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資産形成

不動産投資なら認められやすい?公務員の副業と届け出について

2019/12/052020/01/20

教育や老後の生活に充てるために、あるいは視野を拡げて日ごろの公務推進に役立てようと副業を考える公務員の方は少なくないでしょう。

最近は政府も、積極的に副業の解禁を後押ししています。厚生労働省は2018年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表、さらに「モデル就業規則」を改訂し、企業に対し「原則副業容認」に舵を切るよう促しています。

動きの鈍かった企業もようやく重い腰を上げつつあり、 大手でも日産自動車・パナソニック・ソフトバンクなど副業を認める企業は増加傾向にあります。

皮肉なことに、当の厚生労働省は副業を解禁していません。厚労省だけではなく、国家公務員・地方公務員は一般的に副業禁止が原則です。

今回の記事では、公務員になぜ副業が認められないのか。その理由や、どんな副業なら認められるのか(たとえば不動産賃貸など)、人事上のペナルティーや評価マイナスを避けるための注意点は何かを解説します

公務員だって副業したい!

公務員の実に4割が「環境さえ整えば副業したい」と考えている…公務員を対象とした「副業・兼業に関する意識調査」で明らかになった公務員の副業指向です。副業希望者は若い世代ほど多く、20代では6割を超えています

自他ともに「公共の利益に奉仕する」ものとされてきた公務員ですが、なぜ副業指向が強まっているのでしょうか。そこからは公務員が抱えるさまざまな事情が見えてきます。

「公務員は年金が手厚い」は過去の話

「なぜ副業したいのか」最も回答が多かったのが、「収入の増加」です。

地方公務員の年収は係長クラスで600万円強、部長にまで昇進すれば1000万円を超えるとされています。平均的なサラリーマンが400万円台とされる中では、それほど悪い話ではありません。

ただし、今まで優遇されてきた国家公務員・地方公務員共済は2015年に厚生年金に一本化され、特例的な制度は経過措置を経て圧縮される方向です

こうした事情もあって、公務員には将来の収入に対する不安感が強いのです。

参考:https://www.businessinsider.jp/post-172855

再就職を人事が面倒見てくれたのは昔の話

副業指向の理由として収入の次に多いのが、「引退後に向けた準備」です。

かつて多くの公務員は、官房など人事部局から退官後の再就職先について面倒をみてもらっていました。ところがメディアや民間からの「天下り批判」もあり、2008年の国家公務員法の改正により、あっせんを始めとする再就職活動は大幅に規制されます(ただし警察官・消防士など現業公務員を除く)。

公務員には退官後のキャリアに対する不安感が強く、副業指向に結びついているようです。

参考:https://www.businessinsider.jp/post-172855

キャリアの幅を広げたい

「視野や人脈を拡げたい」「今の仕事で活かせるスキル・技術を身に付けたい」とする声も少なくありません。

今までは24時間365日公務に専念し、昇りつめていく働き方が良しとされてきました。一方でモリカケ事件など忖度を産む温床として、公務員の「レールが敷かれたキャリア形成」が指摘されるなど、疑問を感じる若手公務員も少なくありません。

副業経験を通じてキャリアの幅を広げ本業の公務に活かしたい、そうした声は若手を中心に広がっているのです。

参考:https://www.nishinippon.co.jp/item/n/477900/

公務員の副業のハードルが高い理由と対策

ではなぜ、公務員には副業が認められないのでしょう。禁止される理由を踏まえたうえで、認められる可能性について考えてみます。

公務員と一般サラリーマンの違い

国家公務員法96条では「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」と規定しています。

つまり「公務員は全身全霊で公務に打ち込め、副業などもってのほか」というわけです。

同時に同103条では「私企業からの隔離」、104条では「他の事業又は事務の関与制限」を求めています。つまり職権が及ぶ民間事業者との癒着も懸念されることから、公務員の副業は原則禁止とされているようです。

副業は必ず事前届け出すべし

ただし法律は、一律に公務員の副業を禁止しているわけではありません。例えば地方公務員法では、「任命権者の許可を得なければ営利目的企業の役員兼務・営利事業経営・報酬を得る事業や事務従事は認められない」と規定しています。

今年の7月、警察庁や県警幹部(警部級以上)21人が昇任試験対策問題集の執筆で出版社EDU-COMから報酬を得た問題で懲戒処分を受けましたが、これも事前に届け出なかったことが抵触したとされています。

つまり、「上司なり人事部局に事前に届け出て許可を得れば副業を認めますよ」というのが法律の建前です。

参考:https://www.nishinippon.co.jp/item/n/477900/

賃貸業は副業の中でも認められやすい

ただし、事前に届け出れば無条件に認められるわけではありません。公序良俗に反するような仕事は論外としても、許可される仕事は厳しく制限されます。

副業が認められるためには、本業に支障を与えない(国家公務員法101条)、職務上の秘密を洩らさない(同100条)、公務員としての信用を失墜させない(99条)といった条件をクリアーしなければいけません。

フィルタリングをかけるとほとんどの副業はNGですが、認められる数少ないビジネスの1つが不動産賃貸です

公務員が適している副業とは?

ではここで、公務員に適している副業について、より深堀して考察してみます

職権や地位を利用した又は接点のある副業はNG

国家公務員法103条には公務員自らが営利企業を経営したり、役員または実質的に経営判断を下せる職位に付いたりすることを禁止しています。

さらに104条では、営利企業以外の役員就任やいかなる事業・事務に従事する場合も、内閣総理大臣と所轄官庁責任者の許可が必要としています。

この規定からは、「副業の届け出があった場合には、職権・地位との関連性・接点の観点から徹底的に精査するぞ」とのメッセージが言外に発せられています。

下手な副業を届ければ、単に許可されないだけでなく届け出たこと自体がマイナスに捉えられるような事態も想定されます

公務員の品位を汚したり秘密漏洩のリスクがある副業はNG

国家公務員法99条では「職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない」と規定しています。風俗営業などはもちろん、「公務員としてふさわしくない」とみなされるような仕事は、まず認められないと考えておいた方が良いでしょう。

加えて100条は「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と規定しています。

例えば企画部局に勤務していたら幅広い機密情報に触れる可能性が高く、副業の範囲は大きく制約を受けることになります。

職務遂行に影響を及ぼすほど疲労する長時間副業はNG

最もマークされやすいのは、副業による時間の拘束です。宅配業であれ、飲食店でのウエイターであれ、働くとなればその時間は拘束されます。

国家公務員法第101条では「職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない」と規定しています。

つまり時間が拘束されるような副業は、認められない可能性が高いといえそうです

資産運用・賃貸ビジネスは公務員に向いている?

一般的に、株式・不動産への投資は副業に該当しません。金融機関に勤務している場合は禁止されるケースもありますが、これは職務との関連で認められていないのです。ただし、就業時間中の株取引などはもちろん禁止行為ですので注意ください。

不動産賃貸は副業に含まれますが、社会常識の範囲内であれば一般的に認められると言われています。基準は明記されていませんが、一般的には税法の「事業的規模(5棟10室基準)」がボーダーラインとされるようです。

その他、節税対策のために管理会社を設立し、自分の代わりに母親を代表者に据えたことが発覚し、懲戒対象となったケースもあります。もちろん、不動産賃貸が無条件に認められるわけでなく、事前届け出は必須です

公務員に副業解禁の波はくるのか

官民人事交流の活発化と兼業の促進がすすむ研究の世界

例外的に副業が認められているのが、国立大学教員をはじめとする研究・開発分野です。政府は、技術移転の促進・研究成果の民間における活用促進のため、官民人事交流だけでなく兼業をむしろ後押ししています。

研究職に対しては、技術・提携先企業の役員兼業も認めています。監査役に就任しているケースも多いようです。

要は政策的な目的がはっきりしている場合は、政府も公務員の副業を容認しているわけで、これは将来の動向を見据えるうえで大いに参考になります。

アメリカでは公務員の副業OK!賃貸業もノープロブレム

アメリカの連邦職員は、省庁によって条件などが異なるものの、原則として副業が容認されています。例えば、ペンタゴンの倫理規定では「行政機関職員は一定の制約を受けるものの職場以外での活動が認められる」としています。

アメリカでは投資銀行の役員が財務省のナンバー2に就任したり、またはその逆もあったりと、公務員経験だけでキャリアが形成するわけではなく、副業に対してもよりオープンな考え方のようです。

副業もこなす!「開かれた公務員」が日本を変える

最近は自治体でも、「二足のわらじ」を後押しする動きも出てきました。もちろん営利的な事業は相変わらず禁止ですが、公益性の高い仕事なら認められるケースも増えています

自治体も人口減が顕著な中、職員に外の世界を経験させて、より地域貢献に寄与する人材を育てようとしているのです。

まとめ

以上、公務員に副業が認められる可能性を考察しました。基本的に公務員の副業は禁止、ただし不動産賃貸業なら、事前届け出など一定の制約もとOKとなる可能性が高そうです。

ほとんど認められてこなかった副業ですが、最近は変化の兆しが見られます。全面解禁の可能性は極めて低そうですが、地域貢献・公共性などが認められる職業に関しては副業が認められる方向にあるようです。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ不動産プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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