都内の不動投資は高いという理由から、地方で不動産投資を始めたいと考えている方は多いのではないでしょうか?
不動産投資を地方で始める場合、地方に特有のリスクや物件選びのコツを知っておく必要があります。この記事では、地方で不動産投資を行う場合に知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
「不動産投資のエリア選び」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
不動産投資で成功する上で、もっとも大事なことは物件や土地を購入するエリア選びです。
選んだエリアによって、不動産投資で得られるキャッシュフローの額は変わってきます。
特に地方の場合、人口減少の傾向が著しい場所もあり、エリア選び次第で成否が大きく左右されます。地方で不動産投資を行う際には、地方特有のリスクや物件選びのコツに注意しましょう。
都心エリアと比較した場合、地方エリアでの不動産投資にはどのようなメリットがあるのでしょうか?この章では、地方エリアでの不動産投資で得られるメリットを3つお伝えします。
地方エリアで不動産を始める最大のメリットは、土地付き物件の購入価格が安い点です。
都心エリアは地価が高いため、土地付き物件を購入するとなると、一億円以上必要となる場合が多いです。
一方で地方エリアは地価が安いため、3,000万円~5,000万円で優良エリアの土地付き物件を購入できるケースもあります。都心の半分か3分の1程度の価格で土地付き物件を購入できる点は、資金面に不安がある方には魅力的です。
不動産の購入価格が安いことから、地方での不動産投資の相場利回りが比較的に高くなります。
利回りとは、不動産の購入価格で満室時の家賃収入を割った値を意味します。
例えば不動産の購入価格が4,000万円で、家賃収入の合計が400万円の場合、利回りは10%となります。
不動産の購入価格が高いため、都心エリアの相場利回りは約4~6%程度です。一方で不動産価格が安い地方エリアの場合、相場利回りは約8%~10%程度になります。
地域やエリアによっては利回り10%以上の優良物件もありますが、なかなかの掘り出し物とも言えるでしょう。
地方で不動産投資を行う三つめのメリットは、顧客の奪い合いになりにくい点です。
都心エリアの場合、賃貸ニーズが多い分、物件数が多いのも特徴です。つまり、競合物件が多いため、競争も激しくなります。
価格競争に発展して家賃を下げた結果、キャッシュフローが赤字となるケースもあります。
一方で地方エリアの場合、エリアにもよりますが、競合が少ないエリアも少なくありません。
そうした場所で不動産投資を始めると、価格競争に巻き込まれる心配がないため、十分なキャッシュフローを得られる可能性が高いです。
都心エリアと地方エリアを比較した場合、メリットのみならず注意すべきリスクも異なります。
都心エリアと比較した場合、地方エリアで不動産投資を行う際には、以下3つのリスクに注意する必要があります。
地方エリアで不動産投資を行う際、最も大きなリスクは空室が埋まらないことです。
昨今地方では、高齢化や人口流出の影響により、人口の減少が加速しています。そもそも人がいないエリアで不動産投資を始めると、入居者が中々集まらずにキャッシュフローを得られないリスクがあります。
また人口減少が緩やかな場所で始めても、周囲の物件と比べて家賃が高い場合や、交通の便が悪い場合、周囲に商業施設が何もない場合などは、空室が埋まらない状態が続く可能性が考えられます。
地方エリアでの不動産投資には、家賃相場や不動産価格が大きく下落するリスクもあります。
家賃の相場は、その土地の需要と供給により決まります。需要が供給よりも多ければ家賃相場が高くなる一方で、需要が供給よりも少ないと家賃相場は下がります。
地方では人口減少などにより需要が低くなりやすいため、家賃相場が下落するリスクが都心エリアよりも大きいです。
家賃や不動産価格の下落により、想定していた利回りよりもキャッシュフローを得られないリスクがあるので注意しましょう。
不動産投資を行うには、リフォーム業者や清掃業者などの協力が不可欠です。
しかし地方エリアの場合、都心エリアと比べて不動産投資に必要な業者さんが少ない傾向にあります。業者さんが少ないエリアで不動産投資を行うと、相対的に業者の立場が上になります。
その結果、リフォームや修繕の際に割高な価格を提示されるリスクがあります。
地方で不動産投資を行う場合、土地や建物の価格相場はどのくらいでしょうか?また、想定される利回りはどの程度でしょうか?
ここでは、地方エリアの不動産価格の相場と想定利回りをご紹介します。
地方の中でも、街の発展度合いや最寄り駅などによって価格の相場は変わってきます。
例えばですが、熊本や福島といった地方都市の場合、土地付きのアパートで大体2,000万円~6,000万円程度が相場となります。
さらに田舎で利便性が悪い場所であれば、もう少し相場は下がるでしょう。一方で福岡や名古屋といった大きな地方都市の場合は、上記の価格よりも相場が上がります。
不動産の想定利回りは、「区分マンション」、「一棟アパート」、「一棟マンション」でそれぞれ異なります。
区分マンションの想定利回りは5%~15%程度である一方で、一棟マンションの想定利回りは5%~10%と若干低いです。一棟アパートの利回りは、6%~13%程度と両者の中間くらいであると言えます。
一棟アパートを見てみると、新潟市や堺市といった不動産価格が安い地方都市の方が、相場利回りは高い傾向があります。
一方で広島市や名古屋市といった大きな地方都市は、不動産価格が高いため相場利回りは6%~7%と低いです。
参考:健美家【政令指定都市別 2018年上半期 投資利回り】
地方での不動産投資を成功させるには、物件選びが非常に重要です。この章では、地方で不動産投資を成功させる物件選びのコツを5つご説明します。
不動産投資で成功するには、毎月のキャッシュフローが重要です。
価格競争により家賃の相場が下がっている場所で不動産経営を始めると、相場以下で始めないと入居者を集められない可能性が高いです。
相場と同じかそれ以下の家賃にしてしまうと、満室になってもキャッシュフローがプラスにならないリスクがあります。
また、帳簿上と実際のキャッシュフローにずれがあるケースが多いので、そのズレについてきちんと把握しておくことが重要です。
たとえ家賃相場が下落していなくても、十分な数の入居者がいなければ不動産投資で利益を得るのは困難です。
キャッシュフローを黒字にするには、人口が増加傾向にある地域を選ぶ必要があります。
ここで重要なのは、現時点での人口を見るのではなく、人口の「動向」を見るということです。
たとえ現時点で人口が多くても、どんどん人口が減少している場合、今後数年で空室が増加するリスクが高いからです。
「〇〇市 人口 推移」とネットで調べることで、その地域の人口の推移がわかるデータを閲覧できます。たとえば「大阪市 人口 推移」と調べれば、「大阪市の推計人口年報」というデータを参照できます。
もしくは、総務省統計局のホームページ内にある「住民基本台帳人口移動報告 都道府県別転入・転出者数」というデータをダウンロードすれば、直近の都道府県ごとの人口増減を知ることができます。
参考:総務省統計局 住民基本台帳人口移動報告2019年(令和元年)9月結果
前項のポイントと重複しますが、不動産投資を地方で始める際は、人口動向のみならず今後の発展性も考慮しましょう。
将来的に大手企業の工場や商業施設が建設される予定や、街の再開発が行われる予定がある場所であれば、今後人口が増加する可能性が高いです。
不動産を建てる場所を探す際は、街の開発計画にも十分目を通しましょう。
街の開発計画については、各自治体のホームページを調べたり、「○○市 再開発」などと調べたりすると出てくることがあります。
調べた結果、明確な開発計画が出てきた場合は、今後大規模な開発が行われて人口が増加する可能性があると言えるでしょう。
都心エリアの場合は、駅から近い立地に不動産を立てるのがセオリーです。
しかし地方エリアの場合、必ずしも交通の利便性が良い場所が最適とは限りません。地方の場合、生活に必要な商業施設が駅から離れていて、駅の周りには何もないというケースも少なくありません。
そのため、駅の近くという理由だけで不動産投資を始めてしまうと、予想に反して入居者が集まらない可能性があります。
地方エリアで不動産投資を行う場合は、発展しているエリアの近くに物件を買うことがおすすめです。
企業や工場、学校の周りは入居者が集まりやすいため、地方で不動産投資を行う方には人気のエリアです。
しかし、これらのエリアには急な需要減少のリスクがあるので要注意です。
たとえば企業や工場、キャンパスが突然移転した場合はターゲット顧客が急激に減少します。その結果、空室が埋まらなくなり、結果的に手元に入るキャッシュフローが少なくなってしまいます。
企業や学校の周りで不動産投資を始める際には、こうした予期せぬリスクがある点は頭に入れておきましょう。
今回の記事では、不動産投資を地方で行うメリットやリスク、物件選びのコツをご説明しました。
人口減少や相場の下落など、地方エリアには特有のリスクがあります。その一方で、相場利回りが高い点や競合が少ない点などのメリットもしっかりとあります。
地方で不動産投資を行うことは一長一短なので、都心エリアでの不動産投資と比較しながら、慎重に戦略を練った上で始めることをおすすめします。
今回ご説明した物件選びのコツをいかして、地方エリアでの不動産投資を行なっていただけますと幸いです。