物件の購入方法

不動産投資における収益物件の購入基準とは

2022/03/23
不動産投資における収益物件の購入基準とは

不動産投資の収益基準を利回りにされている方が多いと思いますが、利回りを得るために収益物件の基準が非常に重要と言えます。

その基準は不動産投資の目的によって異なってきますが、基本的には「資産価値が高く、空室が出にくい」物件です。不動産投資は、収益物件選びにその成功がかかっているといっても過言ではありません。

ここでは不動産投資における収益物件を選ぶ時の基準について解説していきます。

不動産投資における収益物件の購入基準とはどのようなものか

不動産投資における収益物件の購入基準とは、冒頭で解説したように資産価値が高く、空室が出にくい物件であることです。

たったこれだけの条件を満たせばいいの?と思う方も多いと思いますが、実はこの空室が出にくいという条件を満たすのはなかなか難しいものです。他にも気を付けるべきポイントはたくさんあります。それらのポイントを押さえた収益物件を選んで初めて、収益を得ることができるのです。

収益物件選びは、これから行おうとしている不動産投資を成功させることができるかどうかを決める重要な要素です。そのため、収益物件選びは不動産投資の目的に沿ったポイントをしっかりと把握してから行う必要があります

どのような目的の場合でも気を付けるべき物件選びのポイント

不動産投資の目的別に気を付けるべき収益物件の購入基準を紹介する前に、どのような目的で不動産投資を行う場合であっても気を付けなければならない収益物件選びのポイントについて解説していきます。

自分が予定している規模の不動産投資に見合った金額・戸数の物件

まず、自分がどの程度の規模の不動産投資を行うつもりでいるのかを明確にしておきましょう。

はじめに自分が不動産投資を行うために用意できる自己資金と、自分の属性で金融機関から借り入れることができる融資の金額をあらかじめ見積もっておく必要があります

これらの金額が明らかにして、不動産投資にかける予算を決めます。

その予算に応じて購入する収益物件は区分マンションか、一棟マンションか。一棟マンションであればどの程度の規模の物かを決めましょう。

中には予算以上の収益物件を無理して購入する方もいますが、後々資金繰りが苦しくなって不動産投資自体が破綻してしまう恐れがあるため、予算はしっかりと守るようにしましょう

立地

収益物件を購入する場合には、その収益物件どのような入居者をターゲットとしていて、どのような立地にあるか重要になってきます。

必ずしも都市部にアクセスが良く、利便性が高い物件が収益物件に向いているケースばかりではないためです。

単身者向けの間取りの物件であれば、前述したような利便性の高い立地にあることが望ましいのですが、ファミリー層向けの物件であれば、郊外の閑静な場所に建ち、学校や病院が近くにある物件のほうが入居者のニーズが高くなります。

ターゲットとする入居者のニーズに合った立地の収益物件を選ぶようにしましょう

不動産投資ローンを借り入れることができる場所にある物件

不動産投資を行う際には、金融機関から不動産投資ローンを借り入れてレバレッジを効かせることが一般的です。

しかし、その不動産投資ローンの借り入れ条件の中に、「収益物件がどこに建っているのか」も条件に含まれるものがあります。

オリックス銀行を例にとると、借入対象不動産の所在地は、原則として首都圏、近畿圏、名古屋市、福岡市に限られています。

不動産投資用ローンにはこのような条件があるものも多いため、条件に合った場所に建っている収益物件を選ぶようにしましょう

参考:https://www.orixbank.co.jp/personal/property/

賃貸ターゲットのニーズに合った設備を備えている物件

賃貸ターゲットのニーズに沿った設備が整った収益物件を選ぶようにしましょう。

近年では防犯意識の高まりから、セキュリティー面が強化された物件に人気が集まっています。その設備とは、オートロックや監視カメラ、複製できない鍵などです。

また、室内の設備としては自動給湯器や浴室乾燥の設備なども人気になってきています。その反面、三点ユニットや多すぎる和室などは、現代のニーズに合っているとはいいがたいため、入居者に敬遠されがちな傾向があります。

また、〇DKのようなダイニング・キッチンとリビングが別々になった間取りより、〇LDKといったリビング・ダイニング・キッチンが一体化した間取りのほうが単身者向け・ファミリー層向けを問わず人気の間取りとなっています

このように、賃貸ターゲットのニーズに合わない設備の収益物件では、低い家賃しか設定できません。

設備が古かったり、間取りが現代のニーズに合っていなかったりする物件を収益物件として購入する場合には、大規模なリフォームを行う必要があることを頭に入れておきましょう。

維持・管理がしっかりとなされている物件

中古物件を収益物件として購入する場合には、その物件の維持と管理がきちんと行われているかチェックしておきましょう。

具体的には修繕が計画的に行われているかといった点や、定期点検がきちんと行われているかといった点に注意が必要です。

さらに、共有部分にごみや汚れがないかという点も実際の物件を見て確認しておきましょう。管理人については、常駐している物件のほうがセキュリティーの面からも望ましいといえます。

ほとんどの場合物件の管理は管理会社に委託するため、この管理会社選びも重要です。

新耐震基準など安全性が高い物件

近年では、入居者が建物や立地の安全性も考慮して、賃貸物件を選ぶケースも増えてきています。そのため、収益物件は新耐震基準を満たし、災害の危険性が低い場所に建っている物件を選ぶようにしましょう。

新耐震基準とは、建築物の設計において地震に耐えることができる構造の基準で、1981年6月1日以降の建築確認において適用されている基準のことをいいます。

この新耐震基準に適合している建物は、震度6強から震度7程度の揺れでも倒壊しないと言われています。

東日本大震災以降、防災に関する意識も高まっていることから、このような耐震性が高い物件が入居者に人気の物件となっています。

また、新耐震基準以外にも市区町村のハザードマップを調べて、土砂災害や水害の危険性が低い場所に建っている物件を収益物件として選ぶことも重要です。

高い利回りが期待できる物件

収益物件は、高い利回りが期待できるものを選ぶようにしましょう。この時気を付けなければいけないのは、表面利回りと実質利回りの違いです。

表面利回りは年間家賃収入を収益物件価格で割った数値から求められます。不動産業者などから提示される利回りは、ほとんどの場合この表面利回りです。

しかし、実際には修繕費用などの経費が必要になるため、手にできる利回りは表面利回りより低くなります。そのような場合は、年間家賃収入から必要経費を差し引いた金額を収益物件価格で割った数値により導かれる実質利回りを参考にするとよいでしょう。

経費が考慮されている分、実質利回りのほうがより現実的な数字であるといえるからです。さらに、その地域の収益物件の平均値を調べ、それより低い利回りの物件は購入しないようにしましょう

「不動産投資物件の選定条件」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。

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不動産投資の目的別に気を付けるべき物件選びのポイント

ここまで、不動産投資の目的に関係なく収益物件を購入する際の重要なポイントを紹介してきました。

ここからは、不動産投資の目的に合った物件を選ぶ場合に気を付けるべきポイントについて解説していきます。不動産投資の目的により、選ぶべき物件は大きく異なってくることがあります。

不動産投資の目的を明確にしてから収益物件を選ぶようにしましょう。

節税目的の場合

節税目的で不動産投資を始める場合には、新築物件がお勧めです。減価償却費を経費として計上できる期間が長いため、住民税と所得税の節税に役立ちます。

この時に気を付けたいのは、土地の価格割合が低い物件を選ぶことです。土地は減価償却の対象にならないため、建物の価格割合が高いほど高額の減価償却費を経費として計上できます。

さらに収益物件の構造により、減価償却の期間が異なることにも注意が必要です。

新築物件の場合、木造の場合は22年間、鉄筋コンクリート造の場合は47年間減価償却費を経費として計上できます

減価償却期間が長い新築の鉄筋コンクリート造の収益物件が、長期間に渡り節税を行いたい場合には向いています。

木造の新築物件は、減価償却の期間が短い分、一年間に減価償却費として計上できる金額が高額になり、短期間ではありますが高い節税効果を期待することが可能です。

そのため、長期間収益物件を保有して節税対策を行いたい場合は鉄筋コンクリート造りの物件を、一年間に多額の減価償却費を計上して節税を行いたい場合には木造の収益物件を選ぶようにしましょう。

また、新築物件を購入する場合には高額の不動産投資ローンを借り入れてレバレッジを効かせるのが一般的です。

高額の不動産投資ローンは金利も高額になりますが、この金利も経費として計上できるため節税につながります。さらに新築物件は物件の資産価値が下落しやすいため、遺産評価額の圧縮が期待でき相続税対策にも非常に有効です。

転売益を得ることを目的の場合

転売益を得ることを目的として不動産投資を行う場合には、物件の価値の下落幅が小さい中古物件が向いています

また、立地的に資産価値が高い場所にある物件や、再開発が予定されているエリアにある物件は建物や土地自体の価格の上昇も見込めることから、転売益を目的とした不動産投資に向いている物件であるといえます。

転売益を得ることを目的とした不動産投資は、あまり一般的な方法とは言えず、不動産投資のプロが行うことが多い方法です。

長期にわたり保有し家賃収入を得たい場合

収益物件には大きく分けて単身者向けの物件とファミリー層向けの物件があります。

長期にわたり保有して家賃収入を得ることを目的とする場合には、ファミリー層向けの物件が向いています

その理由は、単身者向けの物件よりファミリー層向けの物件のほうの入居期間が長くなる傾向があるためです。入居期間が長いということは、その間同じ家賃で住み続けてくれるということなので、安定した家賃収入を得ることができます。

逆にファミリー層物件に比べて入居者の出入りが激しいとされる単身者用物件は、入居者が変わるたびに家賃を下げる必要が出てくることがあるため、家賃収入が急激に下がりやすい傾向があります。

また、空室の間は当然の事ながら家賃は入ってこないため、ファミリー層向けの物件より家賃収入は安定しないといえます。

生命保険代わりの物件の場合

生命保険の代わりに収益物件を購入する場合には、物件自体の資産価値が高く利回りが良い物件を選ぶようにしましょう。

自分に万が一のことがあっても、残された家族が家賃収入で暮らしていくことができ、また自分が病気やけがで働けなくなった場合にも、家賃収入で生活していくことができるためです。

この時気を付けなければいけないのが、団体信用生命保険です。

団体信用生命保険とは、不動産投資ローン契約者に万が一の事態が起こったときや、病気やけがで働けなくなった場合に、不動産投資ローンの残債を保険会社が代わりに全額を支払ってくれるというものです。

そのため月々の不動産投資ローンの支払いが無くなり、収益物件が手元に残ります。

団体信用生命保険への加入は、不動産投資ローンの借り入れの条件となっていることがほとんどで、その保険料は金利に上乗せされるケースが一般的です。

まとめ

ここまで、不動産投資における収益物件の購入基準について解説してきました。

不動産投資を行う上で一般的にチェックすべき収益物件のポイント以外にも、不動産投資の目的に応じてチェックすべきポイントがあることがお分かりいただけたと思います。

収益物件を購入する前に、今一度自分がどのような目的で不動産投資を行うのかという点をはっきりさせてから、収益物件を選ぶようにしましょう

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八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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