不動産投資物件選び

どっちがお得?不動産投資における「新築vs中古」徹底比較

2020/04/24
どっちがお得?不動産投資における「新築vs中古」徹底比較

不動産投資をする際に、一つの大きな分岐点となるのが「新築」と「中古」です。

新築にするか、中古にするかで迷われている方も多いのではないでしょうか。

新築物件と中古物件にはそれぞれどのような特徴があるのか、それぞれのメリットやデメリットをなどについてこの記事ではご紹介いたします。新築と中古で悩まれている方は、ぜひ最後までお読みください。

新築物件のメリット

新築物件には、どのようなメリットがあるのでしょうか。まず新築物件のメリットを確認していきましょう。

空室になりにくい

新築物件は設備も新しく、建物も綺麗で人気が高いため、賃貸需要も高いです。そのため、中古物件に比べると空室になりにくいという特徴があります。

いくら利回りが高い物件でも空室になってしまえば、収入はゼロになってしまいます。従って、比較的空室になりにくいという点は新築物件の大きなメリットと言えるでしょう。

融資が受けやすい

近年は低金利が続いていますので、不動産投資家にとって有利な条件で融資を受けることができます。

そのため、融資を活用して不動産投資をしたいという方も増え、中古物件と比較して新築物件は融資が受けやすいという特徴があります。

その理由は金融機関の審査の基準にあります。通常、金融機関は法定耐用年数を基準に担保評価を決めています。そのため、耐用年数が長い新築物件は担保評価が高く、融資を受けやすいという特徴があります。

しばらく修繕費がかからない

不動産投資において大きな出費となるのが修繕費。また部屋の中にあるエアコンなどの設備の修理もオーナーの負担となります。

中古物件の場合は、突発的に修理費用、修繕費用がかかるケースはありますが、新築物件の場合は、そのようなリスクは低く抑えることができます。

最近の新築物件は、築10年前後までにはそのようなコストをおさえることができ、その間にしっかりと修繕費用を貯めておけば十分に対応することができるでしょう。

家賃を高く設定できる

新築物件は新築ブランドとして、家賃を高く設定できる点も大きなメリットです。

中古物件は競合が多いと家賃を下げざるを得ないことも多くなりますが、新築物件は物件が新しいことから少し高めの家賃設定も可能です。

新築物件のデメリット

ここまで新築物件のメリットをご紹介しましたが、新築物件にはデメリットもあります。

新築物件のデメリットを確認しておきましょう。

価格が高いため利回りが低くなる

新築物件は中古物件に比べて比較的価格が高いため、比較的に利回りが低くなる傾向があります

なお、表面利回りでは新築物件が低くなるケースが多いですが、実際に運用していく時のコストを差し引いて、実質利回りとなると中古物件と変わらないケースもあります。

表面利回りだけで判断せずに、実質利回りも計算するといいでしょう。

資産価値が下がりやすい

新築物件の販売価格には、建築費用に人件費、物件を売却するための広告費用など様々費用がプラスされているため、価格自体は少し高めの設定となっています。

しかし、実際に新築物件は買われた瞬間、中古物件の扱いとなります。そのため、物件の資産価値は中古物件と比較して、その下げ幅が大きくなるケースが多いです。

一方、新築物件として購入されて、その後土地評価の上昇や、再開発により人気エリアになったなどの理由から、新築時よりも高く評価される物件もありますので、そのような調査も事前にされるといいでしょう。

想定利回りと実際の利回りに乖離が出る可能性がある

新築物件は入居者がいない状態で、想定利回りとして物件を販売されるケースがほとんどです。

その想定利回りは、周辺の相場等から家賃を想定して想定利回りを計算することとなり、実際に入居者が決まるまで、その利回りはあくまでも1つの参考値にすぎません。

そのため、想定利回りを参考値に物件を購入したあとに、実際の入居者の家賃が低くなれば、利回りに対する乖離が出てしまいます。その可能性もあること事前に認識しておくといいでしょう。

家賃の下落幅が大きい

新築物件は人気がありますので、多少高めの家賃設定でも入居者が決まる可能性は高くなります。しかし、しばらくすると新築物件ではなくなってしまい、中古物件扱いになります。

中古物件の数は新築より多くあり、競合が多くなることから、家賃を下げざるを得ない可能性もあります。それに、中古物件の家賃下落幅よりも新築から中古物件になった時の下落幅が多くなります。

そのため、新築物件を購入する際は家賃が下落しても採算がとれるのか、長期目線での見極めも重要になってきます。

「新築物件の選び方」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。

関連記事:不動産投資で新築物件を検討されている方へ!知っておきたい5つのこと

中古物件のメリット

次に中古物件のメリットをみて行きましょう。

比較的に利回りが高い

中古物件は新築物件に比べ購入価格が安くなるため、利回りが高くなりやすくなります。

そのため、空室リスクを最小限におさえることができれば、新築物件よりも高い利回りを得ることができます

オーナーチェンジ物件の場合はすぐ家賃収入を得られる

入居者がいるままで、物件が売却に出されて、オーナーが変わった物件はオーナーチェンジ物件と言います。

オーナーチェンジ物件は基本的に借主がそのまま住み続けて家賃を支払ってくれますので、購入してすぐに家賃収入を得ることができます。

一方、新築物件は購入してから借主が決まるまでの間、収入がありません。すぐに収入が得られると言う点は、中古物件の大きなメリットと言えるでしょう。

新築よりいい立地の物件を買いやすくなる

中古物件は建物の価格が安くなっているため、新築の物件よりも比較的いい立地の物件を購入しやすくなります。

また、一等地と言われている人気のエリアは、なかなか空き地ができないこともあり、新築ではなかなか購入できません。

しかし、中古物件であれば出回ることはありますので、そういう意味でも中古物件は購入しやすくなると言えます。

今までの管理記録、入居率を事前に確認することができる

中古物件はこれまでの運用実績があるため、これまでの管理記録や入居率を事前に確認できます。

新築の場合は実際に募集をかけてみないと借主が現れるかどうかわかりませんが、中古物件の場合は実績があるため予想が立てやすいと言えるでしょう。

中古物件のデメリット

メリットも多い中古物件ですが、デメリットもあります。どのようなデメリットがあるか確認しておきましょう。


一棟マンションの場合、修繕費用が高くなる

中古の一棟マンションの場合、経過年数に応じて様々な箇所に修繕が必要になってきます。

新築に比べて早いタイミングで修繕費用がかかってしまうので、収益を圧迫してしまう可能性も高くなります。

中古の一棟マンションを購入する場合は、過去の修繕状況や今後どのような修繕が発生する可能性があるかをしっかり見極めて購入する必要があるでしょう。

築年数が古い物件は売却が難しい可能性がある

築年数が古い物件は、売却が難しい可能性が高くなってしまいます。

築年数が30年・40年と経過している物件は価格が安いため、購入当時の利回りはかなり高くなります。

しかし、かなり古い物件は自分が売却しようとした際に買い手がつきにくく、値段を下げざるを得ない可能性が高くなってしまいます。

瑕疵担保責任期間が短くなる

中古物件は瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)期間が短くなるという、デメリットがあります。

瑕疵担保責任とは、不動産の構造上の欠陥や雨漏り等が発生した際に、売主の責任で無かったとしても売主が費用を負担するというものです。

新築住宅の場合10年間の瑕疵担保責任が売主に義務付けられます。つまり、物件の引き渡しから10年以内に構造上の欠陥等が見つかった場合、買主は売主に対し、修繕費用を請求できると言うことです。

中古物件の場合、売主が個人である場合と宅建業者である場合とで異なります。

個人の場合は民法で瑕疵担保責任は1年間と規定されています。ただし、この規定は売主と買主双方が同意すれば変更することができ、3か月程度にする場合も多いです。

売主が宅建業者の場合、瑕疵担保責任は最低2年と義務付けられています。この期間は売主と買主が双方同意しても期間を短縮することはできません(延ばすことは可能)。

中古物件の場合は、瑕疵担保責任期間が短い(買主に不利)ということは覚えておきましょう。

設備の修理などにより突発的な出費がある

中古の建物は、設備の修理などに突発的な出費がかかる場合もあります。建物の設備は老朽化すればするほど故障する可能性が高くなります。

借主の故意や過失による設備故障は借主の負担となりますが、経年劣化による設備故障は貸主が修理費用を支払う責任があります。

そのため、中古物件に投資をする際は、急な出費に対応するために現金を確保しておくことが必要です。

「中古物件」に関しては下記カテゴリでも解説していますので参照してみてください。

関連記事:→不動産投資コラム - 中古物件

新築投資物件と中古投資物件どっちがいい?自分に合った投資物件の選び方は?

新築物件と中古物件にはそれぞれメリットとデメリットがありますが、どちらかが絶対的に優れているということはありません。

では、ご自身がどちらを選ぶべきかどのように判断すればよいのでしょうか。

新築物件投資に適している方と中古物件投資に適している方の特徴をご紹介します。

新築物件投資に適している方

新築物件の最大のメリットは「空室になりにくい」という所です。

空室になりにくいことによって不動産投資における最大のリスクである空室リスクを低減することが可能。一方で最大のデメリットは利回りが低くなると言うところです。

つまり、新築物件投資は中古物件投資に比べるとローリスク・ローリターンの投資ということになります。そのため、安定的に長期間収入を得たいと言う方に向いているでしょう。

例えば、老後の年金の補助的収入を得るために不動産投資を行う方や、不動産投資が初めての方は新築物件投資の方が向いていると言えるでしょう。

中古物件投資に適している方

中古物件投資は新築物件投資に比べるとハイリスク・ハイリターンの投資です。

価格が低くなりやすいため利回りは高くなりますが、新築物件に比べると空室リスクが高まるリスクが挙げられます。

また、築年数が古いと売却も難しくなる傾向があるため、将来の売却することも見据えて物件選びをすることも重要になってきます。

そのため、新築物件に比べて不動産の知識や経験がある方、物件価格を安くおさえたい方に適していると言えます。

まとめ

新築物件と中古物件に特徴についてご紹介しました。

どちらかが「正解」というわけではありません。ただし、同じ不動産投資でも様々な違いがあるので、ご自身にあった投資方法を選択することが重要です。

また、新築物件と中古物件の特徴をよく理解して、物件を選ぶことも必要になってきます。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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