不動産投資は現物資産(建物)を保有する投資なので、災害が起こるとダイレクトに被害を受ける場合があります。
また、その被害状況によっては収益に大きな損失を受けることもあるのです。
しかし、不動産投資をはじめる前に災害リスクを知っておくことでリスクヘッジできることもあります。
そこでこの記事では、不動産投資をはじめる前に知っておくべき災害リスクについて、具体的に3つの項目を解説していきます。
まずは、不動産投資における災害リスクとは具体的にどのようなものか?について知っておきましょう。
不動産投資をする際に注意すべき災害リスクは、特に以下3種類といえるでしょう。
具体的には、地震や火災によって建物が損傷・損壊するリスクや、水害によって浸水・腐朽・欠損するリスクのことです。
要は、このような災害によって建物に被害が起こる可能性があり、それによって退去者が出て空室率が上がるリスクや、建物の修繕費用が膨大になるリスクがあります。
このようなリスクが、不動産投資における災害リスクであり、不動産投資をはじめる前に知っておくべきリスクになるのです。
次に、前項で解説した災害リスクから身を守る方法である、火災保険・家財保険・地震保険について以下を知っておきましょう。
なお、用語として「保険金=保険会社から支払われるお金」であり、「保険料=保険へ加入している人(この記事でいう大家)が保険会社に支払うお金」という点は認識しておきましょう。
まずは火災保険について解説します。
結論からいうと、不動産投資の災害リスクへの対策としては、以下の理由で火災保険は必須で加入すると思って良いです。
まず、そもそも不動産投資ローンを組むと、基本的に火災保険への加入が必須です。
というのも、もし火災によって建物が滅失・損壊してしまえば、借入者が返済不能状態になるリスクが高まるからです。
つまり、金融機関としてはそのような状況を避けるために、借入時に「火災保険への加入は必須」としています。
そして、投資物件は不動産投資ローンを組んで購入するケースが大半なので、不動産投資をする際は火災保険に加入するものと思って問題ないでしょう。
災害リスクへの対策として火災保険に加入するもう1つの理由は、以下のように火災保険は補償範囲が広いからです。
火災保険に加入しておくと、火災以外の上記リスクへの対策にもなるので、火災保険へは加入した方が良いのです。
次に、不動産投資をするなら、大家の立場として以下を知っておきましょう。
要は、大家の立場としても火災保険に入り、賃借人にも保険に入ってもらうということです。
それが、結果的に自分の資産を災害リスクから守ることにつながります。
賃借人が加入する保険は以下2つの保険が一般的です。
上記は賃貸借契約を結ぶ際に「火災保険」としてまとめるケースが多いです。
賃借人が家財保険に加入する理由は、災害によって入居者の家財が損害を受けても、大家が加入している火災保険ではカバーされないからです。
そのため、賃借人が家財保険に加入することで、災害時に家財が損傷するリスクへの対策になります。
借家人賠償保険とは、賃借人の過失で発生した火災による損害について、賃借人が大家に対して支払う賠償金を補償する保険です。
この特約を付帯しておくことで、「賃借人が大家に賠償金を支払う必要があるのに経済的に支払えない」というリスクへの対策をします。
一方、大家は上述した火災保険へ加入しますが、この火災保険はあくまで「建物」を補償する保険です。
つまり、主に外観や外部廊下などの共用部に関する損傷を補償する保険であり、賃借人の室内などの専有部に関する損傷は「借家人賠償保険」で補償するというわけです。
ただ、大家は特約として施設賠償責任保険にも加入した方が良いです。
なぜなら、施設賠償責任保険は以下のようなことが起きても補償してくれるからです。
上記が発生する可能性は極めて低いですが、発生したときには多額の賠償金を支払う可能性があります。
そのため、万が一のために施設賠償責任保険も付帯しておくことをおすすめします。
ただ、特約を付帯すると当然ながら保険料は上がるので、金額を加味した上で判断しましょう。
家財保険は単体でも加入できますが、火災保険にプラスするのが一般的です。
上述したように、火災保険は火災以外の災害リスク対策としても有効ですが、それはあくまで建物を守るためであり家財は対象外です。
そして、一般的には賃借人が家財保険に加入するので、大家側では家財保険に加入する必要はありません。
言い換えると、大家側が賃借人と賃貸借契約を結ぶときに「火災保険(家財保険+借家人賠償保険)への加入を必須にする」ことで、大家はリスクヘッジしているともいえます。
なお、たとえば「親から相続した相続物件で入居者が家財保険に加入していない」場合なども、加入するかどうかの見直しをした方が良いでしょう。
次に、地震保険について解説します。
地震保険は単体で加入することはできず、火災保険とセットで加入することになります。
火災保険だけでは、「地震によって発生した火災などによる建物・家財の損傷」についての補償はなく、これらも補償するためには地震保険に加入する必要があります。
このような仕組みなので、もちろん地震保険に加入した方が災害リスクへの対策になりますが、地震保険料は火災保険料に比べて高額です。
そのため、次項で解説する「地震をはじめとした災害リスクを予測する方法」と、「地震保険を付帯することで上昇する保険料額」を加味した上で、地震保険へ加入するか否かを判断しましょう。
さいごに、上述した保険へ加入する以外に、災害リスクを最小限におさえる方法について以下を知っておきましょう。
なお、上述のように災害リスクを調べることで、地震保険へ加入するかどうかの判断基準にもなります。
まずは、投資物件を購入するエリアの水害リスクを調べるために、行政が提供しているハザードマップを確認しましょう。
大抵の行政ではインターネット上でハザードマップを公開しているので、インターネットで「地名 ハザードマップ」と検索してみましょう。
もし公開していなければ、役所に行けばハザードマップを取得することができます。
ハザードマップでは、ゲリラ豪雨や台風のときに浸水リスクがないか?を調べることができるので、災害リスクを事前に予測することが可能です。
次に、インターネットで「地名 地域危険度測定調査」と検索すると、地震発生時に関する以下の情報を得ることができます。
たとえば、建物が密集しているエリアであれば、建物の火災危険度が高くなります。
上記の情報は災害リスクを予測するという意味でも効果的ですが、地震保険へ加入するかどうかの判断材料にもなります。
ただし、地域危険度マップは全ての行政であるわけではありません。
次に、インターネットで「地名 液状化マップ」と検索し、地震による液状化リスクを調べましょう。
液状化とは、地震によって地面が緩くなり、地盤沈下などが起こる現象です。
東日本大震災ときに、千葉や東京都の湾岸エリアなどで液状化が発生しましたが、液状化が起こったことで建物が損壊するリスクがあります。
そのため、前項の地域危険度マップと合わせて、地震時の災害リスクを予測する資料として物件購入前に確認しましょう。
ただし、液状化マップも地域危険度マップと同じく、全ての行政であるわけではありません。
次に、新耐震基準を満たした物件を選ぶことも、災害リスクをおさえるための方法といえます。
新耐震基準とは、1981年6月1日以降に建築確認申請をした物件のことであり、この日を境に旧耐震・新耐震という分け方をします。
なぜ新耐震基準を満たした物件を選ぶべきなのかというと、旧耐震は震度5程度までの地震しか想定していないからです。
つまり、旧耐震は震度7クラスの大震災を想定していないため、震度7クラスの地震が来たら倒壊する危険性があります。
一方、新耐震であれば「震度7クラスの地震でも倒壊しないレベル」とされているので、災害リスクを極力おさえたいのであれば、新耐震基準の物件購入をおすすめします。
「災害以外にリスク」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
関連記事:→不動産投資行う前に知っておくべき6つのリスクの種類
このように、不動産投資は現物資産ならではの災害リスクがありますが、事前に保険内容を理解したり、リスクを予測したりすることは可能です。
災害リスクをゼロにはできませんが、上述した点を理解して、極力災害リスクをおさえた不動産投資を行いましょう。