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2020年「東京オリンピック」後の不動産価格は上がる下がる? 栄光の1964年、幻の1940年から考える

筆者: 株式会社グローバル住販(THEグローバル社グループ)コラム
2019/07/11

第1回東京オリンピックは1964年に開催

来年2020年には第2回目となる東京五輪が開催されます。これにあわせて、東京では大規模な再開発や工事が進められています。

第1回の東京五輪は1964年に開催されました。今年から数えて55年前の出来事です。この当時にも東京では大きなインフラがいくつか建設されています。皆さんはいくつご存知でしょうか?

まず交通面では首都高速道路、そして東海道新幹線、東京モノレールなどが挙げられます。

意外ですが、渋谷公会堂やNHK放送センターなども五輪のために建設されています。

また環七などの道路もこの時期に整備されています。まさに東京中が大きく変わっていく契機となった訳です。


実はさらにその前にも東京五輪が決定していた?

実は東京五輪はそれ以前にも開会の予定がありました。1940年(昭和15年)に東京で夏季オリンピックが開催される事が1936年(昭和11年)に決定していました。

なんと、この時には万博の開催や札幌の冬季オリンピック開催も決定していたそうです。

昭和15年は皇紀二千六百年にあたり、その式典とともに開催される予定でしたが、戦争が理由で中止となりました。

この万博開場へのメインゲートとして1940年に勝鬨橋が建設されています。

このように歴史を見てみると、オリンピックの開催には、多くのインフラ整備が伴っている事が分かります。


昭和15年のオリンピック

中島京子さんの小説「小さいおうち」(文藝春秋)は戦前・戦後の女中さんの物語ですが、2010年に直木賞を受賞し、山田洋二監督で映画化されているので知っている方も多いかもしれません。

この本の中で旦那様が昭和15年の東京五輪についてこう語ります。

「オリンピックともなれば、競技場は建設される、選手を迎える施設も建設される、いい道路だって整備されるということになって、経済が活発になるだろう。日本のいいところを世界に宣伝するいい機会にもなるし、世界中の人がますます日本にやってくる、交流が盛んになる、お金を落っことしていってくれる、そういうことだよ」

<「小さいおうち」中島京子著 文春文庫 株式会社文藝春秋 2012年>

この当時は昭和10年頃と設定されていますが、まさに今と通じる所がありますね。もちろんこれは小説ですが、五輪への期待はいつの時代も変らないものであると感じました。


多くの施設建設と再開発が進行する2020年東京五輪


今回の五輪では既存の施設を活かして競技場などの建設が進められています。新設となる新国立競技場は建設費問題で紛糾しましたが今年11月には完成の予定です。

湾岸エリアには大規模な選手村をはじめ多くの施設も建設されています。

これに加えて、東京のターミナル駅などを中心として、大規模な再開発が進められています。

まさに五輪前夜の2019年は建設ラッシュとなっている状況が窺えます。

こうした建築需要の増加から建築費も上昇傾向となっています。


建築費はどれくらい上昇しているのか

国土交通省の「建設工事デフレーター」によると、鉄筋造(RC)の住宅の建設工事費は2011年を100とする指数で見た場合、2019年1~3月には111.5と10%以上上昇しています。

これは建築資材の上昇に加え、人手不足による賃料の上昇も要因となっています。

建設工事デフレーター(住宅RC造)
指数
2011年度100.0
2017年度107.4
2018年度111.2
2019年
1〜3月
111.5
<国土交通省「建設工事費デフレーター (2011年度基準)」>


地価の上昇も不動産価格上昇に

さらに東京都心部や利便性の高いエリアなどを中心として地価も上昇傾向にあります。

こうした地価の上昇と建築費の上昇と合わさり、マンションなどの不動産価格の上昇につながっています。


2019年公示地価 地価変動率の推移

住宅地商業地
2018201920182019
東 京 都2.53.05.56.8
東京都区部3.94.86.47.9
区部都心部4.66.07.18.8
区部南西部3.54.05.56.7
区部北東部4.15.15.57.4
<国土交通省「平成31年地価公示」>


東京23区のマンション価格の推移

20082018上昇率
平均価格5,932万円7,142万円20.3%
㎡単価85.3万円113.8万円33.4%



建築受注は3年連続の増加に

国土交通省の発表した建設大手50社による「建設工事受注動態統計調査」によると、2018年度の国内建築受注は前年比6.0%の増加で3年連続の増加となっています。公共工事は減少していますが、民間工事は前年度比14.5%増と高い水準になっています。


今後も建築需要が多く見込まれる

東京五輪後の不動産価格を見る場合には、東京五輪後にも多くの再開発プロジェクトが進行している事が見逃せません。さらにリニア中央新幹線や高輪ゲートウェイ新駅駅前の大規模再開発など、大型の開発も進んでいます。

こうした開発により経済が活性化する事はもとより、オフィス需要の増加から賃料の上昇、さらに就業人口の増加による住宅需要の増加などにもつながります。

つまり東京五輪後も東京の経済的な発展は続くと考えられますので、一時的な調整局面はあっても、全体として不動産価格の上昇は続くのではないでしょうか。


不動産価格の二極化がさらに進む?

ただし全ての不動産価格が均一に上昇する訳ではありません。

不動産価格が上昇しているエリアと下落しているエリアの二極化が進んでいます。

つまり五輪が終了したからと言って、全ての不動産の価値が一斉に変化する訳ではありません。2019年の東京圏の公示地価を見ても、上昇している箇所は商業地で約9割、住宅地では約6割ですが、残りは横ばいまたは下落となっています。

全体として不動産価格の大きな変動はありませんが、地域ごとに価格の動きは大きく差が出てくる事も考えられるのではないでしょうか。

株式会社グローバル住販(THEグローバル社グループ)

株式会社THEグローバル社(東証1部上場)を中心とした企業グループで不動産開発~販売~管理を一貫して行う。従来からの実需用住宅に加え、近年はホテル運営や投資物件開発・販売等へと事業領域を拡大している。