小口化不動産

不動産小口化商品とは?意味や種類、メリット・デメリットを解説

2022/03/23
不動産小口化商品とは?意味や種類、メリット・デメリットを解説

不動産投資を始めたいけど、資金も時間もないという方は多いのではないでしょうか?

そんな方にオススメなのが、「不動産小口化商品」です。

不動産小口化商品を使えば、多額の資金を持っていない方や、不動産を管理する時間がない方でも不動産投資を行うことができます

今回の記事では、不動産小口化商品の概要や種類、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。

不動産小口化商品とは

はじめに不動産小口化商品について、最低限の知っておくべき事柄をお伝えします。

不動産小口化商品の概要

不動産小口化商品とは、ある不動産に対して複数人でお金を出し合い、得られた利益を出資した割合に応じて分配できる不動産の投資商品です。

「小口化」という言葉からわかる通り、投資家はある不動産の一部のみ所有(購入)することになります。

たとえば1億円のマンションの場合、通常の不動産投資では1億円を出資しなくてはいけません。しかし、不動産小口化商品であれば100万円などの比較的少ない資金から、投資を始めることが可能です。

不動産小口化商品とREITの違い

少ない資金で不動産投資を始めることができるスキームには、REIT(不動産投資信託)もあります。

では、不動産小口化商品とREITにはどのような違いがあるのでしょうか?

不動産小口化商品REIT最大の違いは出資方法です。

不動産小口化商品の場合は、実際に不動産に投資して、所有権や持分権を所有することになります。

一方でREITは、あくまで不動産投資事業を行う法人の証券を購入するにすぎません。REITは、不動産投資というよりは証券市場を通じて行う株式投資のイメージに近いです。

また、不動産小口化商品は売買する際に事業者の了承を得る必要がある一方で、REITの場合は自由に証券を売買できるという違いもあります。

それぞれの特徴やメリット・デメリットを比較した上で、不動産小口化商品とREITを使い分けましょう。

不動産小口化商品の種類

不動産小口化商品は、「賃貸型」「任意組合型」「匿名組合型」の計3種類に分けられます。

ここでは、各商品の特徴について詳しくご説明します。

賃貸型

賃貸型とは、不動産の持分を複数人の投資家で所有し合い、業者に不動産を貸し出して物件を管理してもらう形の不動産小口化商品です。

簡単にいうと、複数人で不動産を所有し、物件の管理を外部の業者に任せる方法です。不動産経営で得られた家賃収入は、投資家に不動産所得として分配されます。

また、物件を管理する業者が倒産した場合、投資家の持つ債権は失われません。加えて、不動産の登記では持分を持つ全員の名義を記載します。

任意組合型

任意組合型とは、不動産を管理する業者と投資家の間で「任意組合契約」を締結する形で行う不動産小口化商品です。

任意組合とは、「複数人で出資して共同で事業を経営する旨」を約束することで、効力が発生する契約です。そのため賃貸型とは異なり、業者も不動産の持分権を有することになります。

投資家は不動産の所有権を持つため、賃貸型と同様に分配される利益は「不動産所得」となります。

また、所有権を保有する都合上、各投資家の登記も必要です。

匿名組合型

匿名組合型とは、不動産を管理する業者と投資家の間で「匿名組合契約」を締結する形で行う不動産小口化商品です。

匿名組合とは、ある会社に対して匿名で出資することで、会社側が得られた利益の一部を分配してもらう形の契約です。

不動産ではなく「会社」に対して出資する契約であるため、不動産の所有権(持分)は保有しません。

投資家は不動産の所有権を持たないため、分配金として得られた利益は「不動産所得」ではなく「雑所得」として計上する必要があります。

また匿名で出資するため、登記簿に投資家自身の氏名が載ることはありません。

不動産小口化商品のメリット

不動産小口化商品は、一棟マンション投資や戸建て投資と比べて、どのようなメリットがあるのでしょうか?

ここでは、不動産小口化商品の代表的なメリットを5つご紹介します。

少ない資金で手軽に投資できる

不動産小口化商品における最大のメリットは、少ない資金で手軽に投資を始めることができる点です。

通常の不動産投資では、物件や土地の購入で少なくとも4,000万円~5,000万円の初期投資が必要です。

リスクを負って金融機関から借入を行うか、貯金を全て使い果たす必要があり、初心者の方が手軽にできる投資手法ではありません。

一方で不動産小口化商品ならば、一口100万円前後の金額で不動産投資を行えます。

そのため、リスクを負って借入をする必要もありませんし、生活を圧迫するほどの資金を支出する必要もありません

優良物件にも投資できる

ただ単に少ない資金で始めることができるだけでなく、本来なら手が出せない優良物件にも投資できる点も不動産小口化商品の魅力的なメリットです。

利便性が高く好立地にある物件や、首都圏の一等地にある物件などは、当然需要が高いため多額の利益を安定的に得られる可能性が高いです。

しかし、誰もが欲しがる優良物件は、一般的な不動産と比べてはるかに高額です。

ほとんどの不動産投資家は億単位のお金を出せないため、中古物件や若干難ありの物件を止むを得ず購入することとなります。

しかし、こうした物件は優良物件と比べて利回りが低かったり、空室が発生する可能性が高かったりと、様々な面で不利です。

そこでオススメなのが、不動産小口化商品です。

通常ならば数億円する物件だとしても、不動産小口化商品ならばその一部分のみを数百万円から所有権を購入できます

相続税の節税対策として効果大

不動産の活用は、相続税を節税する手法として有名です。

不動産を相続する際には、現金を相続する場合と比べて20%~30%ほど相続税の評価基準となる金額が少なくなります。

たとえば現金1億円を相続する場合と比べて、不動産ならば7,000万円~8,000万円を相続する扱いとなるため、結果的に相続税の額が小さくなります。

不動産小口化商品も「所有する不動産」として評価されるため、相続税の節税対策として極めて有効です。

さらに、不動産を丸ごと購入する場合と比べて少ない資金で済むため、そこまで多額の資産を相続しない方でも活用可能です。

自分で不動産を管理する必要がない

普通の不動産投資では、ご自身で不動産の修繕や家賃回収などの業務をこなす必要があります。

現在、会社に勤めている方にとって、日々の業務と不動産の管理を両立するのはとても難しいでしょう。

一方で不動産小口化商品の場合は、不動産のプロである業者にメンテナンスや修繕、集客などの管理を一任できます

そのため、日々の仕事で忙しいサラリーマンの方でも負担を負わずに不動産投資を行えます。

リスクを分散しつつ不動産投資できる

不動産小口化商品は少額から始めることができるため、投資対象の物件を複数に分散することが可能です。

不動産投資では、空室や災害、価格変動などにより収益率が大幅に減少するリスクがあります。

たとえば5,000万円を支出して1つの物件を経営している場合、空室率が増加してしまうと、一気に不動産投資の収益は激減します。

一方で複数の物件に少額ずつ投資すれば、仮に一つの物件の収益率がダメになっても、他の物件から得られる収益でカバーできます

不動産投資を少額で始めたい方は下記でも詳しく解説していますので参照してみてください。

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不動産小口化商品のデメリット

メリットが非常に多い不動産小口化商品ですが、あらゆる面で万能な投資商品というわけではありません。

不動産小口化商品には以下3つのデメリットもあるため、実際に投資する際には注意を払いましょう。

実質的に得られる利回りが小さい

家賃回収などの業務を業者に一任するため、業者が家賃収入の一部を受け取ることになります

つまりご自身で不動産投資を行う場合と比べて、得られる利回りが少なくなってしまうのです。

また、あくまで不動産の一部のみ所有することになるため、一つの物件丸ごとに投資する場合と比べて、得られる利益の額は少なくなります。

低リスクかつ手軽に始めることができる不動産小口化商品ですが、その代わりに得られるリターンも小さくなるため注意しましょう。

商品数が少ないため出資できない可能性がある

不動産小口化商品はとても魅力的なメリットが多いため、購入したい希望者が数多く存在します。

一方で市場に出回っている不動産小口化商品の数は少ないため、抽選などにより投資したくてもできない可能性があります。必ず出資できるとは限らない上に、商品数の少なさから複数の不動産小口化商品を持つことは困難です。

よって、不動産小口化商品をメインに、不動産投資を行うのは難しいといえます。

融資を受けられない

本来、不動産投資では、自己資金が少なくても、融資を受けることで収益率の高い物件を購入できます。

むしろ不動産投資で多額の収入を得るには、「融資によるレバレッジ効果」を得ることが必要不可欠と言っても過言ではありません。

しかし不動産小口化商品に投資している場合、複数人で共同の物件を所有することになりますので、その物件を担保にして融資を受けることはできません

自己資金で投資する必要があるため、レバレッジ効果を活かした不動産投資が行えません。

まとめ

不動産小口化商品は、低リスクかつ少ない労力不動産投資を行える手法として、近年大きな注目を集めています。

しかし商品数自体が少ない点や融資を活用できないなどのデメリットもあるため、誰がやっても成功する投資手法というわけではありません。

とはいえ、一般的な不動産投資と比べると初心者の方でも取り組みやすい投資であるのは確かです。

不動産投資に興味がある方は、不動産小口化商品からチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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