不動産投資をはじめようと思うと話したら、不動産投資なんて「やめとけ」と言う方は必ず周囲に何人かはいるでしょう。
しかし、やめとけ派の人がなぜ「やめとけ」というのか、しっかりと理由を聞いた人は意外と少ないのではないでしょうか。
当記事では、やめとけ派が「やめとけ」という理由と、自分も本当にやめといた方がいいのかどうかを検証してみたいと思います。
不動産投資はやめとけ派の主張の一つが、日本は少子高齢化で人口は減少傾向であるということが挙げられるでしょう。
確かに日本は少子高齢化が進んでおり、今後人口は減少していくといわれています。また、人口が減るということは不動産の需要が減少するということにつながりますので、少子高齢化と人口減少は不動産投資にとってマイナスの影響を及ぼします。
では、日本全国で一律に人口が減っていくかというと、そうではありません。
実際に東京を中心とする都市部では人口流入が続いており、人口は増え続けています。そのため、不動産の需要も旺盛で不動産価格も上昇傾向です。
では何故、東京を中心とする都市部では人口の流入が続いているのでしょうか。
その理由の一つが「女性の社会進出」であるといわれています。女性の社会進出は年々進んでおり、夫婦共働き世代もどんどん増えています。
そのため、子育てと仕事を両立する夫婦が増えているため、職場に近い住宅が好まれるようになっています。
専業主婦が多かった時代は郊外に住み、夫が1時間以上かけて職場に通勤するという家庭が多かったものです。しかし、幼稚園の送り迎えや帰宅してからの家事のことを考えると、職場に少しでも近く通勤に便利な住宅を選ぶ傾向が増えています。
そのため、駅近でターミナル駅に近い住宅は価格の上昇が続いており、今後もこの傾向は続くと言われています。
都市部の価格が上昇しているもう一つの理由は「シニア世代の労働者が増えている」ことです。
退職したら郊外や田舎に引っ越すと言う方も多くいますが、最近は高齢になっても働く方が増えているので、仕事が多い都市部にシニア世代も長く住むようになってきています。
2019年に話題となった年金2,000万円問題以降、少しでも長く収入を得たいというシニア世代の人は更に増えていくと思われるため、今後も働くシニアが都市部に住むという流れは継続するでしょう。
このように日本の少子高齢化や人口減少は不動産投資に悪影響を及ぼすものの、エリアをしっかりと選定すれば、需要が見込めるエリアはあることがわかります。
そのため、「日本は少子高齢化で人口が減少するから不動産投資はやめとけ」という主張は必ずしも正しいとは言えないでしょう。
不動産投資はやめとけと言われる理由に、日本は空き家が増加傾向で社会問題となっているということです。
確かに日本は空き家が年々増加しており、今後もこの傾向は続く可能性が高いといわれています。空き家が増加すると空き家が犯罪に使用される可能性や、台風や地震などの天変地位が発生した際に倒壊の恐れがあり、周辺住民に危険が及ぶ可能性もあります。
このような事態を打開するために政府は様々な空き家対策を行っています。
具体的には、危険な状態で放置している空き家の固定資産税を引き上げる法律や、相続した空き家を売却した際に税制優遇を設ける制度を新設して空き家が減少するように様々な工夫を行っています。それでも、空き家は年々増加傾向です。
一方で人気エリアや魅力ある設備を備えた物件は、依然としてニーズが高くなかなか借りることができないということも事実です。
日本の住宅全体の戸数は足りているため、今後は築年数が古く魅力がない物件はますます空き家になりやすくなってしまうといえるでしょう。
しかし、住宅の需要が無くなるわけではありません。周辺のニーズを調べて魅力ある不動産に投資をすることで、空き家となることが回避できる可能性が高いといえるでしょう。
「空き家問題の解消」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
不動産投資はやめとけと言われる理由の一つに「リスクが高い」というのも挙げられるでしょう。
不動産投資は安い投資ではありません。一棟マンションを購入すれば、億単位の買い物となることもあるため、多額の借金を抱えることにも繋がります。
しかし、不動産投資は必ずしもリスクが高い投資とはいえません。実は安定した賃料収入を基本とする不動産投資は、株式投資などに比べてリスクが低いとわれています。また、不動産の中にもオフィス・商業施設・住宅で抱えるリスクは大きく異なります。
確かに、オフィスや商業施設は景気変動の影響を受けやすく比較的リスクが高い投資であるといわれています。しかし、住宅用不動産は景気変動による影響が少ないため、比較的安全に投資ができます。
住宅用不動産投資のリスクが低い理由は、ニーズが安定しているからです。日本では景気が悪化しても家に住めなくなるような貧困層はほとんどいません。そのため、景気が悪化しても住宅に住むというニーズはほとんど衰えることがないのです。
このように不動産は、そもそも株式等に比べると比較的安定しているという点と、不動産の中でも安全度の高い物件もあるといえます。
必ずしも「不動産投資はリスクが高いからやめとけ」という主張は正確ではないといえるでしょう。
大切なことは不動産投資における大きなリスクである「空室」にならないように工夫をしながら不動産経営をすること。様々な工夫を行うことでリスクを大幅に低減できるでしょう。
具体的な不動産投資リスクに関しては下記で解説していますので参照してみてください。
不動産投資を自己資金で行うには相当な額の資金が必要です。
そのため、ほとんどの不動産投資家は借金を抱えて不動産に投資をすることになるでしょう。
借金を抱えると言うことは決していいことではありません。借金を返済できないような状態になってしまった場合は最悪、破産するという可能性もあります。
しかし借金をするということは、必ずしも「悪」であるかというとそうではありません。
不動産投資をするためにお金を借りるということはお金を借りて、更に高い利回りである不動産に投資をするということになります。
投資で得られるリターンは「投資額×利回り」で決まります。
同じ利回りであれば、投資額が大きければ大きいほどリターンは大きくなるということです。例えば、1,000万円で5%の利回りの場合は、年間で得られるリターンは50万円ですが、1億円で5%の利回りの場合は年間で得られるリターンは500万円です。
自己資金で多額を用意できない場合は、借金をすることで大きな投資額で投資が可能となり、リターンも大きくなります。
しかし、借金をするとデメリットもあります。それは金利を支払う必要があるということです。
利回りが5%でも借金をしたことで、3%の利息を払うことになった場合、利回りは差し引き2%になります。
では現在はお金を借りる環境としては良い環境なのでしょうか。これは間違いなく、良い環境であると言えると思います。日本は2008年のリーマンショック以降超低金利政策をとっており、過去最低水準の金利となっています。
金利が低いということには、借りる側にとっては有利であるということですので、お金を借りて不動産に投資をするという点においては有利な環境と言えるでしょう。
「金利上昇のリスク」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
投資は元本が保証されるものではありません。
そのため、不動産投資に限らずどんな投資でも「やめとけ」と言われる理由はあります。では、元本保証の定期預金や普通預金で運用していれば良いのでしょうか。
元本保証の定期預金ではほとんど増えない時代なので、必ずしも定期預金にしておくのが一番だとはいえないでしょう。また、定期預金はインフレに弱く、今後インフレが続いていくとしたら、全額を定期預金するのはオススメできません。
つまり、元本保証である定期預金でさえも「やめとけ」といわれる理由があるのです。
投資をする際は「やめとけ」と言われる理由もしっかり理解して、自分は何に投資するべきかを見極める必要があります。
自分が何に投資をするべきかを考えるうえで重要なことは、投資をする目的を定めることです。例えば、30歳の人が30年間かけて老後の生活資金を蓄えたいと言う場合と、5年に内に大きなリターンを得たいと言う場合では投資の目的が大きく異なります。
何に投資をすればいいのか、とるべき手段も大きく変わってくるでしょう。
不動産投資は安定した賃料収入を長期間得られることが大きなメリットとなる投資です。そのため、長期の資産形成に活用することや、老後の収入源を得るためには優れた投資手法であると言われています。
一方で不動産投資は、株式やFXのように短期で大きなリターンを得られるようなものではありません。
まずは投資をする際は目的をしっかり持って「やめとけ」と言われる理由が自分にもあてはまっているかどうかも検討することが重要です。
「不動産投資はやめとけ」と言われる理由について検証しました。
不動産投資はやめとけと言われる理由は必ずしも対処できない訳ではありません。
例えば、少子高齢化で人口は減少するという、一見対処しようがないようなもっともらしい理由でも人口が増えている地域に投資をするということで対処する事が可能です。
また、「やめとけ」と言われる理由は様々です。大切なことは不動産投資をやめとけと言われることが自分にとって本当に重要なことかどうかを見極めることではないでしょうか。
どんな投資にも「やめとけ」と言われる理由があります。やめとけと言われる理由に対処できる投資手法を選ぶ必要があるといえるでしょう。