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融資・ローン

不動産投資にも使える?日本政策金融公庫の特徴や審査基準

八木 チエ
2020/07/13

不動産の購入金額は高額となるため、基本的には自己資金ではなく、金融機関の融資を活用して不動産投資を行っている方がほとんどではないでしょうか。

融資は不動産投資の成否を大きく関わるため、慎重に検討する必要があります。

実は民間の金融機関のほかに、政府系金融機関である「日本政策金融公庫」も利用できることをご存じでしょうか。この記事では日本政策金融公庫の特徴や融資の審査基準について解説します。

これから不動産投資の融資を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫とはどのような金融機関なのでしょうか。

まずはその概要を説明します。日本政策金融公庫は政府が100%出資しているいわゆる政府系金融機関です。

元々は国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫の3つの金融機関でしたが2008年に合併して日本政策金融公庫となりました。日本政策金融公庫は元々の3金融機関の目的を引き継いでいます。

日本政策金融公庫は「女性」や「若者」や「高齢者世代」の生活支援や融資を受けることが難しい中小企業に融資をすることを目的としています。この点は利益を目的とする民間の金融機関と大きく異なる点です。

民間の金融機関は利益を目的としているため、金利収入を得る事と融資した資金を回収して損をしないことが重要です。そのため、不動産投資における融資においては大企業や資産家、収入が安定していて返済能力が高ければ高いほど融資の審査が通過する可能性が高くなります。

しかし、日本政策金融公庫は利益を目的としていないため、お金持ちの方が不動産投資をするための資金は貸してはくれません。

では、なぜ日本政策金融公庫が不動産投資で利用できるかというと、不動産賃貸業を行う事業として融資を受けることができるからです。日本政策金融公庫は投資目的での融資は行っていませんので、あくまで事業として融資を受ける必要があります。

このように民間の金融機関とは設立の目的が異なるため、運営にも大きな違いがあります。

その違いによって日本政策金融公庫には民間の金融機関とは異なるメリットやデメリット融資基準が存在するのです。

融資全般に関しては下記カテゴリーで解説していますので参照してみてください。

日本政策金融公庫で資金調達をするメリット

政府系金融機関である日本政策金融公庫は、民間の金融機関とは異なるメリットが多くあります。

メリットを具体的に確認していきましょう。

固定金利で融資が受けられる

日本政策金融公庫は全て固定金利での融資となります。

近年は金利が下がり続けているため金利上昇についてリスクに感じる方は少なくなっていますが、不動産投資において金利上昇は大きなリスクです。

5,000万円の融資を受けた際に、金利が1%である場合、年間の金利コストは50万円です。しかし、3%まで上昇してしまうと金利コストは年間の金利コストが150万円まで負担が増加してしまいます。

現在はマイナス金利という異常な政策金利を行っていますので、長い目線で見ると金利上昇する可能性も十分あり得ます。固定金利であれば、金利上昇という大きなリスクを一つ排除できますので、大きなメリットと言えるでしょう。

また、日本政策金融公庫は利益を目的とする金融機関ではないため、比較的に低金利で融資を受けられます。

低金利かつ固定金利で融資を受けられるのは大きなメリットです。

手数料無料で繰り上げ返済が可能

日本政策金融公庫では繰り上げ返済が無料で何度でも行うことができます。

そのため、資金に余裕がある時は早めに返済することで将来の金利負担を減らすことが可能です。

つまり、一旦は限度額まで融資を受けておいて、余裕がある際は少しずつ返していくという戦略をとることが可能です。

不動産投資で収益を上げるためには様々な経費を削減することが重要ですので、繰り上げ返済の手数料が無いということは一つのメリットとなるでしょう。

対応エリアが広い

日本政策金融公庫は対応エリアが広いこともとメリットの一つです。

元々は生活や中小企業の支援が目的となっている公庫ですので、都心でないと融資を受け付けないということはありません。

日本政策金融公庫は日本全国で融資の対応をしており、都銀がカバーしていないような地方でも日本政策金融公庫であれば、融資を受けられる可能性があります。

女性・若者・高齢者に積極的に融資をする

日本政策金融公庫は元々社会的弱者を救済する制度です。

そのため、女性・若者・高齢者に積極融資をしてくれます。

日本政策金融公庫で借入する際の上限額は通常は4,800万円です。しかし、女性・若者・高齢者の場合は上限7,200万円まで借りることができます。

女性・若者・高齢者で不動産投資を行おうとしている方は積極的に活用すると良いでしょう。

日本政策金融公庫でお金を借りるためのコツ

メリットが大きい日本政策金融公庫でお金を借りるためには、どのように審査を申し込めば良いのでしょうか。

審査を通過するためのコツをご紹介します。

利回りが高い物件の審査が通りやすい

民間の金融機関は、担保となる不動産の築年数が融資の審査を決める重要なポイントとなります。

しかし、日本政策金融公庫は築年数よりも利回りを重視する傾向があります。

そのため、民間の金融機関で融資が通りやすい築浅の低利回り物件よりも、築古の高利回り物件の方が日本政策金融公庫では好まれる傾向があります。

理由としては、日本政策金融公庫がキャッシュフローを重要視しているからです。

民間の金融機関であれば、たとえ不動産賃貸業としては上手くいかなかったとしても最終的に不動産を売却して融資した資金を回収できるのであれば、問題ありません。そのため担保物件の評価を重要視するのです。

一方、日本政策金融公庫は事業の継続性も目的とするため、キャッシュフローを重要視するのです。そのため、利回りを重視して融資の審査が行われることになります。

小型物件に融資を活用する

日本政策金融公庫は通常の限度額は4,800万円、女性や若者やシニアの場合でも7,200万円です。

そのため、億単位の大型物件に投資をすることはできません

また、限度額上限で融資を受けることは難しいため、上限金額よりも1,000万円から2,000万円程度余裕を持った金額の物件を選定するとよいでしょう。

創業計画書を日本政策金融公庫の担当者と相談しながら記入する

日本政策金融公庫で融資を受けるためには、創業計画書を作成する必要があります。

創業計画書は、日本政策金融公庫の融資担当者と相談しながら書くことが重要です。担当者と相談しながら書類を作成することで、融資の審査ポイントを抑えながら記入できます。

例えば、収入と支出を記載するキャッシュフロー資産表には修繕費等の計画を盛り込んでおく必要があります。修繕費をいつまでにどのくらい見込んでおけばいいか等を担当者と事前にすり合わせておくことで審査の目線が把握できるため、審査が通りやすくなります。

民間の金融機関とは異なり、あくまで事業として融資を受けることになりますので、事業としての継続性や収益性、リスク管理も審査の基準として重要です。

万が一事業が立ち行かなくなっても担保物件を売却して融資資金を返済すればよいという民間金融機関のスタンスとは異なりますので、その点は注意が必要です。

日本政策金融公庫のデメリット

メリットが大きい日本政策金融公庫での融資ですが、デメリットもあります。

日本政策金融公庫で不動産投資の融資を受ける際のデメリットを確認しておきましょう。

借入期間が10年または15年と短い

日本政策金融公庫で借りられる借入期間は10年または15年です。

不動産投資の期間としては短く、かなり利回りが高い物件でなければ、この期間で投資資金を全て回収することは難しいでしょう。そのため、購入時にある程度自己資金を入れるか、自己資金も活用して毎月の返済を行う必要があります。

また、借入期間が短いということは、毎月の負担が大きいということになりますので、その点も含めて借入金額を検討する必要があります。

融資限度額が少ない

日本政策金融公庫で借りられる金額は最大で7,200万円です。

そのため、日本政策金融公庫からの融資だけでは大型物件の購入はできません。大型物件を購入する際は民間の金融機関で融資を受ける必要があります。

審査基準が民間金融機関よりも厳しい

創業計画書等を含めた審査基準は、民間の金融機関よりも厳しいものとなっています。

民間の金融機関とは異なり弱者を支援する制度ではありますが、誰にでも貸してくれるというわけではありません。返済能力は民間金融機関と同様に厳しく審査されます。

担保評価等は民間金融機関よりも厳しい掛け目が入るため借りられる金額が少なくなる場合もあります。

また、民間金融機関と大きく異なる点は事業の公共性や公益性も求められるということです。不動産事業として土地の有効活用や地域経済の活性化、空き家の再活用等、公共性が無ければ、融資を受けることが難しくなります。

審査基準が返済能力や担保価値だけではないという点も、日本政策金融公庫で融資を受ける際のデメリットの一つです。

まとめ

日本政策金融公庫での融資について解説しました。

固定金利かつ低金利で融資を受けられるという点は、不動産投資において大きなメリットです。また、対応エリアが広いため、都銀では融資を受けられなかったエリアの投資で活用も可能です。

ただし、融資限度額は民間金融機関に比べると小さいため、大型の物件は購入できません。返済期間も短いため、毎月の返済負担は大きくなってしまいます。

融資を受ける際は創業計画書やキャッシュフロー試算表を作る必要がありますが、日本政策金融公庫の担当者と相談して作成が可能です。

日本政策金融公庫で不動産購入を検討する際は、まずは担当者と相談してみると良いでしょう。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ不動産プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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