新型コロナウイルスの影響で2020年に開催される予定だった東京五輪が1年延期されることが決定されました。
五輪開催決定以降、訪日外国人数の増加期待が高まり、東京ではホテル等の実需が旺盛となったことで価格が上昇していきました。
しかし、新型コロナウイルスの影響で五輪の開催が延期になり、経済がよくなるどころか、今では経済が停滞し、これから倒産ラッシュだと言われています。
その中で不動産業界はリーマンショックの時のように、不動産の価格が暴落するのではないかと敬遠する方もいらっしゃるでしょう。
こちらの記事では、来年は東京五輪が無事開催する場合の不動産業界の動き、万が一五輪が中止になった時の不動産業界の動きなどについて書いていきます。
不動産業界のこれからの動きについて知りたい方は、ぜひ最後までお付き合いください。
新型コロナウイルスの影響で東京五輪の開催は来年と延期になりました。
元々見込んでいた五輪効果どころか、日本に限らず世界全体的に経済がかなり厳しい状況になっています。
新型コロナウイルスが原因で飲食店からはじめ、アパレル、映画館など様々な店が営業停止となりました。
売上がない中で販管費ばかりかかってしまい、経営が厳しくなった店は続々と出てきています。
緊急事態宣言は5月31日までと延長になり、既にテナントの家賃が支払えないなどの理由で飲食店を中心に商業施設は空室が目立ち始めました。
また、外出自粛、入国禁止などにより旅行ができないなど、ホテルや旅館、民泊にも非常に大きくダメージを与えています。つまり、不動産業界ではテナント、ホテル、旅館、民泊に大きく影響が出ています。
ただし、東京五輪が2021年に無事開催することができれば、訪日外国人等による消費の増加が見込まれますので、コロナウイルスの影響は最小限に抑えることができるでしょう。
一方、住宅に関しては、「衣」「食」「住」においてなくてならない「住」は特に大きな影響がなく、住居系エリアの不動産は新型コロナウイルスや五輪延期による価格が下落する可能性はかなり低いと言えます。
東京の不動産の価格上昇は地方からの人口流入によって住宅需要が旺盛であることに支えられています。
東京の人口が増加している理由は、女性の社会進出やシニア層の就業数増加等によるものと考えられています。この流れは新型コロナウイルスや五輪延期によって止まる事は無いでしょう。リーマンショック時にも住宅価格はしていません。
リーマンショックは日経平均株価が18,000円台から7,000円台まで急落した、100年に一度の大不況と言われた金融危機。そのような状況でも住宅価格は5%程度の下落であまり大きいものにはなりませんでした。
過去の経験から見ても、東京の住居系エリアの価格は新型コロナウイルスや五輪延期の影響によって価格が大きく下がる可能性は低いと言えます。
五輪が延期されたことによって需要が先延ばしになっただけで、失われたわけではないからです。不動産価格は元々遅行指数と言われており、景気変動から遅れて価格が変動するものです。
不動産の売買は株のようにスピーディにすることはできないため、1年後に需要の回復がわかっているのであれば、不動産をこのまま保有する可能性が高いです。不動産の価格が大きく値崩れする可能性は低いと言えるでしょう。
ただし、1年後の需要回復まで企業が持ちこたえる必要がありますので、商業エリアの価格が維持されるためには政府の経済対策や融資制度が必要です。この1年間で国や都による大胆な経済対策が行われれば1年後の需要回復まで持ちこたえることができるでしょう。
もし五輪が延期ではなく、中止となった場合、不動産業界にはどのような影響があるのでしょうか。
商業系エリアでは訪日外国人増加による消費増加が見込めないため、ある程度の価格下落は起るでしょう。
一方、住居系エリアの価格は五輪が中止になった場合にも、今まで上がりすぎた価格から少し下落する可能性が高いでしょう。
万が一、五輪中止により商業系エリアの不動産価格が値崩れを起こしたとしても住居系エリアのダメージは小さい可能性が高いと言えます。
但し、住居系エリアでも影響を受ける可能性が高い場所があります。
それは東京五輪の中心となる予定の「湾岸エリア」です。湾岸エリアは選手村の建物の再利用する分譲マンションの販売が予定されており、五輪開催決定以降、他の地域に比べて大幅に価格が上昇しています。
とはいえ、湾岸エリアは元々、都心へのアクセスが決して便利なわけではありません。
住居系エリアでも五輪の影響を受けて値上がりした湾岸エリアに限っていえば、五輪中止により五輪開催決定前の水準まで値下がりする可能性は高いため注意が必要です。
なお、湾岸エリアについては五輪中止によって暴落するのではなく、元の適正な価格に戻ると考えた方が良いでしょう。
不動産は今購入する方がよいのでしょうか。それとも価格が下落するのを待つべきなのでしょうか。
不動産の購入時期で悩まれている方も多いのではないでしょうか。
ここまでご説明した通り、五輪が延期されたとしても、不動産の大幅な値崩れは起る可能性が低いでしょう。特に住居系エリアの価格は値崩れする可能性が低いため値下がりを待つのは得策ではないと言えるでしょう。
また、今の日本の不動産は短期的な値上がりを狙うのではなく、長期的に賃料収入を得ることを目的とする資産です。
長く持てば持つほど収益を獲得できる期間が長くなりますので、起こる可能性が低い暴落を待つよりは良い物件があれば購入しても良いでしょう。
特に新型コロナウイルスの影響で資金繰りが厳しくなった個人や企業が優良物件を手放す可能性がありますので、優良物件が手に入る際は迷わず購入することをオススメします。
逆に、今後懸念されるのは融資の引き締めです。現在は日銀による大規模な金融緩和で「金余り」の状態になっています。金融機関も企業の借り手がいないため、個人の不動産投資にも低金利での貸付に積極的です。
しかし、今後企業の資金需要が旺盛になり、しかも短期間で回復が見込める企業の融資であれば、金融機関は積極的に資金供給を行うでしょう。その結果これまで積極的だった個人の不動産投資に対する融資が消極的になる可能性があります。
価格が多少下がっても融資がつかないと現金で購入できない方は、お金を借りられるうちに不動産を購入しておくということも選択肢の一つです。
また、昨今の経済回復により金利は徐々に上昇するという予想が多くなっていましたが、新型コロナウイルスによる経済の停滞により、世界的に政府は政策金利を引き下げています。
現在の超低金利状態が更に長く続く可能性が高くなったため、融資を受けて投資をしやすい状況になっています。
「新型コロナウイルスの影響による買い時」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
ここまで五輪後に不動産価格の大幅な下落は起りにくいことをご説明しました。
それではどのような不動産が今後有望なのでしょうか。確認しておきましょう。
日本は少子高齢化に伴い人口が減少していく国です。
人口が減少していくということは国全体の不動産需要は低下する可能性が高いということです。しかし、日本の全ての地域で人口が減少していくかというとそうではありません。
平成30年の総務省統計局の都道府県別転出入者数調査によると東京・神奈川・千葉・埼玉で13.5万人の転入超過があり、地方から多くの人が首都圏に移住していることがわかります。
愛知県は2,159人の転入超過、大阪府は5,197人の転入超過となっています。しかし、周辺の京都府は‐2,990、兵庫県は‐6,088と転出超過となっており、首都圏エリアに人口が集中していることがわかります。
今後もこの流れは継続する可能性が高いので、人口増加エリアである東京を中心に投資をすることを考えた方が良いでしょう。
一方、地方都市での不動産投資はエリアや物件の特徴を慎重に見極めて投資をしなければ、人口減少により空室になる可能性が高くなってしまいます。
参考:https://www.stat.go.jp/data/nihon/02.html
次にどのような物件に投資をすれば、利益を得やすいのか考えてみましょう。
結論としては単身者をターゲットとした物件は無難と言えるでしょう。
その理由は晩婚化により単身者が増えていることで、特に東京では一人世帯が増えています。
平成27年の総務省統計局による世帯内の人員数調査によると東京の1世帯あたりの人数は平均1.9人。全国平均は2.3人ですので、東京では単身世帯が多いことがわかります。
今後も女性の社会進出などにより、地方からの東京への転入と晩婚化により長く単身マンションに住む世帯が多くなることが予想されます。
このような方は職場やショッピングに便利な都心へのアクセスが良く、駅近の物件を好む傾向が強いため、首都圏エリアの単身向け駅近物件は安定的な収益を獲得しやすく、値崩れが起きる可能性はほとんどないでしょう。
東京五輪の延期や中止の影響についてご説明しました。
結論としては不動産市場全体に及ぼす影響は軽微であるといえます。特に住居系エリアでは値崩れが起きにくく安定した価格で推移する可能性が高いため、暴落を待って投資機会を逸するのは得策ではないと言えるでしょう。
一方で五輪需要を見据えて他のエリアよりも高騰していた湾岸エリア等は反動で下落することも予想されます。
今後の人口増減や需要を考えると都心に近い単身者向けの物件が魅力的です。
新型コロナウイルスの影響により、資金需要が旺盛になれば、金融機関が融資の引き締めを行う可能性があります。
可能性が低い暴落を待つよりは、今のうちに優良物件を購入した方がよいでしょう。