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相続・税金

不動産投資における経費はどの範囲まで計上できるのか?

八木 チエ
2020/04/132020/04/27

不動産投資は安定的に家賃収入を得ることができる魅力的な投資方法です。

しかし、不動産投資には様々な「コスト」がかかることを忘れてはいけません。当然コストも含めて収支をプラスにしなければ不動産投資は成功できません。

また、不動産におけるコストは「経費」として税金の計算をするうえでも重要な要素です。

所得税を計算する上で経費として計上するか否かで不動産投資で実際に得られる利益にも差が出ます。同じ家賃収入を得ていても経費をしっかりと計上しているか否かで、手取り額が大きく変わると言うことは覚えておいた方が良いでしょう。

それでは不動産投資に必須のスキルである経費について学んでいきましょう。

不動産投資における「経費」とは

「経費」とは不動産投資の世界でのみ使われる言葉ではありません。

個人事業主や会社でも良く使われる言葉。経費は継続的に行なっている事業に対してかかる費用のことを指しています。

会社であれば、PCなどの業務に必要な機械やプリンタの用紙など消耗品、営業に行く際の交通費等も経費として計上します。

経費は事業を行う上でのコストとなりますので、コストを正しく把握することが大切です。なぜなら、収入を得ていてもいくらコストをかけたかが把握できなければ、実際にいくら利益を得ることができたか分からないからです。

収入が多くても、コストが収入を上回ってしまうと赤字になってしまうのです。

また、経費が重要となる理由の一つは税金の支払いにも影響を及ぼすことです。不動産投資で得た所得は、所得税の対象となります。

所得=収入-経費で計算するため、収入が同じであれば税金の計算上は経費が多ければ多いほど有利。つまり、コストはなるべく抑えた方が良いのですが、税金の支払いの面では経費で計上できるものは、経費として計上した方が良いということになります。

そのため、不動産投資をするうえで何を経費として計上できるのか、何を経費として計上できないのかを理解して、経費として計上できるものは忘れずに経費として計上することが大切となってきます。

不動産投資における経費はどのようなものがある?

不動産投資における経費には、どのようなものがあるのでしょうか。

不動産投資に関する「経費」をシーン別に見ていきましょう。

不動産の取得に必要な経費

不動産の取得には様々な経費がかかります。

金額が大きいものもありますので、経費として計上するか否かで、手取り収入に大きな差が生まれる可能性もあります。

所得税の計算上、経費として計上していいものを確認しておきましょう

①不動産の仲介手数料

不動産の取引には「売主」、「仲介」などと取引形態によって、仲介手数料を支払うケースとないケースがあります。

仲介会社に仲介してもらう場合は、成功報酬として仲介手数料を支払う必要があります。その仲介手数料は経費として計上できます。仲介手数料は下表の通り計算します。

ただし、下記の表に記載されている料率はあくまで上限ですので、仲介業者が良ければ仲介手数料ゼロ円でも問題はありません。

依頼者の一方から受領できる報酬額
取引額 報酬額(税抜)
取引額200万円以下の金額 取引額の5%以内
取引額200万円を超え400万円以下の金額 取引額の4%以内
取引額400万円を超える金額 取引額の3%以内

※仲介手数料は消費税の課税対象なので、別途消費税がかかります。

出典:公益社団法人「全日本不動産協会」(https://www.zennichi.or.jp/public/knowledge/buy/chukai/

不動産の売買代金が400万円を超える場合は、200万円以下の部分と、200万円超400万円以下の部分と、400万円超の部分でわけて計算します。

実際に計算する際は3%+6万円で計算すると正確に手数料を計算できます。

一方、売主の場合、仲介手数料はかかりません。

②司法書士に支払う登記費用等

不動産を取得した際には不動産の登記を行う必要があります。

不動産の登記はその不動産を保有していることや権利関係がどのような状況となっているかを対外的に示す役割があります。

登記手続きは自分で行うことも可能ですが、手数料を支払って司法書士に一任することも可能。物件の規模によって異なりますが、一般的には10万円前後が1つの目安になっています。

司法書士に支払った費用は、経費として計上できます。

③ローンの金利

不動産を取得するために借り入れたローンの金利負担部分については、経費として計上できます

但し、ローンの元本部分については経費にできません

ローンの金利は借入時に一括して経費として計上するのではなく、返済期間中継続して経費として計上できます

④融資を受けるときの事務手数料

融資を受ける際は事務手数料がかかります。

事務手数料は借入をする金融機関により異なりますが、借入金額の1%以上かかる金融機関が多いので、比較的大きなコスト負担となります。

なお、事務手数料も経費として計上可能です。

不動産の維持に必要な経費

不動産は長期間運営するもの。

また、長期間経過したことによる経年劣化だけでなく、台風や地震などの天変地異への対策も随時行っておく必要があります。

不動産にはどのような維持費用がかかり、経費として計上できるのか確認しておきましょう。

①管理費

マンションなどで人が暮らす場合などは、管理するための費用が必要です。

マンション管理会社に委託する場合は清掃やマンション維持に関する庶務を行なってくれますが、相応の費用を支払う必要があります。

自分で管理を行う場合でも、備品を購入する必要がありますので、管理費が0になることはありません。

このような管理費も経費として計上できます

②修繕費(積立金)

建物は経年により劣化していきますので、大規模修繕に備えて毎月修繕積立金を支払う必要があります。

マンションなどの場合は大規模修繕を行った場合、多額の費用が発生しますので、修繕積立金として毎月少しずつ修繕費用を貯めていくケースが多くあります。

このような修繕積立金も経費として計上可能です。

③賃貸管理費

賃貸管理費とは、投資をしている不動産の管理を管理会社に任せている場合に発生する費用です。

管理会社が行う管理業務は入居者募集や契約・更新の手続、家賃滞納時の集金等、様々。

一般的には賃貸管理費は家賃の5%と設定されている管理会社が多いです。最近では家賃に関係なく固定額で設定されている管理会社も増えています。

管理内容なども含めて複数社で比較してみるといいでしょう。

④保険料

建物を維持管理する際には様々な保険に加入します。

代表的なものは火災保険、地震保険料控除やそれに付帯する特約です。

保険はいざという時の助けになりますが、毎月の経費として負担が重いので、必要な保険なのかどうかをよく検討して契約する必要がおります。

保険料として支払ったものについては経費として計上できます。

なお、一般的には火災保険、地震保険は一括払いとなりますので、支払った年度のみ計上できることを認識しておいてください。

⑤減価償却

不動産投資のために購入した建物は、購入時に一括でお金を支払いますが、実際は建物の価値は少しずつ下がっていきます。

その下がっていく価値を経費として計上できる会計上のルールが「減価償却」

減価償却で計上できる経費を「減価償却費」といいます。

実際にかかっていない経費ですが、築年数に合った償却率で算出した減価償却費を経費として計上できます。

一方、土地は年数が経過しても劣化することがありませんので、減価償却を行うことができないこと覚えておきましょう。

不動産に関する税金

不動産を取得、保有する際には様々な税金がかかります。

経費として計上できる不動産に関する主な税金は以下の通りです。

①不動産取得税

不動産取得税とはその名の通り、不動産を取得した際にかかる税金です。

不動産取得税は不動産が所在する都道府県に支払う義務があるいわゆる地方税

不動産を購入すると固定資産税評価額に一定の税率をかけて、計算された納税するべき金額と時期が記載された納税通知書が届き、一定期間内に納税する必要があります。

一般的には、不動産を購入して6ヶ月前後に納付書が届きます。

②登録免許税

登録免許税とは不動産を取得し、土地や建物を登記した際にかかる税金です。

登録免許税は国に支払う国税で税額は取得した不動産の固定資産税評価額に一定の税率をかけた金額です。

③固定資産税

固定資産税は、不動産を1月1日時点で保有する人に対して課税される税金です。

固定資産税は不動産が所在する市長村に支払う地方税で、固定資産税評価額に一定の税率をかけ合わせて計算します。

固定資産税は不動産取得税や登録免許税とは違い、取得時に一回だけかかるのではなく、毎年支払う必要があります。

経費として毎年忘れずに計上するようにしましょう。

④印紙代

印紙とは、印紙税法で定められた文書に添付する必要がある収入印紙で切手のような形をしています。

不動産の運営においては、売買契約書や賃貸借契約書などの各種契約書を作成する際などに収入印紙を添付する必要があります。

印紙代は契約書の種類や契約金額によって異なりますが、印紙代は全て経費として計上可能です。

賃借人募集に関する費用

賃借人を募集するためには、広く世間に募集していることを告知する必要があります。

インターネット上の広告や新聞折り込み、チラシの作成などの広告宣伝費は、経費として計上します。

また、不動産の賃借人を募集し、運営するためには様々な知識が必要です。

知識習得のための書籍購入代やセミナー参加費も経費として計上可能ですので、領収書はしっかり保管しておくようにしましょう。

その他の費用

不動産の運営には様々な雑費がかかります。

手続きを行うための交通費や掃除用具、書類を整理するためのファイルや文房具も経費として計上できます。

不動産の運営に関連するあらゆるものが経費として計上できますので領収書をもらってしっかり記録する様にしましょう。

判断に迷うものは税理士に相談してみると良いでしょう。

経費として計上できないものは?

ここまで経費として計上できるものをご紹介しました。

経費として計上できないものはどのような物があるのでしょうか。

日常生活に必要であるもの

不動産の運営には関係なく、日常生活に必要なものは経費として計上できません。

例えば自分が住んでいる家の電気代や水道代などです。

領収書をもらえば全て経費として計上できるわけではありませんので注意してください。

罰金・反則金

罰金や反則金は、不動産の運営に関するものであっても経費として計上できません。

例えば運営しているマンションのメンテナンスをするために、マンションの側の路上駐車をして駐車違反に罰金を支払った場合などです。

このようなケースでは不動産に関連する支出ですが、経費として計上できません。

「不動産投資における節税方法」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
関連記事:→不動産投資を行う際の効果的な節税方法とは?

まとめ

不動産投資における「経費」についてご説明しました。

不動産投資の魅力の一つが安定的な家賃収入。しかし、安定的な家賃収入には様々なコストもかかります

不動産投資で得た利益は所得税の対象になりますが、コストをしっかり経費として差し引くことで節税につながります

そのため、経費として何を計上していいのかを把握して、忘れずに計上することが大切です。

不動産の運営にかかる費用はあらゆるものが経費として計上できますので、税理士等の専門家と相談しながら損をしないように経費を計上するようにしましょう

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ不動産プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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