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不動産投資物件は管理会社に委託すべき?メリットとデメリットを解説

筆者: 八木 チエ不動産投資管理
2019/12/02

不動産経営をするにあたり、本業が忙しかったり、管理のノウハウがなかったりなどの理由で管理会社に管理を委託するケースは多いでしょう。

一方、大家と呼ばれているご自身で管理をされている方もいます。

自主管理と比較して、管理会社に管理を委託するには、どのようなメリットがあるのかについて把握しておきたいところです。

こちらの記事では、管理会社に管理を委託する場合のメリット、デメリットについて紹介していきますので、管理会社に委託管理を検討されている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

1.管理には大きく2種類がある

不動産賃貸物件の運営管理には、大きく分けて自主管理方式、管理会社への委託方式と2種類の方法があります。


(1)自主管理

自主管理とは、オーナー自らが管理を行う方式です。かつて(昭和50年代まで)、アパートの多くはこの方式を採用していました。

オーナー(大家さんと呼ばれていました)がアパート内に同居またはごく近くに暮らしているケースが多く、何かと目が届きやすい状況にありました。

地方から上京してきた学生には家族同様に面倒を見る、といった話は少なくありませんでした。

「古き良き」ノスタルジックな時代ですが、一方でプライバシー面ではやや窮屈さを感じる社会であったともされています。


(2)管理会社にて管理を委託する

平成に入ると、他人にあれこれ世話を焼かれたくないそんなプライバシー重視の傾向が、アパートのコミュニティーにもいよいよ浸透してきます。

加えて、広域かつ複数棟を所有するオーナーも増加し、自主管理では手が回らなくなってきたため、管理委託へのニーズが高まりました。

アパートを供給するハウスメーカー・販売会社サイドも、管理受託をセットとしたアパート販売が急速に広まります。

最近では管理委託もすっかり浸透し、「入居から退去まで大家さんと一度も顔を合わせない」といった話も当たり前になってきました。

管理会社に委託すれば、入居者募集・入居手続き・家賃収受・滞納家賃の督促・契約更新業務・鍵の保管・住民同士や近隣とのトラブル対応までカバーしてくれます。共有エリアのメンテナンス・清掃といった業務はオプションとなるケースが多いようです。


2.自主管理と比較して管理会社に管理を委託する4つのメリット

(1)豊富な管理ノウハウがある

共有エリアが清掃されていない・トラブルを相談しても腰が重い…管理が行き届かないアパートには、入居者も定着しません。

入居者間のトラブルに関しては、貸主責任を問われる可能性も少なくありません。問題行動を起こす入居者を放置していると、他の入居者から訴えられることもあります。

過去には、「安心できる居住環境を提供しなかった」として、貸主の損害賠償請求を認めた判例も出ています。

家賃滞納も、オーナーには頭の痛い問題です。アメリカと違って日本ではロックアウト(強制退去)に司法上の手続きが必要なこともあり、督促が一筋縄でいかないのです。

つまり、不動産管理の良し悪しは賃貸経営の根幹を左右するといっても過言ではありません。管理会社は過去の実績に基づく豊富なノウハウを兼ね備えており、新人大家さんには頼りになる存在なのです。


(2)設備交換など入居者対応を全て任せることができる

給湯器・ガスコンロ・ウォシュレット・床暖房など、一般的に建物に付随する設備の修理・交換は貸主の責任です。定期的にまたは入居者の請求に基づいて、適切に実施しなければなりません。

大きなひびが入ったような場合、もともと小さなひびが入っていたかどうかで、交換費用の負担先(貸主か借主か)の負担先も変わってきます。だからこそ、入居時の状態確認は欠かせません。

設備によっては、法定定期点検を施す必要があります。点検を怠ればペナルティーを受けるだけではなく、火災・水漏れなどの原因となって損害賠償を求められる可能性も少なくありません。

こうした一連の作業を、オーナーが切り盛りするのは大変です。管理を委託すれば、日常的なメンテナンスのわずらわしさから解放されるのです。


(3)本業が忙しくても運営ができる

サラリーマンとして現役でバリバリと働く世代も、最近は給料の伸び悩み・子供の教育・老後の不安などさまざまな動機で、「副業としての賃貸経営」を始めるケースが急激に増加しているようです。

日銀統計でも個人向け不動産融資の貸出額は確実に増加しており、その多くが副業によるものとされています。

本業を抱えていると、管理業務は実質的に休日に実施することになります。一方で、「ガスコンロの火がつかない」「お湯が出ない」などのクレームは即時の対応が求められます。入居者間トラブルも、放っておくとより問題が大きくなりかねません。

隣人との騒音問題なども、注意すれば解決するといったケースはまれで、じっくりと腰を据えた対応が求められます。

管理会社に委託していれば、本業を抱えていても「入居者ファースト」な運営が実現できるのです。


(4)遠方の物件を所有できる

賃貸物件をまめに見回っていれば、「ゴミ集配所のルールが守られていない」「所有者不明の自転車が放置されている」「戸外に入居者の所有物が置かれている」などさまざまな変化に気づき、対処できます。

ところが物件が離れた場所にあると、なかなか「ちょっと行ってみよう」とはなりません。自主管理するならできれば徒歩圏内、せいぜい車で30分以内が限界とされています。複数物件を抱えているならなおさらです。

管理会社に委託していれば、たとえ遠方に暮らしていても心配せずに済みます。

「管理会社の選び方」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。

関連記事:→賃貸管理会社のプロが教える賃貸管理会社の探し方と知っておくべき5つのポイント


3.自主管理と比較して管理会社に管理を委託する3つのデメリット

もちろん管理委託は、メリットばかりではありません。

ここでは、管理委託が抱える3つのデメリットを紹介します。


(1)賃貸管理費という管理コストがかかる

委託の範囲にもよりますが、一般的に家賃の5%前後とされています。家賃12万円の部屋を10室貸し出した場合、委託費は12万円×10室×5%=6万円かかります。

問題は、6万円が高いか安いかです。客付け(入居者を集めるために不動産会社を回ること)に熱心で、入居者や近隣と良好なリレーションを保ち、暮らしやすいコミュニティーづくりに走り回る、そんな管理会社なら6万円も安くはありません。

「管理会社が依頼主のために一所懸命にやってくれるのか」委託に当たってはきちんと見極めなくてはいけないのです。


(2)管理会社が倒産するリスク

管理会社は、不動産の分譲販売・土地再開発などを主たる事業とする会社が兼業しているケースが少なくありません。

不動産事業は多額の借り入れで賄うことが多く、事業が失敗しての倒産も起こり得ます。

資金にひっ迫していたような場合は、代行収受していた家賃や敷金等を流用していた可能性も高く、戻ってこない事態も想定しなければなりません。

委託している会社の経営が本当に大丈夫なのか、経済紙や日経新聞などで常にウォッチしておくのが理想的です。


(3)管理会社の能力不足により損失を被る可能性がある

施工工事が遅れて入居が遅れた、入居者変更に伴うカギ交換を怠った、点検時のチェックミスで漏水した…こうして入居者が被った不利益は、まず貸主が負担しなければなりません。

トラブルは、直接的な被害だけではなく風評による入居者減も招きかねません。

管理会社が客付けを怠ったため空室期間が長引いた、退去の連絡が入ってこず入居者募集が遅れた、といった事態は賃料収入減につながります。

オーナーが損害を管理会社に請求しても、素直に払うとは限らず、少なくとも時間はかかります。

トラブルを避けるためにも、信頼のおける実績のある管理会社を選ぶことはとても重要なのです。

「自主管理」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。

関連記事:→自主管理するメリット・デメリットとは?手間やコストを詳しく解説


4.失敗事例から学ぶ!賃貸管理会社との付き合い方

(1)サブリースの仕組みを知る

サブリースと管理委託は、同じように見えて仕組みは全く異なります。委託の場合、管理会社は業務を代行するだけで、賃貸借契約はオーナーと入居者が直接結びます。

一方、サブリースはオーナーからサブリース業者が一括借り上げでリース料を支払います。その上で業者は、入居者を募集し転貸します。入居者との契約は業者が結び、家賃も業者が受け取ります。

ちなみにリース料は、満室時家賃の9割前後とされています。契約時には「20年保証」をアピールしてきますが、実際は2年ほどで減額通告してくるところも多く、一部では裁判沙汰にまで発展しています。

管理委託ならまだしも、経営の根幹である家賃確保まで他人まかせにして、それでうまくいくほど賃貸ビジネスは甘くないのかもしれません。


(2)管理会社に任せっきりにしない

管理会社の営業担当も人間です。オーナーが口うるさく言ってこなければ、「楽なお客さん」と甘く見られても仕方ありません。

たとえばゴミ捨てルールの定着にしても、ポスター掲示だけで済ませようとするかもしれません。そんなことでルールが守られるのなら、苦労はしないのです。

時には朝から巡回する、ルール違反のごみは中を開けて持ち主を特定し警告文を貼る、といった対応を管理会社にやらせるにはどうすれば良いでしょうか。

オーナー自らが現場を確認し、問題があれば解決するまでしつこく追及しなければいけません。その上できちんと対応してくれたら、感謝の気持ちを示しましょう。

「あのオーナーに言われたらしょうがない」管理会社にそう思わせたらしめたものです。


まとめ

以上、管理会社に賃貸管理を委託するメリット・デメリットを考察しましたが、とくにサラリーマン大家さん・遠方に物件を抱えているオーナーさんには、委託管理で享受できるメリットは大きいようです。

ただし管理会社ならどこでもよいわけではなく、実績のある所を選ぶと同時に、決して任せきりにするのではなく、暇なときには積極的に自ら足を運び賃貸経営にコミットする。

そんなスタンスを心がけるようにしましょう。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ不動産プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。