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不動産投資管理

不動産投資で重要な「耐用年数」と「減価償却費」を徹底解説

八木 チエ
2019/12/062020/01/15

不動産投資を行う上で、必ず知っておくべき知識の一つに「耐用年数」や「減価償却費」があります。

こうした知識を知っているかどうかで、節税や融資を有利に進めることができるかが変わります。そこで今回は、耐用年数の意味や具体的な年数、減価償却費の計算方法をわかりやすくご説明します。

そもそも耐用年数とは

まず初めに、不動産投資で重要となる概念の一つ「耐用年数」について解説します。

耐用年数の意味については、東京都主税局の説明が参考になります。東京都主税局の説明によると、耐用年数とは「通常の維持補修を加える場合に、その減価償却資産の本来の用途・用法で予定している効果を上げることができる年数」を意味します。

簡単に言ってしまうと、建物などの資産が何年物件としての機能や価値を維持できるかを表す年数を耐用年数と呼びます

基本的に建物などの資産は、年数の経過につれて性能の劣化や老朽化が見られます。そこで税法上では、こうした価値が減少する資産を「減価償却資産」とよび、耐用年数に応じて価値を減少させる手続きが義務付けられているのです。

不動産投資においては、運用している物件が減価償却資産に該当します。一方で土地は何年経っても劣化しませんので、そのため、減価償却資産には該当せず、耐用年数も存在しません。

不動産投資を行う方は、土地と物件で税法上の取り扱いが異なる点に十分注意しておきましょう。

不動産投資において耐用年数が重要となる理由

不動産投資を実施するには、キャッシュフローや利回りなど、会計や税務まわりの知識を知っておくことが大事です。

さまざまある会計知識の中でも、耐用年数は不動産投資において特に重要な意味を持ちます。耐用年数が不動産投資で重要となる理由は、主に下記の2点です。

経費として計上できる減価償却費の額が変わるから

一つ目の理由は、耐用年数によって経費として計上できる減価償却費の金額が変わるからです

減価償却費とは、価値が年々減少する資産について、毎年価値が減少した分を費用として計上したものです。くわしくは後述しますが、不動産投資において減価償却費は、物件ごとの耐用年数を用いて算出します。

そんな減価償却費ですが、税法上経費として計上することが認められています。つまり耐用年数に応じて経費として毎期計上できる金額が変わってくるのです。経費として計上できる金額が多いほど、より多くの利益を手元に残すことができます。

さまざまな側面があるため一概には言えませんが、節税効果が大きくなるように物件を選ぶのも一つの選択肢となります。

銀行からの融資期間が変わるから

耐用年数が重要である二つ目の理由は、銀行からの融資期間が耐用年数によって変わってくるからです

不動産投資では大規模な初期投資が必要となるため、多くの方は銀行からの融資を受けます。融資されたお金は定期的に返済する必要があり、この返済による支出が原因で資金繰りが悪化するケースは少なくありません。

そんな融資の負担を軽くする上で重要なのが「融資期間」です。融資期間が長いほど、毎期の返済額が少なくなるため、手元に残るキャッシュフローに余裕が出やすくなります。

そんな不動産投資の成否を左右する融資期間は、建物の耐用年数によって決まると言われています

銀行は融資したお金を回収できなくなる恐れが生じた場合、抵当権を使って不動産を売却する形で資金を回収します。そのため、耐用年数よりも融資期間を短く設定し、万が一の際に備えるのです。

つまり耐用年数が長い建物の方が、融資期間を長く設定してもらえる可能性があり有利というわけです。

参考:大家の味方

【構造別】建物の耐用年数の一覧

税法上、建物の構造によって耐用年数が変わってきます。減価償却費の計算などの際には、建物の構造に応じて正しい耐用年数を用いなくてはいけません。

そこで今回は、不動産投資で役立つ構造別耐用年数を一覧形式でご紹介します。

参考:国税庁「耐用年数」

木造

木造建物の場合、住宅用と店舗用建物の耐用年数が22年、事務所用建物の耐用年数が24年、そして飲食店用の建物の耐用年数が20年となっています。

木造建物の耐用年数をまとまると以下のようになります。

  • 住宅用:22年
  • 店舗用:22年
  • 事務所用:24年
  • 飲食店用:20年

骨格材の厚みが3mm以下の鉄構造

鉄構造の物件は、使われている骨格材の厚みによって耐用年数が異なります。この項では、骨格材の厚みが3mm以下の鉄構造建物の耐用年数をお伝えします。

住宅用と店舗用、そして飲食店用建物の耐用年数に関しては、それぞれ19年となっています。一方で事務所用の建物に関しては22年に設定されています。

骨格材の厚みが3mm以下の鉄構造建物の耐用年数をまとまると、以下のとおりです。

  • 住宅用:19年
  • 店舗用:19年
  • 事務所用:22年
  • 飲食店用:19年


骨格材の厚みが3mm超4mm以下の鉄構造

次に、骨格材の厚みが3mm超4mm以下の鉄構造建物の耐用年数をご説明します。

まず住宅用と店舗用建物の耐用年数は、共に27年となっています。次に事務所用建物の耐用年数は30年、飲食店用の建物の耐用年数は25年です。

骨格材の厚みが3mm超4mm以下の鉄構造建物の耐用年数をまとまると、下記になります。

  • 住宅用:27年
  • 店舗用:27年
  • 事務所用:30年
  • 飲食店用:25年

骨格材の厚みが4mm超の鉄構造

鉄構造の中でも、骨格材の厚みが4mmを超える建物の耐用年数をご説明します。

まず住宅用と店舗用建物の耐用年数に関しては34年となっています。次に事務所用建物の耐用年数は38年、飲食店用の建物の耐用年数は31年です。

骨格材の厚みが4mm超の鉄構造建物の耐用年数をまとまると、下記になります。

  • 住宅用:34年
  • 店舗用:34年
  • 事務所用:38年
  • 飲食店用:31年

RC造

次にご紹介するのはRC造の建物の耐用年数です。RC造とは、鉄筋コンクリートで作られた建物を意味します

まず住宅用の建物に関しては、耐用年数が47年に設定されています。店舗用の建物は39年、事務所用の建物は50年となっています。

ここで注意していただきたいのが、飲食店用の建物に関しては2つに分類されていることです。

延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が3割を超える場合は34年、それ以外は41年と耐用年数がそれぞれ設定されています。大きく耐用年数が変わってくるため、飲食店用の建物を所有する場合は注意が必要です

よって、RC造建物の耐用年数をまとまると下記になります。

  • 住宅用:47年
  • 店舗用:39年
  • 事務所用:50年
  • 飲食店用:34年または41年

構造別の耐用年数の一覧は以上になります。比較的老朽化の進度が早い木造や、骨格材の厚みが薄い鉄構造は耐用年数が短い一方で、強度な作りとなっている骨格材4mm超の鉄構造やRC造の建物は耐用年数が長い傾向があります

こうした耐用年数をしっかり踏まえた上で、不動産投資を行なっていきましょう。

耐用年数を用いた不動産の減価償却費の計算方法

前述した通り、不動産の減価償却費は耐用年数を用いて計算します。

減価償却費は経費として計上すれば節税効果が見込めるため、不動産投資を行う方であれば計算方法は必ず知っておきたい知識の一つです

順を追って解説するので、不動産投資を行なっている方やこれから始めたい方はぜひ参考にしてください。

取得価格と耐用年数によって異なる償却率を調べる

まず初めに、「不動産の取得価格」と「耐用年数によって異なる償却率」を調べます。

不動産の取得価格は文字通り、不動産を購入した際の価格です。ただし冒頭でお伝えした通り、土地は減価償却資産ではありません。したがって、土地と建物の取得価格を分けた上で、建物の取得価格のみを用います

一方で償却率は、不動産の減価償却費を計算する際に用いる値です。償却率は、不動産の耐用年数によって異なります。実際に調べる際には、「不動産 償却率」や「償却率」などと調べると表が出てくるのでそちらを参考にします。

たとえば住宅用RC造の建物は、法定耐用年数が47年となっています。この建物を平成19年度以降に取得した場合、償却率は0.022となります。

なお今回は、定額法の償却率を用いました。建物本体の減価償却では、かならず定額法の活用が義務となります。

一方で建物の設備については、定額法と定率法のどちらも活用できますが、定率法を用いるには届け出が必要となるので、原則的には定額法を用います。現在不動産投資を行う方は、基本的に定額法を覚えておけば問題ないでしょう。

参考:減価償却資産の減価償却率

定額法により減価償却費を計算する

取得価額と償却率を求めたら、次はそれらを用いて減価償却費を算出します。

定額法の場合、減価償却率は建物の取得価格に償却率を掛け合わせることで求めます。

「不動産の減価償却費」= 取得価格 × 償却率」

たとえば不動産取得価格が8,000万円、償却率が0.022の場合は、減価償却費は下記のように計算します。

減価償却費 = 8,000万円 × 0.022 = 176万円

この176万円をその年の確定申告にて経費として計上できるのです。

まとめ

今回の記事では、不動産投資において重要な概念である「耐用年数」と「減価償却費」について解説しました。

銀行からの融資や節税対策を有利に進める上で、耐用年数や減価償却費の知識や求め方はとても重要です。

とくに建物の構造別に耐用年数が異なる点は、知らずにいると正しい財務諸表を作成できないので注意しなくてはいけません。逆にいうと、耐用年数や減価償却費を意識して不動産投資を行えば、税金の支出を減らしたり、融資の返済で資金繰りに困ったりするリスクを抑えることが可能です。

不動産投資で覚えなくてはいけないことは多々ありますが、減価償却費と耐用年数の基本的な部分については最低限知っておきましょう

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ不動産プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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