不動産投資をするうえで、投資家にとって大きな問題となりつつあるのが「空き家問題」です。
空き家問題は社会問題となっており、2015年には空き家の対策をするために新たな法律も制定されました。
こちらの記事では不動産の空き家問題とはどのような問題なのか、空き家が増えている理由とその対策をご紹介します。
空き家問題で悩まれている方は、ぜひ最後までお読みください。
日本では現状空き家が増え続けていることが問題となっており、空き家が増えると防犯上・防災上様々な問題を引き起こします。
全国の空き家率は総務省統計局が調査しています。総務省統計局の調査によると1958年の調査開始以来、直近の2018年の調査まで空き家数が右肩上がりとなっています。
直近の10年で見ても、2008年の空き家数は7,568千戸だったのに対し、2018年には8,489千戸まで増加。今後も空き家数は増加傾向が続くと予想されています。
空き家がどんどん増えている状況を鑑みて2015年には「空き家対策特別措置法」という法律が制定されました。
空き家対策特別措置法は防災、衛生、景観などで周辺住民に悪影響を及ぼす「特定空き家」に対し撤去や修繕を求めることができるというものです。
もし持ち主が従わなければ、国は強制的に執行し、費用は持ち主に請求できます。
このように法律が制定されるほど、空き家の増加と空き家の放置による周辺住民への被害は深刻になっているのです。
参考: https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/kihon_gaiyou.pdf
空き家が増えているのには、どんな理由があるのでしょうか。
理由の一つとなっているのが地方の人口減少です。
空き家率の全国平均は13.6%ですが、東京都は10.6%、神奈川県は10.8%、千葉県は12.6%、埼玉県は10.2%といずれも全国平均よりも低い数値となっています。
それに対し、全国で最も空き家率が高いのは山梨県の21.3%。2番目が和歌山県の20.3%、次いで長野県の19.6%と地方の空き家率が都市部に比べて高いことがわかります。
このような地方都市ではセカンドハウスとして購入したいわゆる「別荘」が空き家となっているケースも多くあります。
人口が減少していく地方では、一度空き家になってしまうと再度活用することが難しく、廃墟となるようなケースも珍しくありません。
もう一つ、空き家が増える大きな理由となっているのが、建物を建てることで相続税や固定資産税等、税制面での優遇が大きく、需要より供給が大きくなりすぎた点があげられます。
土地は財産として相続税・固定資産税の対象ですが、建物を建てて、人に貸すことで相続税・固定資産税の減免を受けることができます。
その節税効果は大きいため、大きな土地を持つ富裕層の多くが賃貸住宅などを建てて人に貸すことで賃料収入を得ながら、節税対策を行います。
税制面でのメリットが大きいことも、供給過多となり空き家を増やす一因になっていると言えるでしょう。
不動産が空き家となった場合には、どのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。
空き家となってしまった場合の注意点とデメリットを確認しておきましょう。
不動産は保有しているだけで様々な費用がかかります、代表的なものが固定資産税。
マンションであれば、管理費等がかかります。戸建てであれば、一定年数が経過すると外壁の補修費用がかかります。
また、定期的に訪問して管理を行うのであれば、水道光熱費の基本料金を支払っておく必要があります。住んでいる地域と距離が離れていて業者に管理を依頼するのであれば、その費用もかかってしまいます。
このように不動産を保有するだけで様々な費用がかかってしまいますので、収入が入らない空き家の状態になってしまうと、維持するための固定費が全て赤字になってしまいます。
一刻も早く空き家の状態を解消しないと、費用だけがかかってしまう財産となってしまうので、早期に空き家解消を目指す必要があります。
建物は適切に換気をしたりすることで、建物の劣化をある程度防ぐことができます。
しかし、人が住まないと換気がされず、壁等が傷みやすくなります。害虫や害獣による被害も、人が住んでいないことによって長期間気付かない可能性も高くなってしまいます。
人が住んでいない期間は定期的に換気をするなど、物件が傷まないようにメンテナンスを行う必要があります。
長い間空き家になっていることが周囲にわかってしまうと、ホームレスが住み着いてしまったり、犯罪に利用されたりしてしまう可能性があります。
また、処分に費用がかかる大型の家電を敷地内に放置される危険もあります。
このような危険な状態を続けておくと、近隣住民にも迷惑がかかってしまうため「特定空き家」に指定されてしまう可能性もあります。
長期間人が出入りしない空き家は経済面だけのデメリットではなく、このようなリスクも孕んでいるのです。
「空室対策」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
関連記事:→不動産投資の空室対策は物件選びから!4つのポイントを解説
投資用として購入した不動産を空き家にしないためには、どのような対策を行えば良いのでしょうか。
具体的な方法をみて行きましょう。
空き家としないためには、物件の魅力を高めておく必要があります。
物件の魅力を高める工夫として効果が大きいのが、設備を新しくしておくことです。
一般的に築年数が浅いキレイな物件の方が、借主には好まれます。古い物件になればなるほど空室になるリスクは高まってしまいますが、中の設備を新しくしておくことである程度人気を保つことができます。
設備を常に新しいものにしておくことで、物件の魅力が高まり、空室になるリスクを軽減できるでしょう。
家族や親戚等に賃貸することも一つの方法です。
息子夫婦に貸したり、孫の一人暮らし用として貸し出したりすることで、不動産を家族に有効活用してもらうことができます。また、家族や親戚に賃貸することで、退去する際も早めに知ることができるので、次の募集もかけやすくなると言うメリットがあります。
なかなか借主が見つからない場合、まずは身内に声をかけてみるのも選択肢の一つとして検討してみるのも良いでしょう。
不動産を募集する時に長く住んでくれそうな人に賃貸することも一つの方法です。
募集の際に家賃を下げてでも長期入居者に貸すのも一つの方法です。長期入居者限定で商品券等の特典を提供することで長期間住みたいと考えている借主を誘致できます。
また、住んでくれた方に長く住んでもらう工夫も必要。借主のニーズは様々ですが、まずは大家さんが住みたいと思える物件にしておくことが重要です。
借主の目線に立って住みたいと思えるような状態を維持することが長期入居に繋がります。
物件が古くなってしまった場合には、リノベーションを行うことも選択肢として入れておく必要があります。
リノベーションを行うことで物件の魅力度があがり、入居希望者が増える可能性がかなり高くなり、家賃も高く維持できるでしょう。
また、リノベ―ションを行うことでターゲットを絞ることができるのも、リノベーションのメリットです。
古い物件はエリアの特徴と借主のニーズが合わなくなっているケースもあります。リノベーションで、そのエリアにあった物件に仕上げることでターゲットを絞り募集を書けることができます。
ただし、リノベーションには大きな費用がかかります。リノベーションを行ってもなお空室の状態が続いてしまうと出費だけが増えてしまい、更に苦しい状況になってしまいますので、リノベーションは慎重に行う必要があります。
特に立地条件が悪い物件はリノベーションの効果が得にくい場合がありますので、注意が必要です。
空き家の状態が長く続いてしまう場合は、他の活用方法も検討した方が良いでしょう。
不動産の活用方法は家だけではありません。コンビニや飲食店等を誘致すれば、住宅として貸すよりも高い家賃で賃貸に出せる場合も多くあります。
空室が続く場合は住宅にこだわる必要はありませんので、その土地にあった活用方法を検討してみましょう。
空き家の状態が続く場合は、家賃を下げて募集をすることも検討する必要があります。
家賃を下げることで、空き家状態を解消できる可能性は高くなるでしょう。
ただし、家賃を下げることで当然収入は減ってしまいます。また家賃を一度下げてしまうと、上げることは難しくなってしまいます。
そのため、家賃を下げるのは最後の手段としておいた方が良いでしょう。
家賃を下げる場合は設備の買い替えやリノベーション等他の方法も良く検討してから行うことをオススメします。
空き家が埋まらずに、費用だけがかかってしまう状態が長く続く場合には売却も検討する必要があります。
今後も空き家はどんどん増加する可能性が高いと言われています。長期間空き家として放置することで売却することが難しくなる可能性もあります。
まずは不動産仲介会社に査定をしてもらい、相場を把握してから売却するか、リノベーション等で賃貸にするかを検討してみても良いでしょう。
空き家は今後も増加することが予想されます。
空き家としなってしまうことは不動産投資における大きなリスクであるため、必ず対策を打っておく必要があります。
対策の方法は一つではありませんので、その物件にあった対策を検討しておくと良いでしょう。
また、空き家となる前に対策を打っておくことで空き家となってしまう確率を低くすることも可能。保有している不動産にはどのような対策があるかを早めに検討し対策を打っておくことが重要です。