老後生活するには2,000万円もの資金が必要と言われている昨今、投資により老後に備える人が増えています。
株式やFXなど投資の手段はさまざまありますが、その中でも不動産投資は老後資金を作るのに適していると言われています。
今回の記事では、不動産投資で老後に備えるメリットやデメリット、始める前に最低限知っておくべき知識や考え方について詳しく解説します。
公益財団法人生命保険文化センターの行なった調査によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える平均生活費は月額「22.1万円」でした。
また、ゆとりある老後生活を送るには、平均で「36.1万円」もの資金が必要であるとの試算が出されています。
多くの人が最低でも22万円、ゆとりある生活には36万円必要と言われている一方で、老後に受け取れる年金の受給額は平均してわずか「15万円/月」程度と言われています。
つまり現在の日本では、年金のみでは暮らすことができないため、自分自身で若いうちから資産形成をすることが非常に重要です。
そんな老後資金を形成する手段として、近年不動産投資が注目されているのです。
参考:【生命保険文化センター】老後の生活費はいくらくらい必要と考える?
株式投資やFX投資などがある中で、不動産投資を選ぶメリットはなんでしょうか?
この章では、不動産投資で老後資金を作るメリットを4点お伝えします。
事業運営や労働でも資金を賄うことはできますが、歳を重ねていくうちに体力が落ちたり病気になったりして労働が困難となるリスクは高くなります。
事業運営や労働で老後資金を作る方法は、突発的に働けなくなった場合のリスクが大きいのです。
一方で不動産投資であれば、たとえ病気や加齢によりご自身が動けなくなっても、入居者さえいれば安定的に収入を得ることができます。
また、企業の不祥事や政治動向次第で得られるキャッシュが大きく変動する株式やFXと比べると、不動産投資で得られる家賃収入は安定しています。
労働や他の投資手段と比べて安定性が高い点は、老後資金を形成する上では魅力的なメリットです。
投資が軌道に乗って入居者が増えれば、半分不労所得化する点も不動産投資で老後資金を作るメリットです。
前述したように不動産投資は、入居者さえいれば毎月定期的に収入を得られるビジネスモデルです。入居者集めと定期的に必要なリフォームなどを除くと、御自身が一生懸命労働する必要がなくなります。
普段は別の仕事をして現在の生活費を稼ぎつつ、副業で不動産投資を行なって老後資金を貯めるといった戦略もとれるでしょう。
不動産投資で老後資金を形成する3つ目のメリットは、株式やFXと比較してあらかじめリスクを想定しやすい点です。
株式やFXの場合、突発的に起こる不祥事や政治的な動向により、得られるキャッシュや資産価値が急落する可能性があります。突発的に起こるリスクであるため、あらかじめ対策を立てておくことがとても困難です。
一方で不動産投資の場合、空室や家賃滞納など、比較的想定や対処しやすいリスクが大半です。突発的な災害のリスクもあるものの、保険などを駆使して対策ができます。
あらかじめリスクを想定・対策しやすいため、将来的に必ず必要となる老後資金を作る目的に適っていると言えるでしょう。
不動産投資は老後資金の形成のみならず、その先にある相続税の節税でも効果的です。現金を相続する場合は、相続する現預金の全額を基準に相続税を計算します。
一方で不動産を相続する場合は、仕組みや特例の活用により、実際の価格よりも少ない額を基準に相続税を計算できます。
つまり同じ価格分の資産を相続するにしても、現金よりも不動産を相続する方が相続税を節税できるわけです。
「相続税の節税対策」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
メリットはあるものの、不動産投資で老後資金を作る際にはいくつか注意すべきでメリットもあります。
今回は、不動産投資でとくに注意すべきデメリットを厳選して3つ解説します。
株式やFXと同様に不動産投資も「投資活動」であるため、損失を被るリスクがあります。
たとえば街の人口減少などで土地の価格が下がった場合、購入時よりも不動産の資産価値が下落してしまいます。
もしくは、空室が多い状態が続いてしまうと、経営の赤字化や、多額の初期投資が水の泡となってしまいます。
たしかに成功すれば安定的に家賃収入を得られるものの、失敗すると老後資金を得るために費やした貯金や借入金を失ってしまう事態になるので注意が必要です。
デメリットというよりは注意点ですが、不動産投資で成功するには「物件の構造」や「土地選び」などを慎重に行わなくてはいけません。
たとえばターゲット顧客のニーズに適さない物件構造や内装にしてしまうと、入居者が集まらないため収益を得られません。
もしくは人口が減少していた利便性の悪い場所に土地を購入してしまうと、こちらも入居者が集まらずに収益を得られません。
他の投資手法や事業運営と同様に、不動産投資もただ闇雲に行うだけでは収益を得ることができません。
3つ目にご紹介する不動産投資のデメリットは、十分な収益を得るまでに時間がかかる点です。
株式やFXの場合、レバレッジの活用やデイトレードなどの手法により、短期間で多額の資産形成を実現することができます。
一方で不動産投資の場合は、土地や物件の選定に始まり、入居者の集客などを着実にこなしていく必要があります。
不動産投資で老後資金を作る場合には、長期的な目線を持つことや、早い時期から始めることが重要です。
不動産投資は株式投資などと同様に、失敗して資産を失うリスクもあります。老後資金を作る目的で行ったにも関わらず、かえって資産を減らしては本末転倒です。
この章では、不動産投資による老後資金の形成で失敗しないために、あらかじめ知っておくべき5つのポイントをご紹介します。
大前提として、不動産自体に関する基礎的な知識は必須です。
たとえば建物構造の種類(木造やRC造)やその違い、物件や土地の購入から賃貸経営を始めるまでの流れなどの知識は最低限知っておきましょう。
さらに、物件の老朽化や破損に備えて、リフォーム業者やセルフリフォームに関する知識ややり方も知っておくと後々便利です。
また、不動産投資で注意すべきリスク(空室リスクや価格下落リスク)の内容や対処法も知っておかなくてはいけません。
不動産投資の基礎知識を学ぶ方法として、当サイトのような不動産投資のメディアから勉強するのと同時に、初心者向けのセミナーに参加することもオススメします。
会計やファイナンス、税金といった数字面も不動産投資では最優先で身につけるべき知識です。
不動産投資で老後資金を作るには、毎月の収支を黒字化しつつ、安定的な資金繰りを続けなくてはいけません。
そのためには、営業利益や純利益といった利益の求め方や、経費として計上できる減価償却費の計算方法などは必ず知っておくべきです。
加えて余裕があれば、NPV法や内部収益率法など、不動産投資の実行可否を合理的に判断するための計算手法も知っておくと有利です。
ちなみにNPV法とは、不動産投資で得られるキャッシュフローの現在価値から、初期費用を差し引いた金額がプラスの場合に、不動産投資を行うとする方法です。
簡単に言うと、将来にわたって得られるキャッシュフローが、最初に投資する金額よりも多ければ不動産投資を行うと判断するのがNPV法です。
たとえばキャッシュフローの現在価値合計が7,000万円、初期投資額が5,000万円であれば、NPVが2,000万円となるため、不動産投資を行うべきであると判断します。
安定的に家賃収入を得るには、土地ごとに異なる顧客のニーズに適した物件を最適な価格で提供することや、競合の物件に対して優位性を確立することが求められます。
競合に打ち勝ち、かつ顧客のニーズに適した物件を提供するには、経営やマーケティング的な考え方が必要となってきます。
一例を挙げるとすれば、ターゲット顧客のニーズを調べる調査手法や、価格の設定方法、ブランディング戦略などを知っておくと、不動産投資を有利に進めることができます。
不動産投資を始める際には、その土地の開発計画や人口動態を必ず確認しましょう。
なぜなら、今後人口が減少したり街の利便性が低下したりするような場所で不動産投資を始めてしまうと、入居者が集まらず収入を得られないからです。
不動産投資で失敗しないためには、今後再開発が行われる地域や、人口が増加傾向にある土地を選ぶのがベストです。
なお開発計画や人口動態については、「○○市 再開発」や「○○市 人口推移」などと調べると、土地ごとの開発計画や人口動態を把握することが可能です。
不動産投資では、物件を探す際やリフォームなど、あらゆる場面でプロの業者の力を借りることになります。老後資金を着実に貯めるためには、信頼できるプロを見つけることが重要なポイントです。
こちら側のニーズをしっかりと聞いた上で提案してくれる業者さんや、実績豊富で評判が良い業者さんを選ぶのがベストです。
反対に、自分の意見ばかり主張してくる業者や、評判が良くない業者は選ばない方が良いでしょう。
「不動産投資会社の選び方」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
関連記事:不動産投資で入居率を高めるには?改善方法や実力のある不動産会社を紹介
老後に備える手段として、不動産投資は安定性もありオススメの方法です。
安定性がある上に相続税の節税にもつながるので、家族にとっても不動産投資はメリットが大きいです。ただし投資行為である以上、損失を被るリスクも十分考慮しなくてはいけません。
少しでも損失を被るリスクを下げるためにも、あらかじめ不動産や会計、マーケティングなどの知識を学んだ上で不動産投資を行うのがオススメです。
そうすれば、不動産投資で着実に老後資金を貯めることができるでしょう。