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不動産投資オーナー向けに国土交通省が行っているコロナショックの特例措置とは

不動産投資オーナー向けに国土交通省が行っているコロナショックの特例措置とは

新型コロナウイルスの影響で倒産する企業が出るなど収入が減り、生活に困窮する人も出ています。収入減を理由に家賃やガス・水道・電気などの支払いができず、延滞を望む人も多く見られます。

状況が状況なだけに延滞を承知したいと考えていてもオーナー側も生活があり、どうしたらいいか困っている場合もあるのではないでしょうか。今回の記事では、国土交通省が行っているコロナショック中の不動産オーナー向け特例措置について紹介します。

コロナショックとは?

世界中を襲っている新型コロナウイルスは世界的な経済に大打撃を与えました。

中小企業はじめ、大企業でも倒産の危機を迎えてしまったところもあります。新型コロナウイルスは感染力が非常に強く、世界各国で死亡者もでています。日本国内では「不要不急の外出を控える」「リモートワーク」などで感染者がでないように対策をとりました。

人が集まる場所では感染しやすいため、飲食店やジムなどさまざまな店舗は休業せざるを得ない状況に陥ったのです。そういった状況による仕事の激減で収入が減り、生活に支障がでてくるようになった人もいます。

また、世界市場も急落しました。このような状態は新型コロナウイルスの流行による影響ということで、「コロナショック」と呼ばれています。

コロナショックとリーマンショックとの違い

似ているものとして、2008年にアメリカで起きたリーマンショックがあげられます。

リーマンショックは、世界的な金融市場の機能が不全となったことで経済へも大きな影響がでたものでした。それは株価の下落へとつながり、次々と連鎖してやがて世界規模の金融危機となったのです。

コロナショックとリーマンショックが違う点は、金融市場の機能不全が起きているかいないかです。

リーマンショックが起きたアメリカは、コロナウイルスの感染者と死亡者が中国を上回り、感染者数などが世界一となりました。そのアメリカでも、金融市場の混乱は起きておらず、取引所も稼働しています。これは非常に大きな違いだと言えるでしょう。

2021年の固定資産税や都市計画税が減免される

国土交通省は不動産投資オーナー向けのコロナショック特例措置の1つとして、「固定資産税・都市計画税を減免」を行っています。

こちらの特例措置は、もともと中小企業を対象としたものでした。新型コロナウイルスによる影響で売上が減少している中小企業が多かったためです。

しかし、家賃の支払いに困っている人が増えていることから、現在では不動産投資オーナーに対しても適用されています。

どれだけ減免されるかは前年度の同期と収入減少率を比較することで決まります。

30%以上50%以下の場合で2分の1、50%以上の場合は全額免除となります。複数の物件を持っている不動産投資オーナーが注意すべき点は、あくまでも全体的な収入減少率が適用されるということです。

物件にもよりますが、固定資産税は数十万円という大きな金額になる場合もあります。家賃の減額や免除を望む人がいる場合は、特に積極的にこの特例措置を積極的に利用しましょう。

ちなみに、固定資産税の減免の対象となるのは「建物部分のみ」なので注意が必要です。土地部分に関しては対象外になります。また、複数の物件がそれぞれの市町村にある場合、それぞれの自治体で申請をしなければなりません。

申請するには「認定経営革新等支援機関」で確認書発行後、税を納付する各市町村に提出します。「認定経営革新等支援機関」は、全国に約3万5000ほどあります。申請期間は2021年1月1日~1月31日1カ月間のみなので、申請し忘れないように気を付けましょう。

各種税金と社会保険料の支払い猶予

税と社会保険料の猶予も特例措置の1つで、2020年2月1日~2021年1月31日までが納期限となっている各種税金や社会保険料です。適用される条件は「2020年1月以降で1カ月以上収入が前年度の同期比で20%以上減少している」「一度に納税するのが難しい」となっています。

担保は必要ありませんし、猶予を受けることで延滞税がかかってしまうこともありません。この特例措置の申請は税務署で行います。

申請するには、まず国税庁のホームページにある納税の猶予申請書(特例猶予用)をダウンロードします。申請書はPDFファイルとExcelファイルの両方があるので、利用しやすいほうを選択しましょう。

必要事項を記入後、猶予してほしい税金の納期限までに諸葛税務署へ申請します。申請書の作成については動画で確認可能ですが、国税局猶予相談センターへ直接問い合わせられます。

窓口に申請へ行く人が多いと混雑するため、できればe-Taxによる電子申請もしくは郵送による申請がおすすめです。

納税猶予の申請はいつまで可能か

令和2年6月30日(火)までは納期限以降であっても申請できます。また、直近2カ月程度で地方税や社会保険料などで納税猶予を受けていた場合、その猶予申請書や許可通知書の写しを添付しておくとスムーズに進められます。

添付を忘れると収支状況の記載や資料の添付が必要になります。e-Taxによる電子申請は、PC版とWEB版が用意されており、便利です。特例猶予が認められると、「納税の猶予許可通知書」が送られてきます。

もし、特例措置が適用されなかったとしても現行猶予制度の適用が認められる可能性もあるため、相談してみましょう

減額・免除した家賃を損金に算入できる

損金算入は不動産投資オーナーが家賃の減額や支払い免除を求められ、それに応じた際に適用されるものです。損金の計上ができる大きなメリットは、家賃を減免した分だけ収入が減るので税金も減ることです。

これまでは減額や免除をしたことで生じる損害の差額が寄附金の扱いになっていたため、損金として算入できませんでした。

しかし、2020年4月7日、国土交通省は不動産投資オーナーが家賃を減免した際、その額によって生じた損害額を損金に算入できると明確にしています。ただし、3つの条件をクリアしなければなりません。

損金算入に必要な3つの条件

国土交通省が不動産投資オーナーが家賃を減免した際、生じた損害額を損金計上できるとしていますが、3つの条件があります。

  • 新型コロナウイルスが関連した原因による収入減少で事業継続が困難になったか、そうなる恐れが明らかになっていること
  • 家賃の減額が営業継続や雇用確保など復旧支援を目的にし、書類で確認できること
  • 新型コロナウイルスの影響による家賃の減額・免除が事業の確保や雇用継続を目的としていることを覚書で終結すること

覚書に関しては国土交通省でフォーマットが公開されているため、それをもとに作成できます。ここで注意しなければならないことは、あくまでも減額と免除に関する特別措置だという点です。家賃の支払い猶予に応じた場合は、損金に算入できません。

家賃の支払い猶予に応じる場合に注意すべきこと

家賃の減額や免除ではなく、支払い猶予に応じる場合はどういう点に注意すべきなのでしょうか。支払い猶予に関しての国の特例措置は行われていません。そのため、

  • 猶予した後の支払い計画をはっきりさせておく
  • 合意書を作成する

この2つを必ず行いましょう。猶予後の支払い計画をはっきりさせることで、猶予後の家賃の回収が必ずできるようにしておくのです。

管理会社に物件を任せている場合は、賃借人とのやりとりを任せられます。そして、口約束のみでは家賃の回収ができない可能性もあるので、そうならないように合意書を作成しておくことが重要です。

合意書には「家賃の猶予はいつまでか」「猶予は全額か一部か」「コロナ感染拡大による救済措置として家賃の支払い猶予をすること」などを記載します。

家賃に関して、法人・個人ともに政府がさまざまな補助を行っています。法人であれば、「テナント事業継続のための家賃補助」があります。こちらは無利子・無担保で融資を受けられ、給付金も受け取ることが可能です。

個人に対しては、「住宅確保給付金」「持続化給付金」「雇用調整助成金」「新型コロナウイルス感染症特別貸付」などサポート体制が整えられています。これらの支援について告知することは、非常に大切です。

「住宅確保給付金」は離職や廃業によって収入が減少した場合に支給される給付金で、原則として3カ月間給付されます。新型コロナウイルスの影響もあり、「離職・廃業していなくても収入減になった人」も対象者となりました。

給付額は世帯の人数や住んでいるエリアによって違います。フリーランスや個人事業主を主な対象とした「持続化給付金」もあります。新型コロナウイルスの影響をうけて前年の同月比から売上が50%以上減った場合、最大100万円が給付されるものです。

従業員20人以下の小規模事業主が対象となっている「雇用調整助成金」は、以前は「実際に支払った休業手当額×助成率」によって計算されていました。しかし、現在は変更点もあったことから条件クリアで全額助成される可能性もあります。

そして、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は中小企業主や個人事業主向けで、コロナが原因で一時的に業績悪化している場合に利用可能です。

  • 直近1カ月の売上が前年もしくは前々年同期比5%以上減少
  • 業歴3カ月~1年未満で5%以上減少
  • 中・長期的に業績回復が見込まれる

という条件をクリアしている必要があります。最大6000万円の融資を受けられ、借入開始からの3年間はマイナス0.9%という超低金利で利用可能です。

特例措置を活用してコロナショックを乗り切ろう

新型コロナウイルスの流行によって多大な影響を受けている日本ですが、政府によってさまざまな対策がとられています。

コロナショックによる収入減少で、家賃の支払いの延滞を希望する人も増加傾向にあります。しかし、家賃の支払い減額や免除に対応することで、不動産投資オーナー側にも大きな負担がかかる可能性もあるのです。

そこで、国土交通省が行っている特例措置税の減免や支払い猶予、減免・免除した家賃の損金への算入などをうまく活用し、現状を乗り越えましょう

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インベースメディア編集部

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