不動産投資は、収入源が「家賃収入」なので比較的安定性が高い投資といえます。
しかし、当然ながら「投資」であることに変わりはないので、リスクも存在します。そのリスクと対策を知っておくことで、不動産投資はより安定するでしょう。
そこでこの記事では、不動産投資の6つのリスクと、そのリスクの回避策を解説していきます。不動産投資を検討している人はぜひ参考にしてください。
1つ目のリスクは空室リスクです。
このリスクについては以下を知っておきましょう。
区分(一室)投資をしている場合には1部屋しか保有していないので、空室時の空室率は大きいです。
たとえば、年間で1か月空室になっただけで、家賃は「1か月÷12か月=約8.3%」も空室率が出てしまいます。
一方、一棟投資の場合は複数の部屋を保有しているので、1部屋が空室になってもほかの部屋の家賃収入でカバーできる場合もあります。
しかし、退去(空室)のタイミングは転勤などが多い3月に集中するので、一度に多くの部屋が空室になるリスクがあります。
一棟投資は一気に空室になることで、家賃が大幅に下落するリスクがあるのです。
この空室リスクへの対策は、空室率を読み込んだ収支計算をすることです。
空室率が何%かを正確に予測できませんが、不動産会社にヒアリングして周辺物件の空室率などを基にシミュレーションしましょう。
仮に、2年間で1.5か月ほど空室になると予測したら、「1.5か月÷24カ月(2年間)=6.25%」家賃は下落します。
この下落率を加味した家賃収入でシミュレーションを行い、その上で収益を上げつづけられる物件を選ぶことが、空室リスクへの対策になります。
「空室対策」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
関連記事:不動産投資の空室対策は物件選びから!4つのポイントを解説
2つ目のリスクは家賃下落リスクです。このリスクについては以下を知っておきましょう。
建物は経年劣化していくので、基本的には築年数が経過するごとに家賃収入は減っていきます。
しかし、不動産投資には以下支出があり、この支出の中には築年数に応じて増えていく支出もあります。
上記の支出と家賃下落率を加味した「家賃収入」でシミュレーションをしても、収益を上げつづけられる物件が、理想の物件といえます。
このリスクへの対策は、空室率と同じように不動産会社へ家賃下落率の予測をヒアリングしつつ、自分でも周辺物件の家賃を調べることです。
まずは、ポータルサイトで賃貸物件を検索し、周辺で似たような物件をピックアップしましょう。
その後、ピックアップした物件を築年数順に並び変え、家賃を㎡単価に換算します。そうすると、築年数ごとの㎡単価が分かるので、築年数による家賃下落率も分かるのです。
仮に、家賃下落率が年間1%であれば、上述した空室率と一緒にシミュレーションに盛り込み、物件の収益性を測る必要があります。
3つ目のリスクは家賃滞納リスクです。
このリスクについては以下を知っておきましょう。
まずは、そもそも家賃の滞納はどのくらい起こるのか?を見ていきましょう。
日本賃貸住宅管理協会が作成している2019年上期のデータを見ると、滞納率は以下の通りです。
このように、さほど高い確率ではないものの、滞納率2%を超えているエリアもあるため、自分の保有している物件でも、家賃滞納が起こる可能性はゼロとはいえません。
このリスクへの1つ目の対策は保証会社の導入です。
保証会社とは、賃借人が家賃を滞納したとき、代わりに家賃を支払う(保証する)会社です。
ただ、保証会社を導入するときは、保証会社やプランによって保証される期間や金額が異なり、入居審査も厳しくなる点は認識しておきましょう。
サブリース契約(空室保証)を結ぶことで、不動産会社が部屋を借り上げてくれるので空室時も家賃収入を得られます。
ただ、サブリースの場合は2年に1回ほどのペースで家賃が改定され、かつ家賃も相場より10%ほど下落する点は認識しておきましょう。
「家賃滞納対策」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
関連記事:不動産投資物件の家賃滞納をされた時にすべきことと滞納を予防する方法
4つ目のリスクは災害リスクです。このリスクについては以下を知っておきましょう。
不動産投資する上で災害が起きると、以下のようなリスクがあります。
このように、災害によって建物や設備に損失を被り、修理費用などが発生する点が不動産投資における災害リスクです。
このリスクへの1つ目の対策は、ハザードマップで災害リスクを確認しておくことです。
「○○(市区名) ハザードマップ」で検索すると、そのエリアのハザードマップが出てきます。そのハザードマップにて、豪雨による浸水や洪水リスク、液状化リスクなどをチェックします。
また、エリアによっては「地域危険度調査」という資料もあり、この調査で地震が起きたときのリスクも分かるので、合わせて検索しておきましょう。
ハザードマップなどで調べた結果、災害リスクが高かったとします。
ただ、災害リスクが高いからといって、そのエリアの物件を購入することが絶対にNGというわけではありません。その場合、その災害リスクを加味した物件価格で購入する点と、保険への加入を検討することが重要です。
ローンを組むと火災保険へは必須加入なので、火災保険に入っている物件は多いでしょう。しかし、そこに家財保険を付けるのかは物件によって異なりますし、地震保険を加入するかは任意です。
そのため、ハザードマップなどで地域の災害リスクを見極め、それに応じて加入する保険の内容も検討しましょう。
5つ目のリスクは金利上昇リスクです。このリスクについては以下を知っておきましょう。
金利上昇リスクとは、金利が上昇することで「ローン返済額」が上がるリスクです。
ローン返済額は、不動産投資において最も高額な支出になることが多いため、金利による返済額の上昇は収支悪化の主な原因といえるでしょう。
このリスクへの対策は、金利が上昇しても問題ないことを確認するために、返済シミュレーションをすることです。
たとえば、金利2%で借りていたものの、2.5%に上昇したらいくらの返済額になるのか?その返済額で収支を組むとどうなるのか?をシミュレーションするということです。
不動産投資ローンの変動金利には「1.25倍ルール」があります。
変動金利を組んでいるときには、半年ごとに金利が見直され、5年ごとに返済額へ反映されます。しかし、いくら金利が上がっても、ローン返済額の上昇は1.25倍が上限となっています。
一方、固定金利の場合は、固定金利終了後に変動金利へ切り替えるか、もう一度期間を指定して固定金利を組みます。その際は、1.25倍ルールは適用されないので注意が必要です。
この点を頭に入れて金利タイプを選択することがリスクヘッジにつながります。
繰り上げ返済とは、借入期間の途中で元本を返済することです。
繰り上げ返済をすると、仮に金利が上昇したとしても繰り上げ返済していないときよりは、ローン支払額は上昇しません。
つまり、繰り上げ返済することで金利上昇リスクを抑えることができるということです。ただ、繰り上げ返済に関しては以下が注意点なので、この点も頭にいれて金融機関選びをしましょう。
6つ目のリスクは管理会社倒産リスクです。このリスクについては以下を知っておきましょう。
管理会社倒産リスクは、主にサブリース契約しているときのリスクです。
2018年に世間を騒がせたシェアハウス運営会社の倒産が良い例で、サブリース契約をしている管理会社(不動産会社)が倒産することで、未払いの家賃が発生する可能性があります。
シェアハウス運営会社が倒産した件でも、数か月の家賃が未納のままで運営会社が倒産しました。
当然、その未納分は補填されないので、そのまま物件オーナーの損失になるというわけです。
対策としては、会社規模や実績をきちんとチェックすることです。
前項のシェアハウス運営会社の倒産も、その運営会社が思うように賃付けできないことで、収支バランスが崩れて倒産しました。
しかし、会社の規模が大きければ、多少賃付けできない期間があっても会社の耐力があるので問題ありません。また、実績があればその分ノウハウが蓄積されているので、賃付けできないということが起こりにくいと言えるでしょう。
もう1つの対策は、定期的に入金日に遅れがないかを確認することです。仮に1日の遅れでも、法人として約束を破ったことになるので、担当者に問い合わせて問題ないかの確認をすることが重要です。
仮に、問題があれば「家賃未払い」の状態になる前に、サブリース契約を解除して他社と契約するなど対応が必要でしょう。
不動産投資にはこのようなリスクがありますが、そもそも投資にはリスクがつきものです。
そのため、大事なのはリスクを恐れるのではなく、リスクを理解して対策を知り実行することです。
今回解説した6つのリスクを理解し、その点を頭に入れながら物件選定、および物件運営することが重要になります。