不動産投資物件選び

一棟物件のエリアってどうやって選ぶの?失敗しないエリアの選び方を解説

2022/03/29
一棟物件のエリアってどうやって選ぶの?失敗しないエリアの選び方を解説

一棟物件を購入する際に、必ず検討しなければいけないものの一つが「エリア」です。

都会のエリアにするのか、地方エリアにするのかと悩まれている方も多いでしょう。それぞれのエリアにメリットとデメリットがあり、きちんと理解した上で選ぶことが重要です。

こちらの記事では、一棟物件を購入する際にエリア選びがなぜ重要なのか、どのようなエリアを選ぶべきかをご紹介します。

不動産投資で成功するにはエリア選びが重要

不動産投資を行う上で、エリア選びは非常に重要です。

賃貸ニーズから考慮したエリア選び

不動産はその名の通り動かない財産のため、賃貸ニーズが無いからと言って他の場所に移動はできません。

従って、エリアによる賃貸に対する需要の違いについて把握しておく必要があります

建築法令によるエリア選び

エリア選びが重要なもう一つの理由は、各種法令です。

日本の法律ではどのエリアに、どのような建物が建てられるかが細かく定められています。

例えば低層の住居しか建てられない地域で、大型のマンションやビルを建てることはできません。事前に各種法令を確認しておきましょう。

「都会」と「地方」どっちのエリアに投資すべきか?

一棟物件に投資をするなら都会と地方どちらのエリアに投資をすればよいのでしょうか。

それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。

都会エリアのメリットとデメリット

都会エリアのメリットはなんと言っても人口が多く、不動産に対する需要が多いところです。

一棟物件に投資するうえで、最も大きなリスクと言えば「空室」です。空室が多くなってしまうと不動産投資の最大の魅力である賃料収入が減ってしまいます。

都会は人口の流入が多く、賃貸に対する需要も多いため、空室にはなりにくいと言えます。実際に日本では少子高齢化により人口は減っていくことが予想されていますが、東京の人口は増え続けており不動産の価格も上昇傾向です。

その背景には都会エリアでは人通りが多い商業地や多くの人が働くオフィス街も多くあることが挙げられます。

かつては共働きの夫婦は少なかったため、都心から少し離れた郊外に家を建て、夫が1時間以上かけて通勤すると言うケースが多くありました。

近年は共働きの世帯が増えており、通勤に便利な都心で居住する世帯が増えています。政府は女性の活躍を更に推し進める方針のため、今後もこの流れは続いていくと思われます。

そのため、都会エリアの需要増加はしばらく続くとみて良いでしょう。

一方、都会エリアの一棟物件購入でデメリットとなるのは「価格が高い」点です。

都会の一棟物件は安定した収入が見込めるため人気がありますが、一棟物件となると1億円を超える物件がほとんどです。

4. 一棟物件の融資は?最近の融資状況」にて詳しく書いてありますが、一棟投資物件の融資が非常に厳しくなっています。

大体物件価格の3割の自己資金を用意しないと、融資が受けられないなど融資が非常に厳しくなったことを認識しておく必要があります

地方エリアのメリットとデメリット

地方エリアの一棟物件に投資をするメリットは、都会に比べると価格が安いため、利回りが高くなる点です。

不動産の表面利回りは「年間の賃料収入÷購入価額」で算出します。そのため、不動産を安く仕入れることができればそれだけ利回りは高くなります。

都心では利回りが10%を超える物件を見つけるには至難の業と言えますが、地方であれば、土地の値段が安いため利回りが高くなりやすい傾向にあります

一方、エリアによりますが都会に比べると不動産の需要は減少するため、一旦空室になってしまうと、空室状態が継続するリスクは高くなりやすいのはデメリットです。

また、地方は人口減少が予想される地域も多いので、都会よりもエリアや物件の選別がより重要です。

地方の一棟物件に投資をする際は空室にならないように物件の魅力を高める工夫が必要になり、初心者というよりは上級者向けの投資と言えるでしょう。

「不動産投資を地方で行うメリットや利回り、物件選びのポイント」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。

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自分に合ったエリアの選び方

都会エリアも地方エリアもそれぞれにメリットとデメリットがあります。自分に合ったエリアはどのように選んだらいいのでしょうか。

ここではエリア選びをする時のコツをご紹介しますので、自分の状況や属性に合わせて参考にしてみてください。

収益性を重視して選ぶ

エリア選びの上で最初に確認しておくべきことは、その物件の収益性です。

一般的に地方エリアは都会エリアよりも物件の価格が低いため、利回りが高くなる傾向があります。そのため、単純に利回りを重視するのであれば、地方エリアを選択したほうが良いでしょう。

ただし、地方エリアが都会エリアよりも利回りが高いのはあくまで部屋が埋まっていることが前提です。

不動産投資は空室が多くなってしまうと、収益性が極端に下がってしまうもの。地方エリアは都会エリアに比べると需要は少ないため、空室リスクは高まるでしょう。

満室時の収益性は大事ですが、空室を増やさないということも大切です。

その点もふまえて収益性を検討する必要があります。

予算を重視して選ぶ

収益性と並び重要な要素となるのが予算です。

一棟投資物件は区分マンションと比較して、物件の修繕費用、設備の交換費用など諸経費と呼ばれている費用の出費が大きいです。

そのため、物件価格の1割前後の自己資金を運用費用として持っておく必要があると言われています。

また、一棟物件の融資もかなり厳しくなったことから、フルローンでの融資は受けられるケースはほとんどなくなりました。

大体物件価格の3割前後の頭金を出すケースが一般的となり、自己資金の割合が非常に大きくなっています。従って、自己資金との割合で予算を決める必要があります。

また突発的な出費に備えて、手元にも自己資金を持っておく必要があることから、ムリして高い物件を購入することは危険です。

頭金を出しても手元にも運用資金を残せる予算で、物件を選ぶ必要があるのです。

土地勘があるエリアを重視して選ぶ

不動産はその名の通り動かない財産です。購入してから「こんなはずじゃなかった…。」、「こんなエリアだと思わなかった…。」とならないためには、土地勘があるエリアで購入するのも一つの方法です。

自宅の近くや土地勘のあるエリアを購入することによって、賃貸ニーズを熟知していたり、万が一何かあったときにもすぐ駆けつけたりすることが可能などのメリットが挙げられます。

とはいえ、土地勘があるからと言って、近いエリアに複数の物件を購入することはあまりオススメできません

なぜならば、同じエリアに複数の物件を持つとその地域が衰退した場合や天変地異でダメージを受けた時に財産の多くの部分が毀損してしまうからです。

例えば1物件目は土地勘のあるエリアから購入して、2物件目以後は違うエリアで購入するなどのリスク分散をオススメします。

あまり土地勘のないエリアは、平日と土日、昼と夜、曜日や時間を変えて必ず複数回下見をするようにしましょう。

不動産は物件の資料だけではなかなか実態が掴めないため、必ず現場に足を運びその物件の特徴を確認するようにしましょう。

ムリしない投資プランが最も重要

投資をするエリアによって金額や利回りなどが大きく異なります

人気のあるエリアで投資を行う方が空室リスクを抑えて有利に運用できる可能性が高くなるのは事実です。

しかし、無理をして高額の物件を購入すると手持ちの資金が無くなってしまい急な出費に備えることができません

また、不動産投資には固定資産税や修繕費など、さまざまな費用がかかります。余裕資金が無いと不測の事態に対応できないため、一棟物件の経営自体が黒字であっても資金繰りに困ってしまう可能性もあります。

融資を受ける場合でもあまりに大きな融資を受けることは危険です。現在の日本は超低金利が続いており、今後も低金利は続くと思われますが、長期間融資を受ける場合は金利上昇の可能性がゼロではありません。

余裕を持ったキャッシュフローとするためにも、適切なエリアを選び無理の無い計画を立てることが一棟物件投資で失敗しないための重要な要素です。

「エリアの選び方やコツ、注意点」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。

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一棟物件の融資は?最近の融資状況

一棟物件を購入する場合、多額の資金が必要になるため、融資の必要なケースが多くなります。

融資を受ける上で最も重要な要素は「金利」です。日本は超低金利の状態が長年続いており、金利が上昇するような予想はありません。

1億円の融資を受ける場合、金利が3%で年間に支払う利息は300万円。

1%の場合は100万円です。

一棟物件の融資は金額も大きくなるため融資を受けた際の金利は非常に重要です。

ただし、いくら金利が低くても審査を通過できなければお金を借りることはできません。

昨年から一時的に金融緩和になった一棟投資物件の融資は、再び融資の審査基準が厳しくなり、本来あるべき姿の一棟投資物件の融資状況に戻りました

その背景の一つとして、一棟物件への融資に関して銀行の預金残高を改ざんするなど、不正が相次いだため国が不動産投資に対する融資に対しては厳しい見方をしていることがあります。

そもそも一棟物件投資は多額の資金を投じ、複数の部屋やテナントを運営するため、リスクが高い投資です。

しかし、日銀がマイナス金利を導入した後は金利が低くなったこともあり、普通のサラリーマンでもフルローンで1億円規模の物件に投資をするというような身の丈に合っていない投資も可能でした。

金融機関も不正や国の姿勢を受けて融資の審査を金緩和前の厳しい目線に戻しています。今後の一棟物件投資の融資は、多額の資産を持つ高属性の方で、頭金も3割程度を現金で用意できる人しか審査を通過することはできないでしょう。

また、審査を通過して融資を受けたとしても変動金利を選択した場合には将来の金利動向も勘案して金額を決定する必要があります。

20年、30年と借りる場合は金利が上昇する可能性もあります。

金利が上昇した場合でもローンを返済できるように余裕を持った返済計画を立てるようにしましょう

まとめ

一棟物件のエリアの選び方をご紹介しました。

不動産投資においてエリアは非常に重要な要素です。エリアを選ぶ際に必要なことは自分にあったエリアを選ぶ事です。誰にとっても優れているエリアはありません。

そのため、ご自身の予算や投資スタイルにあわせてエリアを選択する必要があります。

エリアに特にこだわりが無いのであれば、一棟物件に投資をする際は都会エリアを選ぶのが良いでしょう。

地方エリアは今後人口減少による需要低下が見込まれるため、不動産の選別が行われます。物件の魅力を保つためには様々な工夫が必要となり、選ばれない物件は空室となってしまう可能性が高くなります。

不動産投資において空室は、最も怖いリスクのため、安定的な収益を目指すのであれば都会エリアに投資をオススメします。

加えて、ご自身の予算にあわせて無理の無い投資プランを立てることが大切です。融資を受ける場合でも、予算や投資スタイルにあわせて無理の無い返済計画を立てられるエリアでの購入を検討するようにしましょう。

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八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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