その価格を自分が購入する予定の物件の建坪数で割ることで、建物のおおよその適正販売価格を推測することができます。

この方法を用いて、不動産会社が提示する販売価格が適正であるかどうかを見極めましょう。

購入物件の情報

不動産投資用に購入する予定の物件の正確な情報を入手することも、事前調査の重要なチェックポイントの一つです。

物件の詳細な情報とは、土地と建物の所在地、番地、取得原因(相続や購入など)、家屋番号、種類、構造、床面積、抵当権が設定されているかどうかという点です。

このような物件の詳細情報は、法務局で入手できる不動産登記事項証明書で調べることができます。不動産登記事項証明書は以前、登記簿謄本と呼ばれていましたが、システムがオンライン化されたため現在では名称が変更されています。

また、地積測量図により正確な土地の形状や面積(地積)を調べることも可能です。

さらに建物に関しては、建物図面により建物の正確な寸法や内部情報を知ることもできます。地積測量図と建物図面も不動産登記事項証明書と同様に法務局で入手できます。

不動産登記事項証明書と地積測量図、建物図面の入手方法には、直接法務局に赴く方法、郵送による方法、インターネットによる方法の3つがあります。

取得方法により必要となる印紙代やそれに代わる手数料が異なるので、注意しましょう。

インターネットでの各書類の入手は、法務局のホームページの中の登記ねっとで行うことができます。

参考:https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/toukinet/top.html

物件周辺施設の調査

購入予定の物件の周辺の状況もチェックしておきましょう。

まずは法務局で入手できる公図を使って、周辺の区画情報を調べます。ちなみに、国の事業として地籍調査を行い精密に作成したものを「14条地図」といい、この「14条地図」の作成以前に使用されていた、「地図に準ずる図面(14条地図に準ずる図面)」のことを「公図」と言います。要するに「公図」とは「14条地図」ができる前の測量制度が低い時代に作成された図面のことです。

現在であっても「14条地図」の整備が行われていない場所があるため、そのような場所を調べる場合には「公図」を使用します。「14条地図」が整備されている地域の物件周辺状況を調べるためには、こちらを使っても問題はありません。

ここでは、全国的に整備されている地域が多い「公図」を使った周辺状況の確認方法を解説していきます。

公図からは、土地の番地や大まかな形状や大きさ、隣接地との位置関係を確認することができます。公図を見る以外にも、インターネットのグーグルマップやストリートビューを利用して、周辺にどのような施設があるか確認しておきましょう。

周辺の施設とは、小・中学校、スーパー、駅、病院、銀行や郵便局など生活に欠かせないもののことです。このような施設が近くにあることで、入居希望者が増加することが考えられます。

そのほか、市区町村が作成したハザードマップもチェックしておきましょう。近年では防災意識の高い人が増えているため、水害や土砂災害の危険性が高い地域にある物件には入居者が集まりにくいケースも考えられます。

そのため、自然災害に強い場所に建っている物件を選ぶことは非常に重要です。

事故物件の可能性の調査

購入しようとしている物件が事故物件であった場合、入居者が集まりにくかったり、低い賃料しか得られなかったりすることが考えられます。

そのため、購入予定の物件が事故物件ではないことを調べておくことが重要です。

物件の事故物件情報は、インターネットの「大島てる」というサイトで確認できます。近隣物件の情報も調べることができます。

また、物件を販売する不動産業者にも事故物件であるかどうかを告知することが義務付けられているため、不動産業者の担当にも念を入れて確認しておきましょう。

物件の間取りの調査

物件の間取りは、入居希望者が集まりやすいかどうかの重要な要素です。間取りは購入前にしっかりと確認しておきましょう。

多すぎる和室や和式トイレ、バランス釜の風呂、三点ユニットのバスルームなどの設備は入居者に嫌われがちです。

また、同様に増改築による動線の違和感がある物件も入居候補者に嫌われる傾向があります。このような間取りであると、入居者が集まりにくかったり、低い賃料しか設定できなかったりすることが多いため、リフォームが必要な可能性も出てきます。

もしリフォームを行うのであれば、購入価格以上の費用が必要になるため、この点も考えて間取りの確認を行うようにしましょう。

物件の入居状況の調査

投資用物件を購入する際に、賃貸管理会社に現在の入居状況や入居者の概要を教えてもらいましょう。

入居状況は家賃収入に直接かかわる事柄なので、もし空室があれば次の入居者が決まっているか、決まっていなければどのような方法で入居者を募集しているのかを確認しておきます。

また入居者の概要については個人情報に関わるため、物件の購入前には教えてもらうことができないケースが多いのですが、サラリーマン、公務員などのおおまかな情報だけでも教えてもらうようにしましょう。

不審な住民が利用していないかの調査

購入しようとしている物件が暴力団関係者や、振り込め詐欺のアジトに利用されていないか、または違法な民泊として利用されていないかを管理会社に確認しておきましょう。

一般的に暴力団関係者や振り込め詐欺のアジトとして賃貸住宅を利用する場合、そのような反社会的勢力の人間が直接賃貸契約を結ぶことはまずありません。反社会勢力の人間に何かの形で弱みを握られている場合や、何らかの見返りを受けることを条件に、一般人が契約しているケースがほとんどです。

そのような場合に反社会勢力の退去を求めるには、入居時の契約書に反社会勢力の利用を認めないといった内容を明確に記述しておくことが重要です。

このような契約を交わしていれば、賃貸契約自体を無効にすることができるため、入居契約の内容をしっかり確認しておくようにしましょう。

また近年増加している民泊ですが、貸主や行政の許可を得ずに違法に営業しているものも増えてきています。一般的に貸主と入居者の間に交わされる契約書には、「転貸借の禁止」と「住居以外の利用用途の禁止」が盛り込まれています。

貸主に無断で民泊を経営することはこの契約に違反することになり、賃貸契約を貸主の判断で無効にすることができます。とは言え、そうなったときの手間などがもろもろ発生しますので、購入前に入居者についてできる限りの調査を確認しましょう。

収益調査

不動産業者は物件の購入を勧めるときに、必ず表面利回りを提示してきます。

中古物件の場合は既に入居者がいるので、ある程度現況にて収益の算出ができます。しかし、新築物件の場合はあくまでも想定収益になり、実際に入居者が決まるまで分からないものです。

従って、その利回りの数値が信頼に足りるものなのか、一度自分で収益調査を行ってみることをお勧めします。

収益調査の方法とは物件の建物の価格を推定するときと同様に、下記の式を利用して求めることができるのです。①の計算を行ってから②の計算を行います。その金額により、不動産業者が提示したひと月当たりの家賃収入が妥当な数値であるかどうかを判断できます。

  1. [駅からの距離・築年数・間取り・駐車場の有無などの条件が類似した建物の収益]/[建坪]=[一坪あたりの収益]
  2. [一坪あたりの収益]×[自分の購入予定の物件の建坪]=[求めたい収益(調査結果)]

実際の物件の調査

次に、自分の足を使った事前調査の方法について解説していきます。

物件の設備の調査

投資物件の場合は、入居者がいることで部屋の中は見られないケースが多いのですが、物件の共有部分、建物の管理状況を見ることができます。

物件の劣化具合は室内だけではなく、外壁にクラック(ひび)が入っていないか、バルコニーの裏側や廊下の淵の部分にコンクリートの割れによる鉄筋の露出などがないかといった点です。

このような劣化が見られた場合には、建物自体の資産価値が下がりますので、購入することを見直しする必要があります。

また、購入しようと思っている物件がきちんと管理されているかといった点も重要なチェックポイントです。物件の共用部分の清掃状況やポスト付近の荒れ、不法投棄等がないかをチェックしましょう。

ポスト付近の荒れがひどかったり、不法投棄があったりする場合には管理会社の管理不足が原因の場合もありますが、モラルの低い入居者がいることも考えられるためその点も考慮しておく必要があります。

さらにエレベーターや受水槽タンク、消防設備などがきちんと整備・点検されているか。その費用はどの程度必要なのかといった点についても、案内してくれる不動産業者にしっかり確認しておきましょう。

物件の周辺環境の調査

購入を検討している物件の周辺や最寄り駅までの通り道に、繁華街や風俗店はないか、街灯の設置数などが少ないなど治安上の不安を覚えるような個所はないかを自分の足で歩いて確認しておきましょう。

このような治安上の不安がある場所には、女性又はファミリー層の入居者が集まりにくいことも考えられるためです。このような周辺環境の調査は最低でも昼と夜の2回、できれば曜日を変えて複数回行うことが望ましいでしょう。

近隣への聞き取り調査

周辺の住民や地元の不動産業者に対する購入予定物件の聞き取り調査も、重要な事前調査の一つです。

地元不動産業者には近隣物件の空室率や家賃相場を、近隣住民にはその地区に大規模施設の移転情報はないかといったことから、治安に関する事柄まで聞き取り調査を行っておきましょう。

事前調査なしに物件を購入する場合に想定されるリスク

事前調査を行わずに物件を購入してしまうと、どのようなリスクが起こるのでしょうか。

考えられるのは空室リスク、家賃下落リスク、価格変動リスク、流動性リスクの4つです。

周辺環境の変化や物件の劣化などの理由により、これらのリスクは大幅に上昇します。入念な事前調査は、これらのリスクを避けるためにとても重要なものなのです。

これらのリスクを低く抑えるためにも、事前調査に手を抜くことはやめておきましょう。

まとめ

ここまで事前調査とは何かということと、その具体的な内容について解説してきました。

事前調査の重要性と、その具体的な内容について分かりいただけたと思います。投資用物件は、不動産投資用ローンを使って行う非常に大きな買い物です。

物件購入後にさまざまなリスクに悩まされないためにも必ず事前調査を行い、納得してから購入を決断するようにしましょう。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ不動産プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。