「鉄道延伸で駅が新設される地域はどの辺り?」
「鉄道延伸で駅が新設されると、地価が上がるのでは?」
不動産投資を検討されている方は、上記のような疑問を思い浮かべたことがある方も多いのではないでしょうか。
では、実際のところ、本当に鉄道延伸で駅が新設される地域は、不動産投資のチャンスといえるのでしょうか?
結論から先に言うと、エリアによってはチャンスといえるでしょう。
そのため、新しく鉄道延伸されたエリアの将来性などを見据えて選ぶことが重要になります。
そこで、この記事では、過去の鉄道延伸の例を参考にしながら「鉄道延伸が不動産投資に対して与える影響やリスク」を詳しく解説していきたいと思います。
鉄道延伸を考慮した不動産投資を考えている方は、最後まで読んで、この記事を参考にして頂けますと幸いです。
鉄道延伸とは、今ある鉄道路線を伸ばして、駅を新設することです。
路線が延伸されることで、周辺地域に多くの影響を与えるので、不動産投資を考えている方には絶好の機会でもあります。
周辺地域に多くの影響を与える理由は、日本の鉄道依存度が高いからです。
鉄道依存度が高い日本では、新駅ができる事で、周辺地域が開発され、経済活動が活発になり、人口の増加などの好影響を与えます。
その結果、地価も大幅に上昇するため、不動産投資のチャンスといえるわけです。
特に、東京などの鉄道依存度が高い大都市圏では、鉄道延伸が計画されると、他の地域と比べて与える影響は非常に大きくなるので覚えておきましょう。
鉄道延伸により、新設される駅が周辺地域に与えるメリットは以下の5つです。
中でも、不動産価値の上昇や地価の上昇については、不動産投資にも大きな影響を与えるので要チェックです。
では、それぞれについて、説明していきます。
駅が新設されることで、大きく変化するのが利便性の向上です。
この利便性の向上には、「交通アクセスが良くなる」ことと「商業施設ができることにより、買い物がしやすくなる」ことの2つの意味があります。
鉄道が延伸され、駅が新設されることにより、鉄道が利用しやすくなるため、周辺地域の交通アクセスが良くなります。さらに、新駅に向かうバス路線などが整備されると、駅から遠い地域の交通アクセスも向上する事があります。このように、駅周辺だけでなく、駅から遠い地域の交通アクセスも向上することもあるため、新駅ができると利便性がとても向上するのです。
駅ができると、駅周辺が開発され、駅ビルなどの商業施設が多数建築されます。商業施設ができることにより、多くの飲食店やショップが出店し、飲食や買い物が手軽になることで、利便性が向上するというわけです。
人口が増加するのには、以下の2つの理由があります。
利便性が向上することで、より住みやすい街となり、移住者が増えるため、人口が増加します。
再開発で駅周辺に高層マンションなどが建築されると、多くの人が移り住んでくるため、人口が増加します。このように、駅が新設されることで、駅周辺が再開発され、マンションなどの住居や商業施設などの就業先ができることにより、人口が増加するのです。
新駅周辺が再開発されることで、就業先が増加し、多くの就業者が必要になります。
では、再開発されることで、どのような就業先が増えるのでしょうか?主要な就業先としては、駅の鉄道職員、駅ビルなどの施設の店員、コンビニエンスストア、飲食店などの店が挙げられます。
他にも、オフィスが併設されている大型商業施設ができる場合には、民間の会社での就業先もできるため、就業人口が大きく増加するパターンがほとんどです。
このように、駅周辺の再開発が大規模であればあるほど、多くの雇用が生まれるため、多数の就業者が必要になります。特に、首都圏で駅が新設され、大規模な再開発が行われる場合には、数万人規模の就業者が必要とされるケースもあります。
不動産価値が上昇する理由は、新駅周辺の不動産需要が高くなるからです。
では、具体的にはどのような需要が増えるのでしょうか?まず、利便性の向上や人口の増加により、店舗を出店すると高い売上が見込めるため、店舗需要が増えます。
また、当然ですが、人口も増加しているため、住居の需要も大幅に増えるのです。好立地の場所には、高い家賃を支払っても出店したい人や住みたい人がいるため、家賃価格が上昇し、より良い不動産収益を見込むことができます。その結果、不動産の需要が高まり、不動産価値が上昇するというわけです。
地価が上昇する理由も、不動産価値と同じで、不動産需要が高くなるからです。理由を詳しく説明すると、以下の内容になります。
不動産価値が高まることにより、その不動産がほしい人が多くなります。しかし、価値が高まるような好条件の不動産は、いくつもあるわけではありません。
そのため、その不動産の需要が供給を上まわることで、地価が上昇するのです。ここまでの説明で鉄道延伸により駅が新設されると、駅周辺が再開発され、さまざまな好影響があるということを理解して頂けたのではないかと思います。
これらの好影響はすべて連動しており、それぞれが要因となって、地価や不動産価値を高めることにつながるわけです。
ここまで、鉄道延伸による不動産投資や周辺地域への好影響に解説してきました。
しかし、鉄道延伸があったからと必ず大きく影響がでるわけではありません。では、この影響が特にあるのはどのような駅なのでしょうか?
それは、以下の3つの駅です。それぞれ詳しく説明していきます。
1つ目は利便性がより向上する駅です。
例えば、山手線などの乗降者数が非常に多い路線に、新駅が新設される場合は、交通面の利便性がより向上します。このような場合には、駅の利用者数も増えるため、周辺地域に与える好影響も大きくなるわけです。
他にも、リニアや新幹線などの路線が延伸されて、新駅ができる場合にも、より交通面の利便性が向上するため、多大な好影響を与えます。
利便性の高い路線が延伸される場合には、地価や不動産価値も大きく上昇するため、不動産投資を検討するのがおすすめです。
2つ目は、新設される駅の周辺に、大型商業施設の建設が予定されている場合です。大型商業施設が建設されると、多くのショップなどが出店し、大きな雇用を生み出します。
また、その施設を目的とした利用客も増えるため、駅の利用者数も増加するはずです。駅の利用者数が増加すると、駅周辺の経済活動が活発になることで、街がより発展していきます。
このように、大型商業施設ができると、より街が発展するため、不動産価値が上昇します。
3つ目は人気の観光地がある駅です。
駅の周辺に人気の観光地がある場合には、駅が新設されることで、観光地への交通アクセスがとても良くなり、多くの人が訪れます。
特に、新幹線が延伸される場合には、遠方からのアクセスが向上するため、観光客の増加など、地域に与える影響が甚大です。
また、人気の観光地があると、ホテルや商業施設の建設などの再開発計画も大規模になります。
このように、人気観光地があるところに、駅が新設される場合には、経済効果も大きくなるため、不動産価値や地価により好影響を与えるのです。
ここまで、鉄道延伸が与えるメリットを解説してきました。不動産投資を考えている方なら、鉄道延伸が計画されれば投資するべきだと思っていただいたかもしれません。
しかし、鉄道延伸にも、大きなリスクが存在します。それは、鉄道延伸計画が変更されるリスクです。
何故、計画が変更されるのでしょうか?それは、鉄道路線が延伸し、新駅を設置するためには、莫大な費用がかかるからです。
この莫大な費用は国や自治体が一部負担するため、採算がとれない場合には、計画が変更されることがありえます。例として、よくあげられるのが「小田急多摩線」の延伸計画です。
この計画は当初、唐木田駅から上溝駅までの約8.8キロメートルを延伸する計画でした。
詳しく調査していくうちに、この路線が開通しても黒字化するのに、42年かかるという調査結果が報告されたのです。
そのため、採算性がとても低いと判断されて、唐木田駅から相模原駅の5.8キロメートルに計画が変更されました。
しかも、この計画変更が決定するまで、約3年という期間がかかっているのです。この「小田急多摩線」からわかるように、鉄道延伸計画が変更されることや変更される場合にも相当な時間がかかる場合があります。
鉄道延伸を考慮したうえで不動産投資を行う場合には、十分にこのリスクを頭に入れておいてください。
最後に、実際に新設された駅がどのような影響を与えたのかを解説していきます。
高輪ゲートウェイ駅は山手線の品川駅と田町駅の間に新設される駅で、1971年に開業した西日暮里駅以来の新駅になります。
東京オリンピックがあるはずだった2020年春に暫定開業し、2024年に本開業をする予定の駅です。この駅では、駅の開業だけでなく、東京都心でも最大級の再開発も計画されています。計画では、駅前に大型高層ビルの建設が予定されており、商業施設と合わせると、約10万人の雇用が増加するといわれているのです。
これらの影響で、駅周辺地価も2019年と2020年を比べると、地価が10%以上上昇しています。このように、まだ正式に開業していない駅でも、すでに大きな影響があるのです。
このとうきょうスカイツリー駅は、新駅ではないですが、周辺の再開発によって、大きな影響を与えた事例になります。
とうきょうスカイツリー駅は東武電鉄の東京スカイツリータウン開発によって、「業平橋駅」が改名してできた駅です。
とうきょうスカイツリー駅は大規模複合施設の東京スカイツリータウンに直結しており、この東京スカイツリータウンには、電波塔である東京スカイツリーやショッピングセンター、プラネタリウム、水族館、オフィスまで入っています。
このように大規模な再開発が行われたことや東京スカイツリーという、人気の観光地ができたことにより、地価も大きく上昇しました。
地価の上昇率は2011年から2019年までで128%、隣の駅である錦糸町駅は150%と、大きな影響を与えています。
鉄道延伸によって、新駅が新設されると周辺地域や地価などに、多大な影響を与えます。この新駅による好影響は不動産投資を行ううえで、見逃せないものです。
しかし、リスクが存在することは忘れないでください。リスクを熟慮したうえで、鉄道延伸を考慮した不動産投資をすることは素晴らしい選択だと思います。
その理由は、今後、鉄道延伸を考慮した不動産投資のチャンスは少なくないからです。例えば、東京を中心に駅が新設される計画はまだたくさんあります。
地方でも、新幹線やリニア新幹線の開通などの鉄道延伸の計画が進んでおり、東京以外でも投資のチャンスは少なくありません。もし、不動産投資を考えているなら、鉄道延伸が計画されている駅周辺を検討してみてください。