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収益マンションは中古でよい?不動産投資に最適な築年数を解説

2020/02/27
収益マンションは中古でよい?不動産投資に最適な築年数を解説

収益物件を選ぶ際に、中古物件にするか新築物件にするかを迷う方も多くいるでしょう。

その時に収益物件として中古物件を選ぶ選択をした場合、どの程度の築年数の物件を選ぶべきなのでしょうか。

中古物件はその築年数によって特徴が大きく変わります。その中には築年数別のメリットとデメリットも含まれています。

ここでは、中古の収益物件の特徴を、築年数別に詳しく解説していきます。

中古物件は築年数によって大きく下記3つに分かれる

中古の収益物件は、築年数によって大きく3つに分けられます。

築年数10年未満

築年数10年未満の物件は、中古収益物件市場で最も高い人気があります。

その理由はこの期間までなら、大規模な修繕が必要ないためです。

築年数11年〜30年未満

続いては築年数11年〜30年未満の中古マンションですが、築浅マンションと比較して物件価格が更に安くなっていて、家賃も比較的に安定してきます

一方、築15年〜20年前後で大規模修繕が実施されるケースが多く、修繕費が足りない場合は修繕積立金の一時徴収をされることもあります。購入する際に修繕積立金の金額や未納状況などを確認するようにしましょう。

築年数30年〜

築年数30年以上を超える物件は、物件価格が安くなるのが最も大きなメリットと言えます。

一方、築年数が古い物件は入居者のターゲットが狭くなったり、新耐震基準に満たしていなかったりする物件が出てきたりなどのデメリットがあります。

築年数によってそれぞれにメリットとデメリットがありますので、以下にて詳しく書いています。

築年数別にそれぞれの物件のメリットとデメリット

中古の収益マンションには、築年数ごとにそれぞれ特徴がありメリットとデメリットがあることは前述しました。

ここでは築年数ごとに、収益マンションのメリットとデメリットを詳しく解説していきます。

築年数10年未満の物件のメリットとデメリット

①メリット

築年数10年未満の収益マンションのメリットは、新築に比べて格段に価格が安い点です。

新築の収益マンションは広告促進費などが建物の価格に含まれているため、高額になります。

新築とは、その建物が建ってから一年間誰も住んでいない状況が続いている物件のことをいいますが、建築後一年以上が経過したり、建築後一年以内であっても誰かが住んだりした時点で新築物件ではなくなってしまいます。

新築物件ではなくなった時点から、建物の価格は下落していきます。

そのため、新築の収益マンションに比べてかなり安い金額で築浅の収益マンションを購入できるという点が、築10年未満の物件の大きなメリット。

また、築浅であるためすぐに大規模な修繕などが必要ないという点もメリットの一つです。さらに法定耐用年数が長く残っているため、長期間に渡って減価償却による節税効果が期待できます。

築年数が10年未満の収益マンションは、まだまだ資産価値が高く評価されるため、有利な条件で金融機関から不動産投資用の融資を受けることも可能です。

その理由は、金融機関側は融資を行う際に法定耐用年数を建物の寿命として考えるためです。中古の収益マンションの中で、この築後10年未満の物件は、長い返済期間の不動産投資用ローンの融資を受けることができるのです。

②デメリット

築10年未満の収益マンションのデメリットとしては、中古の収益マンションの中では比較的物件の価格が高額な点です。

それにもかかわらず入居者が入れ替わるごとに、いわゆる「新築プレミア家賃」から家賃も下げる必要が出てくるため、そこまで高い利回りも期待できません

なぜなら、利回りは年間の家賃収入を物件の購入価格で割った数値から導き出されるためです。

また、物件の新築から10年までの期間はまだまだ物件の価格の下落幅が大きいため、不動産投資を止め物件を売りに出すときに、購入価格より大幅に低い価格でしか売ることができないという点もデメリットの一つです。

このような理由から、転売目的でのこの築年数帯の物件を購入することはあまりお勧めできません

築年数11年〜30年未満物件のメリットとデメリット

①メリット

築年数11年から30年未満の収益マンションの特徴は、物件の価格が築後約20年程度で下がり止まり、ほぼ横ばい状態になる点です。

そのため、家賃の大きな下落もなく安定した家賃収入を得ることが可能です。つまり安定した利回りが期待できます

また、この築年数帯の物件を売りに出す場合には、買ったときの価格とそれほど変わらない価格で売却できます。長い築年数の間にどのように家賃や利回りが推移し、空室率はどれぐらいだったかなどの物件の情報を手にすることも可能です。

このような情報をもとに、今後の不動産投資の方針を決めることも出来るので、この築年数の物件は最も狙い目な物件であると考えられます。

また、鉄筋コンクリート造の収益マンションの場合には、まだ法定耐用年数が比較的長期間残っていることから、築浅物件ほどではありませんが減価償却による節税効果も期待できます

木造物件の場合は、法定耐用年数を過ぎているため減価償却期間が短い物件もありますが、この場合短い減価償却期間の間の一年あたりの減価償却費が高額になるため、短期間のうちに大幅な節税を行うことが可能になります

②デメリット

物件自体の築年数が長いことから、大規模修繕の必要が出てくる可能性が高い点がデメリットであるといえます。

この築年数帯の物件は、建物の劣化の程度の差が激しいです。築11年の物件であっても一般的な築後11年の物件より大きく劣化している場合もあるし、逆に築30年の物件でも劣化の程度が軽い物件もあったりします。

そのため、この築年数帯の物件を購入する場合には、必ず建物の劣化具合を自己判断で見て回るのではなく、住宅診断士などの専門家に見てもらうようにしましょう。

また、築後20年程度を過ぎた物件になると、売主の瑕疵担保責任が免責になることも多いため、この点にも注意が必要です。

築年数30年〜物件のメリットとデメリット

①メリット

築年数が30年以上経過している物件のメリットは、立地が良い場所に建っている場合が多いという点です。

なぜこのような古い物件が、立地の良い場所に多いのかという理由は、その地域が開発され始めた時点で建てられたため、自ずと駅から近いなどといった利便性の良い場所に建てられるケースが多いためです。

また、建物自体の資産価値が低いため物件自体の価格が安く、固定資産税も安いというメリットもあります。

②デメリット

デメリットとしては、設備の老朽化が問題になることが多いという点です。そのため大規模な修繕や、時には現代の入居者のニーズに合わせた間取りにリフォームまたはリノベーションを行う必要が出てきます。

建物の資産価値が非常に低いため、不動産投資用ローンを良い条件で借り入れることは難しく、短期間で返済する必要があることも多いことから、自己資金を築浅の物件より多く用意する必要もあります。

また、築年数が30年以上経過している収益マンションの場合、昭和56年に導入された新耐震基準を満たしているかどうかという点をチェックしておきましょう。新耐震基準を満たしていれば、震度6強から7までの揺れでも倒壊しないと言われています。

近年では立地や間取りのほかに、建物の安全性で賃貸住宅を選ぶ人も多いため、この新耐震基準を満たしている物件を購入するようにしましょう

自分に合った中古マンション物件の選び方は?

不動産投資を始める際には、自分がどのような目的で不動産投資を行うかを決めてから行うことが重要です。

その目的に応じて、向いている築年数の収益マンションが決まってくるためです。

ここでは、築年数ごとにどのような目的の不動産投資に向いているかを解説していきます。

築年数10年未満

築年数10年未満の収益マンションは、建物自体の資産価値が高く法定耐用年数も長く残っていることから、相続税対策や所得税と住民税の節税を行いたい人に向いている物件であるといえます。

①相続税対策の場合

相続税対策の場合、不動産の遺産評価額は実際の売買価格より低く評価されるため、現金に課せられる相続税より同額で購入した不動産に課せられる相続税のほうが安くなります

そのため、相続税を安くすることが可能になるのです。また、収益マンションを相続した人も長期にわたりその物件から家賃収入を得ることができます

このような理由からこの築年数の物件が、相続税対策に向いているといえるのです。

②所得税など節税の場合

それ以外に、所得税と住民税の節税効果も期待できます。

このような築浅の物件は、法定耐用年数が長い期間残っているため、その年数の間減価償却費を経費として計上することができ、長期間に渡って所得税や住民税の節税を行うことができます。

また、当然の事ながら長期にわたって不動産投資を行いたい人にもおすすめなのがこの築年数帯の収益マンションです。購入してからしばらくの間は、大規模修繕の必要がないケースがほとんどであるため、大きな経費が出ていく心配が少ないからです。

入居者が入れ替わるたびに家賃を引き下げる必要があるというデメリットがありますが、比較的入居期間が長いファミリー向けの物件であれば、入居者の激しい入れ替わりはないと予想されます。

このような物件を選ぶことで、家賃下落のリスクを低く抑えることもできます。

築年数11年〜30年未満

築年数11年から30年未満の物件に向いている不動産投資法は、長期にわたり保有して安定した家賃収入を得ることを目的とした不動産投資を行いたい人に向いている物件です。

この築年数帯の物件は、建物自体の価格の下落幅が緩やかであり、築20年程度で下がり止まるため、入居者の入れ替わりにより家賃が大幅に下落することもあまりありません。

しかし、この築年数帯で大規模修繕が必要なケースが多いため、そのための自己資金を準備しておく必要があることに注意しておきましょう。

築年数30年〜

築年数が30年以上の物件は、間取りや設備が古いため入居者が集まりにくい傾向があります。

そのため、安定した高い家賃収入を得るためには大規模修繕やリフォーム・リノベーションを行い、入居者が集まりやすくする必要があります

建物の古さを除けば、このような物件は立地が良い場所にあることが多いため、建物の大規模な修繕を行うことで、まだまだ安定した家賃収入を得ることが可能です。

このような築年数が30年以上経過した物件で賃貸経営を行おうという人は、初期の段階で大規模修繕の費用を準備する必要があります。建物をリフォームすることで、立地が良いためその後の入居者の需要は高くなると考えられます。

それ以外にも、転売目的でこのような物件を購入する方法もあります。もし、その物件が建っている地域の再開発が予定されているのであれば、土地の値上がりが予想されるため購入した価格より高い価格でその物件を売却することも可能になります。

しかし、このような方法は一般的な不動産投資を行う方法とは言いづらいので、不動産投資の初心者が行うことはオススメできないでしょう。

中古マンション投資を検討されている方は下記でも詳しく解説していますので参照してみてください。

関連記事:→不動産投資で中古マンション投資を検討されている方へ!知っておくべき全知識

法定耐用年数以上の築年数を経過した収益マンションでも減価償却は可能なのか

中古物件を購入する際にも、節税効果を狙って収益物件を購入する方がいらっしゃると思います。

しかし、不動産投資で赤字を出さずに節税効果を出すために重要な要素として減価償却費があります。中古物件の場合は新築物件に比べてこの減価償却費を経費として計上できる期間が短いため、節税効果は新築物件に比べて低くなります。

基本的に減価償却費は、建物の構造により決まっている法定耐用年数の間経費として計上することができます。

では、この法定耐用年数を過ぎてしまった収益物件に関しては、減価償却費を計上することはできないのでしょうか?答えはNOです。

中古物件を収益物件として購入した場合、その物件の法定耐用年数が一部経過していたり、すべて経過していたりしても減価償却をすることができる期間はあります。

その期間は、法定耐用年数が一部残っている物件の場合は、建物の本来の耐用年数から築年数を差し引いた期間に築年数の20%を足した期間、法定耐用年数の全てを経過した物件の場合は法定耐用年数の20%の期間です。

中古の収益物件を購入した場合には、この期間の間減価償却費を経費として計上できるので、覚えておきましょう。

まとめ

ここまで、中古の収益マンションのメリットとデメリット、向いている不動産投資の方法について築年数ごとに解説してきました。

一口に中古の収益マンションと言っても、築年数帯により異なる特徴があり、向いている不動産投資法も異なることがお分かりいただけたと思います。

不動産投資を行う際に中古の収益マンションの購入を考えている人は、その物件の築年数にはどのような不動産投資の目的が向いているのかをしっかりと把握して、収益マンションの購入を行うようにしましょう。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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