不動産投資は「不動産」という実物資産を取得するので、ほかの投資よりも取得する資産が高額になります。
そのため、取得する際の初期費用について知っておき、どのくらいの金額を用意しておくべきなのか?を理解しておく必要があります。
ただし、不動産投資の初期費用は物件によって大きく異なるのも事実です。
そこでこの記事では、不動産投資をする際に初期費用はいくら必要か?という点について、具体的な目安金額を含めて解説していきます。
まずは、不動産投資の初期費用について以下を解説します。
そもそも、不動産投資における初期費用とは諸費用と頭金です。
詳細は後述しますが、まず諸費用とは「不動産を購入するときに必要なもろもろの経費」と思っておきましょう。
また、頭金とは自己資金のことであり、「頭金+ローン」で不動産を購入します。この諸費用と頭金が不動産投資における初期費用です。
不動産投資において、初期費用が分かれば自ずと物件の予算も分かってきます。
というのも、初期費用額は概ね物件価格と連動するからです。
つまり、自分が捻出できる初期費用額が分かれば、そのまま物件価格に当てはめることができるので予算が分かります。
そして、予算が分かれば、購入すべき不動産の種類やエリアなどが絞られてくるというメリットがあるのです。
前項までで、不動産投資における初期費用は諸費用と頭金の2種類あると解説しました。
次に、その中の1つである諸費用に関して、諸費用の以下「項目」と「目安金額」について解説します。
結論からいうと、一般的には諸経費は物件価格の7〜8%が多いですが、仲介会社ではなく、売主から物件を購入する場合は仲介手数料がかからないので、4%~5%程度と思っておきましょう。
まずは、仲介手数料について以下を知っておきましょう。
そもそも仲介手数料とは、不動産を仲介(≒紹介)してくれた不動産会社へ支払う成功報酬のことです。
そのため、売主から物件を購入する場合は、基本的に仲介手数料はかかりません。
仲介手数料率は、以下のように物件価格によって異なります。
物件価格 | 仲介手数料率 |
---|---|
200万円未満 | 物件金額×5% |
200万円超~400万円以下 | 物件金額×4%+2万円 |
400万円超 | 物件金額×3%+6万円 |
注意点は、上記の形式で算出した金額に消費税が加算される点です。
また、上記は不動産会社が売主・買主にそれぞれ請求できる「上限」になりますが、これ以上の請求は違法行為ですが、これより以下であれば問題ありません。業者が良ければ仲介手数料ゼロ円でも大丈夫です。
たとえば、中古の一棟アパートを4,350万円で購入した場合、仲介手数料の上限は以下の通りです。
仲介手数料:(4,350万円×3%+6万円)×消費税1.1=150.15万円
一般的には、物件購入時の諸費用の中で、この仲介手数料が最も高額になりやすいです。
次に、ローン関係費用について以下を知っておきましょう。
結論からいうと、上記の金額は金融機関によって異なるので、いくらかかるかは個別に確認しましょう。
以下で解説する金額は、参考金額です。
手数料とは、金融機関が設定している融資事務手数料などです。
金融機関によって手数料は異なりますが、たとえば「借入期間の1%」など利率を設定している金融機関もあれば、「一律で15万円」など定額の場合もあります。
いずれにしろ、次項で解説する保証料とバランスを取っている金融機関が多いです。
つまり、手数料が安ければ保証料が高く、手数料が高ければ保証料が安いということです。
参考:
≫ https://www.orixbank.co.jp/personal/property/account.html
≫ https://www.smbctb.co.jp/product/loan/investment_loan.html
保証料とは、保証人の代わりをしてくれる「保証会社」に支払う費用です。
住宅ローンの場合には、「借入金額×2%」というケースも多く、不動産投資ローンでも同じような利率の金融機関もあります。
ただ、保証料不要という金融機関も多いため、手数料と一緒に金額は確認しておくと良いでしょう。
団体信用生命保険とは、借入者が亡くなったり高度障害になったりしたときに、その時点のローン残債が支払われる保険です。
団体信用生命保険は、加入することが必須の金融機関と任意の金融機関があるので、まずはその点をチェックしましょう。
また、団体信用生命保険が無料だったり、金利が0.3%上乗せされたりと、金融機関によって設定が異なります。
そのため、上述した手数料・保証料ともに個別の確認が必要です。
参考:
≫ https://www.mizuhobank.co.jp/retail/products/loan/apart_yushi/index.html
≫ https://www.smbctb.co.jp/product/loan/investment_loan.html
次に、登記関係費用について以下を知っておきましょう。
登記時は登録免許税という税金がかかり、税率は登記の種類や不動産の種類によって異なります。
不動産を購入する時期によっては軽減措置もあるので、金額の詳細については不動産会社に確認しましょう。
司法書士手数料とは、登記を依頼する司法書士に依頼する費用です。
手数料額は司法書士事務所によって異なりますが、一般的には5~10万円程度になります。
また、不動産会社が提携先の司法書士を紹介するケースが多いため、司法書士を自分で探す必要はありません。
さいごに、不動産取得税について以下を解説します。
不動産取得税は地方税になるので、各エリアの主税局で確認が必要です。
また、不動産によっては軽減措置もあるので、こちらも登録免許税と同じく不動産会社に確認するのがベストです。
また、不動産取得税は不動産取得時にかかる費用ではなく、不動産を取得してから半年~1年後に請求されます。
そのため、不動産会社によっては「諸費用の概算」に入れていないケースも多いですが、物件によっては数十万円以上の金額になります。
前項で諸費用の目安金額が分かったと思いますので、次に頭金について解説します。
頭金の目安金額は人によって異なりますが、物件価格の20%が1つの目安として挙げられます。
もちろん、フルローンを利用して頭金を出さない方もいらっしゃるので、頭金を出さないといけないというわけではありません。
まずは、金融機関の審査項目を知っておきましょう。
金融機関によって重要度は異なるものの、どの金融機関も基本的には以下が審査項目になります。
要は、借入者に安定して継続的に収入があるか?信頼できる人か?購入する物件の収益性が高いか?という点を審査します。
前項を踏まえ、頭金の目安が20%である理由は、以下の点においてローン審査に通りやすいからです。
ただし、結論からいうと「20%」という数値に大きな意味はなく、20%程度頭金を用意しておけば比較的ローン審査に通りやすいだろう…程度のニュアンスになります。
返済比率とは、「年間返済額÷年収」で算出される利率です。
要は、「ローン返済額は年収の何割を占めるか?」という指標であり、返済比率が低いほど返済に余裕があるということです。
そして、自己資金をたくさん入れれば返済比率は下がるので、目安として20%ほどの頭金があればローンには通りやすいです。
言い換えると、20%くらい入れれば金融機関の審査に通るくらい返済比率は下がることが多いため、目安として「頭金20%」といわれているのです。
また、物件価格の20%の頭金があるということは、100万円単位のまとまったお金があるということです。
諸費用も現金で支払うことがほとんどなので頭金が20%あれば、諸費用額も含めて物件価格の25%~30%近くもの現金を保有しているということです。
そのため、ある程度保有資産があり「このくらいの金額を貯蓄できる人」と見なされます。
つまり、20%の頭金があると、金融機関から「信頼に足る人物」と評価されやすいのです。
「頭金ゼロで不動産投資をお考えの方」は下記でも解説していますので参照してみてください。
ただし、金融機関によって審査ハードルは異なるので注意しましょう。
たとえば、自営業者や経営者に対して非常に厳しい金融機関であれば、たとえ頭金が20%あっても、自営業者や経営者は審査に通らない可能性はあります。
その辺りの「金融機関による傾向」はベテランの不動産投資家にならないと分からないので、はじめは不動産会社の営業担当者から情報を得ましょう。
このような背景があるので、信頼できる情報を持っている不動産会社に仲介を依頼した方が、ローンを組むという観点からも有利になるといえます。
最後に、フルローンについて解説します。
フルローンとは、頭金ゼロ円でローンを組むということなので、物件価格の全額をローンで組むということです。
フルローンで組むことも可能ではありますが、上述した審査項目において金融機関からの評価をクリアする必要があります。
たとえば、高年収で勤務先も安定しており、ローンを借入する金融機関で定期預金をしている…などのプロフィールであればフルローンを組める可能性があります。
フルローンを組めるかどうかは借入者と審査する金融機関によるので、ご希望な方は担当者に相談してみると良いでしょう。
「フルローン」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
このように、不動産投資における初期費用は、どこの業者で買うかによっても異なりますし、ローンを組む金融機関によっても異なります。
さらに、頭金額は投資家によって大きく異なるので、一概に初期費用がいくらかかるとはいえません。
しかし、上述した初期費用の項目や目安金額を知っておくことで、大体どのくらいの金額が必要かは分かってくるので、その金額をベースに物件価格の予算を決めましょう。