資産形成

不動産投資における運用方法と具体的な流れを解説

2020/01/15
不動産投資における運用方法と具体的な流れを解説

不動産投資は安定的に定期収入を得られる運用として注目を集めています。

しかし、経験が無い方には不動産投資は具体的にどのようなことをすればいいのか、なかなかイメージがつかみ辛いのではないでしょうか。

この記事では、不動産投資を行う際の具体的な流れと運用方法をご紹介します。

不動産投資全体の流れ

具体的な不動産投資の運用方法を知る前に、まずは不動産投資全体の流れを掴むことが大切です。

不動産投資の全体像をご説明します。

投資戦略を立てる

不動産投資に限らず、投資には戦略が必要です。戦略を立てるために、まずは目標を立てましょう。いつまでにどのような資産を持つという具体的な目標を立てることで、はじめて戦略を立てることが可能です。

最適な戦略は現在の収入・預貯金・年齢等によって異なります。

また、ご自身の考え方も大切。不動産投資と一口に言っても投資戦略により得られるリターンや、背負うべきリスクは大きく異なります。

目標や戦略をしっかり立てることが不動産投資を行うための第一歩と考えましょう。

物件を調査・購入する

目標や戦略を立てることができれば、その戦略に見合う物件を調査・購入します。

不動産は個別性の高い商品。二つと同じ商品は無いので、しっかり調査をすることが大切です。調査をする際はまず立地や周辺の状況を調査しましょう。

不動産は文字通り「動かない財産」です。一度購入すると移転することはできないため、周辺環境やハザードマップを確認して投資するのにふさわしい地域かを確認しましょう。

建物がある場合は建物も調査する必要があります。購入前に建物の管理状況や設備の老朽化具合も確認する必要があります。

運営管理する

不動産投資は購入することがゴールではありません。しっかりと運営管理を行うことで、賃料収入を継続して得る事ができるのです。

運営管理には家賃の管理や必要に応じて修繕、それに伴う帳簿の管理を行う必要があります。

費用はかかりますが、管理会社に管理を委託することも可能ですので、仕事が忙しくてご自身で管理することが難しい場合は管理会社に委託することも検討してみると良いでしょう。

売却するまたは相続人に遺す

不動産は出口戦略もしっかりと検討する必要があります。運用している不動産は、最終的に「売却する」または「相続人に遺す」のいずれかを選択する必要があります。

ご自身の代で運用を終了して現金にしておきたい場合は、売却するタイミングも見定める必要があります。

また、相続人に遺すという選択をするのであれば、相続が発生する前に修繕を行っておくなどしておいた方が相続税の計算上有利になるということもあります。

ご自身の出口戦略が売却なのか、相続なのかは決めておいた方がいいでしょう。

「不動産投資における出口戦略」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。

関連記事:→不動産投資における出口戦略とはなにか?2つの収益方法を前提にした戦略の立て方

不動産投資で得られる利益

不動産投資の運用方法を学ぶ前に不動産投資でどのような利益が得られるかを理解しておく必要があります。

不動産投資には大きく分けて2つの主な収益源がありますのでそれぞれご説明しましょう。

インカムゲイン

インカムゲインとは安定的に継続して受け取る収入のことを指します。

株式の場合は配当金がインカムゲインにあたり、不動産投資の場合は毎月の賃料収入がインカムゲインにあたります。

不動産投資の魅力はなんといっても安定した収入であるインカムゲインです。株式の配当は企業の業績によって大きく変動しますが、賃料収入は空室にさえならなければ一定金額が収入として見込むことができます。

キャピタルゲイン

キャピタルゲインとは保有していた資産の値上がりによって得られる利益を指します。

不動産の場合は周辺の開発等によって、物件を保有しているエリアの価値が上昇する場合やリノベーション等によって、かかった費用以上に建物の価値が上昇する場合もあるでしょう。

しかし、不動産投資においてはプロでも将来の値上がりを予想することは難しいので、キャピタルゲインを得る事は簡単ではありません。不動産投資を行う際はインカムゲインを中心に戦略を検討した方が良いでしょう。

不動産投資の運用方法

ここまで不動産投資の全体の流れや主な収入源をご紹介しました。

ここからは具体的な運用手法やそれぞれのメリットとデメリットをご説明します。

不動産投資には必ず成功する方法があるわけではありません。ご自身にあった不動産投資を行うことが何より重要。

ご自身に合った不動産投資がどんな方法なのか、考えながら読んでみてください。

ワンルームマンション投資

ワンルームマンション投資は比較的始めやすい運用手法です。

また、一棟投資物件と比較して低価格で購入できるため、不動産投資初心者にもオススメできる運用手法と言えるでしょう。

ただし、ワンルームマンションは資産としては土地がほとんどなく建物部分が資産価値の大部分を占めています。建物は基本的に老朽化していくと値下がりしていくため、資産価値の向上を狙いたい場合は、エリア選びは非常に重要と言えます。

ファミリータイプの物件投資

ファミリータイプの物件の最大のメリットは、長期間入居するケースが多いということです。

一人暮らしの人に比べると小さい子どもがいる家族も多いファミリータイプでは頻繁に引っ越すようなことはしません。

そのため、比較的長く居住するケースが多いため安定的に不動産投資を行うことができます。また、ファミリータイプの人気は周辺の教育環境によって左右されます。

幼稚園や小学校が多く、教育環境が良いエリアは例え空室になったとしても需要が見込めるためすぐに埋まる可能性が高いでしょう。

一方でファミリータイプのデメリットとなるのは修繕費用が高くなる点です。

ファミリータイプの施設はキッチンや収納施設がワンルームマンションと比べると充実しているため修繕費用が多くかかってしまいます。

経年劣化により必要となった修繕費用は貸主の負担となるため、費用が収益を圧迫する可能性も高くなってしまいます。

ファミリータイプの物件への投資はワンルームマンション投資に比べると、大きな利回りを得ることは難しいものの比較的安定的に利益を得られる投資ということになります。

一棟物件投資

一棟マンション物件投資は資産価値が高いと言う点がメリットです。

建物一棟を保有することである程度まとまった土地を保有することとなります。周辺の開発等によってエリアの価値が向上した時には、しっかりとキャピタルゲインを得る事も可能です。

また、一棟マンションの投資は一度に複数の部屋を保有することとなるため、例え1室が空室となっても収入は0にならず、ある程度埋まっていれば利益が出せる点もメリット。部屋数が多ければ収入も多くなるため、少しの空室であれば資金繰りも十分可能です。

一方でデメリットはエリアに多額の資産を持つことになるため、天変地異や周辺エリアの環境悪化によって土地が下落した場合に損失が大きくなる点です。

また、投資額も大きくなるため融資を受ける場合は将来の金利上昇にも備える必要があります。

一棟マンションへの投資はマンションの一室に投資する場合に比べるとハイリスク・ハイリターンの投資手法と言えるでしょう。

一棟テナント投資

一棟テナント投資の魅力は利回りの高さです。一般的に居住を目的とする不動産よりもオフィスや店舗の方が高い賃料を得られます。

そのため、満室であれば一棟マンションに投資をするよりも高い利回りを得られるでしょう。

しかし、オフィスや店舗は景気変動の影響を受けやすい傾向にあります。景気が悪くなった場合でも、居住用物件の需要が大きく下がることは少ないものですが、オフィスや店舗は急激に需要が落ち込みます。

そのため、一棟テナントへの投資は住居の一棟マンションと比べてもハイリスク・ハイリターンの投資手法と言えるでしょう。

「収益物件の種類」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。

関連記事:→不動産投資の収益物件…「住居用・商業用・オフィス用」の違い

失敗する可能性が高い運用方法

不動産投資を行う際には失敗しないことが何より大切です。

不動産投資の失敗事例から失敗しない運用方法を学びましょう。

直近の利回りを重視して将来性の低い物件に投資

不動産を購入する際に一番に目が行くのは直近の利回りと言えるでしょう。

しかし、直近の利回りが高くても将来性の低い物件には注意が必要です。老朽化が進んでいる物件や一風変わった物件は、現在の居住者が転居した場合に次の借主を見つけるのが非常に難しくなります。

現在の利回りは高くても次の借主を探すことが難しい物件は避けた方が良いでしょう。

多額の融資を受けて運用する

少しずつ融資の審査が厳しくなっていますが、数年前と比較するとまだ融資を受けやすい状況にあります。

しかし、ご自身の資産額に見合わない融資を受けると空室が多くなった場合や金利が上昇した場合に、融資を返済することが難しくなるという大きなリスクが潜んでいます。

今の返済力で試算するのではなく、将来的に様々な理由により収入が低くなることも想定しながら、余裕のある返済プランを立てることをオススメします。

人口減少傾向のエリアでの物件購入

不動産の需要は住んでいる人の人口によって大きく左右されます。今後人口が減少していくエリアは、今後賃貸に対する需要も減少していくことが想定されます。

不動産投資は長期に渡って資産形成していきますので、長期的に安定的に収益を生むことが出来ない土地への不動産投資はオススメすることができません。不動産投資を行う際は将来の人口も予測して行うようにしましょう。

継続的な支出を想定せずに計画を立てる

不動産投資を行ううえで様々な支出があります。

固定資産税や修繕費などはいつ、どれくらいかかるかをしっかり想定しておかないと資金繰りに苦労するでしょう。

投資を行う際はいい面ばかりに目が行きがちですが、支出もしっかり想定して資金計画を立てるようにする必要があります。

「失敗しないための対策」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。

関連記事:→不動産投資の失敗理由を知る!4つの失敗理由から学ぶ対策とポイント

まとめ

今回の記事では不動産投資の全体の流れや運用方法についてご紹介しました。

不動産投資は不動産を購入することがゴールではありません。購入後の管理・運営や出口戦略もしっかり見据えて計画を立てましょう。

また、一口に不動産投資と言っても様々な運用方法があります。ご自身の資産状況や考え方にあった運用方法を選択することが重要です。

それぞれのメリット・デメリットをしっかり理解して不動産投資を検討するようにしましょう。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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