世間を騒がせているコロナウイルスによって、株式市場などは世界的に大荒れの状況です。
そんなとき、不動産投資を検討している人は「不動産投資はコロナウイルスの影響があるのか?」と思っている人もいるでしょう。
結論からいうと、これから不動産投資をはじめる人にとって、コロナウイルスによるネガティブな影響はほぼないと言って良いでしょう。
この記事では、その理由を含めて具体的にコロナウイルスが不動産投資にどのような影響を与えるのかを解説していきます。
まず、コロナウイルスによって賃貸需要は変わらないと予想されます。
この点が、不動産投資をはじめる人にとって、コロナウイルスによるネガティブな影響はほぼないと予測される最も大きな理由です。
ここでは、具体的な理由である以下について詳しく解説します。
不動産投資においてコロナウイルスの影響がほぼない最大の理由は、不動産投資の基本的な収入は賃貸収入だからです。
物件を売却することで収入を得ることも可能ですが、物件を保有しつづけて賃料収入を継続的にもらうのが不動産投資の基本になります。
言い換えると、不動産投資がコロナウイルスに影響されるとしたら、コロナウイルスによって賃貸需要が落ち込むか?という点が重要になってくるというわけです。
この点については次項で詳しく解説しますが、コロナウイルスの影響で賃貸需要が落ちるとは考えにくいです。
そのため、不動産投資においてコロナウイルスの影響はほぼない…という結論になります。
そもそも賃貸需要が落ちるということは、賃借人の退去が増えるということです。
つまり、コロナウイルスによって賃貸需要が落ちるということは、コロナウイルスが原因で退去者が増えるということです。
しかし、以下の理由でコロナウイルスによって退去者は増えるとは考えにくいといえるでしょう。
まず、コロナウイルスによって外出を控える人が多いです。この点は、企業が積極的にテレワークを実施していることからも明らかでしょう。
そもそも、コロナウイルスによって諸外国では外出禁止令が出ている国もあるくらいなので、日本でも外出を控える人が増えるのは当然です。
つまり、この時期にわざわざ外出して物件の内見をする…という人は少ないと考えられるため、投資物件に住んでいる賃借人が退去することは考えにくいというわけです。
もちろん、退去する人はいるでしょうが、それはコロナウイルスに関係なく、上京や転勤など元々「退去する理由」がある人でしょう。
また、「コロナウイルスが原因で退去する」という理由を強いて挙げるなら、「景気が悪くなりそうだから家賃を下げる」という理由です。
しかし、賃貸物件から賃貸物件へ引っ越すときは以下のお金がかかります。
一般的に、新しい賃貸物件を借りるときは、その家の家賃の5~6か月分ほどの初期費用が必要といわれています。
そのため、「コロナウイルスで景気が悪くなりそう」と予測する中で、わざわざ高額な初期費用を支払って賃貸物件に移り住む人は少ないと考えられます。
仮に、「家賃を下げる」という理由で、今住んでいる賃貸物件から退去した人がいるとします。
しかし、そのような人は賃貸物件から賃貸物件に移り住む人の方が多いでしょう。
というのも、詳しくは後述しますが、景気後退期には不動産を購入する人が少なくなるからです。
上述のように、コロナウイルスによって賃貸物件から退去する人は、「景気が後退するかもしれないから家賃を下げる」と思う人が多いと予想されます。その状況で、わざわざローンを組んで不動産を購入する人は少ないでしょう。
つまり、賃貸物件から退去する人がいたとしても、別の賃貸物件に移り住むだけなので、「賃貸需要」は変わらないというわけです。
むしろ、不動産の購入を検討している人が購入を断念し、賃貸物件に留まる可能性を考えると、賃貸需要は上がる可能性もあります。
前項のように、コロナウイルスの影響で賃貸需要が下がる可能性は小さいので、不動産投資においてはさほど影響はないでしょう。
一方、コロナウイルスの影響で不動産「価格」は下落する可能性があるため、この点について以下を知っておきましょう。
まず、前提としてモノの価格は需要(欲しい人の数)と供給(売り出している数)で決まり、それは不動産も同じことがいえます。
要は、不動産が欲しいと思う人が多く供給が少なければ不動産価格は下落し、その逆であれば不動産価格は上昇するというわけです。
そして、コロナウイルスの影響によって、以下の理由で不動産需要は減少する可能性があります。
まずは、景気後退を恐れて購入を控える傾向にあるからです。不動産に限った話ではありませんが、景気後退局面に入ると消費は鈍ります。
というのも、景気後退による人員削減のリスクや、会社の破綻リスク、収入が減るリスクがあるからです。
特に、不動産は極めて高額な商品になるので、景気が後退している中で「買い控えるもの」としては上位になるでしょう。
景気後退期に不動産価格が下落することは、今までの傾向からも予測できます。
最近で最も大きな景気後退期であったリーマンショック(2008年)では、以下のように中古マンション価格も新築マンション価格も下落しました。
中古 | 新築 | |
---|---|---|
2006年 | 2,520万円 | 4,200万円 |
2007年 | 2,900万円 | 4,644万円 |
2008年 | 3,128万円 | 4,775万円 |
2009年 | 2,824万円 | 4,535万円 |
上記のように、2008年を境に中古は約10%下落、新築は約5%下落しています。
また、消費者心理を反映しているマンション契約率も、2008年には契約率も好不調の境目である70%を大きく下回り、62.7%まで下落しています。
これらのデータを見ても、景気後退期には需要が落ちて不動産価格が下落する可能性が高いことが分かるでしょう。
言い換えると、これから不動産投資を検討している人にとっては、投資物件を安く買えるチャンスがあるということです。
参考:
https://www.fudousankeizai.co.jp/mansion
https://www.kantei.ne.jp/report/c2010.pdf
https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/290/s2017-16.pdf
ここまでで、コロナウイルスの影響で不動産の賃貸需要の減少は考えにくい点、そして不動産価格が下がる可能性がある点は分かったと思います。
次に、コロナウイルスによる借入審査の影響について以下を解説します。
まず、コロナウイルスによる借入者の状況変化に注意しましょう。というのも、コロナウイルスによって以下が考えられるからです。
結論からいうと、上記の状況変化が起こると借入しにくくなるので、状況が変わらないうちに借入審査した方が良いでしょう。
ただし、収入が下がったり勤務先の業績が悪くなったりすると、自分自身の生活が厳しくなるのも事実です。
そのため、不動産投資による収支を計算して、「今」不動産投資するべきかどうかは慎重に見極めなければいけません。
また、景気後退期に入ると基本的に金利は下落します。
というのも、景気後退期には一般的に以下のような流れになるからです。
ただ、現在すでにマイナス金利政策を実行しているので、現在よりもさらに金利が下がるかは分かりません。
とはいえ、景気後退局期では一般的に上記の流れになるので、金利が上がるということは考えにくいです。
つまり、不動産投資家にとっては「ローン返済額が大きくなるリスクは小さい」というメリットにつながります。
ここまでで、コロナウイルスによる不動産投資のネガティブな影響はそこまで考えなくて良いことが分かったと思います。
ただし、コロナウイルスによる不動産投資へのネガティブな影響は、「部材不足」という点は挙げられるでしょう。
というのも、住宅部材は中国などから輸入している部材も多いものの、コロナウイルスによって流通機能がマヒしています。
そのため、住宅部材が輸入できずに工期が遅れる…などがすでに発生しているので、投資物件の建築やリフォームに関しては影響が出ています。
そのため、これから不動産投資を行う人は新築物件購入時の工期の遅れや、投資物件購入後のリノベーション工事の遅れなどは加味した上で物件を購入しなければいけません。
参考:http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20200309_03.html
このように、コロナウイルスによる不動産投資へのネガティブな影響はほぼないといえます。
むしろ、不動産価格が安価になるというメリットがあるくらいです。
ただし、コロナウイルスの影響で収入が下がる…など、不動産投資とは関係ないところでネガティブな影響はあるでしょう。
そのため、自分自身の状況を客観的に見て、不動産投資をすべきか考えると良いでしょう。
とはいえ、コロナウイルスによって不動産投資家に大きな影響がないことは分かったと思うので、「このような状況でも不動産投資は強い」という点は、不動産投資の大きなメリットといえます。