不動産投資はローンを組んで物件を取得する方はほとんどでしょう。
そして、不動産投資ローンを組む場合は、団体信用生命保険に加入することがあるため、「不動産投資=生命保険代わりになる」と言われています。
しかし、生命保険代わりになるといっても、団体信用生命保険に加入することでリスクや注意点もあるため、その点もよく理解した上で不動産投資をはじめなければいけません。
そこでこの記事では、不動産投資は生命保険代わりになるのはなぜか?その際にリスクはないか?という点を詳しく解説していきます。
まずは、そもそも不動産投資が生命保険代わりになるのはなぜか?という点について以下を解説していきます。
冒頭のように、不動産投資ローンを組むことで団体信用生命保険に加入することがあります。
団体信用生命保険とは、名義人が亡くなったり高度障害になったりしたときに、その時点の残債が補填されるという生命保険です。
つまり、不動産投資ローンを組むことで生命保険にも加入している状態になるので、不動産投資をすると「生命保険代わりになる」といわれているのです。
これは「ローンを組んで金融商品(不動産)を購入する」という不動産投資ならではのメリットであり、ほかの投資ではこのようなメリットを享受できません。
一般的な団体信用生命保険は、上述した「死亡時や高度障害になったときに補填される」という内容です。
①障害特約付き
②ガンや疾病保障特約付き団体信用生命保険の保障内容も豊富になり、以下のような商品を選ぶことができます。
金融機関によって取り扱う保障内容が異なりますので、少しでも保障内容が豊富な商品を選びたい場合は、金融機関を選ぶことが重要です。
「障害特約付き団体信用生命保険」とは、保険会社が定める障害状態になり、かつローン返済が困難な状態になったときに保険金が支払われる特約です。
たとえば、SMBC信託銀行の障害特約付きの団体信用生命保険は、傷害または疾病によって保険会社が定める障害状態になり、かつ仕事ができなくなったときに、その時点の残債が補填されます。
参考:https://www.smbctb.co.jp/product/loan/group_credit_life_insurance.html
ガンや疾病保障特約付きには以下の種類があります。
・ガン特約付き
・三大疾病特約付き
・八大疾病特約付き
ガン特約付きとは、ガンと診断されたときに残債が補填されるタイプの団体信用生命保険です。
三大疾病とは、ガンのほかに急性心筋梗塞・脳卒中と診断されて、入院が一定期間を超えたら残債が補填されます。ただし、「入院期間」などの諸条件は金融機関によって異なる点は認識しておきましょう。
そして、八大疾病とは三大疾病に加えて、高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎のときに補填される団体信用生命保険です。
参考:
https://www.hokugin.co.jp/cs/gaiyou/data/index_loan_apartment01.pdf
https://www.kansaimiraibank.co.jp/kojin/jutaku/plan/danshin/anshin.html
「団体信用生命保険」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
前項で、不動産投資ローンには団体信用生命保険というものがあり、その団体信用生命保険があることで「生命保険代わりになる」ことを分かっていただけたかと思います。
次に、団体信用生命保険と生命保険の違いである以下について解説します。
(1)保険料の支払い方の違い
(2)保険金額の仕組みの違い
なお、保険料とは保険に加入した人が保険会社へ支払う料金のことであり、保険金額とは名義人が亡くなったなど保険会社が支払う(補填される)金額です。
まずは、保険料の支払い方の違いです。生命保険の場合は、基本的に「保険料」という形で支払いますが、団体信用生命保険の場合は金融機関などによって異なります。
生命保険の場合は、保険会社や保障内容・加入者の年齢によって保険料が異なります
また、基本的には口座引き落としやクレジットカードなどで支払い、月払いや年払いです。
団体信用生命保険の支払いは金融機関によって異なります。たとえば、オリックス銀行の場合は団体信用生命保険に加入することで金利が上がります。
仮に、借入期間25年で借入金5,000万円、元利均等返済でローンを組んでいるとき、金利の差による返済額の違いは以下になります。
・金利2%:月々返済額211,927円、総返済額63,578,100円
・金利2.3%:月々返済額219,306円、総返済額65,791,800円
上記の要因、金利が0.3%上昇するだけで、総返済額は約200万円増えます。
そのため、金利が上昇するタイプの団体信用生命保険を付保する場合には、返済額の違いをきちんと確認する必要があるということです。
参考:https://www.orixbank.co.jp/personal/property/account.html
一方で、SMBC信託銀行のように団体信用生命保険に加入しても、保険料は銀行負担するケースもありますので、事前に確認しておきましょう。
参考:https://www.smbctb.co.jp/product/loan/group_credit_life_insurance.html
不動産投資ローンの団体信用生命保険と生命保険では、保険金額の仕組みにも違いがあります。
団体信用生命保険の場合は、残債に応じて保険会社から支払われる保険金額が異なります。
生命保険の保険金額は以下のように色々なプランがあり、そのプランに応じて保険金額も変わり、かつ自分で保険金額を決められるプランもあります。
・亡くなったときに○○万円支払われる
・入院したときに一時金として○○万円支払われる
・就業不能になったときに○○万円支払われる
・介護が必要になったときに一時金が支払われる
上記はほんの一例であり、一般的な生命保険には非常に多くのプランがあります。
そのため、自分のニーズに合わせてプランや保険金額などを選ぶことが可能で、団体信用生命保険と同じ仕組みの逓減保険というプランもあります。
一方、団体信用生命保険は「残債」が保険金額です。
たとえば、借入期間25年で借入金5,000万円、元利均等返済、金利2%でローンを組んでいるときに残債(保険金額)は以下のように推移していきます。
・5年後:41,750,371円
・10年後:32,775,984円
・15年後:22,858,579円
・20年後:11,899,066円
このように、特約を付けられるとはいえ、団体信用生命保険は一般的な生命保険よりもバリエーションは少ないです。
前項までで、団体信用生命保険の概要と生命保険との違いが分かったと思います。
この章より、団体信用生命保険について知っておくべきことや、加入時の注意点について解説していきます。
まず、「団体信用生命保険へ加入必須かどうかは金融機関による」という点を知っておきましょう。
勘違いされやすいのですが、投資用ではなく自宅購入のためのローンである住宅ローンを組むときは、団体信用生命保険は必須加入(フラット35は除く)です。
言い換えると、団体信用生命保険に加入できない場合は、住宅ローン自体を組めなくなるということです。
一方、不動産投資ローンの場合には、団体信用生命保険は必須加入でない金融機関もあります。
たとえば、オリックス銀行やSMBC信託銀行は団体信用生命保険に必須加入ですが、みずほ銀行や三井住友銀行は団体信用生命保険には任意加入です。
さらに、北陸銀行や関西みらい銀行は基本的に団体信用生命保険への加入が必須なものの、加入が無理なら「法定相続人を連帯保証人とする」という条件にしています。
仮に、健康状態の関係などで団体信用生命保険への加入が難しい場合は、団体信用生命保険が任意加入の金融機関を探せば、ローンを組むことは可能です。
参考:
https://www.orixbank.co.jp/personal/property/account.html
https://www.smbctb.co.jp/product/loan/group_credit_life_insurance.html
また、団体信用生命保険も「生命保険」の一種なので、加入者の健康状況や疾病歴などによっては加入ができません。
そのため、団体信用生命保険に加入するときは、現在の病状や健康状況を「告知書」に記載し、それの内容によって保険会社が団体信用生命保険へ加入できるどうかを判断します。
もし団体信用生命保険が必須で団体信用生命保険に加入できなければ、住宅ローンのときと同じくローン自体組めません。
中には、「5,000万円以上の借入の場合は健康診断書が必要」など金融機関によって条件が異なりますので、個別に確認しましょう。
次に、団体信用生命保険が不動産投資のメインではない点に注意しましょう。
基本的には、不動産投資のメインはあくまで家賃収入を得ることによる「安定して継続的に収益を上げること」です。
しかし、「生命保険の代わりになる」という目的が先行してしまうケースもあります。
不動産投資ローンの団体信用生命保険は、万が一、名義人が亡くなったなどのときに、保証会社が代わりに残された残債を支払います。遺族の方には無残債の不動産が残されることになるため、保険金をもらえるわけではありません。
従って、保険金を目的としている方には適していないことを理解しておきましょう。
最後の注意点は、団体信用生命保険を付保した不動産投資ローンを組むのであれば、現在加入している生命保険の見直しが必要という点です。
というのも、団体信用生命保険に加入することで、現在加入中の生命保険と保障内容が被るのであれば、「加入中の生命保険は解約する」という判断ができるからです。
仮に、保障範囲が被っているという理由で現在加入している生命保険を解約するのであれば、保険料の支払いがなくなるというメリットがあります。
言い換えると、団体信用生命保険に加入するのに現在加入している生命保険の見直しをしないと、「無駄な保障に生命保険料を支払っている」という状態になりかねないのです。
もちろん、保障内容によっては生命保険を継続する場合もあると思いますが、いずれにしろ団体信用生命に加入するなら、現在の生命保険の加入状況も確認しましょう。
このように、不動産投資が生命保険代わりになるといわれるのは、不動産投資ローンを組むことで団体信用生命保険に加入できるからです。
しかし、団体信用生命保険に加入するときの条件や、特約などは金融機関によって異なるので、その点を良く確認して金融機関を選ぶ必要があります。
また、仮に団体信用生命保険に加入した場合は、既存の生命保険の見直しが必要なことも知っておきましょう。