不動産投資を成功させるためには優良物件を購入するだけでなく、購入後のメンテナンスも重要です。
物件をしっかりメンテナンスして建物の魅力を維持できなければ、老朽化に伴い空室率が高止まりしてしまう可能性が高いでしょう。
当記事では不動産オーナーにとって重要なビルメンテナンスについて、わかりやすく解説します。
ビルメンテナンスは費用や手間がかかってしまいます。
そのため、不動産オーナーの中にはできればビルメンテナンスをせずに不動産を運営したいと思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、ビルメンテナンスは不動産経営をするうえで必要不可欠です。
なぜ、ビルメンテナンスが必要なのか確認してみましょう。
ビルはメンテナンスが行き届いていないと、建物を使用している人やビルの周辺に住んでいる人や働いている人の安全が確保できません。
最悪のケースでは、火事や倒壊等により建物を使用している人や周辺の人が怪我をしたり命を落としたりする可能性もあります。
そのような事態を防ぐためにビルオーナーは法律で最低限のビルメンテナンスを行うことが義務付けられています。
例えば商業施設の場合、床面積が3,000㎡以上の場合はビル管理法の適用対象となり、空調設備や水質設備などを定期的に点検する義務があります。
ビルを保有するオーナーにとってビルメンテナンスは法律で定められた義務でもあるという事は覚えておいた方が良いでしょう。
ビルメンテナンスは義務であると同時にもう一つ重要な目的があります。
ビルメンテナンスのもう一つの目的は物件の価値を維持するというものです。土地は基本的に劣化することはありませんが、建物は年数が経てばたつほど劣化してしまいます。
ビルメンテナンスをしっかり行うことで劣化のスピードを少しでも遅くし、物件の価値を維持するということが重要です。
ビルメンテナンスを行うことで、物件の魅力を維持するとともにしっかりメンテナンスをすることで大規模な修繕を行う際の費用を抑えることが可能です。
そのため、ビルメンテナンスは義務として最低限行うのではなく、物件の価値を維持するために戦略的に行う必要があるのです。
ビルメンテナンスを行うことで、どのような効果があるのでしょうか。
具体的に確認しておきましょう。
不動産のオーナーにとって大きなリスクとなるのが空室です。
空室率が高くなってしまうと収益が生まれず、不動産投資の最大の魅力である毎月の賃料収入が得られなくなってしまいます。
空室率は周辺の物件との相対的な魅力差によって大きく左右されます。
不動産を借りようとする企業や個人は必ず周辺のビルと比較してどこを借りるか見極めます。メンテナンスが行き届いていないビルには、誰しも入居したくないもの。
ビルメンテナンスをしっかり行うことで物件の魅力を維持し、空室率を下げることができます。
空室率と共に重要となるのが家賃です。
魅力の低い物件で空室率を下げようとすると、どうしても家賃を下げざるを得ない状況になってしまいます。
ビルメンテナンスを行うことで、物件の魅力を高めることができるので、家賃を下げずに空室率を下げることができるのです。
ビルメンテナンスは防犯対策にも繋がります。
メンテナンスには防犯カメラなどの防犯設備やエレベーターや自動ドアなどの保守点検も含まれます。
このような設備の点検、修理を怠ると犯罪に巻き込まれたり、事故につながったりする恐れがあります。
安全にビルを運営するためにもビルメンテナンスは重要です。
空調設備などの修理や取り替えを行うことで省エネになるため、電気代などの節約になることもあります。
ビルメンテナンス自体は費用がかかってしまいますが、省エネになることで、ランニングコストを抑えることができます。
ビルメンテナンスは費用をかけても業者に依頼する方がメリットも大きいと言われています。
業者に依頼することでどのようなメリットが得られるのか確認してみましょう。
ビルメンテナンスを業者に頼むことで、第三者という立場を確保できます。
テナント同士で以下のようなトラブルが発生した時に対処が可能です。
メンテナンスする時の工事で騒音はつきものです。
近隣へのご挨拶などは業者に依頼することによって、どのような段取りで対応すべきなのか。業者は経験が豊富なので、依頼するメリットが非常に大きいと言えます。
メンテナンスの作業時にゴミが出たり、設備の運搬などでも近隣に迷惑をかけたりすること多々あります。
ゴミの出し方、設備の運搬などについては、業者に依頼することによってスムーズに行うことができると言えるでしょう。
ビルメンテナンス業者は、ビルメンテナンスに関する経験値が豊富です。
ビルメンテナンスを効果的に行うためには重点的に検査をした方がいい場所やメンテナンスをした方がいい場所など、勘所があります。
経験が豊富であればどこをどれくらい対処すれば良いか経験から推測できるため、費用対効果の高いビルメンテナンスを行うことが可能となるのです。
ここまでビルメンテナンスを業者に依頼するメリットについて解説しました。
しかし、どんな業者でも良いというわけではありません。
しっかりとビルメンテナンス業者を選ぶことで、より効果的なビルメンテナンスを行うことができます。ビルメンテナンス業者の選び方をみて行きましょう。
「管理会社の選び方」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
ビルメンテナンス業者を選ぶ際は、まずはビルメンテナンスを依頼する目的を明確にすることが重要です。
ビルメンテナンスでオーナーが何をどうしたいかにより、依頼する業者も異なってきます。また、自分ができることに関しては依頼する必要がありません。
ビルメンテナンス業者に依頼することによって、どのようにビルを改善したいのか、まずは目的を明確にしておきましょう。
ビルメンテナンスの目的を明確にできたら、依頼する候補となるビルメンテナンス業者の得意分野を調べて行きましょう。
ビルメンテナンス業者の得意分野を知る方法の一つが、親会社の業務内容などを調べることです。
例えばデペロッパーから派生したビルメンテナンス業者は、構造上のトラブルが発生した場合の対処が得意です。また、警備会社から派生したビルメンテナンス業者は防犯対策が得意分野となります。
このように親会社の業務によってそれぞれのビルメンテナンス業者の得意分野は異なるものです。初めに目的を明確にしておくことで、どのような分野の業務を得意とするビルメンテナンス業者に依頼するかを決めることができます。
目的を明確にすることと、ビルメンテナンス業者の得意分野を知ることで本来の目的とはかけ離れたビルメンテナンスとなることを避けることができるのです。
ビルメンテナンス業者に依頼する前に、予算は明確にしておく必要があります。
予算を曖昧にしてしまうと、費用がどんどん高くなってしまいます。ランニングコストであるビルメンテナンス費用が高くなってしまうと不動産から得られる収益を圧迫してしまいます。
保有している不動産の利回りから計算して、どの程度の費用であれば払えるかをあらかじめ明確にしておきましょう。
ビルメンテナンスを業者に依頼することは、メリットも大きいものの費用がかかります。
そのため、効果が得られなければただ収益を圧迫するだけになってしまいます。ビルメンテナンス業者選びに失敗しないための注意点を確認しておきましょう。
ビルメンテナンスは実績と経験値が大切です。
値段が安いところはビルメンテナンスの実績が少ない場合も多いので注意しましょう。
いくら値段が安くても効果が得られなければ意味がありません。
安心して自分の不動産を任せるためには、保有している不動産と同規模で類似の使用用途となっているビルのメンテナンス実績があるのかもしっかり調べておくことが重要です。
ビルメンテナンス業者を選定する際は、必ず相見積もりをとるようにしましょう。
相見積もりとは2社以上に同内容で見積もりをとり、比較することです。
相見積もりをとることで、依頼しようとしているビルメンテナンス業者がサービス内容に対して費用が高くないか、調べることができます。
そのため、1社での見積もりで決めるのではなく、必ず2社以上で値段を比較することが重要です。
ビルメンテナンスの重要性は業者の選定方法等について解説しました。
ビルメンテナンスは物件の魅力を維持し、空室率を抑える効果があります。空室率を抑えることは不動産オーナーにとって最大の課題でもあるため、ビルメンテナンスは非常に重要であると言えるでしょう。
業者にビルメンテナンスを依頼する場合には、はじめに目的を明確にすることが重要。目的を明確にすることで、どのような分野を得意とする業者に依頼するべきなのか方向感を定めることができるでしょう。
また、ビルメンテナンスを依頼する際は、費用が掛かり不動産から得られる収益を圧迫することにもなってしまいます。
なるべく費用を抑えるために初めに予算を決めて相見積もりをとり、費用が高くなりすぎないように注意しましょう。