不動産投資とは

オフィス投資に変化!テレワークに適したオフィス作りが必要?

2022/03/04
オフィス投資に変化!テレワークに適したオフィス作りが必要?

新型コロナウィルスの感性拡大は、これからのオフィスのあり方にどのような影響を与えるのでしょうか。

8月14日の東洋経済オンラインにも記事が出ていましたが、「テレワークの普及などで都心のオフィスの必要性が問われている」と話題になっています。

そこで本記事では、オフィス投資の変化に焦点を当て、オフィススペースの役割や重要性、テレワークに適したオフィスの種類などの解説をとおして、時代に即した不動産投資のスタイルについて言及していきます。

オフィススペースの役割

テレワークとしての働き方が推進されている現代において、オフィススペースにはテレワークでは補えない重要な役割があります。

たとえば「信頼関係を構築する」という観点では、オフィススペースはテレワークよりも適しているといえるでしょう。なぜなら、オフィススペースは一般的に多くの人が集まって形成されており、一緒の空間で働くことにより得られる一体感は分散して稼働するテレワークのスタイルと比較すると、劣る可能性があるからです。

また、同じ職場空間で働くことにより培われる企業文化は、テレワークでは容易に形成できるものではありません。オフィスで一緒に働くことは企業理念の浸透にも寄与し、同じ目標を目指して苦労を分かちあう意識が芽生えやすくなるといわれます。

このように、集団のなかでコミュニケーションを深めたり組織に貢献してモチベーションをアップしたりすることは、他者との関わりの中で実現するものであり、オフィススペースは社員の能力育成や適切な評価に必要不可欠なものなのです。

テレワークにおいてオフィススペースが重要な理由

テレワークによるオフィススペースの需要低下は、現段階での急激な動きはないとされています。なぜなら、日本の税制や労働法制などは、まだテレワークを想定したものではなく、テレワークによる裁量労働制を適用できる職種も限定的だからです。

テレワークという言葉だけ聞くと、自宅やカフェなどちょっとしたスペースで誰でも気軽に働くことができるのではと思われる人もいるかもしれません。しかし、いくらテレワーク化が進んでも職種によってはオフィススペース以外の場所で仕事をさせてもらえなかったり、仕事ができたとしても生産性が低下したりする恐れがあるのです。

たとえば「セキュリティーを重視する業務」に関しては、どれだけ安全性を配慮したとしても、機密情報をオンラインで扱う際にハッキングや情報漏洩のリスクを伴うといえるでしょう。加えて、保育や介護などの職種は音声やテキストなどで代替するのが難しく、言葉やパソコン画面からだけでは不可能な業務が数多く存在します。

その他、物品の製造や配送など、「物理的にモノを取り扱う業務」は作業のオートメーション化がいくら進んでも、完全にテレワーク化するわけにはいかないため、このような業種ではテレワークの導入は難しいといえるでしょう。

また業務の種類によらずとも、企業理念において対面形式を重視している場合、出来るだけ対面でのコミュニケーションをおこなうことに重きをおいているため、テレワーク化できてもあえて在宅勤務のスタイルを導入しないという企業もあります。

感染症の拡大や働き方の変化による影響だけでなく、オフィススペースに求められることは多様な観点から時代の流れに応じて変化しています。したがって、目の前にある感染症の問題や働き方の課題だけでなく、将来の日本における労働力不足や災害に対しても、企業がどう対応すべきかなどを交えた俯瞰的な検討が大切なのです。

テレワークに適したオフィススペース5選

多様な働き方が社会に浸透しつつある中、テレワークに適応したオフィススペースの選択肢も増加傾向にあります。将来を見据えながらオフィス投資をおこなうためには、時代の流れに即したオフィススペースの特徴を把握することも重要です。

そこで、この章ではテレワークに最適な物件について、それぞれの特性やメリットとデメリットについてみていきます。

自宅

自宅はパソコンや椅子、Webカメラなどの作業環境を整えることで、テレワークに適したオフィスペースとして活用できます。また、在宅勤務は通勤のための準備や満員電車に乗るストレスがなく、昼休みに家事をこなしたり家族との時間をもったりできるため、隙間時間を有効に使えるという点がメリットです。

しかし、在宅勤務をする人の中には、「仕事とプライベートのメリハリがなくなる」「人目が無く、だらけてしまう」「作業環境を整えるための費用がかかる」など、自宅をオフィススペースとすることにデメリットを強く感じる人もいます。

コワーキングスペース

コワーキングスペースとは、図書館のような大型の施設で利用者がそれぞれ仕事をおこなう場所のことです。比較的リーズナブルな価格で長時間の利用が可能なため、企業だけでなくフリーランスや副業をする社会人など、多種多様な利用者がいます。

また、コワーキングスペースはシェアオフィスよりもコミュニティとしての特色が強く、規模や形態は多種多様なため、各人に合った場所を見つけられる点も楽しみの一つです。

会話OKのコワーキングスペースも多く、イベントや交流会などを通した利用者同士での出会いも期待できます。ただし、他者との交流が盛んである分、会話や雑音があると仕事に集中できない人にとっては、コワーキングスペースは作業環境としては不向きな場合もあるようです。

レンタルスペース

レンタルスペースはシェアオフィスやコワーキングスペースとは異なり、オフィススペースそのものを貸し切って利用することが基本的な利用方法です。ここ数年で規模は拡大傾向にあり、シンプルなオフィス環境からリゾートのようなリラックスした環境で仕事ができる空間まで、さまざまなレンタルスペースが存在します。

レンタルスペースは収容人数や雰囲気などから選択でき、Wi-Fi・プロジェクター・ホワイトボードなどの設備を無料で利用可能な場合が多いようです。また、利用目的に応じて適切なスペースの大きさを選べるので、仕事内容やプロジェクトの規模ごとにオフィススペースも変更できます

シェアオフィス

シェアオフィスとは、社員が個々の自室をもたず、働く席を選択できるオフィススタイルのことです。基本的に自由席のため、窓辺や通路側などオフィス内にある場所を自由に選択して仕事ができます。

シェアオフィスは時間単位から月契約までさまざまな利用形態があり、利用頻度を利用者の用途にマッチさせやすい点が特徴的です。また、大きなシェアオフィスの場合は、あらゆる業種の人が利用するため、普段なら交わる可能性の低い業種の人々との交流もできます。

シェアオフィスによっては、オープンスペースだけでなくミーティングルームとして利用できる個室の完備は存在しますが、複数の企業やフリーランスと空間を共有して利用するというスタイルが基本です。

ただし、シェアオフィスといえども空間を丸々貸し切れるわけではないため、プライバシーが守りにくく、守秘義務やセキュリティを重視している業種の利用には適さない場合もあります。

サテライトオフィス

サテライトオフィスは、本社や本拠地から離れた場所に設置されるオフィスを指し、働く場所に近い環境で仕事をしたい人によく利用されるオフィススペースです。

サテライトオフィスを自社で設置する企業もありますが、サテライトオフィスを運営している他社から賃貸契約してオフィススペースを利用している企業もあります。

サテライトオフィスは電話やコピー機など業務で必要な備品や会議室などの設備が揃っており、通常のオフィス環境と同じ感覚で利用できます。ただ、サテライトオフィスの利用は事前に利用登録の必要性があり、飛び込みでの当日利用は難しいケースが多いようです。

オフィス投資に変化!テレワークに適した投資スタイルが必要?

時代の急激な変化に対応する柔軟性が求められる現代において、1年単位の短期的な観点と終息後の中長期的な観点の両方から、今までとは異なるオフィス投資のアプローチを模索する必要があります。

たとえば短期的な見方からは、今後もテレワークや在宅勤務が続くことによって、オフィスへ出勤する社員の数が減少し、オフィスの規模縮小や大型オフィスの需要低下が考えられるでしょう。

一方で、出勤する社員がオフィスで働く際にもソーシャルディスタンスを保つ必要性があるため、職員1人あたりのオフィス面積を大きく取るケースが出てくる可能性も否定できません。

また、中長期的な見方からは、企業が求めるオフィス機能や立地条件が会社それぞれのおかれた状況によって変化することが考えられるため、社内外での動向を見極めながら慎重に検討を進めることが重要となります。

経済環境が急速に変容していく中、テレワークに適した投資スタイルは、雇用形態の柔軟性や働き方の多様性に鑑み、時代やニーズの変化に即応した柔軟性が求められます。

中小ビルも、素早くフレキシブルな貸し方が可能になれば、今まで以上に資産価値を上げることも十分に可能といえるでしょう。

まとめ

今回は「オフィス投資の変化」をテーマとし、オフィススペースの役割や重要性、テレワークに適したオフィスの種類などを交えながら、時代に即した投資スタイルをご紹介しました。本記事の要点は次のとおりです。

  • オフィススペースには、テレワークでは実現できない役割がある
  • テレワークに適したオフィススペースは、自宅以外にもさまざまな種類がある
  • 短期的かつ中長期的な見方をもって、オフィス需要を考える必要がある

テレワークの働き方が浸透する中で、オフィス投資にも変化が生じています。これからのオフィス投資のスタイルは、時代の流れやニーズの変化に即応したフレキシブルな対応がますます求められるでしょう。今回の内容を、ご自身の不動産投資にぜひお役立てださい。

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八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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